JIS R 1703-2:2014 ファインセラミックス―光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法―第2部:湿式分解性能 | ページ 2

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e) 試験セルを載せることができない小さな光触媒材料であっても,これらを複数個並べて貼り付けるな
どして,一定の面積が得られれば,これらを試験片とすることができる。
f) フィルムのような平板状の試験片の場合,底を封じた試験セルにφ40 mmに切り出した試験片を沈め
て,評価をしてもよい。

5.2 有機物の除去

  有機物の除去は,次による。
a) 試験片全面をエタノール,アセトンなどの溶剤で洗浄した後,精製水で洗浄し,試験室で24時間以上
乾燥させる。必要に応じて,界面活性剤による洗浄,超音波洗浄などを併用してもよい。これらの処
理によって,試験片の軟化,表面の塗装の溶解,成分の溶出などの変化を招き,これらが原因で試験
結果に影響を及ぼすと判断される場合においては,他の適切な方法を用いて清浄化してもよい。
b) このように準備した試験片に,ブラックライトブルー蛍光ランプで,放射照度が1 mW/cm2以上の紫
外光を24時間以上照射し,洗浄後も残留した有機物汚れを光触媒によって分解する。
c) 試験する光触媒材料が新しい場合など,このような清浄化工程を省略してもよい。

5.3 メチレンブルー吸着液及びメチレンブルー試験液の調製

  メチレンブルーを,精製水に完全に溶解させ,希釈する。メチレンブルー吸着液は20±2 μmol/L,メチ
レンブルー試験液は10±1 μmol/Lの濃度とする。メチレンブルー試験液は試験の都度,使用する直前に調
製することが望ましいが,調製後すぐに使用できない場合は,光を遮断して冷蔵保存し,1週間以内に使
用する。

5.4 試験片の実験準備

  試験セルの,試験片と接する試験セルの底面にシリコーングリースを塗布し,全ての試験片の試験面中
央に試験セルを置いて,上から押し付け,固定する。押し付けるときに試験面を汚染しないように注意す
る。試験面は,光触媒材料が担持されている基材の表面とする。内部まで光触媒が担持されている光触媒
材料であっても,切断面は試験面としない。

5.5 放射照度の調整

  放射照度の調整は,次による。
a) メチレンブルー試験液35.0±0.3 mLを5.1で準備したガラス板試験片を底面とする試験セルに入れ,
乾燥を防ぐためにカバーガラスで蓋をする。カバーガラスは,紫外光を通しやすくするために薄いも
のが望ましく,大きさは50±2 mm角の正方形とする。メチレンブルー試験液の蒸発を防止すること
ができれば,大きさ,形などは適宜変更してもよい。試験前に溶剤などによる洗浄を行うことによっ
て,カバーガラス表面を曇りにくくしてから使用する。
b) 試験セルの中心と紫外放射照度計受光部の中心とが一致するように,紫外放射照度計を当てる。カバ
ーガラス,メチレンブルー試験液及びガラス板試験片を通過した紫外光の放射照度を紫外放射照度計
で測定し,試験片表面での紫外放射照度が1.00±0.05 mW/cm2となるように,式(1)を満たすようなブ
ラックライトブルー蛍光ランプと試験片との位置関係を決める。
100
I T .100 0.05 (1)
glass
ここに, I : 紫外放射照度計の読み(mW/cm2)
Tglass : ガラス板試験片の351 nmにおける透過率(%)
c) 照射装置の内面に反射材をもつものを使用した場合には,内面を反射した光が,ガラス板試験片と紫
外放射照度計のセンサー部との隙間から入射する可能性があるので,センサー部の側面を遮蔽するよ

――――― [JIS R 1703-2 pdf 6] ―――――

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うな覆いを設けるなど,試験セルの内側を通過した照射光だけを導くようにする。
d) ブラックライトブルー蛍光ランプは,電源を入れた直後は出力が安定しないため,試験15分以上前に
電源を入れて,試験開始時には安定させておく。

5.6 メチレンブルーの吸着

  メチレンブルーの吸着は,次による。
a) 5.4で準備した3個の試験片上の試験セルの中に,メチレンブルー吸着液35.0±0.3 mLを注入してカ
バーガラスで蓋をし,光が照射されないように注意を払いながら,12時間以上24時間以内静置する。
b) メチレンブルー吸着液を取り出し,吸光スペクトルを測定する。この吸光度がメチレンブルー試験液
の吸光度より高い場合は,吸着を完了とする。吸光度がメチレンブルー試験液の吸光度より低い場合
は,5.8に加えて5.9を行わなければならない。
c) 吸光スペクトルの測定は,試験片3個のうち1個について行えばよい。
d) 吸光スペクトルの測定は,対照セルに精製水を入れて,測定セルに必要な分量のメチレンブルー吸着
液又はメチレンブルー試験液をピペットで試験セルから採取し,600700 nmの波長域での吸光スペ
クトルを1 nm間隔で分光光度計で測定する。スペクトル測定が困難な場合は,測定波長を664 nmに
固定して,吸光度を測定してもよい。
e) 測定後,メチレンブルー吸着液は元の試験セルに戻す。メチレンブルー吸着液は,測定セルとピペッ
トへの残留を極力抑えるように注意する。また,試験セル内のメチレンブルー吸着液を採取する前に
ピペットでかくはんするなど,メチレンブルー吸着液の濃度に偏りを少なくするように,注意する。

5.7 初期吸光スペクトルの測定

  メチレンブルーの吸着が終了したら,試験片にセットされた試験セル中のメチレンブルー吸着液を取り
出し,新しいメチレンブルー試験液35.0±0.3 mLを注入する。残ったメチレンブルー試験液の吸光スペク
トルを測定し,これを初期スペクトルとする。図1に吸光スペクトルの一例を示すように最大吸収の吸光
度Abs.(0)と,そのときの最大吸収波長を読み取る。又は,測定波長を664 nmに固定して吸光度を測定し
てもよい。
図1−吸光スペクトルの一例

