この規格ページの目次
- 4.3 DNPH-ホルムアルデヒド標準液の調製
- 4.4 DNPHコーティング溶液の調製
- 4.5 コーティングフィルタの調製
- 5 装置
- 5.1 パッシブサンプラ
- 5.2 高速液体クロマトグラフ
- 6 サンプリング
- 7 手順
- 7.1 抽出及びサンプル調製
- 7.2 検量線
- 7.3 HPLC分析
- 7.4 サンプル濃度の定量
- 7.5 保管
- 7.6 抽出効率の測定
- 8 計算
- 8.1 コーティングフィルタ中のDNPH-ホルムアルデヒド量
- 8.2 空気中のホルムアルデヒド濃度
- 9 方法の精度及び不確かさ
- JIS A 1963:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS A 1963:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS A 1963:2015の関連規格と引用規格一覧
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4.3 DNPH-ホルムアルデヒド標準液の調製
100 mLの全量フラスコにDNPH-ホルムアルデヒド誘導体約10 mgを正確にはかりとり,アセトニトリ
ルで100 mLとする。
結晶が溶けるまでフラスコを振とうする。このDNPH-ホルムアルデヒド結晶をアセトニトリルで希釈し,
1140 μg/mL(ホルムアルデヒド濃度として0.1420 μg/mL)の範囲で少なくとも5段階の標準液を調製
する。
全ての標準液は,密栓して冷蔵・遮光保管とし,使用に際しては室温に平衡化させる。
保管された標準液は,4週間単位で置き替わるのが望ましい。
4.4 DNPHコーティング溶液の調製
4 Mの塩酸から二度再結晶して得られたDNPH塩酸塩900 mgを300 mLのフラスコに入れる。これに,
85 %りん酸1.7 mL,20 %グリセリン・エタノール溶液5 mL及びアセトニトリル180 mLを加える。
4.5 コーティングフィルタの調製
必要なサイズにカットして使用可能な,ロール状のコーティングされていないフィルタ(シリカゲル含
浸セルロール紙)が市販されている。
コーティングフィルタのサイズは,パッシブサンプラに応じた大きさとなる。例えば,20 mm×45 mm
のフィルタを必要とするサンプラに対しては,ピペットを用いてフィルタにDNPHコーティング溶液(4.4
参照)0.5 mLを添加する。
コーティングしたフィルタは,ガラス表面上に置き,85 ℃で15分間乾燥する。これと異なるフィルタ
サイズに対しては,サイズに応じてコーティング溶液の添加量を調整する。
コーティングフィルタを,パッシブサンプラ内に設置する。
別のコーティングフィルタ及び金属メッシュで封止し,汚染を防止する(箇条6参照)。
コーティングフィルタは,冷蔵(4 ℃)・遮光環境下で保管した場合,少なくとも6か月間安定である。
この規格によって調製及び保管されたコーティングフィルタのブランク値は,20 mm×20 mmのフィル
タ当たり,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体0.7 μg(ホルムアルデヒド量として0.1 μg)以下であることが
望ましい。
注記 この規格では,サンプラ内で使用するコーティングフィルタの調製方法について規定している
が,調製済みフィルタ(シリカゲル含浸セルロース紙,粒状シリカゲルなど)を内包するサン
プラが市販されており,より低いブランクレベルで,より均一な品質であるといった利点があ
る。市販サンプラの構造等については,附属書A及び附属書JBの参考文献に記載がある。
5 装置
通常の実験室装置は,次による。また,パッシブサンプラの例を附属書Aに,パッシブサンプラの性能
試験に関する器具,校正ガスの調製,試験条件及び試験方法を附属書JAに示す。
5.1 パッシブサンプラ
必要な性能を満たす,市販又は自作サンプラのいずれを用いてもよい(図A.1参照)。また,短時間サン
プリングにも供することができる。
サンプリング速度は,想定される使用条件(空気中濃度について,72時間サンプリングでは0.0010.33
mg/m3,24時間サンプリングでは,0.0031.0 mg/m3の範囲で,サンプリング速度は,相対湿度上限80 %,
気流0.02 m/s以上)で有意な影響を受けてはならない。
注記1 短時間サンプリングに適用する場合,拡散取込み速度,測定感度,精度等を確認する必要が
――――― [JIS A 1963 pdf 6] ―――――
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ある。
サンプリングの間,サンプラを設置するためにスタンド又はクリップを用いても差し支えない。使用し
