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注記1 同時に6個のサンプラを暴露するフィールド試験を行ったところ,3部屋の室内環境中のホ
ルムアルデヒド濃度は,0.0271.1 mg/m3であり,測定の繰返し精度は相対標準偏差で表し
た場合19 %であった(附属書JBの参考文献[9]参照。)。
注記2 住宅の寝室における繰返し測定の結果,濃度は0.0070.01 mg/m3であり,得られた相対標準
偏差は6.28.7 %であった(附属書JBの参考文献[10],[11]参照。)。
注記3 部屋にそれぞれ2か所の位置設定で4個のサンプラを置き,ホルムアルデヒドの濃度を測定
したところ0.0070.048 mg/m3であり,10.9 %であった1か所を除き,相対標準偏差は0.8
8.3 %であった(附属書JBの参考文献[12]参照。)。
注記4 パッシブサンプリングの結果と,同時に別途行ったサンプリング方法(ポンプサンプリング)
を比較したところ,よい一致を示すことが報告されている(附属書JBの参考文献[8][12]
参照。)。
10 品質保証/品質管理
使用者はJIS Q 17025の要求事項を満たさなければならない。
調査ごと又はサンプラのロットごとにその一部としてトラベルブランク及び繰返しサンプリングを行わ
なければならない。これらは使用するサンプラ総数の10 %相当分以上,小規模の調査であっても最低一つ
は実施することが望ましい。
次のことも推奨される。
a) 内部の品質管理のために,定期的に(大規模な調査期間中には少なくとも1回)サンプリング速度を
確認することが望ましい。確認は,実験室の標準空気中に暴露させるなどの方法(例えば,ポンプサ
ンプリング)での比較によって行われるのがよい。
b) 対外的な品質保証のために,定期的に(大規模な調査期間中には少なくとも1回)サンプリング速度
を確認することが望ましい。確認は,十分な経験をもつ機関が運営する研究室又は共同比較実験(同
一サンプラ,複数試験所の参加)によって行われるのがよい。
11 試験報告書
試験報告書には少なくとも次の項目を加える。
a) 試料内容の明確な識別
b) この規格を適用した旨
c) サンプリングの場所及び時間並びに暴露時間
d) 必要な場合は,気圧及び気温
e) 試験結果(μg/m3)
f) 測定中に観察された特記事項
g) この規格若しくは参照した規格に含まれない操作,又は任意とみなされる操作
――――― [JIS A 1963 pdf 11] ―――――
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附属書A
(参考)
パッシブサンプラの例
A.1 パッシブサンプラ
A.1.1 一般
パッシブサンプラはサンプリングにポンプを用いない,いわゆる,分子の拡散原理に基づいたサンプラ
である。パッシブサンプラの形態はバッジ形とチューブ形とに大別される。サンプラに使用される捕集剤
には,亜硫酸水素ナトリウム,トリエタノールアミン,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(2,4-DNPH)な
どを,フィルタやシリカゲル(粒状)に含浸させた種々のものが報告されている。また,捕集剤から溶出
されたホルムアルデヒドの分析には吸光光度法,高速液体クロマトグラフ法,ガスクロマトグラフ−質量
分析法などが用いられている。本体では2,4-DNPHを含浸した捕集剤(シリカゲルフィルタ又はシリカゲ
ル)をセット又は充したバッジ形又はチューブ形が規定されている。
A.1.2 バッジ形(角形)パッシブサンプラ
図A.1にサンプラの構造例を示す。サンプラは,本体(ポリプロピレン製),捕集剤(DNPHコーティン
グフィルタとブランク部分とから構成),スクリーン及びスライドカバーから構成されている。大きさは長
さ6 cm,幅3.5 cm,厚さ0.5 cm,重さは約5 gである。
A.1.3 バッジ形(丸形)パッシブサンプラ
図A.2に構造例を示す。サンプラは,本体(ナイロン製),スクリーン(四ふっ化エチレン製),捕集剤
(DNPHコーティングシリカゲル),クリップ(金属製)から構成されている。大きさは長さ70 mm,幅
42 mm,厚さ12 mm,重さは17 gである。
A.1.4 チューブ形サンプラ
図A.3に構造例を示す。サンプラはポリエチレン製の多孔質チューブから構成されている。大きさは全
長9 cm,直径1.2 cm,重さは2 gである。
図A.1−バッジ形(角形)サンプラの例(附属書JBの参考文献[9]参照)
――――― [JIS A 1963 pdf 12] ―――――
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単位 mm
図A.2−バッジ形(丸形)サンプラの例
図A.3−チューブ形サンプラの例
――――― [JIS A 1963 pdf 13] ―――――
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附属書JA
(参考)
パッシブサンプラの性能試験に関する器具,
校正ガスの調製,試験条件,試験方法
JA.1 器具
既知濃度のホルムアルデヒドガスを調製,混合,送出するための動的システム。
JA.1.1 暴露チャンバー パッシブサンプラの拡散取込み速度(Diffusion uptake rate),再現性試験,妨害ガ
ス試験などの性能試験を行う際に必要なチャンバーである。チャンバーの材質は,ガラス,ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)又はステンレス製などの不活性材料が望ましい。内容積は試験対象サンプラが
20個以上設置できる容積が必要である。チャンバーにはガスの入り口と出口とを備え,かつ,チャンバー
内のガス濃度が測定できるようなサンプリング口を複数個を設ける。温度,湿度などを調節できる機器が
