JIS C 62282-3-200:2019 燃料電池技術―第3-200部:定置用燃料電池発電システム―性能試験方法 | ページ 8

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9.2.4.1.2 平均正味電力出力
外部電源から供給される補助電力入力がある場合は,この電力を,平均正味電力出力から減ずる。発電
効率の算出に用いる平均正味電力出力Pn(kW)は,式(30)によって算出する。
Pn=Pelout−Pelin (30)
ここに, Pn : 平均正味電力出力(kW)
Pelout : 平均電力出力(kW)(9.2.4.1.1による。)
Pelin : 平均補助電力入力(kW)(9.2.3.4による。)
9.2.4.2 平均回収熱出力
平均回収熱出力PHR(kJ/s)は,熱回収流体の体積流量又は質量流量のいずれかを用いて,次の手順によ
って算出する。
a) 体積流量を用いる場合
1) 回収熱エネルギー出力QHR(kJ)は,式(31)によって算出する。
QHR [(THR1 THR2 ) VHR HR tdurcHR ] (31)
ここに, QHR : 試験継続期間中の回収熱エネルギー出力(kJ)
Σ : 瞬間的測定値の総和
THR1 : 熱回収流体の出口温度(K)
THR2 : 熱回収流体の入口温度(K)
qVHR : 熱回収流体の平均体積流量(m3/s)
ρHR : 測定圧力及び測定温度における熱回収流体の密度(kg/m3)
cHR : 熱回収流体の比熱[kJ/(kg・K)]
tdur : 測定時間(s)[9.2.2.1 c)を参照]
熱回収流体が混合物の場合は,組成分析を行い,混合物の比熱を,式(32)によって算出する。熱
回収流体の比熱が分かっている場合は,比熱の測定及び組成分析を省略してもよい。
cHR (xj cj )

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                      ここに, cHR :  熱回収流体の比熱[kJ/(kg・K)]
cj : 熱回収流体の成分jの比熱[kJ/(kg・K)]
xj : 成分jのモル比
2) 平均回収熱出力PHR(kJ/s)は,回収熱エネルギー出力QHR(kJ)を試験継続期間(s)で除して算出
する。
b) 質量流量を用いる場合
1) 熱回収流体の流量を質量で測定する場合,試験継続期間中の回収熱エネルギー出力QHR(kJ)は,
式(33)によって算出する。
QHR [(THR1 THR2 ) mHRtdurcHR ] (33)
ここに, QHR : 試験継続期間中の回収熱エネルギー出力(kJ)
Σ : 瞬間的測定値の総和
THR1 : 熱回収流体の出口温度(K)
THR2 : 熱回収流体の入口温度(K)
qmHR : 熱回収流体の質量流量(kg/s)
cHR : 熱回収流体の比熱[kJ/(kg・K)]
tdur : 測定時間(s)[9.2.2.1 c)を参照]
2) 平均回収熱出力PHR(kJ/s)は,回収熱エネルギー出力QHR(kJ)を試験継続期間(s)で除して算出

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 36] ―――――

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する。
9.2.5 廃熱試験
平均廃熱流量ΦWH(kJ/s)は,定格電力出力,部分負荷出力及び最小電力出力において測定した入出力
値から9.2に規定する算出方法及び式(34)によって算出する。
ΦWH=Pin−Pn−PHR (34)
ここに, ΦWH : 平均廃熱流量(kJ/s)
Pin : 平均総動力入力(kJ/s)(9.2.3.6による。)
Pn : 平均正味電力出力(kW)(9.2.4.1.2による。)
PHR : 平均回収熱出力(kJ/s)(9.2.4.2による。)
9.2.6 効率計算
9.2.6.1 一般事項
原燃料の発熱量入力が高位発熱量(HHV)によって算出されている場合は,4.3を参照する。
9.2.6.2 発電効率の計算
発電効率ηel(%)は,平均正味電力出力Pn(kW)を平均総動力入力Pin(kJ/s)で除して,式(35)によっ
て算出する。
n
η
el 100 (35)
in
ここに, ηel : 発電効率(%)
Pn : 平均正味電力出力(kW)(9.2.4.1.2による。)
Pin : 平均総動力入力(kJ/s)(9.2.3.6による。)
9.2.6.3 熱回収効率の計算
熱回収効率ηth(%)は,平均回収熱出力PHR(kJ/s)を平均総動力入力Pin(kJ/s)で除して,式(36)によ
って算出する。
PHR
ηth 100 (36)
in
ここに, ηth : 熱回収効率(%)
PHR : 平均回収熱出力(kJ/s)(9.2.4.2による。)
Pin : 平均総動力入力(kJ/s)(9.2.3.6 による。)
9.2.6.4 総合エネルギー効率
総合エネルギー効率ηtotal(%)は,式(37)によって算出する。
ηtotal=ηel+ηth (37)
ここに, ηtotal : 総合エネルギー効率(%)
ηel : 発電効率(%)
ηth : 熱回収効率(%)

