JIS G 1253:2002 鉄及び鋼―スパーク放電発光分光分析方法 | ページ 2

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G 1253 : 2002
6.4 分析条件 分析試料の種類,共存成分,同時定量成分の種類及び定量成分の含有率に応じ,装置性
能基準を満足するように分析条件を設定する。分析条件の例及びその関連事項を表47に示す。新しく成
形された対電極に交換した直後,及び放電を多数回繰り返した状態での発光強度は不安定となる場合があ
るので,安定した発光強度が得られる分析回数の範囲を事前に調査しておく。
表4 分析条件の例
項目 内容
分光器内の圧力 2.7Pa以下
分光器の逆線分散 1nm/mm以下
入口スリット幅 2050
測光方式 定時間積分法
時間分解PDA測光法
分析試料と対電極との間げき(隙) 4.06.0mm
発光時のアルゴンガス流量 418L/min
分析線の波長 表5を参照
励起条件及び放電条件 表6及び表7を参照
表5 分析線及び内標準線の例
成分 分析線の波長nm 成分 分析線の波長nm
炭素 C I 156.14 アルミニウム Al I 308.22
C I 165.81 Al I 394.40
C I 193.09 Al I 396.15
けい素 Si I 212.42
Si I 251.61 ひ素 As I 197.26
Si I 288.16 As I 228.81
マンガン Mn II 290.02 As I 234.98
Mn II 293.31 すず Sn I 189.99
りん P I 177.50 Sn I 317.50
P I 178.29 Sn I 326.23
P I 214.91 ほう素 B I 182.58
硫黄 S I 180.73 B I 182.64
ニッケル Ni II 225.39 B II 206.72
Ni II 227.02 B I 208.96
Ni II 227.73 B I 249.68
Ni II 231.60 窒素 N I 149.26
Ni I 341.48 鉛 Pb II 220.35
Ni II 243.79 Pb I 283.31
Pb I 405.78
クロム Cr II 265.85 ジルコニウム Zr II 339.20
Cr II 267.72 Zr II 343.82
Cr II 276.65 ニオブ Nb II 319.50
Cr II 286.09 Nb II 320.63
Cr II 286.26 マグネシウム Mg II 279.55
Cr II 298.92 Mg II 280.27
Cr I 428.97

――――― [JIS G 1253 pdf 6] ―――――

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成分 分析線の波長nm 成分 分析線の波長nm
モリブデン Mo II 202.03 カルシウム Ca II 393.37
Mo II 277.54 Ca II 396.85
Mo II 281.62 タンタル Ta II 240.06
Mo I 313.26 アンチモン Sb I 187.12
Mo I 317.03 セレン Se I 196.09
Mo I 386.41 テルル Te I 214.28
ランタン La II 408.67
銅 Cu II 213.60 セリウム Ce II 413.76
Cu II 224.26 鉄(内標準線) Fe II 170.20
Cu I 327.40 Fe II 261.49
タングステン W II 209.86 Fe II 271.44
W II 210.32 Fe I 287.23
W II 220.45 Fe I II287.53
W II 239.71 Fe I 296.69
W I 400.88 Fe II 322.77
バナジウム V II 310.23 Fe I 353.66
V II 311.07 Fe I 371.99
V II 437.92 Fe I 382.04
コバルト Co II 228.62 Fe I 393.03
Co II 258.03 Fe I 438.35
Co I 345.35 Fe I 440.48
チタン Ti II 323.45
Ti II 324.20
Ti II 337.28
表6 励起条件の例
No. 励起条件 備考
二次電圧 静電容量 自己誘導 二次抵抗 周波数
E (V) C( L( R( 圀 f (Hz)
I 3001 000 212 335 残留分5 200600 主に予備放電に適用
3001 000 220 (1)10,140 残留分10 40500 主にりん,硫黄,ほう
II (2)20,160 素,アルミニウム,す
ずの定量に適用
300700 1.52.5 520 残留分10 40500 上記以外の成分の定量
III
に適用
300500 (1)4,2,2 (1)2,20,140 残留分 40500 1パルスの発光強度を
(2)2,2,2 (2)2,2,150 時間分割し定量するた
IV
(3)2,22,142 めの励起源
(4)8,16,198
300850 0.52.5 5180 残留分10 40500 対電極先端の付着物を
V
除去するために適用
表7 放電条件の例
予備放電 左記以外の成分
りん,硫黄,ほう 対電極のクリ
素,アルミニウ の定量 ーニング
ム,すずの定量
適用例1 放電順序 1 3 2 4
励起条件(2) IIVのいずれか II III V
予備放電数 7003 000 100 500 100 500 10 600
測定パルス数 − 1 000 2 000 1 000 2 000 −

