JIS Z 9009:1999 計数値検査のための逐次抜取方式 | ページ 2

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Z 9009 : 1999 (ISO 8422 : 1991)
危険率であり, 戰 pR,H1 : p

1.4 計数逐次抜取方式の原理

 計数逐次抜取方式では,アイテムはランダムに選ばれ,1個ずつ検査して
不適合アイテム数(又は不適合数)の累計カウントを計算する。各アイテムの検査後,検査のその段階で
ロットの判定に十分な情報が得られたかどうかを,累計カウントを使用して検討する。
検査のある段階で,不満足な品質水準のロットを合格とする危険(消費者危険)が十分小さいような累
計カウントになった場合は,ロットを合格としてそのロットからのサンプリングを終了する。
一方に,検査のある段階で,満足な品質水準のロットを不合格とする危険(生産者危険)が十分小さい
累計カウントになった場合は,ロットを不合格と判定してそのロットからのサンプリングは終了する。
累計カウントからは,上記のどちらかの決定を下すことができなかった場合は,もう1個のアイテムを
検査する。この手順は,ロットの合格又は不合格の決定ができるような十分なサンプル情報が蓄積される
まで繰り返す。

2. 抜取方式の選択

2.1 逐次,1回,2回及び多回抜取方式の選択

2.1.1  逐次抜取方式の長所及び短所 平均サンプルサイズは,ある抜取方式のもとで,与えられたロット
又は工程の品質水準に対して起こり得るいろいろなサンプルサイズの平均値である。逐次抜取方式を使用
すれば,2回及び多回抜取方式と同様に,同一のOC曲線をもつ1回抜取方式よりも小さい平均サンプル
サイズが得られる。しかし,逐次抜取方式では,2回及び多回抜取方式よりも大きい平均サンプルサイズ
になることもある。
良い品質のロットに対しては,平均サンプルサイズの節減は50%以上になることもあり,これは2回抜
取方式の場合の最大節減率の37%より大きい。附属書Cには,平均サンプルサイズの近似値を求める方法
を示してある。
一方,2回,多回又は逐次抜取方式を使用すれば,ロットによっては実際の検査個数は,対応する1回
抜取方式よりも大きくなることもある。2回及び多回抜取方式では,検査個数には上限がある。
逐次抜取方式では,一般に検査個数には上限がなく,対応する1回抜取方式よりもかなり大きくなるこ
とがあるだけでなく,ロットサイズを超えることさえあり得る。この規格の逐次抜取方式には,中途打切
りのルール(2.1.3参照)を導入して,検査個数が過大になるのを防いでいる。
逐次抜取方式を使用する場合,個々のロットからの最終的サンプルサイズが事前には分からないので,
サンプルの抜取りに実施上の困難性を伴うかもしれない。その上,2回,多回又は逐次抜取方式を使用す
ると,検査作業のスケジュール作成にも困難が生じ得る。更なる短所は,単純な1回抜取方式に比べ,逐
次抜取方式の実施では検査員が間違いをおかしやすいことである。
平均サンプルサイズが小さいという長所と検査負荷の変動に伴う実施上の短所とを比較すれば,個々の
アイテムの検査費用が検査の諸経費よりも高い場合には,逐次抜取方式が望ましいということになる。
2.1.2 注意 1回,2回,多回及び逐次抜取方式の選択は,ロット検査の開始以前に行わなければならな
い。実際の検査結果が合否判定基準の選択に影響を与えるような場合には,抜取方式の検査特性が大きく
変化することがあるため,一つのロットの検査の期間中は,ある形式の抜取方式から他の方式への切替え
は許されない。

――――― [JIS Z 9009 pdf 6] ―――――

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2.1.3 サンプルサイズの中途打切り 逐次抜取方式は,平均として等価な1回抜取方式よりもずっと経済
的ではあるが,ロットによっては,検査において累計カウントが長い間合格判定個数と不合格判定個数と
の間にとどまり,合格・不合格の判定が非常に遅くなることがある。これは,図式判定法の場合には,折
れ線のランダムな推移が検査続行域にとどまっているのに対応する。こういう状態は,ロットの品質水準
(不適合品比率又はアイテム当たりの不適合数で表したもの)がgに近い場合に起こりやすい。ここに,g
は合格判定線及び不合格判定線の傾きである。
この短所を緩和するために,累計サンプルサイズの最大値ntをサンプリング開始前に設定する。判定よ
り前に累計サンプルサイズがその打切り値ntに達した場合は,検査を中止する。この場合,ロットの合格・
不合格の判定は,サンプリング開始以前に合意したルールによって決める。逐次抜取検査の統計理論の基
になっている原理には反するが,生産者危険及び消費者危険の両方にほとんど影響しないように,この規
格中の中途打切りルールは決めてある。使用する中途打切りルールは,2.4.2に示す。