9.3 電力出力応答特性試験及び熱出力応答特性試験

9.3.1  一般事項
この試験は,電力出力又は熱出力の変更を開始した時点から,電力出力又は熱出力が所定の許容範囲内
で定常状態の設定値に到達した時点までの継続期間として定義される出力応答時間を測定する。
応答時間は,“最小電力出力から定格電力出力まで”及び“定格電力出力から最小電力出力まで”の両方
の時間を測定する。図4に,応答時間のパターン及び応答時間の計算に用いる記号を示す。
定格電力出力又は最小電力出力の許容範囲内に到達する判定基準を9.3.2に規定する。電力出力応答時間
の試験方法を9.3.4に,熱出力応答時間の試験方法を9.3.5に,それぞれ規定する。

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 37] ―――――

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定格電力出力 定格電力出力
出力上昇
正味電力出力又は熱出力
出力下降
最小電力出力 最小電力出力
tup tdown
tini tattain-rated tini tattain-min
時間
記号
tini 正味電力出力又は熱出力の変更を,ユーザが開始した時刻
tattain-rated 燃料電池発電システムが,所定の許容範囲内で,定格正味電力出力又は定格熱出力に到達する時刻
tattain-min 燃料電池発電システムが,所定の許容範囲内で,最小正味電力出力又は最小熱出力に到達する時刻
tup 上昇応答時間(tiniからtattain-ratedに到達するまでの時間)(s)
tdown 下降応答時間(tiniからtattain-minに到達するまでの時間)(s)
図4−正味電力出力及び熱出力の応答時間
9.3.2 定常状態の設定値への到達基準
9.3.2.1 電力出力
電力出力が,定常状態の設定値に到達する時刻は,正味電力出力が定格正味電力出力の±2 %の範囲内
で安定した時刻とする。
燃料電池発電システムが,定格正味電力出力の±2 %の範囲内で安定しない場合は,定格正味電力出力
の許容範囲を±2 %より大きくしてもよい。この場合は,その旨を報告書に記載する。
定格正味電力出力又は最小正味電力出力に到達するまでの時間とは,正味電力出力がそれぞれの安定領
域に到達した最初の時点を指す。図4の“tattain-rated”及び“tattain-min”の要点を図5に示す。

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 38] ―――――

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tattain-rated
定格正味電力出力の+2 %
又は定格熱出力の+10 %
定格正味電力出力
又は定格熱出力
定格正味電力出力の−2 %
又は定格熱出力の−10 %
tattain-rated
又は熱出力
電力出力
定格正味電力出力の+2 %
又は定格熱出力の+10 %
最小正味電力出力
又は最小熱出力
定格正味電力出力の−2 %
又は定格熱出力の−10 %
時間 tattain-min
記号は,図4と同じである。
波形は,異なる特性であってもよい。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
図5−正味電力出力及び熱出力が,定常状態の設定値に到達するまでの応答時間の例
9.3.2.2 熱出力
熱出力が,定常状態の設定値に到達する時刻は,熱出力が定格熱出力の±10 %の範囲内で安定した時刻
とする。
注記 熱管理システムは,大きな熱容量をもつため,熱出力は,電力出力以上に変動する。
熱出力における“tattain-rated”及び“tattain-min”は,電力出力と同様に,図5に示す。
9.3.3 電力出力の応答時間試験
9.3.3.1 一般事項
この試験は,主に電力出力を制御するように設計した燃料電池発電システム,又は電力出力を主とする
モードで運転可能な燃料電池発電システムに適用する。
電力出力の応答時間は,9.3.3.2に従って電力出力の過渡変動運転期間中に測定する。最小電力出力及び
定格電力出力は,製造業者が指定する。
注記 グリッドから独立して運転するよう設計された燃料電池発電システムの,許容可能な最大瞬間
電力出力過渡変動は,附属書Dを参照する。
系統独立燃料電池発電システム及び系統連系燃料電池発電システムの試験方法は,同じである。系統連
系燃料電池発電システムの場合,出力パラメータ(周波数,電圧など)は,試験継続期間中において,我
が国の規制に従った基準の範囲内とする。
電力出力は,7.3.1によって,試験期間中,継続的に測定する。
9.3.3.2 試験方法
9.3.3.2.1 電力出力の上昇応答
電力出力の上昇応答の測定は,次の手順による。
a) 燃料電池発電システムが,最小正味電力出力において定常運転状態にあることを確認する。
b) 電力出力を定格正味電力出力まで上昇させるための制御信号を燃料電池発電システムの制御装置へ送

