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注記2 リスクにつながる可能性のある可動部への安全距離は,JIS B 9718に規定されている。
5.4 取合点情報の通知
取合点での設計仕様上の制限事項は,設計段階で適切な文書で供給者から通知する(許容される配管移
動量,反力及びモーメント,グランド蒸気源の蒸気品質,制御空気の品質,基礎荷重など)(箇条18参照)。
さらに,リスク低減係数を伴う全体的なリスクアセスメントについて,供給者によって検証されていな
いリスク低減措置は,適切な文書で取合点の共有者に通知する。これは設計段階(規定された安全度水準
を達成するための外部システムの信頼性要求事項など)にて実施されるが,運転及び保守の説明書(特定
の安全度水準を維持するための保守中,運転試験中の点検要求事項)の一部でもよい。これらの要求事項
を確認するのは,購入者の義務である。
5.5 文書化
リスクアセスメントは,文書化しなければならない。この文書は,供給者が保持しており,購入者には
提出されない。
供給者は,製品の安全性に関する内部文書の長期間保存を保証する。法律で別途指定又は要求されてい
る場合を除き,文書は10年以上保管する。
6 運転及び保全
6.1 通常運転
6.1.1 一般事項
通常運転時では,タービンの特性は,タービン発電機が既存の設備と並列運転できるものでなければな
らない。また,単独運転又は並列運転いずれの場合でも,異常な特性をもってはならない。
6.1.2 起動モード
蒸気タービン(特に過熱蒸気タービン)の起動時には,その構成部品に温度変化による熱応力が発生す
るため,起動の条件について,受渡当事者間で協議する必要がある。
熱応力を支配するのはタービンの構成部品のメタル温度(高圧内部車室など)であるが,タービン停止
後の経過時間と冷却によるメタル温度の低下との間には,タービンごとに特有の関係があるため,停止後
の経過時間によって起動モードを分類し,起動モードごとに起動条件を決定して,その熱応力による寿命
消費の評価を行うことが望ましい。
典型的な起動モードの例をa) e)に示す。
a) 完全コールドスタート 蒸気タービン長期間停止後の非常に低温な状態からの起動(メタル温度は,
雰囲気温度とほぼ同等)
b) コールドスタート 停止後72時間以上経過(メタル温度は,全負荷時温度のおよそ40 %以下)
c) ウォームスタート 停止後10時間から72時間経過(メタル温度は,全負荷時温度のおよそ40 %
80 %)
d) ホットスタート 停止後10時間以内(メタル温度は,全負荷時温度のおよそ80 %以上)
e) ベリーホットスタート ユニットトリップ後1時間以内(メタル温度は,全負荷時温度とほぼ同等)
――――― [JIS B 8101 pdf 21] ―――――
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6.1.3 設計条件
購入者は,a) e)に規定するタービン設計条件を仕様書に明記する。
a) 6.1.2のタービン停止後の経過時間による起動モードの分類。
b) 運転寿命当たりの起動モードごとの起動回数 : 購入者の要求がない場合,供給者は,各起動モードの
設計起動回数を明記する。最適化設計のためには,各起動モードの現実的な起動回数について合意す
ることが重要である。
c) 運転寿命当たりの主要負荷変化の幅及び回数。
蒸気温度変化が著しい(一般的には50 ℃以上)と特徴付けられる主要な負荷変化は,タービン構
成部品に著しい疲労の蓄積をもたらす。
また,蒸気温度の大幅な変化が頻繁に発生(1週間に1回以上)することが予想される場合には,
蒸気温度変化の少ない負荷変化の回数についても,明記する必要がある。
d) 蒸気発生器など,発電所の他の機器の制限値を考慮した,主要な負荷変化に要求される負荷変化率及
び蒸気温度変化率。
注記 許容負荷変化率及び負荷変化の大きさは,個々のタービンの設計だけでなく,蒸気発生器特
性(6.1.5参照),負荷変化中の運転モード(例えば,絞り制御,ノズル締切り制御)にも関係
している。負荷変化の間,このような要因によって発生するタービン内における蒸気温度の