――――― [JIS R 1703-2 pdf 7] ―――――

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5.8 紫外光照射によるメチレンブルー分解

  紫外光照射によるメチレンブルー分解は,次による。
a) 図2に示すような状態で,全ての試験片に,1.00±0.05 mW/cm2の紫外光を20分間照射する。照射後
直ちに,メチレンブルー試験液の吸光度を測定する。
b) 次に,測定に使用したメチレンブルー試験液を速やかに試験セルに戻し,再び紫外光を照射する。
c) このような手順で紫外光を20分間照射して吸光度を測定する作業を,照射時間の合計が3時間になる
まで(9回)繰り返す。
d) なお,初期吸光スペクトルを波長664 nmに固定して測定した場合は,20分ごとの吸光度測定を664 nm
に固定して全て(9回)測定しなければならない。
e) 照射時間の経過とともに,最大吸収波長が変化することがあるが,初期スペクトル(光照射0分後)
の最大吸収波長における吸光度を読み取る。スペクトル測定ごとの最大吸収の吸光度を読み取っては
ならない。
図2−実験方法の模式図

5.9 暗条件によるメチレンブルー吸着

  紫外光照射を行わない暗条件によるメチレンブルーの吸着は,次による。
a) 図2に示すような状態で,暗幕,暗箱などを使用して,全ての試験片に紫外光を照射しない状態で20
分間放置する。その後直ちに,メチレンブルー試験液の吸光度を測定する。
b) 次に,測定に使用したメチレンブルー試験液を速やかに試験セルに戻し,再び暗条件で放置する。
c) このような手順で暗条件で20分間放置して吸光度を測定する作業を,放置時間の合計が3時間になる
まで(9回)繰り返す。
d) なお,初期吸光スペクトルを波長664 nmに固定して測定した場合は,20分ごとの吸光度測定を664 nm
に固定して全て(9回)測定しなければならない。
e) 放置時間の経過とともに,最大吸収波長が変化することがあるが,初期スペクトル(試験開始0分後)
の最大吸収波長における吸光度を読み取る。スペクトル測定ごとの最大吸収の吸光度を読み取っては
ならない。

6 試験結果の計算

  次の手順によって分解活性指数を求める。
a) 式(2)によって,吸光度を濃度に換算するための換算係数Kを求める。

――――― [JIS R 1703-2 pdf 8] ―――――

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c0
K (2)
Abs.
ここに, K : 換算係数(μmol/L)
Abs.(0) : 光照射0分後の最大吸収波長の吸光度
c (0) : 光照射0分後のメチレンブルー試験液濃度(10 μmol/L)
b) 換算係数Kを用いて,式(3)によって吸光度Abs.(t)を,t分後のメチレンブルー試験液濃度c(t)に換算す
る。
c(t)=K×Abs.(t) (3)
ここに, c(t) : 光照射t分後のメチレンブルー試験液の濃度(μmol/L)
Abs.(t) : 光照射t分後の吸光度
注記 一般に,吸光度は濃度に比例する(Beerの法則)ことから,この換算係数を用いて,吸光度
から濃度を算出することができる。
c) 縦軸にc(t)を,横軸に紫外光照射時間(分)をとり,1個の試験片に関するデータ9点を図3のように
プロットする(t=20,40,60,80,100,120,140,160,180)。
d) 試験片ごとに,プロットした9点から作られる直線の傾きを最小二乗法によって求める。3個の試験
片各々について求めた傾きを,an(n=1,2,3)とする。
注記 図3のデータでは,直線の傾きは0.005 3と求められる。
図3−anの導出
e) 式(4)によって,光照射下での分解活性指数Rirrを求める。計算の処理は,JIS Z 8401によって丸めの
幅 : 0.1として数値を丸める。
(a1 a2 a3 )
Rirr 103 (4)
3
ここに, Rirr : 光照射下での分解活性指数(nmol/L/min)
an : 3個の試験片各々について求めた傾き(n=1,2,3)
(μmol/L/min)
f) 暗条件の試験を行った場合は,a) e)において光照射の代わりに,暗所での放置として読替えて,暗
所吸着指数 Rdarkを求める。

――――― [JIS R 1703-2 pdf 9] ―――――

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g) 分解活性指数Rは式(5)によって求める。暗条件の試験を行わない場合はRdark=0として計算する。
R=Rirr−Rdark (5)
ここに, R : 分解活性指数(nmol /L/min)
Rirr : 光照射下での分解活性指数(nmol /L/min)
Rdark : 暗所吸着指数(nmol /L/min)

7 試験結果の報告

  試験の結果は,次の項目について報告する。
a) 規格番号
b) 試験年月日
c) 試験片の種類,大きさ及び形状
d) 試験片の有機物の除去方法及び紫外光照射時間
e) 試験室の温度,湿度
f) 吸光度の測定波長
g) 分解活性指数
h) ブラックライトブルー蛍光ランプの製造業者名・形式・ランプ数・ピーク放射の波長
i) 紫外放射照度計の製造業者名・形式
j) φ40 mmの円筒形以外の形状の試験セルを使用した場合,試験セルの形状及び寸法
k) メチレンブルーの吸着1回の吸着液の吸光度
l) その他試験条件を必要に応じて変更した場合は変更点

――――― [JIS R 1703-2 pdf 10] ―――――

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JIS R 1703-2:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10678:2010(MOD)

JIS R 1703-2:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1703-2:2014の関連規格と引用規格一覧