JIS K 7147:2008 プラスチック―エポキシ樹脂―試験方法通則 | ページ 2

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キャピラリによる溶融範囲の求め方は,ISO 3146 : 2000に規定するA法による。
a) 方法要旨 試料をキャピラリに充てんし,一定速度で昇温し,形状の変化を目視で観察する。
収縮点は,粉末状樹脂の最初の物理的性質の変化が観察される温度である。溶融終点は,樹脂全体
が液状になる温度又は(部分的結晶化物の溶融に対しては)樹脂全体が半透明(透明ではない)にな
るときの温度,及び/又は樹脂が収縮しキャピラリ管壁から離れ始めるときの温度である。樹脂粉末
中の水分は,溶融範囲の測定に影響を及ぼす。そのため,溶融範囲の測定は,受け取った試料をその
まま測定すべきで,測定前に試料を乾燥してはならない。しかし,比較試験においては,試料の水分
を考慮することが望ましい。この場合,樹脂粉末を一定水分になるように五酸化二りん又は同様の乾
燥剤で48時間以上乾燥してもよい。
注記 エポキシ樹脂は,単一の化学物質ではなく,多分子性の化合物である。このことは,エポキ
シ樹脂の溶融挙動によって明らかである。すなわち,溶融は,一点の温度で起こるのではな
く,温度範囲において起こる。
溶融範囲は,収縮点(sinter point又はstick pointとも呼ばれる。)と溶融終点 (melted stage)
との間である。キャピラリ法は,繰返し精度(併行精度)はよいが,再現精度(室間再現精
度)は,悪くなるおそれがあるため,異なる測定者が正確に判定できるように,収縮点及び
溶融終点の正確な定義を明確にしておく必要がある。
b) 試料の調製 粉末状樹脂試料は,樹脂が塊及びフレークの場合,乳鉢で粉砕し,目開き250 μmのふ
るいを通過した試料を測定に用いる。
3.1.1.2 DSCによる溶融範囲の求め方
DSCによる溶融範囲の求め方は,ISO 11357-3による。
3.1.2 軟化点の求め方
軟化点の求め方は,JIS K 7234による。
a) 方法要旨 規定の環に試料を充てんし,環を水又はグリセリン浴中に水平に支える。規定の質量の球
を試料の中央に置き,浴温を規定の速さで上昇させ,球の重さで軟化した試料が環台の底板に触れた
ときの温度を,軟化点とする。
3.1.3 密度及び比重の求め方
密度の求め方は,ISO 1675(密度/比重瓶法)又はJIS K 2249(密度/浮きばかり法)による。比重の
求め方は,JIS K 7232(比重瓶法,比重カップ法,浮きばかり法,水中置換法)による。結果は,小数点3
けたまで求め,密度は,g/cm3で表示する。
比重瓶法及び比重カップ法は,すべての液状樹脂に適し,浮きばかり法は,粘度が1 Pa・s未満の液状樹
脂に適する。また,固形のエポキシ樹脂に対しては,水中置換法が適する。
3.1.4 屈折率の求め方
屈折率の求め方は,ISO 5661による。
3.1.5 粘度の求め方
粘度の求め方は,次による。
− 円すい−平板システム回転粘度計のような一定のせん断速度での粘度の求め方(JIS K 7117-2を参照)
− ブルックフィールド形回転粘度計(JIS K 7117-1を参照)又は単一円筒回転粘度計(JIS K 7233を参
照)を用いる求め方
− 落球粘度計(ISO 12058-1を参照)を用いる求め方
− 毛細管粘度計又は泡粘度計(JIS K 7233を参照)を用いる求め方

