JIS E 7106:2018 鉄道車両―旅客車用構体―設計通則 | ページ 2

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表1−構体強度に関する主な評価項目,並びに関連する細分箇条及び該当する荷重試験の項目
構体強度 関連する 該当する
細分箇条 JIS E 7105の
要求 評価項目 荷重 結果の 荷重試験の項目
事項 条件 評価
静的 構体に加わる垂直荷重 5.3.1 4.6 垂直荷重試験
強度 構体に加わる 連結器取付部に作用する圧縮荷重 5.3.2 車端圧縮荷重試験
車端前後荷重 連結器取付部に作用する引張荷重 a) −
構体に加わる垂直荷重と車端前後荷重との組合せ 5.3.2 垂直荷重試験
b) 車端圧縮荷重試験
ジャッキで車体を持ち上げるときに構体に加わるねじり荷重 5.3.3 三点支持試験
機器の質量によって構体の機器取付部に加わる荷重 5.3.4 −
疲労 運行中の構体に加わるねじり荷重 5.4.1 4.7 ねじり荷重試験
強度 構体の機器取付部に加 走行中の振動加速度によって生じる疲労荷重5.4.2.1

わる疲労荷重 動作振動加速度によって生じる繰返し荷重 5.4.2.2
5.4.3
車体と台車とを接続する部品を取り付ける構体の部材に加わる疲労荷重 −
ダンパを取り付ける構体の部材に加わる疲労荷重 5.4.4 −
気密荷重の変動によって構体に加わる疲労荷重 5.4.5 気密強度試験
積載荷重の変動によって構体に加わる疲労荷重 5.4.6 垂直荷重試験
剛性 曲げ剛性及び曲げ固有振動数 4.8 曲げ固有振動数
JIS E
測定試験
7105
ねじり剛性及びねじり固有振動数 ねじり固有振動数
による
測定試験
その 5.5
クレーンなどを用いて,車両を持ち上げて移動するときに構体に加わる荷重 4.9

4.4 強度計算

  設計・製作者は,強度評価の目的に沿った最適な計算方法を採用して,その荷重条件及び計算結果の評
価方法について発注者と協定する。強度評価に用いる荷重条件は,表1及び関連する箇条5の細分箇条を
適用する。

4.5 荷重試験

  設計・製作者は,計算結果が妥当であることを荷重試験によって証明する必要があるが,次の考え方に
基づいて,荷重試験の実施の有無を決める。ただし,新設計の構体が既存車両の構体と同等の構造である
かの判断は,受渡当事者間の協定による。荷重試験を実施する場合は,附属書Dによる。
a) 既存車両と異なる構造をもつ新設計の構体 既存車両と異なる形状及び/又は構造をもつ新設計の
構体は,発注仕様書又は発注者との協定で定める強度及び剛性をもっていることを確認するため,設
計・製作者は,荷重試験を行う。
b) 同等の構造をもつ既存車両の荷重試験による検証データが利用できる場合 新設計の構体と同等の
構造をもつ既存車両の荷重試験で得られた検証データが利用できる場合,既存車両におけるその検証
データと計算で得られたデータとの相関関係が確認できれば,受渡当事者間の協定によって荷重試験
を省略できる。

4.6 静的強度の評価

  箇条6の材料を用いた構体の静的強度は,材料の降伏点又は耐力の値と箇条5の荷重条件によって得ら
れる構体に生じる応力とを比較して評価する。計算だけで評価する場合は,安全率を用いて,式(1)を満足
することを確認する。計算に用いる安全率の値は,受渡当事者間の協定による。荷重試験を併用する場合

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の静的強度の評価は,D.2.1による。
S
R≧ S (1)
ここに, σS : 材料の降伏点又は耐力の値
R : 計算から得られる応力
S : 安全率