2.2 小ロットの検査に対する特別留保

 この規格の逐次抜取方式の基になっている統計理論では,ロッ
トからサンプルを抜き取るのは“復元サンプリング”,すなわち,各サンプルアイテムは,次のアイテムを
選ぶ前に元に戻すという仮定を基礎にしている。普通は“非復元サンプリング”であるが,累計サンプル
サイズがロットサイズNの1/10以下の場合は,その理論は実用的にはほとんどの場合に適用できる。また,
累計サンプルサイズがロットサイズの1/7以下の場合は,その理論は近似的に適用できる。しかし,1回
抜取方式のときとは違って,逐次抜取方式では,実際に必要となる累計サンプルサイズは事前に分からな
い。
したがって,小ロットの場合には,ロットサイズが十分大きく,規定した生産者危険品質及び消費者危
険品質のもとで中途打切りを伴う逐次抜取方式が,“非復元サンプリング”で実施できることが望ましい。
2.3.2及び2.4.1に示す一般の逐次抜取方式に対しては,ロットサイズが7ntを超えることが望ましい。ここ
に,ntは逐次抜取方式の打切り値である。
備考4. ロットサイズが上記の要求事項を満足するほど大きくない場合には,一般に消費者危険及び
生産者危険は両方とも規定値よりは小さくなるであろう。しかし,対応する1回抜取方式の合
格判定個数が0の場合は,生産者危険は規定値よりわずかに大きくなることがある。

2.3 抜取方式の選定

2.3.1  JIS Z 9015-1に対応する抜取方式 JIS Z 9015-1の抜取方式に対応する逐次抜取方式を必要とする
場合には,附属書Aを使用できる。附属書Aは,合格品質水準 (AQL) 及びサンプル文字を指標とした逐
次抜取方式を含んでいる。これらの逐次抜取方式は,OC曲線を対応するJIS Z 9015-1の抜取方式と実用
上十分に合わせてある。
2.3.2 一般の抜取方式 逐次抜取方式に対する要求事項が,その方式のOC曲線上の2点で規定された場
合には,2.3.2及び2.4.1に示す一般的方法を使用する。高い方の合格の確率に対応する点として生産者危
険点を指定する。また,他方の点として,消費者危険点を指定する。
これらの値が事前に決まっていない場合は,逐次抜取方式選定の第1ステップは,この2点を選ぶこと
になる。この目的に対して,生産者危険懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10がしばしば使用される(図1参照)。
求める逐次抜取方式が,既存の1回,2回又は多回抜取方式とほぼ同じOC曲線をもつことを要求され
るときには,その抜取方式のOC曲線のグラフ又は表から生産者危険点及び消費者危険点を読み取ること
ができる。そういう抜取方式がないときには,その抜取方式の適用の条件を直接考慮して生産者危険点及
び消費者危険点を決める。

――――― [JIS Z 9009 pdf 7] ―――――

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図1 生産者危険 懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10の抜取方式のOC曲線

2.4 実施以前の準備

2.4.1  パラメータhA,hR 及びgの求め方 検査の各段階でのロットの合格及び不合格判定基準は,パラ
メータhA,hR 及びgから求める。
生産者危険 懿 0.05及び消費者危険 拿 0.10,並びに生産者危険品質及び消費者危険品質の各代表値に対
応するこれらのパラメータの値は,付表1-A及び付表1-Bによる。
附属書Bには,生産者危険点及び消費者危険点の任意の組合せに対するhA,hR及びgの求め方を示す。
例 ある形式のがいし(碍子)は,絶縁電圧の公称値が1 000kVと規定されている。検査機関は,こ
の形式のがいし生産ロットの合否判定のために,サンプルサイズ65,合格判定個数6という1回
抜取方式を使用している。試験電圧の立上げには時間とエネルギーが必要なので,このがいし生
産ロットの合否判定には,将来,逐次抜取方式を使用したほうがよいということになった。逐次
抜取方式は,使用中の1回抜取方式及び類似のOC曲線をもつことが必要である。
1回抜取方式は,次のような特性をもっている。
− 生産ロット中のがいし5%がこの公称絶縁電圧に耐えられない場合には,ロットの合格の
確率は0.95である。
− 生産ロット中のがいしの16%がこの公称絶縁電圧に耐えられない場合には,ロットの合格
の確率は0.10である。
これらの要求事項から,次のようなことが決まる。
a) 生産者危険品質 (PRQ) 5%において,95%のロットの合格が期待される。すなわち,生産者危
険は5%,つまり 懿 0.05ということになる。
b) 消費者危険品質 (CRQ) 16%において,10%のロットの合格が期待される。すなわち,消費者
危険は10%,つまり 拿 0.10ということになる。
この要求内容は,図1のOC曲線のグラフに示されている。
付表1-Aから,この要求事項を満足する逐次抜取方式のパラメータは,次のとおりである。

