JIS F 3303:2010 フラッシュバット溶接アンカーチェーン | ページ 2

4
F 3303 : 2010

7 熱処理

  チェーン及びチェーン用部品は,適切な熱処理を施すほか,次による。
a) 十分に予熱を行った後,フラッシュバット溶接した第1種チェーン,第2種チェーン及びスタッドな
しチェーンに対しては,熱処理を省略してもよい。
b) 第2種チェーンに第3種チェーンの材料を使用する場合は,適切な熱処理を施さなければならない。

8 性能

8.1 チェーン用材料の機械的性質

  チェーン用材料の機械的性質は,表3による。
なお,スタッド用材料については,機械的試験を省略できる。
表3−チェーン用材料の機械的性質
引張試験 衝撃試験
降伏点 引張強さ 伸び 絞り 試験温度 最小平均吸収
チェーンの種類 材料名称
又は耐力 (L=5d) エネルギー値
(N/mm2) (N/mm2) (%) (%) (℃) (J)
第1種チェーン, SBC300
スタッドなしチ チェーン用鋳鋼品 − 300以上 30以上 − − −
ェーン チェーン用鍛鋼品
SBC490
第2種チェーン チェーン用鋳鋼品 295以上 490690 22以上 − 0 27
チェーン用鍛鋼品
SBC690
第3種チェーン チェーン用鋳鋼品 410以上 690以上 17以上 40以上 0 60
チェーン用鍛鋼品
JIS G 3105の規定による機械的性質は,第2種チェーンのSBC490に適用してはならない。
SBC490で箇条7の規定による熱処理を施す場合には,衝撃試験を省略しても差し支えない。
注記 材料名称はJIS G 3105の規定によるものを示す。
8.1.1 供試材及び試験方法(試験片及びサンプリング)
8.1.1.1 チェーン用丸鋼の供試材
チェーン用丸鋼の供試材は,50 tを超えない丸鋼(同一溶鋼に属し製造工程を同じくするもの)を1ロ
ットとし,ロットごとに当該ロット中の最大の径のものから1個採取し,引張試験片1個及び衝撃試験片
一組(3個)を採取する。
なお,熱処理を施すチェーンの供試材は,チェーンと同一条件の熱処理を行わなければならない。ただ
し,SBC300及びSBC490については圧延のままでもよい。
8.1.1.2 チェーン用鋳鋼品の供試材
チェーン用鋳鋼品の供試材は,同一溶鋼に属し,同一熱処理条件の鋳鋼品ごとに鋳鋼品本体から1個採
取する。ただし,本体に付着して鋳造した本体と同一断面積以上のものとすることができる。
試験片は,上記の供試材から,引張試験片1個及び衝撃試験片一組(3個)を採取する。
8.1.1.3 チェーン用鍛鋼品の供試材
チェーン用鍛鋼品の供試材は,同一溶鋼に属し,同一熱処理条件の鍛鋼品ごとに鍛鋼品本体から1個採
取する。ただし,鍛造工程における適切な時期に本体から採取するか,又は本体と同程度の鍛錬効果を与

――――― [JIS F 3303 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
F 3303 : 2010
えたものとすることができる。この場合の供試材の熱処理は,本体に与えられたものと同一条件とする。
試験片は,上記供試材から引張試験片1個,及び衝撃試験片一組(3個)を採取する。
8.1.1.4 試験片(引張試験及び衝撃試験)
引張試験片及び衝撃試験片は,表4及び図1によるほか,次による。
a) 衝撃試験片の切欠きは,ほぼ半径方向と一致させる。
b) 試験片の長さ方向を圧延方向に平行に採取する。
c) 試験片は,図1に示すとおり,供試材の外周から直径の1/6の箇所又はその近傍から採取する。
表4−引張試験片及び衝撃試験片
材料記号 SBC300 SBC490 SBC690
第1種チェーン用鍛鋼品 第2種チェーン用鍛鋼品 第3種チェーン用鍛鋼品
第1種チェーン用鋳鋼品 第2種チェーン用鋳鋼品 第3種チェーン用鋳鋼品
引張試験片 JIS Z 2201の14A号
衝撃試験片 − JIS Z 2242のVノッチ試験片
図1−引張試験片及び衝撃試験片
8.1.2 判定
試験の判定は,次による。
a) 引張試験 表3の規定を満足しなければならない。
b) 衝撃試験 表3の規定を満足しなければならない。ただし,一組の試験片のうち2個以上の試験片の
吸収エネルギー値が規定の最小平均吸収エネルギー値未満の場合,又はいずれか1個の試験片の値が
規定の最小平均吸収エネルギー値の70 %未満の場合は,不合格とする。
8.1.3 再試験
再試験は,次による。
a) 引張試験結果が,この規格の規定に合格しなかった場合は,その試験片を採取した鋼材から更に2個
の試験片を採取して再試験を行うことができる。この場合の成績がすべての規定に合格したときは,
同一ロットに属する鋼材はすべて合格とする。
b) 衝撃試験結果がこの規格の要求事項に適合せず,不合格となった場合で,次の1) 又は2) に掲げる場
合以外には,試験片を採取した鋼材と同じ鋼材から更に一組の試験片を採取して再試験を行うことが
できる。この場合,不合格になった試験片の値を含めて合計6個の試験片の吸収エネルギーの平均値
が規定の最小平均吸収エネルギー値以上であり,かつ,これらの試験片のうち規定の最小平均吸収エ
ネルギー値より低い試験片の数,及び規定の最小平均エネルギー値の70 %より低い試験片の数がそれ