急激な変化(例えば,50 ℃以上)は,幾つかの構成部品に望ましくない大きな熱応力を生じ
させ,寿命時間を著しく消費する。
上記のように規定した主要負荷変化に加えて,安定運転状態からの微少な負荷変動(例えば,定格
出力の10 %未満の変化幅)も許容するが,これらについては仕様書で言及する必要はない。
e) 要求する設計条件は,想定された蒸気タービンの寿命も含め,購入者が明記する。
6.1.4 起動時間
供給者は,指定された設計条件に適合した起動時間を提示する。設計条件値(運転寿命中の合計起動回
数など)を増加させるためには,より長い起動時間が必要になることがある。
注記 6.1.3に示す,蒸気温度変化が著しい(一般的には50 ℃以上)と特徴付けられる主要な負荷変化
の回数が多い場合,及び主要な負荷変化における負荷変化率と蒸気温度変化率が大きい場合にも
余寿命が消費されるので,起動時間の設定に影響を与えることがある。
蒸気タービンの起動時間は,主蒸気流入(昇速開始)から特定の発電機出力に達するまでの時間で定義
する。一般的に,大気条件及び蒸気発生条件によって,公称発電機出力に達するまでの時間は変化するた
め,公称発電機出力を使用するのは実用的ではない。必要に応じて,発電機出力到達の代わりに,タービ
ンバイパス系統閉止をもって,起動完了としてもよい。
必要とされる蒸気条件に到達するまでの時間,復水器からの空気抽出に要する時間,及び同期に要する
時間のような起動の前提条件を達成するための時間は起動時間に含まない。
例えば,保証項目の一つとして,関連する起動時間を測定するため,起動の開始及び完了時間に関して,
異なる運転条件を指定することは有用であり,この場合,供給者が条件を明記し,購入者の同意を得る。
6.1.5 蒸気発生器特性
購入者は,全ての起動モード,負荷変化及び停止形態に対して,流量変化に伴う蒸気圧力,主蒸気温度,
再熱蒸気温度の変化を含む,蒸気発生器特性データを提示する。
――――― [JIS B 8101 pdf 22] ―――――
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特に,購入者は,変圧運転,定圧運転,複合変圧運転,複合運転などの要求する運用形態について,供
給者に通知する。購入者がボイラの最小圧力又は蒸気タービンの過負荷容量を要求する場合は,これらも
明記する。
蒸気発生器の出力水準が減少した状態で蒸気温度が低下する場合,購入者は,供給者に蒸気温度の蒸気
発生器出力への依存性について通知する。また,購入者は,起動モードごとに,起動時の全ての入口にお
ける蒸気温度,圧力,流量の時間特性(蒸気発生器起動曲線)を明記する。購入者は,供給者との取合点
においてこれらの状態値を明記する。その際,特に,蒸気発生器出口からタービン供給者取合点の間で発
生する,主蒸気管及び再熱蒸気管に沿う熱損失を考慮する必要がある。
6.1.6 運用負荷予想
購入者は,例えば,ベースロード運転,2シフト運転,1シフト運転,負荷サイクル,デイリーサイクル,
ピークロード運転,連続運転のための最低負荷,過負荷の要否及び予想される期間など,標準的な運転状
態を明記する。
購入者は,該当する場合,蒸気状態値の偏差,抽気流量の要件など,部分負荷運用に関する特定の要求
事項を明記する。
6.1.7 タービンバイパス系統
購入者は,タービンバイパス系統の採否を仕様書に明記し,採用する場合には,特殊運転(6.3)及びタ
ービン入口弁が開く前の状態を含む,全ての関連する運用状態における要求性能,蒸気条件及び流量を明
らかにする。
購入者は,バイパス系統の供給者を明らかにする。
複数の入口圧力をもつ蒸気タービンの場合,購入者は,バイパス系統の機器構成及びその制御について
提示する。
バイパス系統の容量は,蒸気タービン運用に影響を与える。したがって,バイパス系統の大きさは,公
称運転状態における公称流量の百分率として提示されることが望ましく,例えば,50 %バイパスは,公称
圧力及び温度での50 %の質量流量とみなされる。
供給者は,規定された起動及び運用に必要な,バイパス容量又は逃し弁による圧力制御に関する追加の
要求事項を明記する。
別に合意がない限り,バイパス系統の制御はBOP(Balance of plant,発電所の主機以外の周辺機器)の