接続できるようにする。図JA.1にチャンバーの一例を示す。
JA.1.2 制御設備 暴露チャンバーを通り抜ける空気の流量,ホルムアルデヒドガス濃度,妨害物質濃度,
温度,湿度などを制御し,それらのパラメータを測定し,変化させるための設備。
JA.1.3 測定機器 捕集したホルムアルデヒドを分析するための機器。気流,温度,湿度などを測定するた
めの機器。
1 ボンベ又は空気清浄装置 7 ファン 13 恒温槽
2 減圧器 8 温・湿度計 14 オーバフロー
3 流量計(ニードルバルブ付)9 風速計 15 ポンプサンプリング用サンプラ
4 加湿器 10 パッシブサンプラ 16 ポンプ
5 ガス発生装置 11 インナーチャンバー 17 ガスメータ
6 混合容器 12 アウターチャンバー
注a)参考文献 柳沢幸雄,西村肇ら,大気汚染学会誌,第15巻,第8号,pp.316323(1980)
図JA.1−暴露チャンバーの例a)
――――― [JIS A 1963 pdf 14] ―――――
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JA.2 基準測定法
調製したホルムアルデヒドガスの暴露チャンバー内濃度を確認するための測定法。暴露チャンバー内の
ホルムアルデヒド濃度はJIS A 1962によって求める。
JA.3 ホルムアルデヒド校正ガスの調製
JA.3.1 概要
JA.1に記載した器具を用いて,一般的な濃度範囲,温度,湿度などにおいて,ホルムアルデヒドガスを
調製する。暴露チャンバーを通り抜ける流量は,全ての試験対象サンプラと基準測定法のサンプリング流
量を合計したものを,上回るようにする。同時に濃度の平衡状態を保持する。
注記 ホルムアルデヒド校正ガスの調製は,温度が5 ℃を下回り,相対湿度が80 %を上回る状態で
は実現が困難と考えられているため,こうした範囲の外側で試験する場合(範囲外の使用がサ
ンプラの用途から見て適切な場合に限る。),そのための設備も試験用設備の一部とする。
JA.3.2 ホルムアルデヒド校正ガスの調製
ホルムアルデヒドガスはパーミエーションチューブ法,ディフュージョンチューブ法,ボンベガス法な
どによって調製する。
注記 現在,ホルムアルデヒド標準ガスの発生方法は確立されていない。一般的にはパーミエーショ
ンチューブ法,ディフュージョンチューブ法,ボンベガスなどを用いてガスを発生しているが,
濃度保証が取れない。よって,これら発生ガス濃度は基準測定法(JIS A 1962)で濃度を決定
する必要がある。
JA.3.3 暴露チャンバーの入り口濃度及び出口濃度の測定
基準測定法を用いて暴露チャンバーの入り口濃度と出口濃度とを算出する。このとき,チャンバー内の
全てのサンプラがサンプリングしている状態で行う。入り口濃度と出口濃度とに5 %を超える差がある場
合は,濃度差が5 %以下になるように各部を点検する。濃度差が5 %以下になれば,次の実験に備える。
JA.4 試験条件
JA.4.1 拡散取込み速度の算出又は評価のための試験条件
暴露チャンバーはJA.1.1,ホルムアルデヒドガスの調製はJA.3.2に従う。試験対象サンプラは1セット
(6個)以上,基準測定法は1台。試験条件は次に示すような条件が望ましい。
試験濃度範囲は我が国の場合,厚生労働省の室内ガイドライン値が存在するので,これを参考にすると
よい。
注記 例えば,ガイドライン値の50 %(50 μg/m3),100 %(100 μg/m3),150 %(150 μg/m3),200 %
(200 μg/m3),300 %(300 μg/m3)の5段階程度の濃度範囲を選定し,試験する。
暴露時間は2472時間程度が考えられる。サンプラの向きは製造業者の指定とおりとする。また,気流
は0.022 m/sの範囲,温度は(25±2)℃,相対湿度は(50±5)%。ただし,濃度,温度,その他の変動
パラメータについて示した範囲は,あくまでも参考である。試験対象サンプラの指定使用範囲が参考範囲
より,広いか,狭いかが分かっている場合,試験範囲には,そうした指定範囲に合わせて調整を加えなけ
ればならない。
JA.4.2 屋外試験条件
サンプラの試験場所は単数又は複数の適切な場所を選定する。考慮すべき事項は使用場所(都市,地方),
地勢(土壌被覆,林野化),環境条件(気温,湿度,風速),化学物質の干渉などである。こうした変動要
――――― [JIS A 1963 pdf 15] ―――――
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JIS A 1963:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16000-4:2011(MOD)
JIS A 1963:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気
JIS A 1963:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1961:2015
- 室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法
- JISA1962:2015
- 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量―ポンプサンプリング
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8295:2020
- グリセリン(試薬)
- JISK8480:2020
- 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
- JISK8872:2008
- ホルムアルデヒド液(試薬)
- JISK9005:2006
- りん酸(試薬)
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項