4.7 疲労強度の評価

  設計・製作者は,疲労荷重に対する構体の強度について,計算又は荷重試験から得られた構体に生じる
応力並びに次の項目などを基に評価を行い,その評価方法及び結果について発注者と協定する。
a) 繰返し数 疲労強度を評価する際に用いる繰返し数は,列車の走行する軌道の条件,作用頻度,運転
耐用期間などによって異なるため,発注者と設計・製作者とは,その値を協定して評価を行う。
b) 材料の疲れ強さ 構体に使用する材料の疲れ強さの考え方は,材料の種類,部材の形状及び寸法,表
面仕上げ,外的要因などによって異なってくるため,設計・製作者は,強度の判定に適用するS-N曲
線及び疲れ限度の根拠,疲れ寿命の考え方,疲れ強さの評価方法などについて,発注者と協定する。
c) 構体の疲労強度の評価の要求がない場合 発注者から構体の疲労強度の評価の要求がない場合,受渡
当事者間の協定によって,表3の垂直荷重の荷重条件で,算出する構体の最大応力又は荷重試験の結
果が必要な強度を満足することで,構体に必要とする疲労強度が確保されているとみなす方法を用い
て評価してもよい。

4.8 剛性及び固有振動数

4.8.1  剛性
構体の剛性は,次の方法によって算出した相当曲げ剛性及び相当ねじり剛性を用いて評価する。最適な
相当曲げ剛性及び相当ねじり剛性の値は,構体構造の違い,車両を運行する条件などで異なってくるため,
評価の基準となる目標値は存在しない。剛性及び固有振動数は,剛性が高くなると曲げ固有振動数も高く
なるなどの相関関係にあるため,剛性の値は,固有振動数の評価(4.8.2参照)を踏まえて乗り心地に悪い
影響を与えない範囲に保つことが望ましい。
a) 相当曲げ剛性 相当曲げ剛性は,表3の空車状態において加わる垂直荷重によって生じる“構体のた
わみ”から算出する(D.2.3.2参照)。
b) 相当ねじり剛性 相当ねじり剛性は,ねじり荷重によって生じる“構体のねじれ角”から算出する
(D.2.3.3参照)。
4.8.2 固有振動数
固有振動数は,次の項目に注意して評価する。
a) 空車状態における固有振動数 固有振動数は,構体の姿で測定する値と機器・設備などを構体に取り
付けて完成した車体で測定する値とで違いが生じるため,空車状態における固有振動数を求めて評価
することが望ましい。
b) 車体の振動と曲げ固有振動数との関係 外部からの加振によって生じる車体の振動の周波数と曲げ固
有振動数の値とが近接すると車体に共振が生じて乗り心地に悪い影響を与えるため,これらの値を近
づけないようにする。
c) 車体の曲げ固有振動数と台車のばね支持系の固有振動数との関係 車体の曲げ固有振動数と台車の
ばね支持系の固有振動数とは,近接しないようにする。
d) 車体の曲げ固有振動数と高速域での車輪の回転数との関係 輪軸の質量バランスが崩れるなどの原

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因で発生する車輪の回転数に一致する周期の繰返し荷重は,高速域で増大するため,高速域での車輪
回転数と車体の曲げ固有振動数とが近接しないようにする。

4.9 その他の評価

  車両のメンテナンスの場面などで,クレーンなどを用いて,車両を持ち上げて移動する作業がある場合
は,5.5の荷重条件で,必要な強度を満足することを確認する。

5 荷重条件

5.1 共通

  荷重条件について発注者の仕様に要求がない場合,設計・製作者はここに規定する条件を用いる。ここ
に規定する条件は,その値の中に運用条件の違い,製造上生じる車体の個体差などの不確実性に対して必
要な余裕を含んでいるが,発注者が自社の鉄道システムにおいて安全な運行を達成するため,これと異な
る値が必要と考える場合,発注者は,その荷重条件を設計・製作者に指定する。

