JIS Z 8717:1989 蛍光物体色の測定方法

JIS Z 8717:1989 規格概要

この規格 Z8717は、2度視野に基づくXYZ表色系及び10度視野に基づくX10Y10Z10表色系によって,蛍光性の反射物体の色を測定する方法について規定。

JISZ8717 規格全文情報

規格番号
JIS Z8717 
規格名称
蛍光物体色の測定方法
規格名称英語訳
Methods of measurement for colour of fluorescent objects
制定年月日
1989年3月1日
最新改正日
2019年10月21日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

17.180.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1989-03-01 制定日, 1994-02-01 確認日, 2000-01-20 確認日, 2005-03-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS Z 8717:1989 PDF [27]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8717-1989

蛍光物体色の測定方法

Methods of Measurement for Colour of Fluorescent Objects

1. 適用範囲 この規格は,2度視野に基づくXYZ表色系(1)(以下XYZ表色系という。)及び10度視野に
基づくX10,Y10,Z10表色系(2)(以下,X10,Y10,Z10表色系という。)によって,蛍光性の反射物体の色(以
下,色という。)を測定する方法について規定する。
注(1) IE(Commission Internationale de 1Eclairage, 国際照明委員会)が1931年に推奨した表色系。
(2) IEが1964年に推奨した表色系。
なお,XYZ表色系及びX10,Y10,Z10表色系は,観測者の目に対して張る角が,それぞれ14°の視野及
び4°を超える視野における視感等色に対して良い相関を得ようとするときに適用する。
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS Z 8105(色に関する用語),JIS Z 8113(照明
用語)及びJIS Z 8120(光学用語)によるほか,次による。
(1) 分光放射輝度率[記号 戀 一条件で照明及び観測した,物体の波長 光放射輝度
完全拡散反射面の波長 光放射輝度との比(3),又は同一条件で照明し同一方向の同一立体
角内に,物体から反射する分光放射束と完全拡散反射面から反射する分光放射束との比(4)。
注(3) IS Z 8105による分光放射輝度率。
(4) IS Z 8105による分光立体角反射率。
(2) 反射分光放射輝度率[記号 戀 長 蛍光性物体の反射光成分による分光放射輝度
(3) 蛍光分光放射輝度率[記号 戀 I( を行って分光観測した,波長 蛍光性物
の蛍光成分による分光放射輝度率。蛍光分光放射輝度率は,反射分光放射輝度率と異なって,照明光
の分光分布に依存する。記号の添字Iには,X(試料面照明光),D(測色用の光)など照明光の種類
を区別する記号を用いる。
(4) 全分光放射輝度率[記号 戀 I( を行って分光観測した,波長 蛍光性物体
反射光成分及び蛍光成分による分光放射輝度率。全分光放射輝度率は蛍光性物体からの反射光成分と
蛍光による発光成分とを一括して,形式的に表したものであり,非蛍光性物体の場合と異なって,照
明光の分光分布に依存する。記号の添字Iには,X(試料面照明光),D(測色用の光)など照明光の

種類を区別する記号を用いる。全分光放射輝度率 I( ‰ 射分光放射輝度率 戀 ‰ 光
輝度率 戀 I( ‰
(5) 見掛けの分光放射輝度率[記号 戀 長 杓 を行って非分光観測したときの,蛍光
物体の反射光成分及び蛍光成分による分光放射輝度率。
引用規格及び関連規格 : 26ページに示す。