――――― [JIS F 3303 pdf 7] ―――――

6
F 3303 : 2010
ぞれ2個以下及び1個以下であれば,試験片を採取した鋼材と同一ロットに属する鋼材は合格とする。
1) 試験片すべてについて規定の最小平均吸収エネルギー値に達しない場合。
2) いずれか2個の試験片について規定の最小平均吸収エネルギー値の70 %に達しない場合。
3) 熱処理を行った材料の機械試験が不合格となった場合は,その材料に再度熱処理を行った後,再試
験を行うことができる。この場合,他のすべての試験を含めなければならない。

8.2 耐切断性

  チェーンの耐切断性は,次による。
a) 任意に抜き取った3個以上のリンクから構成する連鎖について,切断試験を行う。
なお,熱処理が必要なチェーンは,熱処理を施した後に試験を行う。
b) 供試材の連鎖は,チェーン4連ごとに一組を採取する。ただし,1連の長さが10.1に規定する標準長
さよりも長い,又は短い場合は,チェーン長さ110 mごとに一組を採取する。
c) 連鎖は,その種類に応じて表6に掲げる切断試験荷重を数秒間加えた場合,これに耐えなければなら
ない。ただし,呼び径が表6の値に達しないもの,又は表6の径の中間にあるものの切断試験荷重は,
表7によって算出する。
d) ) の試験に合格しない場合は,連鎖を採取した1連のチェーンから,更に一組の連鎖を採取して再試
験を行い,これに合格した場合は,他の3連を含め合格とする。再試験にも不合格の場合は,試験片
を採取した1連のチェーンを不合格とし,残りの3連についてそれぞれの連ごとにa) c) によって,
切断試験を行う。これらの試験結果のうち,一つでも不合格の場合は,残りの3連すべてのチェーン
は不合格とする。
e) ) の再試験のために失われたリンクを補充する場合は,補充するリンクと同じ方法で製造された連鎖
について,c) の切断試験を行いこれに合格しなければならない。

8.3 耐力

  チェーン及びチェーン用部品の耐力は,次による。
a) チェーンの耐力は,それぞれの連ごとに行い,その種類に応じて表6に掲げる耐力試験荷重を加えて
試験したとき,裂けきず,切断その他の異状があってはならない。ただし,呼び径が表6の値に達し
ないもの,又は表6の径の中間にあるものの耐力試験荷重は,表7によって算出する。
なお,熱処理されるチェーンは,熱処理後に試験を行う。
b) ) の試験に合格しなかった場合は,異状があったリンクを取り換えて,1回に限り再試験を行うこと
ができる。ただし,リンクの総数の5 %以上に異状があった場合は,再試験を行うことはできない。
c) チェーン用部品の耐力は,連結されるチェーンの種類及び径に応じて表6に規定する耐力試験荷重を
加えて試験したとき,裂けきず,切断その他の異状があってはならない。この試験は,チェーンと連
結してその試験と同時に行うか,又はそれによって連結されるチェーンの径が同一のものを連結して
行うことができる。

8.4 外観

  チェーン及びチェーン用部品の外観は,次による。
a) き裂,ノッチ,不純物など使用上有害な欠陥があってはならない。
b) ) 以外の軽微な表面欠陥がある場合は,グラインダによって,部分的に除去することができる。この
場合,周囲となだらかになるように補修し,その深さはチェーンの呼び径の5 %以内とすることが望
ましい。