5.2 質量の区分及び算入する質量

  質量の区分及び算入する質量の種類は,表2による。
表2−質量の区分及び算入する質量の種類
算入する質量の種類 計算及び試験に用いる質量の区分
空車状態におけ 車体に積載す
る車体の質量 る最大質量
(m1) (m2)
構体の質量(m0) ○ −
床構造の質量 ○ −
車体に搭載する機器及び設備の質量 ○ −
車体に施工するぎ装配管・配線の質量 ○ −
車体支持装置を含む台車を構成する全ての構造物の質量 −a) −
○b)
全量の砂,水,燃料及び潤滑油,標準として規定した量の冷却液,その他の液 −
体類及び潤滑材並びに規定した定数の工具類などの運転上必要な用具の質量
季節によって着脱する部品及び緊急時に搭載する器具備品の質量 ○b) −
乗務員の質量c) − ○
座席定員d)の乗客の質量c)及び立席の最大乗車人数e)の乗客の質量c) − ○
手荷物領域に搭載される手荷物の質量f) − ○
注a) 車体と台車との間の結合部材(例えば,中心ピン,ダンパ装置など)の質量は,構造に応じて必要な場合は
m1に算入する。
b) 台車に搭載するものは,m1に算入しない。
c) 乗務員及び乗客の一人当たりの質量は,55 kg[JIS E 7103の5.1 b)(定員質量)参照]とし,発注者がこれ
と異なる質量を指定する場合は,その値を設計・製作者と協定する。
d) 座席定員が明確でない車両は,JIS E 7103の5.1 a) 1)(座席定員)によって算出する。
e) 立席の最大乗車人数の要求仕様(例えば,車両定員に対する乗車率,立席人数の算定方法など)がない場合
は,次の例を参考にして算出する。
− 立席定員を定めた車両 まくらぎ方向に座席を並べて配置した腰掛間で挟まれた床面及びレール方向に座
席を並べて配置した腰掛の前縁に沿う幅100 mmの床面を除いた客室床面のうち,有効幅300 mm以上及び
有効高さ1 800 mm以上確保できる床面の面積を0.1 m2で除した値を立席の最大乗車人数に用いる。
− 立席定員を設けない車両 上記の0.1 m2を0.2 m2として算出する。
f) 乗客の持ち込む手荷物の質量は,注e)の立席の最大乗車人数の要求仕様から得られた乗客の質量に含まれて
いるとみなすことが多いが,発注者が乗客の質量とは別に個別の手荷物の質量を最大積載質量に含めること
を指定する場合は,手荷物の質量及び手荷物を搭載する場所を設計・製作者と協定する。

