JIS C 62282-3-200:2019 燃料電池技術―第3-200部:定置用燃料電池発電システム―性能試験方法 | ページ 9

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C 62282-3-200 : 2019
b) 熱出力を最小熱出力まで下降させるための制御信号を燃料電池発電システムの制御装置へ送る。
c) 制御信号によって,熱出力を下降させる。
d) 最小熱出力に到達するまでの所要時間を,9.3.2.2に示す判定基準によって測定する。
9.3.5.2.3 応答時間の計算
熱出力の上昇応答時間及び熱出力の下降応答時間を,図4及び図5を参照して,式(40)及び式(41)によっ
て算出する。
tup=tattain-rated−tini (40)
tdown=tattain-min−tini (41)
ここに, tup : 熱出力の上昇応答時間(s)
tdown : 熱出力の下降応答時間(s)
tini : 熱出力の変更を,ユーザが開始する時刻
tattain-rated : 所定の許容範囲内で定格熱出力に到達する時刻
tattain-min : 所定の許容範囲内で最小熱出力に到達する時刻

9.4 起動特性試験及び停止特性試験

9.4.1  一般事項
この試験では,起動時間及び停止時間,並びに起動エネルギーを測定し,起動時間中及び停止時間中の
燃料電池発電システムの動作特性を把握する。
9.4.2 起動特性の試験方法
起動特性の試験方法は,次による。
a) 試験を開始する前に,燃料電池発電システムを48時間以上,停止状態又は保管停止状態に保つ。
b) 試験を開始する。起動時間中のエネルギー入力,エネルギー出力及び正味電力出力を測定する。A.2
及びA.3によって,測定間隔を選定する。測定は,効率試験(9.2)に規定する方法と同じ方法を用い
る。
c) 定格正味電力出力に向けての起動操作を開始し,起動動作の開始時刻tst1を記録する(図6参照)。
d) 起動動作の完了時刻tst2を記録する(図6参照)。
注記1 起動動作の開始時刻は,起動ボタンを押した時刻又は起動信号が送られた時刻である。
注記2 起動動作の完了時刻は,正味電力出力が正になった時刻である。
l
eu
otP en
i
l)
tst1 tst2
P
(
力出力
正味電
時間
停止状態からの起動 保管停止状態からの起動
記号
Δtst起動時間(s)
tst1 起動動作の開始時刻
tst2 起動動作の完了時刻
図6−起動時の電力チャート例

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 41] ―――――

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9.4.3 停止特性の試験方法
停止特性の試験方法は,次による。
a) 試験を開始する前に,燃料電池発電システムを,30分間以上,定格電力出力で運転する。
b) 試験を開始する。停止動作を開始し,停止動作の開始時刻tshut1を記録する(図7参照)。
c) 停止動作の完了時刻tshut2を記録する(図7参照)。
注記1 停止動作の開始時刻は,停止ボタンを押した時刻又は停止信号が送られた時刻である。
注記2 停止動作の完了時刻は,燃料電池発電システムの正味電力出力が,保管停止状態における正
味電力出力の150 %範囲内で,正味電力出力に再び戻った時刻である。
保管停止状態における正味電力出力は,燃料電池発電システムの起動動作を開始する直前の正味電力出
力である。必要に応じて,試験を開始する前に保管停止状態における燃料電池発電システムの正味電力出
力を確認する。
力(P
正味o
l
eu
電力出P
t l
en
i)
時間
tshut1 tshut2
記号
Δtshut 停止時間(s)
tshut1 停止動作の開始時刻
tshut2 停止動作の完了時刻
図7−停止時の電力チャート例
9.4.4 起動時間の計算
起動時間は,式(42)によって算出する(図6参照)。
Δtst=tst2−tst1 (42)
ここに, Δtst : 起動時間(s)
tst1 : 起動動作の開始時刻
tst2 : 起動動作の完了時刻
9.4.5 停止時間の計算
停止時間は,式(43)によって算出する(図7参照)。
Δtshut=tshut2−tshut1 (43)
ここに, Δtshut : 停止時間(s)
tshut1 : 停止動作の開始時刻
tshut2 : 停止動作の完了時刻
9.4.6 異なる形態の起動エネルギーの計算
起動時間中のエネルギー入力及びエネルギー出力は,効率試験(9.2)に規定する方法と同じ方法を用い