――――― [JIS G 1253 pdf 7] ―――――

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予備放電 左記以外の成分
りん,硫黄,ほう 対電極のクリ
素,アルミニウ の定量 ーニング
ム,すずの定量
適用例2 放電順序 − 1 2 3
励起条件(2) なし II III V
予備放電数 700 3 000 100 500 10 600
測定パルス数 1 000 2 000 1 000 2 000 −
適用例3 放電順序 − 1 2
励起条件(2) なし IV V
予備放電数 700 3 000 10 600
測定パルス数 1 000 2 000 −
注(2) 表6の励起条件No.を示す。

7. 検量線作成用標準物質,検量線校正用試料及び分析試料

7.1   検量線作成用標準物質 検量線作成用標準物質は,次による。
a) 機器分析用鉄鋼認証標準物質 十分に均質で一つ以上の成分に認証値が付いた機器分析用鉄鋼標準物
質。ただし,分析試料とや金的履歴が異なる場合もあるので,検量線作成用標準物質に用いる際には,
分析試料とや金的履歴及び化学組成が近似する機器分析用鉄鋼標準物質によって検量線を修正する必
要がある。
b) 機器分析用鉄鋼標準物質 均質で分析試料とや金的履歴及び化学組成が近似しており,定量成分の標
準値が日本工業規格(日本産業規格)など公的に定められた化学分析方法を用いて決定され,その精確さが化学分析用
鉄鋼認証標準物質(3)によって保証されたものとする。そのような公的方法がない場合は,その分析所
にて技術的に確認され文書化された化学分析方法を用いて標準値を決定する。機器分析用鉄鋼標準物
質の標準値を決定する場合には,化学分析用鉄鋼認証標準物質を併行分析し,その定量値が許容差を
満足する(4)ことを確認する必要がある。このような標準がない場合は,使用した基準を文書化してお
く。
注(3) 十分に均質で一つ以上の成分に認証値が付いた化学分析用の鉄鋼標準物質。
(4) 判定方法の詳細は,JIS G 1201による。
7.2 検量線校正用試料 検量線の確認及び校正を行うために日常用いる試料で,機器分析用鉄鋼認証標
準物質又はそれに相当する均質性をもった試料であればや金的履歴及び化学組成が近似していなくてもよ
い。この試料は装置性能基準の判定にも用いることができる。
7.3 分析試料 分析試料は,JIS C 0417によって採取する。

8. 分析試料の調製

 分析試料の調製は,JIS G 0417によって切断するか又は切削機械を用いて分析面の
径が20mm以上で厚さ3mm以上の形状(5)に加工し,分析面を研削又は研磨機械によって平面状(6)に調製
する。
溶銑試料は,白銑化した部分が分析面となるように試料の調製を行う。研磨ベルト及びグラインダを用
いる場合には,試料調製研磨材の粒度は,JIS R 6001の#36#240番を用いる。と(砥)粒の材質によっ
ては分析面を汚染し,定量値に影響を与える場合があるので,目的に合わせた材質の選択を行う。また,
分析試料調製の際の試料の温度上昇は,発光条件によっては定量値に影響を及ぼす場合があるため,常に
一定温度となるような調製条件にする必要がある。
注(5) 試料の径が20mm未満又は厚さが3mm未満の場合には,補助金具を用いる。

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(6) 試料の放電面が平らに,また,その粗さが一定に仕上がるように研磨材・切削機械を管理しな
ければならない。

9. 操作

 操作は,JIS K 0116によるほか,次のいずれかによる。
a) 発光強度法
1) 6.2に従って調整された分析装置の試料支持台に,8.で調製した分析試料との対電極 [6.1a) ] を設置
する。
2) 6.4に従って決定した分析条件で発光させ,発光強度を測定する。
3) 2)で得た発光強度を発光強度測定値とする。
b) 強度比法
1) )の1)及び2)の手順に従って操作する。
2) )の2)で得た定量成分の発光強度と内標準元素の発光強度との比を求め発光強度測定値とする。

10. 検量線の作成

 検量線の作成は,次のいずれかによる。
a) 品種別検量線の作成 分析試料とや金的履歴及び化学組成が近似し,定量成分含有率範囲をほぼ等分
できる4種類以上の検量線作成用標準物質を用意し(7),9.のa)又は9.のb)の手順に従って分析試料と
同一の条件で発光強度の測定を行い,得た発光強度測定値と定量成分の標準値とから式(1),式(2)又は
式(3)のいずれかの関係式を求めて検量線(8)とする。
Wi=a1Ii+b1 (1)
Wi=a2Ii2+b2Ii+c2 (2)

