JIS G 0587:2007 炭素鋼鍛鋼品及び低合金鋼鍛鋼品の超音波探傷試験方法 | ページ 2

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G 0587 : 2007
a) 軸状鍛鋼品 d) 平行平面をもつ鍛鋼品
b) 中心穴をもつ軸状鍛鋼品
e) リング状鍛鋼品
f) 円筒状鍛鋼品
c) ディスク状鍛鋼品
注記 : 基本的探傷方向
← : 補助的探傷方向
図1−探傷方向
c) 探触子の走査方法は,指定された探傷範囲について,次のいずれかによる。
1) 全面
2) ある特定の線上
3) ある特定の間隔をおいた点
d) 全面を走査する場合の探触子の走査ピッチは,振動子の公称直径の85 %以下とする。
e) 探触子の走査速度は,毎秒150 mm以下とする。
f) 試験に使用する公称周波数は,1 MHz,2 MHz又は2.25 MHzとする。ただし,厚さ100 mm以下の鍛
鋼品及び探傷面の近傍に対する試験には,4 MHz又は5 MHzを用いてもよい。

8 減衰係数の測定

  試験に先立ち,試験対象部の代表的な3か所について,試験に使用する探触子によって,減衰係数を測
定する。減衰係数の計算は,式(1)による。
B1 B2 L

(pdf 一覧ページ番号 )

                                 2 T
ここに, α : 減衰係数(dB/m)
B1 : 第1回底面エコー高さ(dB)
B2 : 第2回底面エコー高さ(dB)
L : 底面エコーの拡散損失(dB)。使用する探触子に応じた図10
図28のいずれかのDGS線図から求めた値。B1が近距離
音場限界距離の4倍以上の遠距離音場内の場合は6 dB
T : 鍛鋼品の厚さ(m)

――――― [JIS G 0587 pdf 6] ―――――

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G 0587 : 2007

9 探傷感度の調整

9.1 一般事項

  きずの評価を,きずエコー高さで評価する場合の探傷感度の調整は,9.2又は9.3による。きずの評価を,
底面エコーの低下量で評価する場合は,健全部の第1回底面エコー高さ(BG)を目盛板上で100 %に調整
し,これを探傷感度とする。

9.2 底面エコー方式

9.2.1  底面エコー高さによる探傷感度の調整
a) 底面エコー高さによる探傷感度の調整は,直径又は厚さの異なる部位ごとに行い,健全部における第
1回底面エコー高さ(BG)を表示器の目盛板上で80 %に調整する。
b) 探傷範囲で直径4 mmの円形平面きずからのエコー高さが表示器の目盛板上で最低でも10 %になる
ように,図2図4に示す感度補正量(dB)だけ感度を高める。ここで,片面探傷,軸状鍛鋼品での
半周探傷及び中心穴をもつ軸状鍛鋼品の探傷の場合には,底面に対する感度補正量を用いる。これら
の場合,探傷可能範囲は,直径又は厚さまでとする。その他の場合は,中心に対する感度補正量を用
い,探傷可能範囲は,直径又は厚さの1/2以内とする。
c) 中心穴をもつ軸状鍛鋼品の径方向探傷では,b)の補正をした探傷感度より図5の中心穴による底面エ
コーの曲率補正量(dB)だけ,感度を下げた探傷感度とする。
d) ) c)の調整で定めた感度を,探傷感度とする。ただし,b)の感度補正量とc)の曲率補正量との合計
が,負になる場合には,b)及びc)の感度補正を行わない。
50
1 MHz
40
底面

感 30
度 中心

補 20
補 振動子径(mm)


量 30
量 10 28
dB 30
(dB) 24
0 24
20
28
20
-10
-20
10 20 30 50 70100 200300 5007001000 000 3 000 55000
220003000
000
1 000
mm
厚さ又は外径
(mm)
厚さ又は外形
図2−周波数1 MHz,並びに振動子公称直径20 mm,
24 mm,28 mm及び30 mmの場合の感度補正量

――――― [JIS G 0587 pdf 7] ―――――

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50
2 MHz及び2.25 MHz
感 40



補 30 底面



量量
20 振動子径(mm) 中心
30
dB 28
(dB)10
24
20 30
0 28
24
20
-10
-20
10 20 30 50 70100 200300 5007001000
1 000 000 3 000 55000
220003000
000
厚さ又は外径 mm
(mm)
厚さ又は外形
図3−周波数2 MHz及び2.25 MHz,並びに振動子公称直径20 mm,
24 mm,28 mm及び30 mmの場合の感度補正量
50
4 MHz及び5 MHz
感40



補 30


正 底面

量 20
振動子径(mm)
dB 中心
(dB)10 24
20
0 14 24
20
14
-10 10
10
-20
10 2030 50 70100 200300 5007001000
1 000 000 3 000 55000
220003000
000
厚さ又は外径 mm
(mm)
厚さ又は外形
図4−周波数4 MHz及び5 MHz,並びに振動子公称直径10 mm,
14 mm,20 mm及び24 mmの場合の感度補正量
0


心心
穴穴 φ3
00 m
にに-10 m
よよ
るる φ1 φ2
00 00
曲曲
率率 φ5

0
正補-20
量正

(dB)
dB
-30
10 20 30 50 70100 200300 5007001000
1 000 000 3 000 55000
220003000 000
mm
中心までの厚さ(mm)
中心までの厚さ
図5−中心穴による曲率補正