ないサンプラは,汚染防止用コーティングフィルタ及び金網メッシュで封止した気密保護容器に入れて冷
蔵保管しておく(7.5参照)。
このサンプラの場合,コーティングフィルタは,樹脂製の穴があいたスクリーン(拡散スクリーン)の
下に設置されている。サンプラは,穴を空気に暴露させるためにスライド式でカバーが開けられ,カバー
を戻すことによって閉じられる。
ほかの,選択の対象となるサンプラの構造を,図A.2及び図A.3に示す。
パッシブサンプラは,空気に暴露される開口部及び適切な拡散長をもつものとする。
注記2 パッシブサンプラの設計に関する指針及び性能試験の手順がEN 13528-2に示されている。こ
こでは,サンプラの拡散取込み速度を決定するために,サンプラの使用条件に適した温度,
湿度,気流,暴露時間及びガス濃度について異なる条件での,標準ガスの発生を要求してい
る。空気中のホルムアルデヒドを測定するためのパッシブサンプラの性能検討例について,
参考文献に記載がある。
5.2 高速液体クロマトグラフ
HPLCは,1台又は2台のポンプ,溶離液槽,溶離液ミキサー,逆相カラム,カラム槽,ポンプコント
ローラ及びデータ処理システムによって構成されたもの。カラムは,360 nmの波長においてモニタ可能な
UV検出器に接続される。
当該装置及び手順を用いて,濃度0.21 μg/mLのDNPH-ホルムアルデヒド誘導体(ホルムアルデヒド濃
度にして0.03 μg/mL)が検出可能であることが望ましい。
6 サンプリング
サンプリングの直前に,保護袋などの適切な気密保護容器から,パッシブサンプラを取り出す。
エリアモニタリングのためのサンプラは,JIS A 1961に基づいて設置するのがよい。
ここでは,サンプラを高さ0.751.5 m,部屋の壁から少なくとも1 m離して設置する。
特定の目的をもった調査の場合以外は,例えば,窓・扉の近辺などの局所的に換気の影響を受ける領域,
コーティングされていないパーティクルボードなどのホルムアルデヒド放散源として知られる領域は,避
けることが望ましい。
個人暴露量サンプリングに用いる場合は,被検者の襟など,呼吸域であって障害となるもののない部位
に装着する。
サンプラを設置後すぐに,サンプラのカバーなどを開け,サンプリングを開始する。サンプリング開始
の日付及び時刻を記録する。
サンプリング終了後にサンプラを閉じる。保管する場合は,取扱いを容易にするために,金属メッシュ
でDNPHコーティングフィルタとともに封止された気密保護容器の中に入れる。サンプリング終了の日付
及び時刻を記録する。
注記1 サンプリング後のサンプラの保管は,市販品の保管方法に従う。自作サンプラの場合は,汚
染防止用のDNPHコーティングフィルタの作製を含めて気密保護容器を準備することが望ま
しい。
サンプリングに供したサンプラと同一のものを用い,実際にサンプリングをする以外は,暴露したサン
プラと同じ操作手順をとったブランク(トラベルブランク)を用意することが望ましい。ブランクサンプ
――――― [JIS A 1963 pdf 7] ―――――
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ルとして扱うことのできるサンプリング済みコーティングフィルタの非暴露部分を組み込むように設計さ
れたサンプラを用いてもよい。
ブランクサンプル及び暴露されたサンプラは,分析のために試験室へ運搬する。
注記2 特定の条件下での環境大気のポンプサンプリング時に,オゾンがDNPH及びDNPH-ホルムア
ルデヒド誘導体と反応し,負の干渉をすることが報告されている。この干渉はパッシブサン
プラでは観測されなかった。この干渉の起こる可能性についての情報が,JIS A 1962に記載
されている。
7 手順
7.1 抽出及びサンプル調製
コーティングフィルタからのDNPH-ホルムアルデヒド誘導体の抽出は,清浄な空気中で行う。ピンセッ
トを用いてサンプリング済みフィルタをサンプラから取り出す。
ブランク一体形のコーティングフィルタをもつサンプラの場合は,裁断し,フィルタの暴露部分と切り
離す。例えば,20 mm×45 mmのフィルタをサンプル部分とブランク部分に切り離した場合,各フィルタ
部分を4 mL抽出容器の中に入れる。
アセトニトリル3 mLを各々の抽出容器に入れ,1分間振とうし,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体を抽出
する。各抽出容器からコーティングフィルタを取り除き,HPLC分析に供するために密閉する。必要であ
れば分析の前に,抽出物をろ過してもよい。
フィルタの寸法に応じて抽出手順は異なるが,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の抽出効率は,95 %以上
とする。
DNPH-ホルムアルデヒド誘導体溶液は,冷蔵(4 ℃)保管とし,3日以内に分析することが望ましい。