Wi=anIin+bnIi(n-1)···+cn (3)
ここに, Wi : 検量線作成用標準物質の定量成分iの標準値% (m/m)
Ii : 検量線作成用標準物質の定量成分iの発光強度測定値
a1,b1 : 定数項
a2,b2,c2 : 定数項

an,bn,cn : 定数項
注(7) や金的履歴及び/又は化学組成の異なる一連の機器分析用鉄鋼認証標準物質又は機器分析用鉄
鋼標準物質を用いてもよい。ただし,この場合は,いったん求めた検量線で,分析試料とや金
的履歴及び化学組成とが近似する機器分析用鉄鋼標準物質を分析し,標準値からの定量値の偏
りを求め,偏りが最小となるように修正して検量線とする。
(8) 検量線は,適切な含有率範囲で分割して作成してもよい。
b) 基準検量線(9)の作成 基準検量線の作成は,次の手順によって行う。
注(9) 共存成分及び鉄量の影響を,例えば,次に規定するスペクトル線重なり補正係数などを用いて
補正することによって,検量線作成用標準物質とや金履歴の近似した品種で化学組成が異なる
分析試料中の成分を定量する場合に用いることができる。
1) スペクトル線重なり補正係数(10)の算出 鉄及び定量成分iからなる,一連のFe-i二元系鉄鋼標準物
質(11)の定量成分iの発光強度を9.のa)又は9.のb)の手順によって測定し,この発光強度測定値と定
量成分iの標準値との関係をFe-i二元系検量線とする。次に,鉄及び成分jからなる一連のFe-j二
元系鉄鋼標準物質を用いて,定量成分iの分析線における発光強度をFe-i二元系鉄鋼標準物質と同

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一条件で測定し,その発光強度測定値とFe-i二元系検量線とから定量成分iに相当する見掛けの定
量値 堀椀 12)を求める。この 堀椰桑 塢 分jの含有率との関係を,最小二乗法によって一次回帰計算
を行い,式(4)からスペクトル線重なり補正係数ljを求める。
堀槿 lj・Wj+C (4)
ここに, 堀槿 Fe-j二元系鉄鋼標準物質の定量成分iの見掛けの定量値%
(m/m)
Wj : Fe-j二元系鉄鋼標準物質の定量成分jの標準値% (m/m)
lj : 定量成分iに対する共存成分jのスペクトル線重なり補正係数
C : 定数
注(10) 定量成分の定量値に対する共存成分の影響の割合を示す補正係数。すなわち,定量成分iのス
ペクトル線に共存する成分jのスペクトル線が重なるとき,定量成分iの見掛けの発光強度は実
際の強度より高い値となる。このような場合に,定量成分iに対する共存成分jの影響量を補正
するための係数。
(11) 鉄を主成分とし,一つの定量成分だけを添加した鉄鋼標準物質で他成分を含むが,その含有率
ができるだけ少ないものをいう。
(12) e-j二元系鉄鋼標準物質中に含まれる定量成分iの影響が無視できない場合は,定量成分iの含
有率を見掛けの定量値から差し引いた後,補正係数ljを算出する必要がある。
2) 推定基準値の算出 検量線作成用標準物質(多元系)の定量成分iの標準値Wi(13)及び共存成分jの
標準値Wj(13)並びに1)で求めた補正係数ljを用いて式(5)からXiを算出し,これを検量線作成用標準
物質(多元系)の定量成分iの推定基準値とする。
X Wi li Wj (5)
i
注(13) 鉄量補正をする場合は,含有率を鉄含有率 (WFe) の割合で除した値(鉄量比)Wi,Wjを用い
る。
Wi=Wi/ (WFe/100)
Wj=Wj/ (WFe/100)
3) 基準検量線の作成 2)で推定基準値Xiを求めた検量線作成用標準物質(多元系)について,9.のa)
又は9.のb)の手順に従って分析試料と同一条件で操作し,得た定量成分の発光強度測定値Iiと推定
基準値Xiとから式(6),式(7)又は式(8)のいずれかの関係式を求めて基準検量線とする(14)。
X a1Ii b1 (6)
i
X a2Ii
2
b2Ii c2 (7)
i

X n
anIi bnIi
)1
(n
cn (8)
i
ここに, Xi : 2)で得た検量線作成用標準物質の定量成分iの推定基
準値% (m/m)
Ii : 検量線作成用標準物質の定量成分iの発光強度測定値
a1,b1 : 定数項
a2,b2,c2 : 定数項
an,bn,cn : 定数項
注(14) 基準検量線は,検量線の近似などに起因する微小誤差のために,真の二元系検量線とは完全に

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