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図B.3−各媒体アーカイブ時の二酸化炭素排出量
f) 取扱性 図B.4にCD,DVD及びBDの構造模式図を示す。いずれもデータ記録層が光ディスクの内
側に隠れているので,保存中の温度,湿度などの環境変化に高耐性がある。磁石などの影響も受けな
い。光ディスク表面を汚してしまっても,ほとんどの場合はクリーニングをすることで回復可能であ
る。東日本大震災では海岸沿い市町村が津波に襲われ,住民情報を保管していたサーバが被災した。
海水につかったハードディスク(以下,HDDという。)は,記録面がさびてしまうため復旧が難しく,
多くのデータが失われた。それに対して,2005年に米国で発生したハリケーン・カトリーナがルイジ
アナ州を襲った際,ある病院のハードディスクデータは全て失われてしまったが,光ディスクに記録
したデータは98 %が復旧できたとのレポートがある。
また,光ディスクは,寿命推定試験方法,マイグレーション方法など各種国内及び国際規格が整っ
ているため,企業の社会的責任(CSR)及び監査対応時に,この媒体を選択した理由を明確にできる。
加えてデータの長期保存中に,定期的な情報の棚卸ができるため,万一の場合,その被害の程度の確
認及び対策を講じやすいことも特長として挙げられる。
図B.4−CD,DVD及びBDの構造模式図(左 : CD 中央 : DVD 右 : BD)
g) 経済性 光ディスクは,図B.5のように他媒体に比べて寿命が長く,データの移し変えを頻繁に行う
必要がなく,マイグレーションに要する費用が少なくなる。また,再生機器が下位互換性をもってい
るため,再生機器の維持に関わる費用が少なくなる。
――――― [JIS X 6257 pdf 16] ―――――
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a)
注a) TOカートリッジメモリ[LTO cartridge memory (LTO CM)] カートリッジ,カートリッジ内のテー
プ及びテープ上のデータについての情報を保持するのに使用するケースに内蔵した非接触保存デバ
イス。
図B.5−各媒体の寿命
B.3 長期保存用光ディスクの導入手順
B.3.1 長期保存用光ディスクによるアーカイブ導入前に考慮することが望ましい事項
長期保存用光ディスクによるアーカイブ導入前に考慮することが望ましい事項は,次による。
a) 長期デジタルアーカイブ計画の策定 長期間データを保存する場合には,それぞれの組織で目的及び
到達点が異なる。アーカイブに必要な要件は何か,アーカイブ作成及び保存を組織内で行うか又は外
部委託するか,保存期間中の精度をどこまで求めるかなど,長期運用を考慮して,目標を明確にし,
計画を策定することを推奨する。
注記 2005年4月に施行された“e-文書法”では,紙による原本保存を義務化していた書類など,
約250本の法律で電子化して保存することを容認した。
b) 組織で求められる要件の明確化 B.2.1に挙げた要件に加え,次の用件を明確化する。
− 組織の文書・記録運用規程及び教育規程が整備されているか。組織のその他の規程と整合したもの
になっているか。
− 組織が掛けることのできるリソース(初期構築及び維持運用)が適正か。
− 電子化及びアーカイブ作業を組織内で行うか,外部委託するか。
− 完成した光ディスクの保存は組織内か,外部委託するか。何箇所で保存するか。
c) アーカイブする対象とデータ量との見積り 光ディスクの長期保存システムは,小規模(10 TB以下)
大規模(5 000 TB)まで各種そろっており,個人的な写真データから大規模データセンターまで,
多様なアーカイブ用途に対応でき,規模に合わせたシステムを選択する。次に,光ディスクの長期保
存システムの規模をイメージ化して説明する。また,表B.1にデジタルアーカイブのデータ量及び光
ディスクシステムの規模を示す。
1) 小規模システム 図B.6に小規模システムのイメージを示す。使用PCにドライブを接続し,使用
PC内のHDD又はサーバのHDDからデータを光ディスクに記録する。紙文書をアーカイブする場
合はスキャナで電子化を行い,電子化されたデータを光ディスクに記録する。その後,検査用再生
評価ドライブで記録品質の検査を行い,検査基準を満たしていれば,光ディスクを棚管理する。
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図B.6−小規模システムのイメージ図
2) 中規模システム 図B.7に中規模システムのイメージを示す。複数の光ディスクが収納可能なカセ
ットに対応したドライブにサーバからデータを転送し,光ディスクに記録する。光ディスクがいっ
ぱいになると自動でカセット内の別な光ディスクに記録される。紙文書をアーカイブする場合は,
複数台のスキャナで電子化を行い,電子化されたデータを光ディスクに記録する。データを記録し
た後,記録品質の検査を自動で実行できるものもある。検査基準を満たしていればカセットごと棚
管理する。
図B.7−中規模システムのイメージ図
3) 大規模システム 図B.8に大規模システムのイメージを示す。クラウドサービスなどの利用が拡大
しており,データセンターには大量のデータが格納されている。この大量のデータをアーカイブす
る場合は,その媒体としてHDD,テープ又は光ディスクが考えられるが,B.2で示したように,媒
