この規格ページの目次
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C 62282-3-200 : 2019
a) 測定対象の燃料電池発電システムが停止状態のときに,暗騒音レベルを測定する。
b) 燃料電池発電システムを,停止状態又は保管停止状態から起動する。
c) 電力出力を定格電力出力まで上昇させ,定格電力出力に到達後,30分間以上維持する。燃料電池発電
システムを,更に1時間以上,定格電力出力で継続運転する。
d) 最小電力出力運転が製造業者によって指定されており,ユーザが測定を希望する場合は,燃料電池発
電システムを最小電力出力に設定し,最小電力出力に到達後,30分間以上維持する。燃料電池発電シ
ステムを,更に1時間以上,最小電力出力で継続運転する。
e) 燃料電池発電システムを停止する。
f) 起動から停止までの騒音レベルを測定する。測定頻度は1秒間隔とする。読取値を,四捨五入によっ
て求めた整数(例えば,45.7を46とする。)に丸める。
g) 停止完了後に暗騒音レベルを測定し,起動前の暗騒音レベルと差がないことを確認する。
9.8.3 データ処理
データ処理は,次による。
a) 暗騒音レベルの影響を補正する。
b) 次の項目を,騒音レベル試験の代表値として報告書に記載する。
− 全ての運転工程中の騒音レベルの最大値及びこの最大値が得られた運転工程
− 1時間の定格電力出力での運転中の騒音レベルの平均値
− 1時間の最小電力出力での運転中の平均値[9.8.2 d)を実施した場合]
9.9 振動レベル試験
燃料電池発電システムによって発生する振動は,最大振動レベルを得るために,7.3.10によって,次の
運転順序(起動,定格電力出力から停止まで)を通して測定する。
試験は,試験当事者の合意に基づく部分負荷出力及び/又は最小電力出力の条件で実施することができ
る。
− 暗振動レベルは,燃料電池発電システムが運転状態にないときに測定する。
− 停止状態からの起動時の過渡変動期間中に,振動レベルを測定する。
− 電力出力を定格電力出力まで増加させて,振動レベルを測定する。
− 定格電力出力の定常状態に,振動レベルを測定する。
− 定格電力出力からの停止時の過渡変動期間中に,振動レベルを測定する。
− 燃料電池発電システムが,保管停止状態又は停止状態に到達するまでの停止時間中に,振動レベルを
測定する。
− 運転時の最大振動レベルを測定し,記録する。
− 燃料電池発電システムを運転していないときの暗振動レベルも測定し,記録する。
暗振動レベルは,暗振動レベルを測定する計測器の読取値の平均値とする。
最大振動レベルを得るために,暗振動レベルの補正を次の手順によって行う。
a) 記録した最大振動レベル(dB)と暗振動レベル(dB)との差を算出する。
b) 表5を用いて記録した最大振動レベルに対する補正値を算出する。
差が9 dBを超える(最大振動レベルが暗振動レベルと比べて9 dBより高い)場合は,補正の必要はな
い。
差が3 dB未満の場合,再現性のある測定をするには暗振動レベルが高すぎるため,暗振動レベルを低下
させなければならない。
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非常に低い振動レベルの燃料電池発電システムは,最大振動レベルが10 dB未満の場合もある。測定し
た最大振動レベルが10 dB未満の非常に低い振動レベルの燃料電池発電システムは,暗振動,を補正する
必要はない。
運転時の最大振動レベルと運転していないときの暗振動レベルとの差が3 dB以上,10 dB未満の場合は,
記録した最大振動レベルに対する補正値を算出するため,表5を用いる。
表5−振動レベルの補正値
記録値の差(dB) 3 4 5 6 7 8 9
補正値(dB) −3 −2 −2 −1 −1 −1 −1
注記1 10 dB以上の差があれば,暗振動レベルの有意な影響はなく,補正は不要である。
注記2 3 dB未満の差は,信頼性のある測定のためには,暗振動レベルが高すぎることを意味する。
9.10 排水水質試験
9.10.1 一般事項
この試験では,起動から定格電力出力を経過して,停止までの全ての運転工程を通して,燃料電池発電
システムからの排水の品質を測定する。
燃料電池発電システムからの排水の測定は,7.3.8及び表3によって行い,次の項目を決定する。
a) 排水の総容積
b) 排水の温度
c) H(水素イオン濃度)
d) 生物化学的酸素消費量(BOD),及び必要な場合は,化学的酸素消費量(COD)
e) 燃料電池発電システムから排出される可能性のある,規制の対象となっている物質の排出レベル
測定する排水には,回収熱出力として取り出す温水は含まない。
試験は,試験当事者間の合意に基づく部分負荷出力及び/又は最小電力出力の条件で実施することがで
きる。
9.10.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) 排水を採取する機器を設置し,燃料電池発電システムを起動する。
b) 起動から,3.5時間以上の定格電力出力を経過して停止するまでの間,排水を収集し,貯留する。
c) 9.10.1のa) e)の項目を測定する。
pH測定はJIS K 0102,BOD測定はISO 5815-2又はこれと同等の規格,COD測定はJIS K 0400-20-10を
参照する。
10 試験報告書
10.1 一般事項
試験報告書は,全ての試験の目的を達成したことを実証するために十分な情報を,正確,明確かつ客観
的に提供する。報告書は,箇条7で得られた全ての情報を記載する。概要報告書,詳細報告書及び全体報