――――― [JIS G 0587 pdf 8] ―――――

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9.2.2 距離振幅特性曲線の作成及び検出レベル
9.2.1によって調整された探傷感度における距離振幅特性曲線を,図10図28のDGS線図によって目盛
板上に作図する。この例を図6に示す。この探傷感度における距離振幅特性曲線を検出レベルとする。
0 10 20 30 40 50 目盛
100
%
厚さ : 500 mm
厚さ : 500 mm
公称周波数
公称周波数 MHz
: 2 : 2
MHz
mmmm
公称振動子直径 :20 : 20
公称振動子直径
(A)
50
B
B : 検出レベル
: 検出レベル
(A´) A
A -12 dB
: 検出レベル dB
: 検出レベル−12
(A') A : 検出レベル -24 dB
(B) A´ : 検出レベル−24 dB
0
0 100 200 300 400 500
mm
距離 (mm)
距離
図6−目盛板上の検出レベルの例
9.2.3 検出しなければならない最小単独きずの等価きず直径が4 mmと異なる場合の探傷感度
図7に示す感度補正量を用いて補正した探傷感度とする。
ここで,9.2.19.2.3で使用する探触子が図2図4に示されていない場合には,感度補正量(dB)及び
距離振幅特性曲線は,図10図28の該当する探触子のDGS線図から求める。また,探触子の製造者によ
って指定されたDGS線図を用いて,感度補正量を求め,距離振幅特性曲線を描いてもよい。
12
感 6







量 0

dB
(dB
-6
-12
2.8 5.6
2 3 4 6 8
等価きず直径 (mm)
等価欠陥直径 mm
図7−記録しなければならない最小の単独きずの等価きず直径及び感度補正量

9.3 試験片方式

9.3.1  使用する対比試験片
a) 対比試験片は,超音波減衰の程度が鍛鋼品と同等又は,減衰係数が既知の材料を用いる。
b) 対比試験片は,距離(位置)20 mm,30 mm,50 mm,80 mm及び150 mm近傍にそれぞれ同一直径の

――――― [JIS G 0587 pdf 9] ―――――

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G 0587 : 2007
平底穴をもつものとする。平底穴の直径は,4 mmとする。ただし,必要によっては,2 mmから8 mm
の範囲の直径でもよい。
c) 対比試験片としてJIS Z 2345のSTB-G V2,STB-G V3,STB-G V5,STB-G V8及びSTB-G V15-2を使
用することができる。
d) 鍛鋼品の探傷面と探傷面の曲率半径が異なる対比試験片を使用する場合には,鍛鋼品探傷面の曲率と
同等の曲率をもち,かつ,平底穴をもつ曲率補正用試験片を少なくとも1体は用意しなければならな
い。ここで,平底穴までの距離は使用する探触子の遠距離音場にあるものとする。また,対比試験片
の曲率半径は鍛鋼品と同等,又は大きくなければならない。同等の曲率半径とは,鍛鋼品の探傷面の
曲率半径の0.71.1倍の範囲とし,曲率半径4 000 mm以上は平面とみなす。
e) 平底穴の代わりに横穴(ドリル穴)を用いてもよい。横穴のエコーを用いて平底穴のエコー高さへ換
算する場合には,式(2)によって横穴の径から平底穴の径を求める。このとき使用する横穴までの距離
は,使用する探触子に対して十分遠距離音場にあるものとする。
DDSR .045 x DSDH (2)
ここに, DDSR : 平底穴の直径 (mm)
λ : 波長 (mm)
x : 横穴表面までの距離 (mm)
ただし,x>2N
N : 近距離音場限界距離 (mm)
DSDH : 横穴(ドリル穴)の直径 (mm)
9.3.2 距離振幅特性曲線の作成及び検出レベル
a) 対比試験片を用いて,直径4 mmの平底穴の距離振幅特性曲線を作成する。作成は,対比試験片のう
ち,最大エコー高さを示すものを目盛板上で80 %になるように調整し,この感度で残りの試験片を
探傷する。そのとき得られたビーム路程でのエコー高さを目盛板上に4点以上プロット又は認識し,
これらの点を直線で結ぶ。
b) 150 mmより遠い範囲の距離振幅特性曲線を作成する必要がある場合は,式(3)によって求めたい距離
のエコーの高さを求め,それらの点を直線で結ぶ。
D 20 log10 R 150 (3)
ここに, D : 距離150 mmのところのエコー高さから減じる量 (dB)
R : 150 mmより遠い任意の距離 (mm)
c) 距離振幅特性曲線は,最大探傷距離でその高さが10 %以上となるように,必要に応じて感度を高め
て作成する。
d) このようにして得られる距離振幅特性曲線を検出レベルとする。
e) 鍛鋼品の探傷面と曲率が異なる対比試験片の場合には,同一感度で曲率補正用試験片を探傷し,この
エコー高さと同一ビーム路程にある距離振幅特性曲線の高さの差を,感度に加えて曲率補正を行う。
f) 試験片の平底穴の直径が4 mmと異なる場合は,平底穴の直径に応じて,図8の感度補正量を用いて
感度を補正する。

――――― [JIS G 0587 pdf 10] ―――――

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