7.2 検量線
4.3で調製した各標準液について,各々一定量(例えば,10 μL)をクロマトグラフに注入して分析する。
キャリーオーバー防止のため,最低濃度から開始する。注入方法は,再現可能なピーク高さ又はピーク面
積が得られるものでなければならない。ホルムアルデヒドの濃度(μg/mL)に対するピーク高さ又はピー
ク面積を測定して,検量線を作成する。
検量線の作成周期は,通常1か月である。2組の検量線で確認ポイントを分析することによって,検量
線の妥当性を検証することができる。
7.3 HPLC分析
HPLC装置を構成して,7.2に基づいて検量線を作成する。一般的な操作事項は次によるが,構成した
HPLC装置の特性などに応じて,より適切で精確な分析結果を得るために適宜変更してもよい。メタノー
ル : 水=70 : 30移動相を用いたオクタデシルシランカラム(粒径5 μm,長さ150 mm,内径4.6 mm)が,
DNPH-ホルムアルデヒドと妨害する可能性のある化合物とを十分に分離できることが知られている。グラ
ジエント法又はイソクラティック法のどちらを用いてもよい。
メタノール及び水に代えて,JIS A 1962に規定されている,アセトニトリル : 水=60 : 40イソクラティ
ック移動相を用いる方法も適切であることが知られている。具体的な事項は,次による。
− カラム : C18逆相カラム
− 移動相 : アセトニトリル : 水=60 : 40
− 検出器 : UV 360 nm
− 流量 : 1 mL/min
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− 保持時間 : 7分/ホルムアルデヒド。C18カラム2本使用の場合,13分/ホルムアルデヒド。
− サンプル注入量 : 25 μL
分析前に,安定した条件を確保するため,検出器のベースラインを確認する。
アセトニトリル及び水を6 : 4の体積比で混合してHPLC移動相を調製するか,又はHPLC上で適切な
グラジエント条件を設定する。適切な器具及び方法4)を用いて移動相のろ過及び脱気を行う。必要な場合,
移動相のガスを更に除去するため,定圧(350 kPa)制御装置又は内径0.25 mm×長さ1530 cmのPTFE
チューブは,検出器の後に配置する。
移動相を1.0 mL/minの流量でHPLCに一定時間(2030分程度)送液した後,分析を開始する。
使用する装置に応じた適切な分析条件(注入量,バルブ切替時機,分析時間など)にて,分析を行う。1
回の分析につき,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体を全て溶出させ,安定したベースラインが得られた後,
次のサンプル分析を開始する。
注記 数回分析した後の,カラムのビルドアップ(例えば,設定流量と溶媒組成における,分析の実
行からの圧力増加よって示される。)は,分離カラム容量と等量の100 %アセトニトリル溶液を
流すことで除去することができる。プレカラムが用いられている場合,同様の保護措置を行う
ことができる。
分析対象の濃度が,検量線の直線範囲を超える場合は,サンプル溶液を移動相で希釈するか又はHPLC
への注入量を少なくする。先に実行した分析によって把握されている保持時間と相違がある(±10 %)場
合は,正しい溶出時間となるよう,移動相のアセトニトリルの比率を増加又は減少させてもよい。溶媒の
変更が必要な場合は,常にサンプルを実行する前に再度検量線を作成する。
試験者は,個別の分析ニーズに応じて,クロマトグラフィー条件を最適化するために,HPLCシステム
を用いて試し分析を行うことが推奨される。
HPLC装置として,マニュアルインジェクション方式,又は注入,スタート及びデータ取得が自動化さ
れたシステムの,いずれを用いてもよい。
JIS A 1962の4.2(オゾンの干渉)に基づき,クロマトグラムからオゾンの影響について確認する。
注4) 移動相のろ過に用いる器具としては,例えば,ガラス製0.22 μmポリエステルメンブレンフィ
ルター及びテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)製の吸引ろ過装置がある。また,脱気の方法
として,例えば,次のものがある。
− 100 mL/minのヘリウムガスによる1015分パージ
− 60 ℃加熱(510分間)
− 超音波処理(510分間)
7.4 サンプル濃度の定量
7.1でコーティングフィルタから抽出した,サンプル及びブランク溶液について,7.2の標準溶液と同じ
方法で分析する。ピーク高さ又はピーク面積を測定し,検量線からDNPH-ホルムアルデヒド誘導体の溶液
濃度を定量する。
注記 サンプリングの現場に持ち込んだブランク(トラベルブランク)は,持ち込んでいないブラン