8.5 第3種チェーンのリンクの機械的性質

――――― [JIS F 3303 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
F 3303 : 2010
第3種チェーンのリンクの機械的性質は,次による。
a) 4連のチェーンのうち,切断試験のための連鎖を採取しなかった1連のチェーンから,任意に抜き取
った1個又は2個のリンクを選ぶ。その溶接部以外の箇所から1個の引張試験片及び一組(3個)の
衝撃試験片,更に溶接部が切欠き部の中心になるように一組(3個)の衝撃試験片を採取して試験を
行う。試験の結果,溶接部以外の箇所から採取した試験片に対しては,その成績が表3の規定値以上,
また,溶接部から採取した衝撃試験片は,0 ℃で試験を行い,その3個の吸収エネルギーの平均値が
50 J以上でなければならない。
b) 引張試験又は衝撃試験結果が不合格の場合は,8.1.3の規定によって,再試験を行うことができる。
c) ) の再試験の結果が不合格の場合は,その試験を行った1連のチェーンは不合格とし,残りのチェー
ンはそれぞれの連ごとにリンクの機械的検査を行い,個々に合否を決定する。

9 検査

  チェーン及びチェーン用部品の検査は,次の項目について実施し,箇条5,箇条10及び箇条11の要求
事項を満足するとともに,箇条8によって試験を行ったとき,それぞれの性能を満足しなければならない。
a) 構成,構造,形状及び寸法検査
b) 材料検査
c) 切断検査
d) 耐力検査
e) 外観検査
f) 第3種チェーンのリンクの機械的性質検査

10 構成,構造,形状及び寸法

10.1 一般

  チェーンの構成,構造,形状及び寸法は,図2図4によるほか,10.210.4による。

10.2 構成

  チェーンは,箇条3に規定するリンクなどによって構成する。1連の長さは一端におけるリンクの内側
外端から他端におけるリンクの内側外端までの距離をいい,長さは3.1の規定によることが望ましい。た
だし,チェーン1連の長さは,連結用シャックル又はケンタシャックルを含む長さとしてもよい。チェー
ンそれぞれの連におけるリンクの総個数は,奇数としなければならない。ただし,スイベルを含む場合は,
この限りでない。

10.3 構造及び形状

  各種リンク及びチェーン用部品の構造,形状及び寸法は,図2による。
なお,エンドシャックルの外幅B1寸法は,表8による。

10.4 寸法

10.4.1 一般
リンク及びチェーン用部品の呼び径dは,これらの湾曲部での公称直径を示す。普通リンクの呼び径d
を基にしたすべての寸法は,チェーン及びシャックルに表6の規定による耐力試験荷重を加えた後に測定
しなければならない。
チェーンの長さ及び五つのリンク長さの測定は,表6の規定による耐力試験荷重を加えた後に若干の張
力をかけた状態で行わなければならない。

――――― [JIS F 3303 pdf 9] ―――――

8
F 3303 : 2010
10.4.2 各種リンク
普通リンク,拡大リンク及び端末リンクの内側半径は,各リンク又はシャックルが互いに適合し,円滑
に動かなければならない。
10.4.3 シャックル保持テーパピン
シャックルに使用する保持ピンは,テーパが直径の1/50のテーパをもつ,テーパピンとする。
呼び寸法及び長さは,図3に示す。テーパピンのその他の要件,例えば,端末の半径,円すい(錐)の
許容差及び表面仕上げについては,JIS B 1352による。
テーパピンは,ステンレス鋼又は炭素鋼のすずめっきとしなければならない。すずめっきを施す場合に
は,JIS H 8619の4.2の参考表1(使用環境,使用環境条件及び記号)の使用環境Aに従って溶融めっき
法又は電気めっき法による。

11 許容差

11.1 各種リンクの径

  各種リンクの湾曲部における径の負の許容差は,そのリンクの必要径に応じて表5による。正の許容差
は,必要径の5 %又は1.5 mmのうちのどちらか大きい方とする。
なお,湾曲部の断面積は,負の許容差は認めない。
表5−寸法許容差
単位 mm
必要径 許容差
40以下 1
40超え 84以下 2
84超え 122以下 3
122超え 4
+5 +1.5
各種リンクの湾曲部以外の径の許容差は,0 %又は
0 mmとする。
+15
溶接部の径の許容差は, 0 %とする。

11.2 5リンクの長さ

  5リンクの長さとは,普通リンク5個の連結した長さとし,標準長さは,d×22とする。
+2.5
5リンクの長さの許容差は, 0 %とする。

11.3 端末リンクの外長及び外幅

                                                                    +5
端末リンクの外長及び外幅の許容差は,シャックルとの連結を考慮して,−2.5%とする。

11.4 チェーン用部品の径

                                +5
チェーン用部品の径の許容差は, 0 %とする。

11.5 その他の寸法

  その他の寸法許容差は,±2.5 %とする。

12 リンク及びシャックルの寸法の範囲

  寸法の範囲は,表6による。
注記 呼び径dの範囲は,一般には,国際船級協会連合(IACS)を構成している船級協会によって規
定されている。

――――― [JIS F 3303 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS F 3303:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS F 3303:2010の関連規格と引用規格一覧