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注記 多くの場合,液状エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂溶液は,非ニュートン流体であるため,測定
した値は,用いた試験方法によって異なる可能性があるので,比較試験を行う場合は,いつも
同じ方法で測定する必要がある。
3.1.6 結晶化傾向の求め方
結晶化傾向の求め方は,JIS K 6756による。
a) 方法要旨 炭酸カルシウムとエタノールに溶解した液状エポキシ樹脂とを混合する。その混合物を特
定の低温に保持し,特定の経時間隔ごとに流動性及び結晶化の変化を比較観察する。
3.1.7 体積収縮率の求め方
体積収縮率の求め方は,JIS K 6901 : 1999の附属書3による。
a) 方法要旨 体積収縮率は,硬化前後の試験片の密度から算出する。
まず,硬化温度まで加熱したエポキシ樹脂組成物の各成分を混合した直後に測定した密度を,硬化
前の密度とする。次いで,硬化及び調整後の最終試験片の23 ℃で測定した密度を,硬化後密度とす
る。その後,硬化後の密度に対する硬化前後の密度変化との分率 (%) を算出し,これを体積収縮率と
する。
混合した直後の密度は,混合成分を一定の時間ごとに測定し,ゼロ時間へ外挿して求める。昇温時
に反応を起こす成分については,成分のそれぞれの密度から混合物の密度を算出する。硬化及び調整
後の最終試験片の23 ℃における密度は,シリコーンオイル又は蒸留水中で,質量をはかることによ
って求める。
3.1.8 引火点の求め方
引火点の求め方は,ISO 1523(密閉式)又はJIS K 2265-4(クリーブランド開放式)による。
a) 密閉式の方法要旨 密閉式カップに試料を充てんし,そのカップを液浴槽に規定の深さまでつけ加熱
する。液浴温度とカップ中の試料温度との差が2 ℃を超えないような速度で液浴温度をゆっくりと上
げ,かつ,加熱は,試料の温度が1.5 分で約0.5 ℃より上がらないようにする。加熱の間,1.5 分以
上の間隔で着火試験を行う。引火した最も低い温度を記入し,これと再試験から試料の引火点を計算
し,求められた引火点を101.3 kPa (1 013 mbar) の標準大気圧に補正する。
b) クリーブランド開放式の方法要旨 クリーブランド開放式カップ法による引火点及び発火点の求め方
で,試料を試験カップの標線まで入れた後,最初は,急激に試料温度を上げ,それから引火点が近づ
くにつれてゆっくり一定の速度で加熱する。規定の温度間隔で試験炎をカップ上で通過させる。液体
表面上部の蒸気が試験炎によって着火したときの温度を,周囲の気圧下での引火点とする。
3.1.9 色数の求め方(色の評価)
色数の求め方は,ISO 4630-1又はISO 6271-1による。
a) 方法要旨 標準の径の試験管における試験サンプルの色を観察し,任意の標準色数の色と比較する。
試料の色に最も近い標準色数を試料の色数とし,色数をガードナー色数 (ISO 4630-1) 又はプラチナ・
コバルト色数(ハーゼン単位色数)(ISO 6271-1) とする。

3.2 化学的性質

3.2.1  エポキシ当量の求め方
エポキシ当量の求め方は,JIS K 7236による。
a) 方法要旨 0.1 mol/L過塩素酸溶液とテトラエチルアンモニウムブロマイドとの反応によって発生す
る臭化水素とエポキシ化合物のエポキシ基とを反応させる。指示薬としてクリスタルバイオレットを
用いる滴定又は電位差滴定によって終点を求める。

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3.2.2 塩素含有量の求め方
エピクロルヒドリンを原料としてエポキシ樹脂を製造するとき,塩素を含む不純物が生成する。塩素を
含む不純物は,無機塩素(イオン性塩素),1,2-クロルヒドリン,1,3-クロルヒドリン及び1-クロロ-2-グリ
シジルエーテルである。これらの化学的活性は,大きく異なるため,次のように塩素の種類によって異な
った塩素含有量の求め方を用いる。
3.2.2.1 無機塩素
無機塩素の求め方は,JIS K 7243-1による。
a) 方法要旨 試料を適切な溶媒に溶かす。無機塩素は,標定した硝酸銀溶液による電位差滴定によって
求める。
3.2.2.2 易可けん化塩素
易可けん化塩素の求め方は,JIS K 7243-2による。
注記 易可けん化塩素は,主に1,2-クロルヒドリンとして存在する塩素から成る。
a) 方法要旨 グリシジルエステルを除くエポキシ樹脂を,ブトキシエタノール中で,室温で水酸化ナト
リウム水溶液と反応させる。グリシジルエステルの場合は,メタノール中で,50 ℃で水酸化ナトリウ
ムと反応させる。
反応混合物を酸性にし,けん化によって生成した塩化物イオンを,標定した硝酸銀溶液による電位
差滴定で求める。補正には,JIS K 7243-1に規定する方法を用いて測定した試料の無機塩素量を用い
る。
3.2.2.3 全塩素
全塩素の求め方は,次の二つの方法による。
a) けん化法 試験片をジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し,その溶液を水酸化カリウム
のアルコール溶液によって還流温度でけん化する。全塩素量は,標定した硝酸銀溶液による電位差滴
定で求める。詳細はJIS K 7243-3による。
b) 燃焼法 試験片を過酸化ナトリウム(A法)又は酸素ガス(B法)によって酸化し,生成した塩化物
を電気滴定又は容量滴定によって求める。詳細はJIS K 6901 : 1999による。
3.2.3 灰分の求め方
灰分の求め方は,JIS K 7250-1に規定するA法による。
a) 方法要旨 有機物を燃焼させた残分を,質量が一定になるまで高温で加熱するなどの直接焼成によっ
て,灰分を求める。
3.2.4 エポキシ樹脂のアミン系硬化剤の第一,第二及び第三アミノ基窒素含有量の求め方
この窒素含有量の求め方は,JIS K 7245による。
a) 方法要旨 脂肪族アミン及び芳香族アミンの窒素含有量の求め方は,次による。
1) 脂肪族アミン 脂肪族アミンは,次による。
− 全アミノ基窒素含有量 : 臭化水素酸又は過塩素酸の氷酢酸溶液で全アルカリ度を電位差滴定によっ
て求める。
− 第三アミノ基窒素含有量 : 第一及び第二アミノ基を,無水酢酸と反応させてアミド基に変えてマス
キングした後,第三アミノ基だけを,氷酢酸と無水酢酸との混合液中で,臭化水素酸又は過塩素酸
を用いて電位差滴定をして求める。
− 第一アミノ基窒素含有量 : 第一アミノ基は,N,N-ジメチルホルムアミド中で過剰の2,4-ペンタンジ
オン(アセチルアセトン)と反応し,イミンを生成する。過剰のアセチルアセトンを水酸化カリウ

