この規格ページの目次
4
K 6220-5 : 2021
表1−有機過酸化物の分類及び試験方法
有機過酸化物の分類 略語及び化学名 試験法 試験方法 箇条
· ケタール系有機 滴定法
· DTBPC : 1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロ A法 箇条8
過酸化物 ヘキサン 及び
· DBPB : 2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン 附属書A
· BPV : n-ブチルビス(4,4-tert-ブチルペルオキシ)
バレレート
· ジアシル系有機 · BPO : ベンゾイルペルオキシド 滴定法 B法 箇条9
過酸化物 · pMBPO : ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド 及び
附属書B
· ジアルキル系有 滴定法
· ジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ C法 箇条10
機過酸化物 ン 及び
· DCP : ジクミルペルオキシド 附属書C
· TBCP : tert-ブチルクミルペルオキシド
GC a)法
· DMBHa : 2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオ D法 箇条11
キシ)ヘキサン (D-1法又は 及び
D-2法) 附属書D
注a) ガスクロマトグラフィー(gas chromatography)の略。
8 ケタール系有機過酸化物の含有率の求め方(A法)
8.1 概要
A法は,ゴム用架橋剤として使用するケタール系有機過酸化物(DTBPC,DBPB,BPVなど)の含有率
を測定する方法である。ただし,ケタール系有機過酸化物の測定方法の滴定法は,ケタール系有機過酸化
物だけでなく,不純物(TBHP)が含まれた総量として測定される方法(総量法)であるため,ケタール
系有機過酸化物の含有率は,不純物の含有率測定(HPO法)によって求めたTBHPを差し引いて求める。
なお,TBHPは微量のため,ゼロとみなす簡便な求め方もある[以下,簡便法という。8.4及び式(5)参照]。
8.2 試験方法の原理
ケタール系有機過酸化物の含有率は,次の化学式のように酢酸−塩酸媒体中でよう化物と反応させ,等
量のよう素を遊離し,これを標準濃度のチオ硫酸ナトリウムで滴定する。
R−OO−R'+2I−+2H+ → ROH+R'OH+I2
I2+2S2O32− → 2I−+S4O62−
ケタール系有機過酸化物は,原料中にTBHPを不純物として微量含有することがある。この場合,まず
附属書Aに規定する総量法(A.4)に従って,ヨードメトリーによって活性酸素の総量を求める。
次に,附属書Aに規定するTBHP含有率の測定の方法(HPO法)(A.5)に従って,TBHPの活性酸素量
を求める。最後に,活性酸素の総量からTBHPの含有量から求めた活性酸素量を差し引いた値をケタール
系有機過酸化物の理論活性酸素量で除することによって含有率を求める。
8.3 活性酸素の総量測定
8.3.1 測定手順
活性酸素の総量測定の測定手順は,次による。
a) ひょう(秤)量したケタール系有機過酸化物試験試料(m1)を,よう化カリウムを含む酢酸及び塩酸
で酸性化した水溶液に溶解する。遊離したよう素を標準濃度のチオ硫酸ナトリウムで滴定し,滴定を
完了するのに必要な量(V1)を求める。
b) ブランク試験として,ケタール系有機過酸化物なしで同じ手順を繰り返し,滴定を完了するのに必要
――――― [JIS K 6220 pdf 6] ―――――
5
K 6220-5 : 2021
な標準濃度のチオ硫酸ナトリウムの量(Vb1)を求める。
8.3.2 活性酸素の総量の計算
式(1)によって,ケタール系有機過酸化物の活性酸素の総量含有率を求める。
0.00080 VV
1 b1 f1
AO,kt 100 (1)
m1
ここに, AO,kt : ケタール系有機過酸化物の活性酸素の総量含有率(%)
V1 : 試験試料の滴定に要した標準濃度のチオ硫酸ナトリウム
の量(cm3)
Vb1 : ブランク試験の滴定に要した標準濃度のチオ硫酸ナトリ
ウムの量(cm3)
f1 : 0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m1 : 試験試料の質量(g)
0.000 80 : 式(2)によって得られる係数(g/cm3)
15.9994 1
0.000 80 0.1 (2)
2 1000
ここに, 15.999 4 : 酸素の原子量
0.1 : チオ硫酸ナトリウム溶液の濃度(mol/L)
8.3.3 理論活性酸素量の計算
理論活性酸素量含有率AT,kt(%)は,次の式(3)によって計算する。
なお,ケタール系有機過酸化物の過酸化物結合の数,分子量及び理論活性酸素量は,表2による。
n1 15.9994100
AT,kt (3)
M1
ここに, n1 : ケタール系有機過酸化物の過酸化物結合の数(表2参照)
M1 : ケタール系有機過酸化物の分子量(表2参照)
表2−ケタール系有機過酸化物の過酸化物結合の数,分子量及び理論活性酸素量
ケタール系有機過酸化物 n1 M1 AT,kt
DTBPC 2 260.38 12.29
DBPB 2 234.34 13.65
BPV 2 334.46 9.57
8.4 不純物(TBHP)の含有率測定(HPO法)