告書の3種類の報告書が必要である。それぞれの種類の報告書には,同一の標題ページ及び目次を記載す
る。この規格に従って試験を実施した燃料電池発電システムの場合,概要報告書を利害関係者に提供でき
るようにしておく。
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10.2 標題ページ
標題ページには,次の情報を記載する。
a) 報告書の識別番号(任意)
b) 報告書の種類(概要報告書,詳細報告書又は全体報告書)
c) 報告書の作成者
d) 試験の実施機関
e) 報告書の日付
f) 試験の場所
g) 試験の名称
h) 試験の日付及び時刻
i) 燃料電池発電システムの識別コード及び製造業者名
10.3
pdf 目次
それぞれの報告書には,目次を付ける。
10.4 概要報告書
概要報告書には,次の情報を記載する。
a) 試験の目的
b) 試験,機器及び計測器の説明
c) 試験項目の順序及び日付,並びに試験結果
d) 各試験結果に付帯する不確かさ
e) 各試験結果に付帯する信頼性
f) 必要に応じて結論
10.5 詳細報告書
詳細報告書は,概要報告書の情報に加えて次の情報を記載する。
a) 燃料電池発電システムの種類,仕様及び運転装置構成,並びにシステム境界を示すプロセスフロー図
b) 機器及び計測器の構成,配置,並びに運転条件の説明
c) 計測器の校正結果
d) 計算方法の参照元
e) 結果の表形式及びグラフ形式での提示
f) 試験及びその結果の考察(すなわち,コメント及び所見)
10.6 全体報告書
全体報告書は,詳細報告書の情報に加えて,次の情報を記載する。
a) データシート原本の写し
b) データシート原本には,測定データに加えて,次の情報を記載する。
1) 試験を実施した日付及び時刻
2) 試験に用いた計測器の型式番号及び測定精度
3) 周囲の試験条件
4) 試験を実施した者の氏名及び資格
5) 全体及び詳細な不確かさ解析
6) 原燃料の分析結果
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附属書A
(規定)
不確かさ解析
A.1 一般事項
物理量の測定結果を報告する場合には,ユーザがその信頼性を評価できるように,結果の品質について
何らかの定量的指標を提供することが必須である。したがって,不確かさ解析は,燃料電池発電システム
の性能試験にとって不可欠である。不確かさは,試験前及び/又は試験後に解析できる。
試験前に不確かさ解析を行うことを推奨する。試験前の不確かさ解析は,試験の全体的な目的と整合す
る適切なレベルへ不確かさを減少させる,又は試験の不確かさを達成しつつ費用を低減するなど,試験を
実施する前に必要な是正措置が取れるようにする。
試験後の不確かさ解析は,必須である。試験後の不確かさ解析は,燃料電池発電システムの性能の不確
かさを決定するため,実験によって得られるデータを利用する。ここでの不確かさは,性能値(すなわち,
発電効率,熱回収効率など)で示す。
この附属書は,試験前及び試験後の不確かさの算出の指針を提供する。この規格のユーザは,適切な不
確かさ解析を達成するために,ISO/IEC Guide 98-3(GUM : 測定における不確かさの表現)を読み,理解
し,従わなければならない。
A.2 準備
燃料電池発電システムの性能(すなわち,発電効率など)の不確かさは,燃料電池発電システムの性能
などの様々なパラメータの不確かさによって算出することができる。
いずれのパラメータの測定値も,真の値と総合測定誤差との組合せである。総合測定誤差は,系統誤差
及び偶然誤差から成る。
パラメータの合成標準不確かさは,系統誤差及び偶然誤差に起因する不確かさの組合せである。
燃料電池発電システムの性能の不確かさを最小にするために,パラメータの系統不確かさ及び偶然不確
かさを最小化する。
この規格においては,計測器の精度(校正の不確かさ)が系統不確かさとして取り扱われることから,
系統不確かさを最小化するために,高い精度の計測器を推奨する。計測器の注意深い選定が必要である。
偶然不確かさを最小化するために,試験手順,試験条件,及びデータ収集方法を調べる。偶然不確かさ
は標準偏差の2倍(95 %信頼区間において2SD)と推定できる。性能試験を実施する前に注意深い試験計
画が必要である。
パラメータ測定は,可能な限り同時に行う。自動計測器を用いたデータ記録は,データセットの同時取
得を確実にするために役立つ。性能試験における試験条件は,定常状態とする。
測定の変動(短期及び長期両方の変動)及び定常状態の試験条件を,性能試験を実施する前の予備試験
によって確認する。定常状態は,8.1の規定による。試験継続期間は,長期パラメータ測定値の変動に従っ
て決定する。試験継続期間には,1回以上の長期変動サイクルを含める。
データの標準偏差を得るため,試験継続期間中に,いずれのパラメータも30以上の独立したデータセッ
トを測定する。それぞれのデータセットは,採取した測定値の平均値(すなわち,電圧の測定の場合)又
はデータ累積値を,測定時間(すなわち,原燃料流量の場合)によって除した値とする。
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データポイントの独立性を保つため,定常状態の測定ではデータセット同士の間に1分間以上の時間が
必要である。過渡変動測定については,可能な限り最高の精度を得るため,より頻繁なサンプリングを必
要とする場合がある。
A.3 基本的な前提条件
この附属書に示す指針は,ISO/IEC Guide 98-3に基づいている。ここに示す指針は,良好な試験方法(good