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ムで電位差滴定して,第一アミノ基と反応したアセチルアセトン量を求め,第一アミノ基窒素含有
量を算出する。
− 第二アミノ基窒素含有量 : 第二アミノ基窒素含有量は,全アミノ基窒素含有量から第三アミノ基窒
素含有量及び第一アミノ基窒素含有量を差し引いて求める。
2) 芳香族アミン 芳香族アミンは,次による。
− 全アミノ基窒素含有量 : 脂肪族アミンと同じ。
− 第三アミノ基窒素含有量 : 脂肪族アミンと同じ。
− 第二と第三アミノ基窒素含有量との和 : 第一アミノ基を,氷酢酸中でサリチルアルデヒドと反応さ
せてシッフ塩基に変えてマスキングした後,第二及び第三アミノ基だけを,氷酢酸中で,塩酸を用
いる電位差滴定によって求める。
− 第一アミノ基窒素含有量 : 第一アミノ基窒素含有量は,全アミノ基窒素含有量から第二と第三アミ
ノ基窒素含有量との和を差し引いて求める。
− 第二アミノ基窒素含有量 : 第二アミノ基窒素含有量は,第二と第三アミノ基窒素含有量との和から
第三アミノ基窒素含有量を差し引いて求める。
3.2.5 エポキシ樹脂のアミン系硬化剤の全アミン価の求め方
全アミン価の求め方は,JIS K 7237による。
a) 方法要旨 過塩素酸酢酸溶液で溶液の電位差又はpHを測定して算出する。
3.2.6 酸無水物硬化剤中の遊離酸の求め方
遊離酸の求め方は,JIS K 7239による。
a) 方法要旨 酸無水物硬化剤中の少量の遊離酸は,ローダミン6 Gと反応してピンク色に呈色する。分
光光度計で,呈色した試料の約510 nmでの吸光度を測定し,検量線から遊離酸含有量を求める。
3.2.7 不揮発分含有量
不揮発分含有量の求め方は,JIS K 5601-1-2又はJIS K 7235による。
a) 方法要旨 ある条件で揮発した残分の質量を元の質量に対する分率 (%)で求める。
3.2.8 エポキシ樹脂の抽出水電気伝導度の求め方
抽出水電気伝導度の求め方は,JIS K 6757による。
a) 方法要旨 エポキシ樹脂(抽出温度で液状である)から水で抽出されるイオン成分を電気伝導度とし
て求める。
3.2.9 1,2-グリコール含有量の求め方
1,2-グリコール含有量の求め方は,JIS K 7146による。
a) 方法要旨 1,2-グリコールは,過剰のオルト過よう素酸の存在下でアルデヒド化合物に酸化される。
次いで,反応液に硫酸の存在下でよう化カリウムを加える。発生したよう素を標定済みのチオ硫酸ナ
トリウム溶液で滴定する。1,2-グリコールの含有量は,チオ硫酸ナトリウムの消費量から求める。