――――― [JIS Z 8717 pdf 1] ―――――

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Z 8717-1989
(6) 外部蛍光放射効率[記号Q ( 光性物体に入射する波長 歛 蛍光によって
全波長範囲について,全方向に出る放射束の比。
備考 この規格では,外部蛍光放射効率として任意の定数を含む相対値を用い,記号Qa ( ‰
(7) 常用標準白色面 試料の分光放射輝度率の測定において,比較の標準に常用する,分光放射輝度率が
分かった蛍光を発しない白色反射面。
(8) 試料面照明光 試料の分光放射輝度率の測定において,白色光照明に用いる照明光。試料面における
相対分光分布が分かっていて,それが色の計算に用いる測色用の光の相対分光分布に近似していると
する。
(9) 白色光照明 試料面及び常用標準白色面に,光源からの光を直接に,又は波長選択性が少ない光学系
を介して照射する照明条件。
(10) 単色光照明 試料面又は常用標準白色面に,モノクロメーターから取り出した単色光を照射する照明
条件。
(11) 分光観測 試料面又は常用標準白色面からの光をモノクロメーターに導き,波長ごとに比較測定する
観測条件。
(12) 非分光観測 試料面及び常用標準白色面からの光を直接に,又は波長選択性が少ない光学系を介して
受光器に導き,反射光及び蛍光の全波長成分を一括して比較測定する観測条件。
(13) 蛍光測色誤差指数 色を白色光照明及び分光観測によって測定する場合に,実際の装置に用いる試料
面照明光と色の計算に用いる測色用の光との相対分光分布の相違によって生じる平均的な測色誤差を
表す指数(附属書参照)。
3. 色の測定方法の種類 色の測定方法の種類は,表1のとおりとする。表1において,括弧内の番号は,
各測定方法の手順などに関する箇条番号を示す。
表1 色の測定方法の種類
補正の有効性による区分
測定に用いる試料面照明光の測定に用いる試料面照明光の
方法の区分 分光分布が,色の計算に用い分光分布が,色の計算に用い 特徴及び用い方
る測色用の光の分光分布に近る測色用の光の分光分布に近
似する場合に有効。 似しない場合にも有効。
モノクロメータ 1光源蛍光分離方法 2光源蛍光分離方法 反射分光放射輝度率と蛍光分
ーと光源部・受 1種類の試料面照明光を用 2種類の試料面照明光を用 光放射輝度率とを分離して評
光部とを組み合 い,全分光放射輝度率と見掛 価する。
い,全分光放射輝度率と見掛
わせて用いる方 けの分光放射輝度率の測定に 特に,正確さを要する場合に
けの分光放射輝度率の測定に
法。 よって,反射成分と蛍光成分 用いる。
よって,反射成分と蛍光成分
分 とを分離・評価して色を求めとを分離・評価して色を求め
光 る。 る。
測 (6.2) (6.3)
色 物体色用の分光 分光分布直接補正方法 全分光放射輝度率合成方法 試料面照明光に対する全分光
方 測色機器を用い 試料面照明光による全分光 2種類以上の試料面照明光 放射輝度率だけを測定する。
法 る方法。 放射輝度率と測色用の光の分 一般に用いる。
を計算上で合成した結果とし
光分布とから色を求める。 て,試料面照明光の分光分布
を測色用の光の分光分布に合
わせ込むことによって,各々
の全分光放射輝度率を合成し
(6.4) て色を求める。 (6.5)