HPO法は,ケタール系有機過酸化物中の不純物(TBHP)を測定する方法で,次の化学反応(Ce4+によ
る酸化)を利用し,TBHPの活性酸素量からTBHP[CHPO(%)]の含有率を測定する。
反応式 2Ce4++SO42−+ROOH → 2Ce3++RHSO4+O2
手順は,附属書A(HPO法)による。
なお,簡便法として,TBHPをゼロと仮定し有機過酸化物総量をケタール系有機過酸化物量としてもよ
い[式(5)参照]。
8.5 ケタール系有機過酸化物含有率の計算
8.5.1 試験試料の前処理がない場合
試験試料の前処理がない場合は,式(4)を用い,ケタール系有機過酸化物の含有率Pkt(%)を求める。
CHPO
AO, kt 0.1775100
Pkt (4)
AT,kt
――――― [JIS K 6220 pdf 7] ―――――
6
K 6220-5 : 2021
ここに, AO,kt : 活性酸素の総量(%)
CHPO : TBHPの含有率(附属書A参照)(%)
0.177 5 : TBHPの理論活性酸素量を100で除した値
AT,kt : 式(3)によって得られるケタール系有機過酸化物の理論活性
酸素量(%)
ただし,TBHPをゼロとみなす簡便法の場合は,式(5)を用い,ケタール系有機過酸化物の含有率Pkt(%)
を求める。
AO,kt
Pkt 100 (5)
AT,kt
8.5.2 試験試料の前処理をした場合
前処理を行った場合は,式(4)又は式(5)を用いてPktを求めた後,式(E.1)のCpをPktに置き換えた式(6)を
用い,補正したケタール系有機過酸化物の含有率Pkt1(%)を0.1 %の桁まで求める。
mt Pkt
Pkt1 P 100 (6)
ms1 100 kt
ここに, mt : トルエンの質量(g)
ms1 : 抽出前の混合物試験試料の質量(g)
Pkt : 補正前のケタール系有機過酸化物の含有率(%)
8.6 試験結果の表し方
試験結果は,JIS Z 8401の規則Aによって丸め,小数点以下1桁まで表す。
9 ジアシル系有機過酸化物の含有率の求め方(B法)
9.1 概要
B法は,ゴム用架橋剤として使用するBPOのようなジアシル系有機過酸化物の含有率を測定する方法で
ある。
9.2 試験方法の原理
ジアシル系有機過酸化物は,次の反応式のように溶媒中でよう化物と反応させ,等量のよう素を遊離し,
これを標準濃度のチオ硫酸ナトリウムで滴定する(附属書B参照)。B法の詳細な手順は,附属書Bによ
る。
R−OO−R'+2I−+2H+ → ROH+R'OH+I2
I2+2S2O32− → 2I−+S4O62−
ジアシル系有機過酸化物の含有率は,測定した活性酸素量を理論活性酸素量で除することによって得ら
れる。
9.3 活性酸素量の測定
9.3.1 測定手順
ジアシル系有機過酸化物の試験試料(m2)を,よう化カリウム及び酢酸で酸性化した溶液に溶解する。
遊離したよう素を標準濃度のチオ硫酸ナトリウムで滴定し,滴定を完了するのに要する量(V2)を求める。
ジアシル系有機過酸化物なしでブランク試験を行い,滴定を完了するのに要する標準濃度のチオ硫酸ナト
リウムの量(Vb2)を求める。
9.3.2 活性酸素量の計算
式(7)によって,ジアシル系有機過酸化物の活性酸素量の含有率AO,da(%)を求める。
――――― [JIS K 6220 pdf 8] ―――――
7
K 6220-5 : 2021
0.00080 V2 Vb2 f1
AO,da 100 (7)
m2
ここに, V2 : 試験試料の滴定に要した標準濃度のチオ硫酸ナトリウム
の量(cm3)
Vb2 : ブランク試験の滴定に要した標準濃度のチオ硫酸ナトリ
ウムの量(cm3)
f1 : 0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m2 : 試験試料の質量(g)
0.000 80 : 式(2)によって得られる係数(g/cm3)
9.3.3 理論活性酸素量の計算
ジアシル系有機過酸化物の理論活性酸素量AT,da(%)は,次の式(8)によって計算する。
なお,ジアシル系有機過酸化物の過酸化物結合の数,分子量及び理論活性酸素量は,表3による。
n2 15.9994100
AT, da (8)
M2
ここに, n2 : ジアシル系有機過酸化物の過酸化物結合の数(表3参照)
M2 : ジアシル系有機過酸化物の分子量(表3参照)
15.999 4 : 酸素の原子量
表3−ジアシル系有機過酸化物の過酸化物結合の数,分子量及び理論活性酸素量
ジアシル系有機過酸化物 n2 M2 AT,da
BPO 1 242.23 6.61
pMBPO 1 270.28 5.92
9.4 ジアシル系有機過酸化物含有率の計算
9.4.1 試験試料の前処理がない場合
式(9)を用い,ジアシル系有機過酸化物の含有率Pda(%)を求める。
AO,da
Pda 100 (9)
AT,da
ここに, AO,da : 活性酸素量(%)
AT,da : 式(8)によって得られるジアシル系有機過酸化物の理論活性
酸素量(%)
9.4.2 試験試料の前処理をした場合
前処理を行った場合は,式(9)を用いてPdaを求めた後,式(E.1)のCpをPdaに置き換えた式(10)を用い,
補正したジアシル系有機過酸化物の含有率Pda1(%)を0.1 %の桁まで求める。
mt Pda
Pda1 100 (10)
ms1 100 Pda
ここに, mt : トルエンの質量(g)
ms1 : 抽出前の混合物試験試料の質量(g)
