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B 8815 : 2013
附属書D
(参考)
巻上機の特別アセスメント指針
D.1 一般
標準化した電気ホイスト,電気チェーンブロック,電動ウインチ(以下,巻上機という。)及びクレーン
サドルは分解して検査しても疲労蓄積の程度を推定することは困難であり,使用者が疲労寿命に関するリ
スク低減を図るためには,負荷の状態及び運転時間の履歴管理が大切である。この指針は標準形巻上機を
長期間安全に使用するため,リスクアセスメントの一環として行う巻上機の特別アセスメントについて記
載する。
この指針は,次の規格に準拠して量産される巻上機の特別アセスメントを実施する場合に適用する。
a) IS B 8813 電動ウインチ
b) IS B 8815 電気チェーンブロック
c) IS C 9620 電気ホイスト
なお,b)又はc)の巻上機に付随するクレーンサドルについては,その運転時間を巻上機の運転時間と同
等とみなして特別アセスメントを実施する。
D.2 用語及び定義
この附属書で用いる主な用語及び定義は,箇条3によるほか,次による。
D.2.1
特別アセスメント
巻上機の残存耐用時間がなくなる前に,巻上機の専門家による調査及び評価を行う行為。
D.2.2
オーバホール
巻上機を分解し,部品の損耗など異常の有無を確認し,修理して再組立及び調整を行う行為。
D.2.3
特別オーバホール
残存耐用時間が残り少なくなった巻上機を分解し,異常の有無にかかわらず,製造業者が指定する部品
(例えば,軸受,歯車,駆動軸など)を交換して再組立及び調整を行い,巻上機を再生させる行為。
D.2.4
専門家
使用された巻上機の調査及び評価を実施し,使用者へ報告書を提出し適切な助言ができる知見及び能力
をもつ技術者で,事業者(製造業者及び使用者)が認定した人。
D.3 巻上機の管理フロー及び特別アセスメント
巻上機の選定から廃棄までの管理フロー,及び専門家による特別アセスメントの関連フローチャートを
図D.1に示す。また,図中の“ステージ”について次に示す。
――――― [JIS B 8815 pdf 31] ―――――
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B 8815 : 2013
使用者の役割 専門家の役割
製造業者による情報提供
使用条件の設定
・つり上げ荷重の種類
・巻上/走行速度及び頻度 ・定格荷重,使用頻度
・巻上機等級の決定 ・総運転時間の資料
・巻上機の選定資料
(カタログなどに記載)
機種選定
ステージ 1
巻上機設置及び稼働
設備計画
運転状態の記録
残存耐用時間の記録
ステージ 2
残存耐用時間 Yes 設備管理
が1年未満
No
使用(又は特別
No Yes
オーバホール)後
10年目
専門家による
調査及び評価
ステージ 3
特別アセスメント 特別アセスメント
結果報告書
No 残存耐用時間
が1年未満
ステージ 4
Yes 使用者の経営判断
Yes 継続使用するか
安全対策の実施
No
廃棄
図D.1−管理フロー及び特別アセスメントの関連フローチャート
――――― [JIS B 8815 pdf 32] ―――――
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B 8815 : 2013
a) ステージ1 設備計画(特別アセスメントの前段階準備) 使用者は,巻上機を購入するときに用途,
荷重,速度,総運転時間,使用頻度,使用環境,等級などについてよく確認し,自らの責任で選定す
る。
b) ステージ2 設備管理(残存耐用時間の確認) 使用者は,個々の巻上機に定められている等級別の
総運転時間を活用し,運転状態の記録を基に残存耐用時間を求め,その残存耐用時間が1年未満にな
ったか,又は使用開始後10年を経過しているかを確認する。確認の結果,残存耐用時間が1年未満又
は使用開始後10年を経過する前に,使用者は専門家に特別アセスメントを依頼する。
c) ステージ3 特別アセスメント(専門家による調査及び評価) 専門家は,依頼された巻上機の特別
アセスメント(調査及び評価)を実施し,その調査した内容,評価の内容,及び必要な安全対策(特
別オーバホールなど)を“特別アセスメント結果報告書”にまとめ,使用者に報告する。
d) ステージ4 使用者の経営判断 使用者は,“特別アセスメント結果報告書”に基づいて,必要な処置
を行う。特別アセスメントの結果,残存耐用時間が1年以上であることが分かった場合は,次回の特
別アセスメントに向けてステージ2に戻る。
D.4 特別アセスメント結果に基づく適切な処置
特別アセスメントの結果,残存耐用時間が1年未満と判定されたとき,使用者は巻上機を継続して使用
するか否かを次のように決定する。
a) 継続使用する場合は,オーバホールではなく,特別オーバホールを実施する。特別オーバホールの実
