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害を避けるために,ケーブル全長を船体構造から絶縁するのが望ましい。
C.3.6 グループFのための対策 非電気機器及び非電気設備が金属/導電体物質で構成され,接触点に渦
電流が流れる場合,障害の原因となる。
迷走電流は,送信アンテナによって発生する例のように,ばく露甲板の電磁界によって誘導され,一般
的に船体及び上部構造のすべての部分で見られる。
その妨害レベルは,それぞれの非電気機器及び非電気設備に伝えられる船の振動レベルに直接比例して
増加し,腐食の例のように接触点における導電率の変化に伴い増加する。
ばく露甲板上の注意を要する点が,次に示される。
− 索具装置の閉め金具の緩み;
− 手すり(摺)柱の鋼索の緩み;
− コンテナの不十分な固縛;
− デリックなど大きな物体の緩み;
これらの項目は,妨害の寄生的要因と呼ばれ,無線受信に対する広い周波数帯域にわたって障害を引き
起こす場合がある。
船舶の甲板下の渦電流は,抑止コンデンサからの放電,接地ネットワークの過渡現象及び船体構造を異
なる電気回路用の共通戻り導電体として使用することによって励起される。
次に示された例が,この形式の妨害源となる。
− 接地なしのケーブル保護管の接続;
− 金属製壁材の緩み;
− ケーブルトレー又は他の機器の緩み部又は絶縁部;
これらの項目は,基準電位部分での低レベルアナログ信号に重畳される場合があり,広い周波数帯域に
わたって障害を引き起こす。
C.3.6.1設計検討及び設置 ある船において選択された機器の形式によって,特に高感度受信機,高感度(ア
ナログ)増幅システム及び制御装置の選択により,EMCの許容レベルを確保するために,対策をとるべき
かどうか,必要な場合,どの対策をとらなければならないかが決定される。
C.3.6.2接地 次の対策は,実際の適用において実証済みではあるが,これ以外にはないというものではな
い。それぞれの接地の場合,これらの対策がどの程度,どこに実施するのが望ましいかを検討する必要で
ある。
送信アンテナ(C.3.1.2参照)に近接してばく露甲板上に設置されるすべての金属機器及び電気機器以外
の金属ぎ装品で,一辺の寸法が1 mを超える機器は,低抵抗又は低インピーダンスな接続で船体構造に接
地しなければならない(アンテナ索具については,C.3.1参照)。
索具装置は,船体構造に電気的に接続(接地)するか又は周囲の上部構造から完全に絶縁するのが望ま
しい。
溶接で接合する場合,追加の接地対策は不要である。
ばく露甲板上の旋回可能なぎ装品は,短いフレキシブル導体でヒンジをまたぐように接続し,低インピ
ーダンスな接続で接地する。ターンバックル,シャックル及びその他の取外し可能な継手類は,良好な導
体接続して接地しなければならない。
C.3.7 グループGのための対策 統合形システムの特徴は,しばしば異なる製造業者からの機器がネット
ワークケーブルにより接続され,船上で一体となって動作する分散形の機器構成である。
個々の機器の設置場所は,広範囲な異なった周囲環境,電磁環境を受ける(例えば,異なるゾーンに設
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置されたセンサ及び機器をもつ統合形貨物監視システム)。
障害の危険性は,機器の組合せの考えられる接続数とともに増大する。
EMC試験で個々の機器が合格したとしても,機器が全体システム内への統合された後で,かつ,船舶の
EMC環境下での,制限されない動作を必ずしも保証するものではない。
大規模な統合形システムで特に問題となる点は,その大きさゆえに船舶に搭載する前に試験場において
EMC試験を実施することが困難となることである。個々の機器は,インタフェースシミュレーション試験
によってEMCの試験をすることが可能であり,かつ,通常実施されている。
C.3.7.1統合前の検討 EMCに対して重要なシステムの構成機器は,EMC試験場においてインタフェース
シミュレーションを行うことが推奨される。
シミュレーションは,接続される信号インタフェース(信号形式,信号レベル)に対する機能特性,及
び船上に設置された状態で予期される障害要因の両方について実施するのが望ましい。異なるゾーンの機
器の設置は,インタフェースに影響を与える,異なった形式,異なった厳しさの障害を同時に引き起こす
可能性があることに注意するのが望ましい。
シミュレーションは,伝導及び放射障害の両状態について実施するのが望ましい。問題がある場合,放
射障害がケーブル及び外被内で誘導された妨害要素によって置き換えることが望ましいか否かを検討しな
ければならない。
障害によってシステムの性能が低下する場合,フィルタ,遮へい又は電線敷設経路変更例のような特別
な対策をとらなければならず,かつ,システムの性能低下が消滅するまで可能な限り改良しなければなら
ない。
シミュレーションした障害状況,及び効果的であると決定された対策は,文書化しなければならない。
これらの対策は,後日の船上での機器の統合に適用することが望ましい。