testing practice)と同様に,設計に整合する前提条件を用いて,燃料電池発電システムでの使用のために簡
素化している。
基本的な前提条件には,次を含む。
全ての系統不確かさの発生源は,正規分布であると想定し,95 %信頼区間において2σであると推定す
る。この規格において,統計的不確かさは,校正誤差又は計測器の精度を,Bと定義する。
全てのパラメータについて30以上の独立したデータポイントを取得する。独立したデータポイントが
30未満のパラメータが一つ又はそれ以上ある場合は,追加の計算が必要となる。この場合は,ISO/IEC
Guide 98-3を参照する。
全ての偶然不確かさの発生源は,正規分布であると想定し,95 % 信頼区間において測定値の 2Sであ
x
ると推定する。
合成標準不確かさU95は,式(A.1)によって,系統不確かさBと測定値の偶然不確かさ Sを合成すること
x
で得られる。
1/ 2
U95 B2 2(Sx ) 2 (A.1)
式(A.1)は式(A.2)と等しい。
1/ 2
U95 (Sx ) 2
2 (B/2 ) 2 (A.2)
A.4 一般的な手法
次に具体的な計算手順を示す。
a) 測定過程を定義する。
1) 試験の目的及び試験継続期間を検討する。
必要な場合は,試験継続期間を決定するための予備試験を実施する。
2) 全ての独立した測定パラメータ及びこれに係る公称値を列記する。
3) それぞれのパラメータに影響を与える全ての校正及び計測器の設定を列記する。複数の測定に同時
に影響する測定システムコンポーネントにおける不確かさ(相関する不確かさ)を必ず確認する。
4) 独立した測定パラメータと試験結果との間の関数関係を定義する(この規格に規定する燃料電池発
電システムの性能の計算式を定義する。)。
b) 一次誤差の発生源を列記する。全てのパラメータについて可能性のある,試験の不確かさ発生源を全
て網羅した完全なものにする。
c) 各パラメータについて,絶対系統不確かさ及び絶対偶然不確かさを算出するか,又は割り当てる。
1) 絶対系統不確かさ(Bi)は,校正の精度を各パラメータの公称値で乗じて算出する。
2) 絶対偶然不確かさ(2Sxi)は,パラメータの標準偏差の2倍とする。
d) 各パラメータについて,系統不確かさ及び偶然不確かさを伝ぱさせる。
――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 50] ―――――
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JIS C 62282-3-200:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62282-3-200:2015(MOD)
JIS C 62282-3-200:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.070 : 燃料電池
JIS C 62282-3-200:2019の関連規格と引用規格一覧
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- ガスタービン―排気排出物―第1部:測定及び評価
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- ガスタービン―排気排出物―第2部:排出物の自動監視
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- 電気・電子計測器の性能表示
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- 交流及び直流入力トランスデューサ
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- 交流電子式電力量計―超特別精密電力量計及び特別精密電力量計―第1部:一般仕様
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- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JISC1509-2:2018
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
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- 電磁両立性―第4-7部:試験及び測定技術―電力供給システム及びこれに接続する機器のための高調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針
- JISC62282-3-201:2019
- 燃料電池技術―第3-201部:定置用燃料電池発電システム―小形定置用燃料電池発電システムの性能試験方法
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- 燃料電池発電用語
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- 原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
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- JISZ8733:2000
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