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附属書JA
(参考)
特性と試験方法規格との対応一覧表

序文

  この附属書は,硬化前のエポキシ樹脂の特性とその試験方法を規定する規格との関係を一覧表にしたも
ので,規定の一部ではない。試験方法に対応する規格が複数ある場合は,該当する基準となる規格を選ぶ。
表JA.1−各特性と試験方法規格との対応
特性 規格 方法
1 物理的性質
1.1 溶融範囲及び軟化点 ISO 3146,A法 キャピラリ法
ISO 11357-3 DSC法
JIS K 7234 軟化点
1.2 密度及び比重 ISO 1675 密度(密度/比重瓶法)
JIS K 2249 密度(密度/浮きばかり法)
JIS K 7232 比重(比重瓶法,比重カップ法
浮きばかり法,水中置換法)
1.3 屈折率 ISO 5661
1.4 粘度 JIS K 7117-2 円すい−平板システム回転粘度計
JIS K 7117-1 ブルックフィールド形回転粘度計
ISO 12058-1 落球粘度計
JIS K 7233 毛細管粘度計,単一円筒回転粘度計
泡粘度計
1.5 結晶化傾向 JIS K 6756
1.6 体積収縮率 JIS K 6901 附属書3
1.7 引火点 ISO 1523 密閉式平衡法
JIS K 2265-4 クリーブランド開放式カップ法
1.8 色数 ISO 4630-1 ガードナー色数
ISO 6271-1 ハーゼン単位色数
(プラチナ・コバルト色数)
2 化学的性質
2.1 エポキシ当量 JIS K 7236 電位差滴定法,指示薬滴定法
2.2 塩素含有量
無機塩素 JIS K 7243-1 硝酸銀滴定
易可けん化塩素 JIS K 7243-2 けん化法
全塩素 JIS K 7243-3 けん化法
JIS K 6901 燃焼法
2.3 灰分 JIS K 7250-1,A法 燃焼法
2.4 アミン系硬化剤の窒素含有量 JIS K 7245 電位差滴定法
2.5 アミン系硬化剤の全アミン価 JIS K 7237 電位差滴定法,指示薬滴定法
2.6 酸無水物硬化剤中の遊離酸 JIS K 7239 吸光度測定法
2.7 不揮発分含有量 JIS K 5601-1-2
JIS K 7235
2.8 JIS K 6757
エポキシ樹脂の抽出水電気伝導度 電気伝導度測定法
2.9 1,2-グリコール含有量 JIS K 7146 逆滴定法

――――― [JIS K 7147 pdf 10] ―――――

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JIS K 7147:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 18280:2005(MOD)

JIS K 7147:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 7147:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2265-4:2007
引火点の求め方―第4部:クリーブランド開放法
JISK5601-1-2:2008
塗料成分試験方法―第1部:通則―第2節:加熱残分
JISK6756:1999
液状エポキシ樹脂の結晶化傾向試験方法
JISK6757:2005
エポキシ樹脂の抽出水電気伝導度の求め方
JISK7117-1:1999
プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法
JISK7117-2:1999
プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―回転粘度計による定せん断速度での粘度の測定方法
JISK7146:2006
エポキシ樹脂中の1,2-グリコール含有量の求め方
JISK7232:1986
エポキシ樹脂及び硬化剤の比重試験方法
JISK7233:1986
エポキシ樹脂及び硬化剤の粘度試験方法
JISK7234:1986
エポキシ樹脂の軟化点試験方法
JISK7235:1986
溶剤希釈型エポキシ樹脂の不揮発分試験方法
JISK7236:2001
エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方
JISK7237:1995
エポキシ樹脂のアミン系硬化剤の全アミン価試験方法
JISK7238-2:2009
プラスチック―エポキシ樹脂―第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方
JISK7239:1991
エポキシ樹脂の酸無水物系硬化剤中の遊離酸分測定方法
JISK7243-1:2005
エポキシ樹脂の塩素含有量の求め方―第1部:無機塩素
JISK7243-2:2005
エポキシ樹脂の塩素含有量の求め方―第2部:易可けん化塩素
JISK7243-3:2005
エポキシ樹脂の塩素含有量の求め方―第3部:全塩素
JISK7245:2000
プラスチック―エポキシ樹脂用アミン系硬化剤―第一,第二,第三アミノ基窒素含有量の求め方
JISK7250-1:2006
プラスチック―灰分の求め方―第1部:通則