C.3.7.2コミッショニング期間中の考察 システムの統合は,注意深い計画及び事前の機器試験にもかかわ
らず,個々の機器部分の重大な障害を励起する場合がある。これらの場合,その障害は船上における設置
場所の特殊な事情に起因するものなのか,及び/又は船上の環境における動作の結果なのかを調査するこ
とが望ましい。このため,統合システムに属するすべての個々の機器を,順次投入し,その正しい機能を
確認することが望ましい(順次投入試験)。
順次投入試験で機器妨害と船上動作環境との間の相関関係を明確化できない場合,問題の機器に接続さ
れている各インタフェースについて電磁妨害パラメータを調査する必要がある。規定された妨害パラメー
タと計測された妨害パラメータとの間の比較が,妨害発生の原因を示す場合があり,これらの結果を基に
して必要な改良策をとることが可能となる。
C.4 組織化した対策
C.4.1 船上動作 EMC解析又は船上動作状況は,通常の技術的対策によっては解決することのできない非
電磁両立性をもたらす場合がある。このような場合,船上のシステム/機器の動作整合を取るために適切
な対策を取ることが必要となる。例えば,次に示す例である。
− 複数機器の同時動作中の相互干渉を減少させるための操作上,又は機能上の制限の明確化。
(例えば,送信及び受信アンテナ)
− 従わなかった場合,安全性が危険な状態となる場合がある操作手順及び/又は操作上の制限の文書
化。(船の安全と乗員の安全)
− 過大な電磁界強度をもつ船上のある区域への乗員立ち入り制限を示す警告銘板(関連規則/法律に
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従って人体に対する放射障害危険が存在することを示す。)。
C.4.2 保守及び修繕 船の生涯において,次に示す外的な環境,船舶特有の環境及びその他の長期間にわ
たる影響によって,EMCを達成するための技術的対策の効果が低下する場合がある。
− 振動と衝撃;
− 気候上の影響;
− 経年変化;
− 腐食;
− 過電圧;
− 迷走電流;
これらの対策が余裕をもって設計され,注意深く実施されたとしても,操作マニュアルには,EMCの望
まれるレベルを達成し,かつ,維持するために必要な対策についての情報を含むのが望ましい。EMC対策
は,次に示す定期的な検査を受けるのが望ましい。
− 技術的EMC対策の完全性及び実際の状況を確認するための外観検査,例えば,電気的な接地状態
の満足度。
− 性能再現試験,例えば,給電線の障害パラメータを計測し,受入試験時の結果と比較し,必要な場
合,最初のEMCパラメータへの復帰。
保守及び修理作業による,船舶の機器設置に対する変更,追加又は操作条件の変更は,EMC基準の遵守
にもかかわらず,EMC環境を低下させる場合がある。EMCの低下の影響は,前述される変更を実施する
前に解析するのが望ましく,必要な場合,組織化した対策とするのが望ましい。
保守及び修理作業の完了後,規定のEMC状態を確認するための試験を実施するのが望ましく,必要な
場合,初期状態に復帰させるのが望ましい。
C.5 参考資料
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JIS F 8081:2005の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60533:1999(IDT)
JIS F 8081:2005の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC)
JIS F 8081:2005の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60050-161:1997
- EMCに関するIEV用語
- JISC61000-4-11:2008
- 電磁両立性―第4-11部:試験及び測定技術―電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
- JISC61000-4-2:2012
- 電磁両立性―第4-2部:試験及び測定技術―静電気放電イミュニティ試験
- JISC61000-4-3:2012
- 電磁両立性―第4-3部:試験及び測定技術―放射無線周波電磁界イミュニティ試験
- JISC61000-4-4:2015
- 電磁両立性―第4-4部:試験及び測定技術―電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISC61000-4-6:2017
- 電磁両立性―第4-6部:試験及び測定技術―無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対するイミュニティ
- JISF8061:2005
- 船用電気設備―第101部:定義及び一般要求事項
- JISF8062:1996
- 船用電気設備 第201部 システム設計―一般
- JISF8076:2005
- 船用電気設備―第504部:個別規定―制御及び計装
- JISF8076:2021
- 船用電気設備―第504部:自動化,制御及び計装