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 39] ―――――

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る。
c) この制御信号によって,正味電力出力を上昇させる。
d) 電力出力変更の開始時刻(tini)から,定格正味電力出力に到達する時刻(tattain-rated)までの時間を,9.3.2.1
に示す判定基準によって測定する。
9.3.3.2.2 電力出力の下降応答
電力出力の下降応答の測定は,次の手順による。
a) 燃料電池発電システムが,定格正味電力出力において定常運転状態にあることを確認する。
b) 電力出力を最小正味電力出力まで下降させるための制御信号を燃料電池発電システムの制御装置へ送
る。
c) この制御信号によって,正味電力出力を下降させる。
d) 最小正味電力出力に到達するまでの所要時間を,9.3.2.1に示す手順によって測定する。
9.3.3.3 応答時間の計算
電力出力の上昇応答時間及び電力出力の下降応答時間は,図4及び図5を参照して,式(38)及び式(39)
によって算出する。
tup=tattain-rated−tini (38)
tdown=tattain-min−tini (39)
ここに, tup : 電力出力の上昇応答時間(s)
tdown : 電力出力の下降応答時間(s)
tini : 正味電力出力の変更を,ユーザが開始する時刻
tattain-rated : 所定の許容範囲内で定格正味電力出力に到達する時刻
tattain-min : 所定の許容範囲内で最小正味電力出力に到達する時刻
9.3.4 定格正味電力出力の90 %応答時間(任意)
任意試験として,定格正味電力出力の90 %に到達するまでの時間を,追加測定する。この測定は,“定
格正味電力出力の90 %から100 %に到達するまでの時間”が,“最小正味電力出力から定格正味電力出力
の90 %に到達するまでの時間”に比べて長い場合に,有用である。
9.3.5 熱出力の応答時間試験
9.3.5.1 一般事項
この試験は,主に熱出力を制御するように設計した燃料電池発電システム,又は熱出力を主とするモー
ドで運転可能な燃料電池発電システムに適用する。
熱出力の応答時間は,9.3.5.2に従って熱出力の過渡変動運転期間中に測定する。
熱出力は,7.3.3によって,試験期間中,継続的に測定する。
9.3.5.2 試験方法
9.3.5.2.1 熱出力の上昇応答
熱出力の上昇応答の測定は,次の手順による。
a) 燃料電池発電システムが,最小熱出力において定常運転状態にあることを確認する。
b) 熱出力を定格熱出力まで上昇させるための制御信号を燃料電池発電システムの制御装置へ送る。
c) 制御信号によって,熱出力を上昇させる。
d) 定格熱出力に到達するまでの所要時間を,9.3.2.2に示す判定基準によって測定する。
9.3.5.2.2 熱出力の下降応答
熱出力の下降応答の測定は,次の手順による。
a) 燃料電池発電システムが,定格熱出力において定常運転状態にあることを確認する。

――――― [JIS C 62282-3-200 pdf 40] ―――――

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JIS C 62282-3-200:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62282-3-200:2015(MOD)

JIS C 62282-3-200:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 62282-3-200:2019の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7981:2002
排ガス中の二酸化硫黄自動計測システム及び自動計測器
JISB7982:2002
排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器
JISB8043-1:2000
ガスタービン―排気排出物―第1部:測定及び評価
JISB8043-2:2000
ガスタービン―排気排出物―第2部:排出物の自動監視
JISC1005:2006
電気・電子計測器の性能表示
JISC1111:2019
交流及び直流入力トランスデューサ
JISC1272-1:2011
交流電子式電力量計―超特別精密電力量計及び特別精密電力量計―第1部:一般仕様
JISC1509-1:2017
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
JISC1509-2:2018
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
JISC61000-4-7:2007
電磁両立性―第4-7部:試験及び測定技術―電力供給システム及びこれに接続する機器のための高調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針
JISC62282-3-201:2019
燃料電池技術―第3-201部:定置用燃料電池発電システム―小形定置用燃料電池発電システムの性能試験方法
JISC8800:2008
燃料電池発電用語
JISK0095:1999
排ガス試料採取方法
JISK0102:2016
工場排水試験方法
JISK0103:2011
排ガス中の硫黄酸化物分析方法
JISK0104:2011
排ガス中の窒素酸化物分析方法
JISK0400-20-10:1999
水質―化学的酸素消費量の測定
JISK2279:2003
原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
JISK2301:2011
燃料ガス及び天然ガス―分析・試験方法
JISZ8733:2000
音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法―反射面上の準自由音場における実用測定方法
JISZ8762:1995
絞り機構による流量測定方法