一部であり,供給者の適用範囲ではないが,制御パラメータについては供給者と合意しなければならない。
6.1.8 補助蒸気
購入者は,利用可能な補助蒸気源の状態値を明記する(例えば,起動中のタービンシール蒸気系統)。
蒸気タービンが外部から補助蒸気を供給せずに起動可能とする要求についても,購入者はこれを明記し,
供給者は,このような起動に必要な制限又は要求事項を提示する。
――――― [JIS B 8101 pdf 23] ―――――
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6.2 運転許容限度
6.2.1 一般事項
6.2.26.2.5に示す変動制限において,温度に依存する機械的特性及び/又はクリープのような長期的な
機械的影響に関して確立されているタービン設計を考慮する。
蒸気発生器の圧力及び温度制御の特性によって,入口蒸気状態値は変化する。また,ボイラの運用又は
燃焼状態の変化によって,入口状態の変動がより大きくなることがある。
タービンは,6.2.26.2.4に示す制限内での定格条件からの変化に応じ得るものでなければならない。
なお,これらの制限は,定格値を超えるように温度又は圧力設定値を故意に増加するのに用いられるこ
とを意図するものではない。
注記 3.3の取合点·取合条件に示す,関連する蒸気条件の定義を参照。
多くのグリッドコードで規定されるような高度な動的運用要件を満たすために要求される制御性能は,
表1及び表2に示す許容変動よりも厳しいものとなることがある。
長期的な機械的影響に関する許容変動は,12か月超の運用期間にわたる集計時間に基づくものである一
方で,制御性能は,試験期間中における設定値からの最大偏差によって決定される。したがって,各々の
外れ値は,測定可能な機械的影響を伴わなくても,制御性能を悪化させることがある。
12か月間の蒸気タービンの平均運転値を定義するためには,タービンへの蒸気流入時間だけを考慮する。
タービンバイパス運用中の温度·圧力変化は,別々に考慮することが望ましい。偏差運用の累積時間を計
測する装置は,供給者が設置してもよい。
なお,各種運転モードにおいて制御性能を満たすための蒸気条件制御及び推奨値については,VDI/VDE
3507:2012-09,EN 12952-3(EN 13480-3),JIS B 8102など他の規格を参照。
6.2.2 主蒸気圧力
タービン入口における平均主蒸気圧力は,いずれの12か月間においても定格圧力を超えてはならない。
また,この平均圧力を維持していても,通常,主蒸気圧力は,定格圧力の105 %を超えてはならない。た
だし,偶発的,突発的な圧力変動においては,定格圧力の120 %まで許容するものの,運転時間の合計は,
いずれの12か月間においても12時間を超えてはならない(表1 参照)。
表1−定格圧力の許容偏差
定格値を超える圧力偏差 単一事象の許容継続時間 12か月間の要求事項 説明
100 %を超え 105 %以下 − 平均が定格圧力以下 通常圧力制御変動領域。
105 %を超え 120 %以下 − 合計が12時間を超えない 例 : 負荷遮断又は蒸気発生器
故障による逃し弁の開放な
ど。
120 %超 不可 不可 −
主蒸気圧力増大時に,蒸気流量を制限する制御系が作動しない場合,通常,出力は定格値を超える。こ
のとき,発電機及びその関連電気機器は,この過大出力を許容できず,タービンにも好ましくない熱応力
を発生させる可能性がある。したがって,このような状況下におけるタービン出力を制限する負荷応答保
護装置を,受渡当事者間で協議の上設置する。
――――― [JIS B 8101 pdf 24] ―――――
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6.2.3 主蒸気温度及び再熱蒸気温度
定格蒸気温度が566 ℃以下のタービンについて,a) c)にその許容変動限度を規定する。
例えば,原子力発電用タービン,太陽熱発電用タービン,地熱発電用タービン,熱電併給タービン,低
圧送入蒸気など,飽和状態又はそれに近い状態で蒸気供給されるタービンの主蒸気条件許容限度は,受渡
当事者間の協議による。