――――― [JIS Z 8717 pdf 2] ―――――

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補正の有効性による区分
測定に用いる試料面照明光の測定に用いる試料面照明光の
方法の区分 分光分布が,色の計算に用い分光分布が,色の計算に用い 特徴及び用い方
る測色用の光の分光分布に近る測色用の光の分光分布に近
似する場合に有効。 似しない場合にも有効。
刺 光源色用の光電 光源色直接補正方法 三刺激値合成方法 試料面照明光に対する三刺激
激 色彩計(5)と試料 試料面照明光による三刺激 2種類以上の試料面照明光 値を測定する。
値 面照明光とを組 値を,光源色が異なる分だけ 類似の試料を大量に測定する
を計算上で合成した結果とし
直 み合わせて用い 比例的に補正して色を求め 場合に用いる。
て,試料面照明光の分光分布
読 る方法。 る。 を測色用の光の分光分布に合
方 わせ込むことによって,各々
法 の三刺激値を合成して色を求
める。 (7.3)
(7.2)
注(5) 受光部側だけでルータの条件を満たす光電色彩計。
備考 測色用の光は,原則としてJIS Z 8720(測色用の標準の光及び標準光源)に定める標準の光D65とする。
4. 色の測定に必要な全般的条件
4.1 照明及び受光の幾何学的条件 照明及び受光の幾何学的条件は,原則として,JIS Z 8722(物体色の
測定方法)の4.3.1に規定する条件a(45°照明及び0゜受光)又は条件b(0゜照明及び45°受光)による。
ただし,次の4.2に規定する積分球の条件を満たす場合には,JIS Z 8722の4.3.1に規定する条件c(拡散
照明及び0°受光)又は条件d(0°照明及び拡散受光)の照明及び受光の幾何学的条件で測定してもよい。
4.2 積分球の条件 白色光照明及び分光観測による測定において,照明及び受光の幾何学的条件がJIS Z
8722の4.3.1に規定する条件c又は条件dの場合には,測定に用いる積分球の試料面開口比 小さく,
式(1)の条件を満たすことが必要である。
As
≦.0003 (1)
Aw As
ここに, As : 試料面開口面積
Aw : 積分球内壁の面積
4.3 試料面照明光の分光分布の要件 測定に用いる試料面照明光は,試料面を照明する光の相対分光分
布Sx ( ‰ かることが必要である。
また,試料面照明光の分光分布は,色の計算に用いる測色用の光の分光分布に近似していることが常に
望ましい。方法の分類ごとに近似の程度には一定の制約がある。この近似度の評価方法及び判定基準は,
この規格の附属書による。
4.4 照明及び観測の分光的条件 分光測色方法における単色光照明又は分光観測において,有効波長幅
及び測定波長間隔は,原則として5nm又は10nmとする。
5. 測定装置及び材料 測定装置及び材料は,次による。
また,各測定方法において必要な測定装置及び材料を,表2に示す。
(1) 測定用光源 試料面照明光に用いる測定用光源は,300780nmの波長全域に放射があり,その相対
分光分布が測色用の光の相対分光分布とある程度近似した光源とする。
備考 300nm未満の波長域には,放射がないことが望ましい。
(2) 常用標準白色面 常用標準白色面は,JIS Z 8722の4.3.4の規定を満たすほか,試料面照明光で照明し
たときに蛍光を発しないこと。

――――― [JIS Z 8717 pdf 3] ―――――

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(3) 分光測光器 分光測光器は,原則としてJIS Z 8722の4.2の規定による。
なお,蛍光性物体では全分光放射輝度率の値が1を超えることが多いので,測光目盛の範囲が十分
に広いものでなければならない。1光源蛍光分離方法又は2光源蛍光分離方法に用いる分光測光器は,
更に測定できる波長域が300780nmであることが必要であり,白色光で照明した試料面又は常用標
準白色面からの光をモノクロメーターに導き,出射した単色光を受光器に導くような配置で用いる。
備考 (3)の条件を満足していない分光測光器を用いる場合は,それによる測定値が,(3)の条件を満足
している分光測光器を用いた場合の測定値と実用上差のないことが確かめられていなければな
らない。
(4) 単色光照射装置 単色光照射装置は,安定な連続スペクトル光源とモノクロメーターとを組み合わせ
たものとする。単色光の波長範囲は300780nmとし,有効波長幅及び波長目盛についてはJIS Z 8722
の4.2(2)及び4.2(4)による。
(5) 非分光観測用受光器 非分光観測によって反射光及び蛍光の全波長成分を一括して測定する受光器は,
波長300780nmの全域で応答があり,およその相対分光応答度が分かっていて,直線性がよい受光
器とする。
(6) フィルター 2光源蛍光分離方法による測定に用いるフィルターには,色温度変換フィルターを用い
る。
また,全分光放射輝度率合成方法及び三刺激値合成方法による測定に用いるフィルターは,6.5.1に
よる合成分光分布が測色用の光の相対分光分布に近似するように選ぶ。
(7) 光電色彩計 光電色彩計は,原則としてJIS Z 8724(光源色の測定方法)の5.2の規定による。
備考 (7)の条件を満足していない光電色彩計を用いる場合は,それによる測定値が,(7)の条件を満足
している光電色彩計を用いた場合の測定値と実用上差がないことが確かめられていなければな
らない。
(8) 参考試料 参考試料は,その反射分光放射輝度率及び蛍光分光放射輝度率が分かっていて,それぞれ
が各波長において被測定試料とある程度近似した試料とする。
表2 各測定方法において必要な測定装置及び材料
測定方法 分光測色方法 刺激値直読方法
測定装置 1光源蛍光分 2光源蛍光分 分光分布直接 全分光放射輝 光源色直接補 三刺激値合成
及び材料 離方法 離方法 補正方法 度率合成方法 正方法 方法
測定用光源 ○ ○ ○ ○ ○ ○
常用標準白色面 ○ ○ ○ ○ ○ ○
分光測光器 ○ ○ ○ ○
単色光照射装置 ○ ○
非分光観測用受光器 ○ ○
フィルター ○ ○ ○
光電色彩計 ○ ○
参考試料 ○ ○
6. 分光測色方法
6.1 一般 分光測色方法は,分光測光器を用いて,試料面照明光の下での全分光放射輝度率を測定し,
測色用の光の下での三刺激値X,Y,Z又はX10,Y10,Z10及び色度座標x,y又はx10,y10を求める。
なお,6.5の全分光放射輝度率合成方法では,複数の種類の試料面照明光を用いる。

