JIS B 7507:2016 ノギス | ページ 3

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測定範囲内の任意の位置で基点合わせができるものとする。また,ダイヤル目盛を備えたノギスは,ダイ
ヤルの範囲内で基点合わせができるものとする。
この規格で規定するノギスの計測特性及び性能は,基点合わせを外側用測定面が互いに接触した状態で
行う場合にだけ適用する。ノギスの計測特性及び性能は,適切な機器及び不確かさが明確な標準器,例え
ば,JIS B 7506に規定するブロックゲージ,ステップブロック,リングゲージなどを用いて測定すること
ができる。測定は,測定範囲内全域のノギスの計測特性及び性能を評価できるものでなければならない。
注記1 真直度,測定面の平面度及び平行度に対する要求事項は,それぞれ単独では規定しないが,
これらは指示誤差に含まれる。
注記2 使用上の注意を,附属書Aに示す。
注記3 使用者に情報を提供する場合の仕様表示例を,附属書Bに示す。

5.2 スライダの固定

  スライダを止めねじなどによって固定する場合,指示値は次の条件を満たさなければならない。
− アナログ表示のノギスの場合,指示値は変化しない。
− デジタル表示のノギスの場合,指示値の変化は2デジタルステップを超えてはならない。

5.3 指示値の最大許容誤差(MPE)

5.3.1  一般
指示誤差の特性は,5.1に示した基点合わせに基づく任意の指示値に適用する。
指示誤差の許容値は,最大許容誤差(MPE)によって制限される。
なお,部分測定面接触誤差(5.3.2)及びスケールシフト誤差(5.3.4)は必ず適用するが,それ以外の項
目は,製造業者(又は供給業者)が設計仕様(設計特性)から,必要と判断した項目にだけ適用する。
注記 指示誤差の特性の記号及びそれに対応する表示を,附属書JAに示す。
5.3.2 部分測定面接触誤差E(最大許容誤差EMPE)
部分測定面接触誤差は,部分測定面接触(3.2.2)の場合の指示誤差とし,外側測定に適用する。
部分測定面接触による指示値の最大許容誤差EMPEは,表5による。
表5−部分測定面接触による指示値の最大許容誤差EMPE
単位 mm
目量,最小表示量又は最小読取値
測定長
0.1又は0.05 0.02又は0.01
50以下 ±0.05 ±0.02
50を超え 100以下 ±0.06
±0.03
100を超え 200以下 ±0.07
200を超え 300以下 ±0.08
±0.04
300を超え 400以下 ±0.09
400を超え 500以下 ±0.10
±0.05
500を超え 600以下 ±0.11
600を超え 700以下 ±0.12
±0.06
700を超え 800以下 ±0.13
800を超え 900以下 ±0.14
±0.07
900を超え 1 000以下 ±0.15
この表以外の測定長をもつノギスのEMPEは,受渡当事者間の協定による。
注記 EMPEは,真直度,測定面の平面度及び平行度によって生じる測定誤差を含む。

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部分測定面接触誤差は,測定範囲内の任意の位置の,ジョウに沿った異なる位置で,例えば,ブロック
ゲージなどの小さな面をもつ標準器を用いて測定する(図13参照)。
注記1 部分測定面接触誤差は,例えば,外側用ジョウの測定位置,測定範囲(本尺のたわみ),スラ
イダと本尺との隙間,ジョウの長さなどのノギスの測定条件の影響を受ける。
注記2 目盛誤差だけでなく,ジョウの測定面の平行度及び形状偏差も含まれる。
図13−部分測定面接触誤差の測定
部分測定面接触誤差の測定方法は,表6による。
表6−ノギスの部分測定面接触誤差の測定方法
項目 測定方法 図
部分測定面 外側用測定面に規定するブ
接触誤差 ロックゲージ又はそれと同
等以上のゲージ類を挟み,
測定面の先端側で測定し,
ノギスの指示値からゲージ
の寸法を減じて求める。
ブロックゲージ
5.3.3 部分測定面接触誤差の繰返し精密度R(最大許容誤差RMPE)
部分測定面接触誤差の繰返し精密度は,同一の測定条件下で,ジョウの任意の位置で行われる,同一の
測定量の連続した測定結果の一致の精密さとする。
部分測定面接触誤差の繰返し精密度は,ジョウの測定面の任意の位置で,任意の寸法(測定範囲内の位
置)に対して,例えば,ブロックゲージなどの標準器を用いて測定する。
注記 製造業者は,使用者からの要求によって,繰返し精密度の詳細を提供する場合がある。
5.3.4 スケールシフト誤差S(最大許容誤差SMPE)
スケールシフト誤差は,全測定面接触(3.2.1)で,内側測定,深さ測定などの外側用測定面以外の測定
面が使用されている場合の指示誤差とする。
最大許容誤差は,次のとおりとする。
− 内側測定の最大許容誤差は,表5と同値とする。