――――― [JIS X 6257 pdf 18] ―――――
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体寿命及びコスト面からも光ディスクでのアーカイブが最適である。光ディスクのライブラリシス
テム内の複数ドライブで同時に光ディスクに記録し,記録品質の検査も自動実行されるものもある。
コピー光ディスクが作成されるものもあるため,不慮の災害に備えてコピー光ディスクを別地保存
すれば,更に安全に長期保存することができる。
図B.8−大規模システムのイメージ図
表B.1−デジタルアーカイブのデータ量及び光ディスクの長期保存システムの規模
対象 データ容量 必要機材 書込み及び品質検査方法 転送速度
システム
小規模 10 TB程度 スキャナ 記録用ドライブ及び検査用ド144 Mbps=BD 4倍速
記録用ドライブ ライブに1枚ずつ光ディスク
検査用ドライブ を手動で装し,記録及び検
長期保存用光ディスク査を実行する。
中規模 10 TB100 TB スキャナ 複数光ディスク収納カセット144 Mbps=BD 4倍速
程度 カセットタイプ対応ドから対応ドライブに光ディス
ライブ クが自動装され,記録及び
複数ディスク収納カセ検査を実行する。
ット
大規模 100 TB以上 ライブラリシステム ライブラリシステムを用い,144 Mbps=BD 4倍速
複数枚の光ディスクを複数台ただし,ドライブ数によって
のドライブに自動装し,記 変動
録及び検査を実行する。 例 ドライブ5台
144 Mbps×5=720 Mbps
B.3.2 規格及びガイドラインによる運用方法
規格及びガイドラインによる運用方法は,次による。
a) IS Z 6017による運用事例 JIS Z 6017では,長期保存を“保存期間10年30年程度において,真正
性及び見読性を保証できる状態で,電子化文書を保存すること。注記 所定の期間を超えて保存する
場合は,媒体移行を行うことで長期間保存年限を延ばすことができる。”としている。JIS Z 6017は,
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電子化文書の具体的な運用を規定した唯一のJISであり,CD及びDVDのほか,BDも加えられてい
る。
− 記録時の光ディスク回転方式は,線速度一定(CLV)とし,記録速度は,使用するドライブと光デ
ィスクとの組合せで指定又は推奨されている速度とする。
− 記録媒体ごとに,品質の指標となるエラー基準値が決められている。
− 初期品質検査を行い,良好なものだけを保存する。
− 長期保存中に定期的に品質検査を行い,マイグレーションの要否を判断する。
b) “電子化文書長期保存のためのBlu-ray DiscTM検査基準及び取扱いに関するガイドライン”による運
用事例 2012年4月に,JIIMAが発行した“電子化文書長期保存のためのBlu-ray DiscTM検査基準及
び取扱いに関するガイドライン”では,長期保存用媒体としてBDを使用した場合の運用方法が示さ
れている。
− 誤操作又は意図的な上書き及び消去を防止するため,追記形光ディスクの選択が望ましい。長期保
存が必要なものは,寿命推定試験が行われ,長寿命が確認されているものを使用する。
− ドライブは良好な信号を記録するために重要な役割をもつため,使用する光ディスクに記録特性が
最適化されたファームウェアを搭載した高品質なものを使用する。
− 光ディスクは,検査機によって記録信号のエラー値を測定することで,残存寿命の推定が可能であ
る。保存計画に合わせて記録信号品質を確認し,必要に応じマイグレーションを行う。
− 記録前はもちろん,記録後も,擦りきず,指紋,ほこり(埃)などに注意して取り扱う。記録後に
付着した指紋及びほこり(埃)を除去する際は,柔らかい布で放射状に軽く拭く。
− 直射日光,長期間の室内灯にさらされない環境下で保存する。
− 急激な温度差による結露,硫化ガスなどの発生しない環境で保存する。
− レーベルシールの貼付は再生時の回転ムラの原因となるため避ける。
− インクジェットプリンタを使用したレーベル印刷時には,使用したインクが十分に乾燥しているこ
とを確認する。
注記 Blu-ray DiscTMは,ブルーレイディスクアソシエーションの登録商標。
――――― [JIS X 6257 pdf 20] ―――――
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JIS X 6257:2017の国際規格 ICS 分類一覧
JIS X 6257:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISX6249:2009
- 80mm(1.46GB/面)及び120mm(4.70GB/面)DVDレコーダブルディスク(DVD-R)
- JISX6251:2009
- 120mm(4.7GB/面)及び80mm(1.46GB/面)+Rフォーマット光ディスク(16倍速まで)
- JISX6252:2011
- 120mm(8.54Gbytes/面)及び80mm(2.66Gbytes/面)2層DVDレコーダブルディスク(DVD-R for DL)
- JISX6255:2019
- 長期データ保存用光ディスクのためのデータ移行方法
- JISX6282:2009
- 情報交換用120mm追記形光ディスク(CD-R)
- JISZ6017:2013
- 電子化文書の長期保存方法