Pda : 補正前のジアシル系有機過酸化物の含有率(%)
9.5 試験結果の表し方
試験結果は,JIS Z 8401の規則Aによって丸め,小数点以下1桁まで表す。
――――― [JIS K 6220 pdf 9] ―――――
8
K 6220-5 : 2021
10 ジアルキル系有機過酸化物の含有率の求め方(C法)
10.1 概要
C法は,ゴム用架橋剤として使用するDCPなどのジアルキル系有機過酸化物の含有率を,滴定法を用い
て測定する方法である。C法の詳細な手順は,附属書Cによる。
また,DMBHaについては,有機過酸化物の含有率を求めるときは,ガスクロマトグラフィーが適して
おり,このガスクロマトグラフィーについては,箇条11で規定する。
10.2 試験方法の原理
ジアルキル系有機過酸化物は,次の反応式のように溶媒中でよう化物と反応させ,等量のよう素を遊離
し,これを標準濃度のチオ硫酸ナトリウムで滴定する。
R−OO−R'+2I−+2H+ → ROH+R'OH+I2
I2+2S2O32− → 2I−+S4O62−
また,ジアルキル系有機過酸化物の含有率は,測定した活性酸素量を理論活性酸素量で除することによ
って得られる値に,表4の補正係数(fP)を乗じることによって計算する。
10.3 活性酸素量の測定
10.3.1 測定手順
ジアルキル系有機過酸化物の試料(m3)を,不活性雰囲気中で酢酸とよう化ナトリウム水溶液とを混合
して反応させる。よう化物とジアルキル系有機過酸化物の分解生成物との間の副反応を防止するために,
反応混合物に水を加える。30分還流した後,遊離したよう素とジアルキル系有機過酸化物の分解生成物と
の間の副反応を防ぎ,かつ,揮発によるよう素の損失を避けるために,反応混合物を室温まで冷却する。
水で希釈した後,遊離したよう素を,標準濃度のチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(V3)。
ジアルキル系有機過酸化物なしでブランク試験を行い,滴定を完了するのに要する標準濃度のチオ硫酸
ナトリウムの量(Vb3)を求める。
10.3.2 活性酸素量の計算
式(11)によって,ジアルキル系有機過酸化物の活性酸素量AO,AA(%)を求める。
0.00080 V3 Vb3 f1
AO,AA 100 (11)
m3
ここに, V3 : 試験試料の滴定に要した標準濃度のチオ硫酸ナトリウム
の量(cm3)
Vb3 : ブランク試験の滴定に要した標準濃度のチオ硫酸ナトリ
ウムの量(cm3)
f1 : 0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m3 : 試験試料の質量(g)
0.000 80 : 式(2)によって得られる係数(g/cm3)
10.3.3 理論活性酸素量の計算
ジアルキル系有機過酸化物の理論活性酸素量AT,AA(%)は,次の式(12)によって計算する。
なお,ジアルキル系有機過酸化物の過酸化物結合の数,分子量,理論活性酸素量及び補正係数は,表4
による。
n3 15.9994100
AT,AA (12)
M3
ここに, n3 : ジアルキル系有機過酸化物の過酸化物結合の数
M3 : ジアルキル系有機過酸化物の分子量(表4参照)
15.999 4 : 酸素の原子量
――――― [JIS K 6220 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS K 6220-5:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14932:2012(MOD)
JIS K 6220-5:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.040 : ゴム及びプラスチックの原材料 > 83.040.20 : ゴム配合剤
JIS K 6220-5:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0123:2018
- ガスクロマトグラフィー質量分析通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0510:1983
- 高純度ドデカン
- JISK1106:1990
- 液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)
- JISK1107:2005
- 窒素
- JISK5600-1-2:2002
- 塗料一般試験方法―第1部:通則―第2節:サンプリング
- JISK6220-4:2016
- ゴム用配合剤―有機薬品―第4部:略語
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8355:2006
- 酢酸(試薬)
- JISK8355:2021
- 酢酸(試薬)
- JISK8622:2007
- 炭酸水素ナトリウム(試薬)
- JISK8680:2006
- トルエン(試薬)
- JISK8839:2007
- 2-プロパノール(試薬)
- JISK8891:2006
- メタノール(試薬)
- JISK8913:2006
- よう化カリウム(試薬)
- JISK8951:2006
- 硫酸(試薬)
- JISP3801:1995
- ろ紙(化学分析用)
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方