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− 深さ測定の最大許容誤差は,表5に0.02 mm加算した値とする。
内側測定の指示誤差は,測定範囲内の任意の位置で,例えば,ブロックゲージなどの標準器を用いて測
定する。内側測定の指示誤差の測定方法は,表7による。
表7−ノギスの内側測定の指示誤差の測定方法
項目 測定方法 図
内側測定の ブロックゲージ及びその附 ブロックゲージ
指示誤差 属品又はそれらと同等以上
の装置を用いて,内側寸法
を内側用測定面で測定し,
ノギスの指示値からブロッ
クゲージの寸法,又は装置
の示す数値を減じて求め
る。
深さ測定の指示誤差は,基点のずれによって測定してもよい。このとき,基点のずれは0.02 mm以下と
する。
5.3.5 線接触誤差L(最大許容誤差LMPE)
線接触誤差は,測定面線接触(3.2.3)の場合の指示誤差とし,外側測定に適用する。
線接触誤差は,外側用測定面の隙間でも検証することができ,このときの許容値は,隙間を光にかざし
て見たときに,光の回折による干渉色が認められる程度(5 μm以下)が望ましい。
線接触誤差は,ジョウの面に垂直に,ジョウに沿った任意の位置で,例えば,小さな直径(約10 mm)
の円筒測定ピンなどを用いて測定する(図14参照)。
注記1 線接触誤差は,長期間使用したノギスに対して特に重要である。
注記2 線接触誤差の測定は,長期間使用したノギスの測定面の摩耗の検出に有効な方法である。
注記3 線接触誤差の測定は,測定範囲内の2か所以上で行う必要はない。
a
図14−線接触誤差の測定
5.3.6 全測定面接触誤差J(最大許容誤差JMPE)
全測定面接触誤差は,全測定面接触(3.2.1)の場合の指示誤差とする。
全測定面接触誤差は,ジョウの測定面全体を覆うような,例えば,ブロックゲージなどの標準器を用い

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て測定する。
注記 全測定面接触誤差の測定は,測定範囲内の2か所以上で行う必要はない。
5.3.7 M形内側用ジョウの間隔による誤差K(最大許容誤差KMPE)
M形内側用ジョウの間隔による誤差は,M形ノギスの小穴測定が,ジョウの長さ方向に垂直に行われて
いる場合の指示誤差とする。
M形内側用ジョウの間隔による誤差は,5 mm以下のリングゲージを用いて測定する(製造業者又は供
給業者は,測定で使用したリングゲージの直径を示さなければならない。)。この誤差は,内側用ジョウの
隙間及び内側用測定面の厚さの影響を受ける(図15参照)。
la 隙間
lb 内側用測定面の厚さ
din 指示寸法
dov 内径寸法
図15−小穴測定時のM形内側用ジョウ

6 製品文書における表示

  製品文書,図などにおける最大許容誤差の表示の例を,参考として附属書JAに示す。

7 仕様への適合の検証

7.1 一般

  仕様への適合及び不適合の検証は,国際的に認められている仕様の範囲と合格の範囲とが等しい場合の
合格基準(simple acceptance)を用いる。
注記 国際的に認められている合格基準とは,ISO/TR 14253-6:2012である。

7.2 計測特性及び性能の校正のための標準器

  標準器は,日本工業規格(日本産業規格)によって適切に選定し,使用する。そのような標準器がない場合には,国家標
準にトレーサブルな標準器を用いる。

7.3 標準温度

  この規格で規定する性能の仕様は,JIS B 0680に規定する標準温度20 ℃における値とする。

8 検査

  ノギスの検査は,寸法,表示方式,測定面,構造及び機能,硬さ,並びに計測特性及び性能について行
い,4.34.7及び箇条5の規定に適合しなければならない。

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9 表示

  ノギスには,見やすい箇所に,容易に消えることがなく,かつ,品質を損なわない方法で,次の事項を
表示する。
a) アナログ表示の場合 : 目量,最小読取値又は最小表示量
デジタル表示の場合 : 表示値の単位
b) 最大測定長
c) 製造業者名(供給業者名)又はその略号
d) 製造番号(英数字)
e) M形ノギスの場合 : 最小内側測定長をジョウの上に表示するか,又は2段目盛の場合はその外側用
及び内側用の区別をそれぞれ見やすい箇所に表示する。

――――― [JIS B 7507 pdf 15] ―――――

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JIS B 7507:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13385-1:2011(MOD)

JIS B 7507:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 7507:2016の関連規格と引用規格一覧