クと比較して,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の含有量が高い可能性がある。
7.5 保管
調製済みコーティングフィルタを気密保護容器中に密封し,使用する前まで冷凍庫内(−18 ℃)で保管
した場合の有効期間は,少なくとも6か月である。
暴露後に生成した被検成分であるDNPH-ホルムアルデヒド誘導体は,抽出及び分析の前に冷蔵庫内で保
――――― [JIS A 1963 pdf 9] ―――――
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管した場合,少なくとも2週間は安定であることが望ましい。
7.6 抽出効率の測定
抽出及びサンプル調製について7.1と異なる手順をとる場合,既知量のDNPH-ホルムアルデヒド誘導体
をサンプラに添加し,抽出効率を測定することが望ましい。
抽出効率は,安定した既知濃度のホルムアルデヒド雰囲気中にサンプラを暴露して求められる。少なく
とも,測定濃度範囲の上限及び下限の2濃度水準でサンプラ暴露試験を行い,抽出効率を算出することが
望ましい。ポンプ法との同時測定を行い,ポンプ法の測定値を基に抽出効率を求めるとよい。
適切な暴露時間,及びEN 13528-2によって確認されたサンプラの拡散取込み速度に基づき,コーティン
グ材中のDNPH-ホルムアルデヒド誘導体の量を計算する。サンプラを分析し,DNPH-ホルムアルデヒドの
抽出効率を求める。この方法による抽出効率が,少なくとも85 %以上であることが望ましい。
8 計算
8.1 コーティングフィルタ中のDNPH-ホルムアルデヒド量
暴露サンプラ又はブランクサンプラのコーティングフィルタから抽出して得られた溶液量に,検量線か
ら読み取った溶液中の濃度を乗じることによって,コーティング材中のDNPH-ホルムアルデヒド誘導体の
質量を計算する。
8.2 空気中のホルムアルデヒド濃度
次の式によって,空気中のホルムアルデヒド質量濃度を計算する。
6
(m .0143
mblank ) 10 d
u t 100
ここに, ρ : 空気中のホルムアルデヒド濃度(μg/m3)
m : 暴露したサンプラ中のDNPH-ホルムアルデヒド誘導体の質
量(μg)
mblank : ブランクサンプラ中のDNPH-ホルムアルデヒド誘導体の質
量(μg)
u : サンプラの拡散取込み速度(cm3/min)
t : 暴露時間(min)
d : 抽出効率(%)
0.143 : ホルムアルデヒド分子量をDNPH-ホルムアルデヒド誘導体
分子量で除した値
注記 測定結果をppb,ppmなどの体積分率で表すことは,望ましくない。ただし,その必要のある
規格使用者のために,結果を体積分率(ppb)で表す計算式を次に示す。
224. 1013. T d
'
M P 2732. 100
ここに, ρ' : 空気中のホルムアルデヒド濃度(体積分率,ppb)
T : サンプリング時の平均温度(K,必要に応じて,通常温度296 K
を用いる。)
M : ホルムアルデヒド分子量(30.03 g/mol)
P : サンプリング時の平均大気圧(kPa,必要に応じて,通常の
大気圧101.3 kPaを用いる。)
9 方法の精度及び不確かさ
繰返し測定の試験所内精度は,相対標準偏差として表した場合10 %以下であることが望ましい。
――――― [JIS A 1963 pdf 10] ―――――
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JIS A 1963:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16000-4:2011(MOD)
JIS A 1963:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気
JIS A 1963:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1961:2015
- 室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法
- JISA1962:2015
- 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量―ポンプサンプリング
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8295:2020
- グリセリン(試薬)
- JISK8480:2020
- 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
- JISK8872:2008
- ホルムアルデヒド液(試薬)
- JISK9005:2006
- りん酸(試薬)
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項