施後は,使用条件の確認をし,その結果を基に新たな総運転時間を決定する。
b) 継続使用しない場合は,当該巻上機に識別をして使用を中止し,廃棄する。
D.5 専門家の要件
特別アセスメントを行う事業者(製造業者及び使用者)は,次の条件のいずれかを満たした人を専門家
として認め,その育成と管理を行う。
a) 巻上機の製造業者で巻上機の法規,機能,疲労に関する知見をもち,機械の稼働状態の良否に対して
公正・中立な判断ができ,使用者に適切な助言ができる能力がある人。
b) 巻上機製造業者の指定サービス会社で巻上機の法規,機能,疲労に関する知見をもち,機械の稼働状
態の良否に対して公正・中立な判断ができ,使用者に適切な助言ができる能力がある人で,製造業者
が専門家と認定した人。
c) 使用者の設備整備担当者などで,a)と同等の知見及び能力をもつ人。
なお,個人ではa) c)の全ての条件を満たさないが,チームとして複数名で条件を満たす場合も専門家
(専門チーム)と認められる。ただし,この場合はチームの責任者を明確にする。
D.6 特別アセスメントにおける専門家の実施事項
専門家は,次の項目を実施する。
a) 巻上機の使用履歴に関する調査
1) 年次点検及び交換部品の確認
2) 使用状況記録表の確認
3) 故障記録及び修理履歴の確認
――――― [JIS B 8815 pdf 33] ―――――
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b) 巻上機の使用環境の変化及び影響に関する調査
1) 特殊な使用環境の有無の確認
例 めっき浴槽周辺,高温,低温,高湿度など
2) 稼働操業状況の確認
例 1交代から,2交代,更に3交代又は逆に変化しているかなど
3) 積荷及び作業内容の変化の有無の確認
例 組立工場が倉庫になったなど
c) 巻上機の外観・異音調査
1) 外観調査による異常の確認
例 部品の摩耗,へたり,変形状態,がたつき,腐食など
2) 異音調査による異常の確認
d) 残存耐用時間の確認
1) 残存耐用時間の査定
巻上機の使用状況調査に基づき,使用者が行った残存耐用時間計算の査定をする。
2) 巻上機使用状況のモニタリング(必要に応じて)
カウンタ,アワーメータ,電流計などによって一定期間モニタリングする。
e) 特別アセスメント結果の報告
1) 結果の報告
巻上機の調査結果,及び残存耐用時間計算の査定結果を,使用者(設置責任者)に報告する。残
存耐用時間が1年未満になっているときは,特別オーバホール又は廃棄の時期にきていることを報
告する。
2) 使用者への提言(必要に応じて)
腐食の進行が著しく,強度的に無視できない異常が確認された場合などについて,別途修理の必
要性を提言する。
D.7 使用状況の記録
巻上機を設備したときからの使用状況の記録は,後日,特別アセスメントの時点で大切な資料となるの
で,使用者は記録をとり保管する。また,特別アセスメント結果報告書及び調査記録は巻上機を廃棄する
まで保管しておく。
参考文献 JIS B 8813 電動ウインチ
JIS B 8822-1:2001 クレーン及び巻上装置−分類及び等級 第1部 : 一般
JIS B 8832 巻上機−定格荷重
JIS C 4003 電気絶縁−熱的耐久性評価及び呼び方
JIS C 9620 電気ホイスト
JIS Z 2320-1 非破壊試験−磁粉探傷試験−第1部 : 一般通則
JIS Z 2343-1 非破壊試験−浸透探傷試験−第1部 : 一般通則 : 浸透探傷試験方法及び浸透指示
模様の分類
JIS B 8815:2013の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 8815:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0148:2006
- 巻上機―用語
- JISB2803:2007
- フック
- JISB8812:2004
- チェーンブロック用リンクチェーン
- JISB9960-32:2011
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第32部:巻上機械に対する要求事項
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC3301:2000
- ゴムコード
- JISC3306:2000
- ビニルコード
- JISC3312:2000
- 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
- JISC3327:2000
- 600Vゴムキャブタイヤケーブル
- JISC4034-1:1999
- 回転電気機械―第1部:定格及び特性
- JISC4034-5:1999
- 回転電気機械―第5部:外被構造による保護方式の分類