――――― [JIS Z 9009 pdf 8] ―――――

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hA=1.750
hR=2.247
g=0.095 7
附属書Bに与えられた手順を用いて計算した場合にも,同じ値が得られる。
2.4.2 累計サンプルサイズの打切り値の決め方
2.4.2.1 標準的手順
a) 逐次抜取方式及び等価な1回抜取方式のサンプルサイズn0が既知の場合は,累計サンプルサイズの打
切り値は,nt=1.5n0から得られた値を直近の整数に切り上げて求める。
b) 等価な1回抜取方式のサンプルサイズが未知の場合は,不適合品率検査の場合の累計サンプルサイズ
の打切り値は,次の式から得られた値を整数に切り上げて求める。
2hAhR
nt
g1( g)
また,100アイテム当たりの不適合数検査の場合のntは,次の式から得られた値を直近の整数に切
り上げて求める。
2hAhR
nt
g
2.4.2.2 小ロットに対する打切り ntの値がロットサイズを超えた場合で,その逐次抜取方式を使用する
ときは,サンプルサイズの打切り値ntはロットサイズに等しい数とする。
2.4.2.3 例 不適合品率検査のための逐次抜取方式で,パラメータがhA=1.750,hR=2.247,g=0.095 7
の場合を考える。これは,2.4.1に与えた例で求めたものである。この抜取方式は,n0=50,A0=6という
1回抜取方式に対応するものとして選ばれている。
したがって,累計サンプルサイズの打切り値は,nt=98となる。
対応する1回抜取方式が未知な場合には,打切り値は,2.4.2.1 b)によって求める。hA,hR及びgの値
を2.4.2.1 b)の式に代入すれば,累計サンプルサイズの打切り値は,nt=91となる。
2.4.3 数値判定法及び図式判定法の選択 この規格には,逐次抜取方式の実施のために2種類の判定法を
規定する。すなわち,数値判定法及び図式判定法である。
数値判定法は,正確であって,合否の判定に疑問の余地を残さないという長所がある。
図式判定法は,シリーズのロットの検査に適している。合否判定図は,1回作成すれば繰り返し使える
からである。
しかし,この方法は,点をプロットしたり直線を引いたりすることに起因する不正確性をもっている。
一方,この方法は,検査したアイテムの増加に伴うロット品質の情報の増加を視覚的に示すという長所が
ある。すなわち,情報は,検査続行域内での折れ線の進行で示され,その線がこの領域の境界線に到達す
るか又はそれと交差するまで続く。
合否の判定に関する限り,数値判定法が標準的な方法である(3.4.2の備考参照。)。
2.4.3.1 数値判定法 累計サンプルサイズncumが1からnt−1までの各値に対して,次の値を求め,端数
を切り捨てて直近の整数としたものを合格判定個数Aとする。
gncum−hA (2.1)
また,ncumの各値に対して,次の値を求め,端数を切り上げて直近の整数としたものを不合格判定個数
Rとする。
gncum+hR (2.2)

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累計サンプルサイズの打切り値に対する合格判定個数Atは,次の式によって求め,端数を切り捨てて整
数としたものである。
At=gnt
対応する不合格判定個数Rtは,次の式によって求める。
Rt=At+1
式(2.1)が負の値を与える場合には,累計サンプルサイズが小さ過ぎてロットの合格の判定ができないこ
とを示す。逆に,式(2.2)が累計サンプルサイズより大きい場合には,累計サンプルサイズが小さ過ぎて,
不適合品率検査ではロットの不合格の判定ができないことを示す。
式(2.1)及び(2.2)で与えられる値は,丸める前に小数点以下3けたまで求める。
ロットの合格の判定ができる最小の累計サンプルサイズは,hA/gの端数を切り上げて直近の整数として
求める。
不適合品率検査で,ロットの不合格の判定ができる最小の累計サンプルサイズは,hR/ (1−g) を切り上
げて直近の整数として求める。
例 2.4.1の例で取り上げた逐次抜取方式で,パラメータがhA=1.750,hR=2.247,g=0.095 7のもの
に対して,2.4.2.3の例で累計サンプルサイズの打切り値は,nt=98となっている。これに対応す
る合格判定個数は,gnt=9.38の端数を切り捨てた整数となる。したがって,合格判定個数Atは9
となり,不合格判定個数Rtは10となる。
合格判定個数Aに対する式は,次のようになり,端数を切り捨てて整数としたものになる。
0.095 7ncum−1.750
また,不合格判定個数Rに対する式は,次のようになり,端数を切り上げて整数としたものに
なる。
0.095 7ncum+2.247
累計サンプルサイズncum=1,2,···,97に対応する合格及び不合格判定個数は,ncumの値を上
記の式に代入してその結果を上記の方法で丸める。その結果を図2に示す。
累計サンプルサイズgncum−hA 合格判定個数 gncum+hR 不合格判定個数
ncum [式(2.1)] A [式(2.2)] R
1 −1.654 * 2.343 **
2 −1.559 * 2.438 **
3 −1.463 * 2.534 3
4 −1.367 * 2.630 3
5 −1.272 * 2.726 3
6 −1.176 * 2.821 3
7 −1.080 * 2.917 3
8 −0.984 * 3.013 4
9 −0.889 * 3.108 4
10 −0.793 * 3.204 4
11 −0.697 * 3.300 4
12 −0.602 * 3.395 4
13 −0.506 * 3.491 4
14 −0.410 * 3.587 4
15 −0.315 * 3.683 4
16 −0.219 * 3.778 4
17 −0.123 * 3.874 4
18 −0.027 * 3.970 4

――――― [JIS Z 9009 pdf 10] ―――――

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