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 42] ―――――

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て算出する。次の形態[電気,原燃料,熱,酸化剤(空気)及び軸動力]の起動エネルギーを算出し,記
録する。
a) 電気起動エネルギーの計算 電力出力は,起動特性試験中に測定する。起動時間中の正味電力出力は,
9.2.4.1.2によって算出する。
電気起動エネルギーは,式(44)によって算出する。
Eelst=Pn・Δtst (44)
ここに, Eelst : 電気起動エネルギー(kJ)
Pn : 平均正味電力出力(kW)
Δtst : 起動時間(s)
b) 原燃料起動エネルギーの計算 原燃料入力は,起動特性試験中に測定する。起動時間中の原燃料の平
均熱流量入力は,9.2.3.1.2によって算出する。
原燃料起動エネルギーは,式(45)によって算出する。
Efst=Pfin・Δtst (45)
ここに, Efst : 原燃料起動エネルギー(kJ)
Pfin : 原燃料の平均熱流量入力(kJ/s)
Δtst : 起動時間(s)
c) 熱起動エネルギーの計算 外部熱エネルギー入力及び回収熱エネルギー出力は,起動特性試験中に測
定する。起動時間中の外部熱エネルギー入力は,9.2.3.2.1によって算出する。起動時間中の回収熱エ
ネルギー出力は,9.2.4.2によって算出する。
熱起動エネルギーは,式(46)によって算出する。
Qthst=Qthin−QHR (46)
ここに, Qthst : 熱起動エネルギー(kJ)
Qthin : 総外部熱エネルギー入力(kJ)
QHR : 回収熱エネルギー出力(kJ)
d) 酸化剤(空気)起動エネルギーの計算 酸化剤(空気)入力は,起動特性試験中に測定する。起動時
間中の酸化剤(空気)の平均熱流量入力は,9.2.3.3.2によって算出する。
酸化剤(空気)起動エネルギーは,式(47)によって算出する。
East=Pain・Δtst (47)
ここに, East : 酸化剤(空気)起動エネルギー(kJ)
Pain : 酸化剤(空気)の平均熱流量入力(kJ/s)
Δtst : 起動時間(s)
e) 軸動力起動エネルギーの計算 軸動力エネルギーは,起動特性試験中に測定する。起動時間中の軸動
力起動エネルギーは,9.2.3.5.1によって算出する。
軸動力起動エネルギーWsstは,起動時間中の軸動力エネルギー入力Wsinに等しい。
9.4.7 起動エネルギーの計算
異なる形態のエネルギーの合計である起動エネルギーを,算出し,記録する。
起動エネルギーは,式(48)によって算出する。
Est=Eelst+Efst+Qthst+East+Wsst (48)
ここに, Est : 起動エネルギー(kJ)
Eelst : 電気起動エネルギー(kJ)
Efst : 原燃料起動エネルギー(kJ)
Qthst : 熱起動エネルギー(kJ)
East : 酸化剤(空気)起動エネルギー(kJ)
Wsst : 軸動力起動エネルギー(kJ)

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 43] ―――――

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9.5 パージガス消費流量試験

9.5.1  一般事項
外部からパージガスが供給される場合,パージガスの消費流量qVpg(m3/s)は,7.3.4に従って測定する。
パージガス消費流量の測定を,次の全ての条件で実施する。
a) 停止状態又は保管停止状態
b) 起動
c) 通常停止
d) 緊急停止
9.5.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) 停止状態又は保管停止状態の測定 通常停止又は緊急停止手順が完了した後における,1時間当たり
に用いたパージガス量を測定し,保管停止状態又は停止状態においても測定を継続する。
b) 起動中の測定 起動手順を開始した時点から起動が完了する時点までに用いたパージガス量を測定す
る。
c) 通常停止中の測定 通常停止手順を開始した時点から停止が完了する時点までに用いたパージガス量
を測定する。
d) 緊急停止中の測定 緊急停止手順を開始した時点から停止が完了する時点までに用いたパージガス量
を測定する。

9.6 水消費流量試験(任意)

9.6.1  一般事項
水の消費流量qmw(kg/s)は,試験当事者間の合意に基づく定格電力出力で測定する。
試験は,試験当事者間の合意に基づく部分負荷出力及び/又は最小電力出力の条件で実施することがで
きる。
9.6.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) 燃料電池発電システムが水リザーバタンクをもつ場合は,水リザーバタンクをう(迂)回するか,又
は水リザーバタンクを燃料電池発電システムから外す。
b) 水の消費流量又は水の総消費量を,7.3.6に従って,定格電力出力での運転中に測定する。水の流量を
測定する場合,水の総消費量は,試験継続期間にわたって,水の消費流量を積分することによって得
られる。
c) 水の平均消費流量(kg/s)は,水の総消費量(kg)を試験継続期間(s)で除して算出する。