――――― [JIS Z 8717 pdf 4] ―――――

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また,6.2の1光源蛍光分離方法及び6.3の2光源蛍光分離方法では,単色光照明及び非分光観測によっ
て見掛けの分光放射輝度率を測定し,全分光放射輝度率の測定結果を補正する。
6.2 1光源蛍光分離方法
6.2.1 試料面照明光 試料面照明光は,色の計算に用いる任意の測色用の光に近似した照明光とする。測
色用の光は原則として,標準の光D65とし,そのときはJIS Z 8902(キセノン標準白色光源)に規定する
キセノン標準白色光源,又はJIS Z 8720に規定する常用光源D65を用いる。試料面照明光の蛍光測色誤差
指数の許容値は,附属書による。
6.2.2 試料面照明光の下での全分光放射輝度率の測定 試料面照明光の下での全分光放射輝度率の測定
は,次による[図1(a)参照]。
(1) 4.に規定する色の測定に必要な全般的条件によって常用標準白色面を観測し,分光測光器の設定波長
における測光目盛の読み 最 ‰ み取る。
(2) 常用標準白色面を取り除いてその位置に試料を置き,測光目盛の読み 最 ‰ み取る。
(3) 以上の測定を波長300780nmにおいて行い,試料の全分光放射輝度率 戀 x( ‰ 2)によって求める。
r
t,X W (2)
rW
ここに, 戀 測定に用いる照明及び受光の幾何学的条件に等しい条
件で目盛定めした常用標準白色面の分光放射輝度率
6.2.3 単色光照明の下での見掛けの分光放射輝度率の測定 単色光照明の下での見掛けの分光放射輝度
率の測定は,次による[図1(b)参照]。
(1) 単色光照明及び非分光観測の条件で常用標準白色面を観測し,単色光照射装置の設定波長
非分光観測用受光器の出力 最 ‰ み取る。
(2) 常用標準白色面を取り除いてその位置に試料を置き,非分光観測用受光器の出力 最 ‰ み取る。
(3) 以上の測定を波長300780nmにおいて行い,試料の見掛けの分光放射輝度率 戀 ‰ 3)によって
求める。
r
c W (3)
rW
ここに, 戀 測定に用いる照明及び受光の幾何学的条件に等しい条
件で目盛定めした常用標準白色面の分光放射輝度率

――――― [JIS Z 8717 pdf 5] ―――――

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