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5.3 静的強度の評価に用いる荷重条件

5.3.1  構体に加わる垂直荷重
構体に加わる垂直荷重は,運行中の振動によって生じる上下方向の変動による増加分を考慮する。運行
中の振動によって生じる上下方向の加速度の係数α及び上下方向の変動による増加分を考慮した垂直荷重
の値は,表3による。上下方向の変動による増加分を考慮した垂直荷重を等分布荷重として構体に加える
計算モデルの例を図1に示す。ただし,表2の計算及び試験に用いる質量の区分に従って算出した質量m1
のうち,空調装置,主変圧器,内燃機関などの重い機器の質量は,Wemp及びWmaxの等分布荷重に含めない
で,それぞれを取り付ける位置に集中荷重として扱って計算することが望ましい。
表3−運行中の振動によって生じる上下方向の加速度の係数及び構体に加わる垂直荷重
枕ばねの違いによる旅客車の区分運行中の振動によ 上下方向の変動による増加分を考慮した垂直荷重
って生じる上下方 空車状態において加わ 最大積載状態において加
向の加速度a)の係 る荷重 わる荷重
数(振動係数) Wemp Wmax
α
枕ばねに金属ばねを用いる旅客車 1.3 g×m1 b) 1.3 g×(m1+m2)
枕ばねに空気ばねを用いる旅客車 1.1 1.1 g×(m1+m2)
注記 gは,自由落下の加速度の値を示す。m1及びm2は,表2の計算及び試験に用いる質量の区分に従って算
出した値を示す。
注a) 走行中の車体に台車を経由して加わる上下方向の動的荷重は,一般に空気ばね台車で0.1 g,コイルばね
台車で0.3 g程度の加速度が加わることを考えておけば十分とされている。
b) 空車状態において加わる荷重は,表5の組合せに用いることを目的とするため,振動係数αを乗じない。
a) 空車状態 b) 最大積載状態
注記1 Wemp及びWmaxは,それぞれの荷重を構体の床面積で除して等分布荷重として加える。
注記2 構体の支持箇所は,台車によって支持される場所とする。
注記3 空車状態の垂直荷重は,それ自体を評価の対象としないが,表5の考え方の基本とな
るため記載した。
図1−構体に加わる垂直荷重の計算モデルの例
5.3.2 構体に加わる垂直荷重及び車端前後荷重
複数の車両を連結して編成運転を行う場合,それぞれの車両の構体には,5.3.1の垂直荷重のほかに,次
のa)の車端前後荷重が加わる。垂直荷重は常時作用しているため,車端前後荷重の応力だけの評価は行わ
ず,b)の荷重の組合せによって得られた最も大きな値の組合せ応力によって評価を行う。
a) 車端前後荷重 構体に加わる車端前後荷重は,圧縮荷重Lc及び引張荷重Ltの2種類に区分する。圧縮
荷重Lc及び引張荷重Ltは,旅客車の区分に応じて強度の基準として設定する表4の値を用いる。計算
モデルの例を図2に示す。

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表4−旅客車の区分及び車端前後荷重
単位 kN
旅客車の区分 新幹線車両 客車a) 旅客電車及び旅客内燃動車
車端前後荷重 圧縮荷重 Lc 980 345490 b)
引張荷重 Lt 490 685 345
注記 これらの値は,列車の出発時に加わる引張力及び急ブレーキ時に加わる圧縮力のほか,急
勾配線区で発生する前後荷重などに対して,車両の質量,連結器を取り付ける緩衝器の容
量,速度などを考慮して,旅客車の種類ごとに定めている。
注a) 密着連結器を用いた固定編成の客車列車に,旅客電車と同等の車端前後荷重の値又は490
kNの引張荷重を採用する場合は,受渡当事者間の協定による。
b) いずれの値を採用するかは,運転条件(例えば,編成の組成方法,運用する線区の勾配条
件,乗車率など)を考慮して,受渡当事者間の協定による。
a) 圧縮荷重 b) 引張荷重
注記1 構体の支持箇所は,台車によって支持される場所とする。
注記2 車端前後荷重は,連結器取付部に加える。
注記3 圧縮荷重又は引張荷重だけの評価は行わないが,表5の考え方の基本となるために
記載した。
図2−構体に加わる車端前後荷重の計算モデルの例
b) 垂直荷重と車端前後荷重との組合せで生じる組合せ応力 実際の車両の運行において,垂直荷重と車
端前後荷重との組合せは,表5の4種類が存在する。これらの組合せから得られる垂直荷重と車端前
後荷重とによって生じる組合せ応力は,それぞれ異なった値となるため,最も大きな組合せ応力の値
を用いて評価を行う。
表5−垂直荷重と車端前後荷重との組合せ
連結器取付部に加える 垂直荷重
組み合わせる条件 空車状態において加わる荷重 Wemp 最大積載状態において加わる荷重 Wmax
車 圧縮荷重
端 Lc

後 引張荷重
荷 Lt

5.3.3 ジャッキで車体を持ち上げるときに構体に加わるねじり荷重
構体の4か所に設けたジャッキ受部にそれぞれジャッキを配置して車体を持ち上げる作業において,ジ
ャッキの伸縮が同期しないことで三点支持状態となったときに構体に加わるねじり荷重は,次の条件によ
って評価する。
a) 4か所のジャッキを設置する支持点のうち,1か所の高さを低くして,表2の空車状態における車体の

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