9.7 排ガス排出試験

9.7.1  一般事項
この試験は,燃料電池発電システムから排出される排ガスの温度及び各成分の濃度を測定する。起動か
ら定格電力出力,更に停止までの各運転工程で,各成分の質量濃度及び人の健康に有害な成分の排出量を
算出する。二酸化炭素(CO2)及び酸素(O2)は,計算に必要なため測定する。
排出量を測定する有害成分は,次による。
− 一酸化炭素(CO)
− 窒素酸化物(NOX)
− 二酸化硫黄(SO2)

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 44] ―――――

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− 全炭化水素(THC)
原燃料によっては,明らかに排ガス中に含まれない成分(例えば,純水素の場合のTHC)の測定を省略
することができる。
試験は,試験当事者間の合意に基づく部分負荷出力及び/又は最小電力出力の条件で実施することがで
きる。
9.7.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) 燃料電池発電システムを,停止状態又は保管停止状態から起動し,電力出力を定格電力出力まで上昇
させ,定格電力出力に到達後,30分間以上維持する。
b) 燃料電池発電システムを,更に1時間以上,定格電力出力で継続運転し,停止する。
c) 排ガス中の各成分の濃度(体積%又はml/m)を,7.3.7によって測定する。同時に起動から停止まで
の間,原燃料の流量(体積流量又は質量流量),圧力及び温度を,7.3.2.2に従って測定する。データ取
得間隔は,試験当事者間で合意した取得間隔がない場合は,1分間以下とする。
9.7.3 排出濃度のデータ処理
試験(起動から停止まで)を通して収集した濃度データから,次のデータを特定し,報告書に記載する。
a) 起動時間中の各成分のピーク濃度
b) 停止時間中の各成分のピーク濃度
各成分の測定濃度を,乾燥排ガス中の酸素(O2)の測定濃度を用いて,理論乾燥燃焼条件における濃度
に補正する。補正方法は,JIS C 62282-3-201による。
9.7.4 平均排出質量流量の算出
定格電力出力における各成分の平均排出質量流量を,排出濃度データ及び排出量データを用いて算出す
る。算出方法は,JIS C 62282-3-201による。
9.7.5 質量濃度の算出
定格電力出力における各成分の質量濃度を,排出濃度データを用いて算出する。算出方法は,JIS C
62282-3-201による。

9.8 騒音レベル試験

9.8.1  一般事項
この試験では,燃料電池発電システムによって発生する騒音を,最大値を得るために,7.3.9及び表3に
よって,運転順序(起動から停止まで)を通して測定する。
試験に先立って,次のパラメータを決定する。
a) 燃料電池発電システムのエンクロージャからの距離
b) 測定ポイント数
c) 暗騒音の影響
騒音レベルは,試験当事者間で合意した位置及び距離で測定する。
暗騒音レベルの補正は,JIS Z 8733によって行う。暗騒音レベルは,騒音計の読取値の平均値とする。
マイクロホン又は音源の近くに大きな反射物体がある場合は,反射物体からの反射音が音源の音に加わ
るため,測定誤差が発生する。反射音を発生する可能性のある物体は,測定前に可能な限り排除しておく
ことが望ましい。測定条件によってこれが不可能な場合は,その旨を試験報告書に記載する。
9.8.2 試験方法
試験方法は,次による。

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 45] ―――――

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JIS C 62282-3-200:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62282-3-200:2015(MOD)

JIS C 62282-3-200:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 62282-3-200:2019の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7981:2002
排ガス中の二酸化硫黄自動計測システム及び自動計測器
JISB7982:2002
排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器
JISB8043-1:2000
ガスタービン―排気排出物―第1部:測定及び評価
JISB8043-2:2000
ガスタービン―排気排出物―第2部:排出物の自動監視
JISC1005:2006
電気・電子計測器の性能表示
JISC1111:2019
交流及び直流入力トランスデューサ
JISC1272-1:2011
交流電子式電力量計―超特別精密電力量計及び特別精密電力量計―第1部:一般仕様
JISC1509-1:2017
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
JISC1509-2:2018
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
JISC61000-4-7:2007
電磁両立性―第4-7部:試験及び測定技術―電力供給システム及びこれに接続する機器のための高調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針
JISC62282-3-201:2019
燃料電池技術―第3-201部:定置用燃料電池発電システム―小形定置用燃料電池発電システムの性能試験方法
JISC8800:2008
燃料電池発電用語
JISK0095:1999
排ガス試料採取方法
JISK0102:2016
工場排水試験方法
JISK0103:2011
排ガス中の硫黄酸化物分析方法
JISK0104:2011
排ガス中の窒素酸化物分析方法
JISK0400-20-10:1999
水質―化学的酸素消費量の測定
JISK2279:2003
原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
JISK2301:2011
燃料ガス及び天然ガス―分析・試験方法
JISZ8733:2000
音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法―反射面上の準自由音場における実用測定方法
JISZ8762:1995
絞り機構による流量測定方法