a) タービンへのいかなる入口における平均蒸気温度は,いずれの12か月間においても,定格温度を超え
てはならない。また,この平均温度を維持していても,通常,蒸気温度は,定格温度を8 ℃超えては
ならない。
b) 例外的に,蒸気温度が定格温度を8 ℃超える場合には,瞬時値であれば,定格蒸気温度を基準に8 ℃
14 ℃までの温度変化幅で超えてもよい。ただし,この温度範囲にある運転時間の合計は,いずれの
12か月間においても400時間を超えてはならない。また,定格蒸気温度を基準に14 ℃28 ℃までの
温度変化幅で超える運転は,単一事象の運転継続許容時間を15分以内とし,この温度範囲にある運転
時間の合計は,いずれの12か月間においても,80時間を超えてはならない。さらに,いかなる場合
でも,定格蒸気温度から28 ℃を超える温度偏差となってはならない(表2参照)。
表2−定格温度が566 ℃以下のタービンにおける許容温度偏差
定格値を超える温度偏差 単一事象の許容継続時間 12か月間の要求事項 説明
0 ℃を超え 8 ℃以下 − 平均値が定格以下 通常温度制御範囲。
最高温度設定値は,常時定格
温度に維持する必要がある。
8 ℃を超え 14 ℃以下 − 合計400時間以内 負荷変化中の偶発的に温度
が逸脱する制御範囲。
最高温度設定値は,常時定格
温度に維持する必要がある。
14 ℃を超え 28 ℃以下 15分以内の変動 合計80時間以内 温度が突発的に逸脱した温
度制御範囲。
最高温度設定値は,常時定格
温度に維持する必要がある。
28 ℃超 不可 不可 −
c) 蒸気をタービンの同一供給点へ,2本以上の平行する蒸気管によって供給する場合,通常,相互間温
度差は17 ℃を超過してはならない。例外として,変動時には28 ℃までの温度差を許容するものの,
この温度差における継続時間は,いずれの4時間においても15分を超えてはならない。ただし,最も
高温となる配管の蒸気温度は,表2の制限値を超えてはならない。
566 ℃を超えるものについては,許容変動限度は受渡当事者間の協議による。
6.2.4 タービン排気圧力及び温度
いずれの12か月間においても,平均排気圧力が指定圧力を超えてはならない。また,この平均排気圧力
を維持していても,排気の絶対圧力は,指定圧力の110 %以下でなければならない。ただし,過渡状態及
び特殊運転においてはこの限りではなく,受渡当事者間の協議による。
供給者は,排気配管及び取合要素の設計仕様に不可欠な,運用中における圧力及び温度の排気条件を提
示する。これによって,クリープ破断強度に関する設計仕様を最適化することが可能である。
カスケーディングバイパスシステムにおいては,購入者は,定格出力における再熱器前の高圧タービン
――――― [JIS B 8101 pdf 25] ―――――
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JIS B 8101:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60045-1:2020(MOD)
JIS B 8101:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.040 : ガス及び蒸気タービン.蒸気機関
JIS B 8101:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0127:2012
- 火力発電用語―蒸気タービン及び附属装置並びに地熱発電設備
- JISB0130:2019
- 火力発電用語―一般
- JISB8102:2012
- 蒸気タービン―受渡試験方法
- JISB8105:2004
- 蒸気タービン―受渡試験方法―改造時の性能確認
- JISB9700:2013
- 機械類の安全性―設計のための一般原則―リスクアセスメント及びリスク低減
- JISB9703:2019
- 機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
- JISB9960-1:2019
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様