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K 0115 : 2004
光を遮り,測定波長範囲での透過パーセントの指示・表示値がゼロであることを確認する。
d) シャッターを抜いて(又は開けて),透過パーセントの100又は吸光度ゼロの測定値が測定波長範囲で
平たんであることを確認する(8)。
6. 特定波長における吸収の測定
5.5.1の測定準備を行った後,次の手順によって測定する。
6.1 複光束方式における測定
複光束方式における測定は,次の手順による。
a) 対照試料(9)を試料光路及び対照光路の両光路に置き,透過パーセントを100に又は吸光度をゼロに合
わせる。
なお,この操作を対照試料なしで行い,データ処理によって同等の結果を得ることができる。
注(9) 対照試料を用いない測定又は構造的に対照試料を置けない装置もある。これらの場合には,個
別の装置の取扱説明書に従う。
b) 測定試料(10)を試料光路に,対照試料を対照光路にそれぞれ置き,透過パーセント又は吸光度を読み取
る。対照試料なしで行ったときは,データ処理によって同等の透過パーセント又は吸光度を得ること
もできる。
注(10) 固体試料の場合には,個別の装置の取扱説明書に従う。
c) 必要ならば,セルブランク値を補正する。
6.2 単光束方式における測定
単光束方式における測定は,次の手順による。
a) 対照試料(9)を光路に置き,透過パーセントを100に又は吸光度をゼロに合わせる。
b) 測定試料を光路に置き,透過パーセント又は吸光度を測定する。
c) 必要がある場合には,a)及びb)の操作を繰り返し,指示値のばらつきが小さいことを確認する。
d) 必要ならば,セルブランク値を補正する。
6.3 セルブランク値の測定
測定波長範囲において,試料セルと対照セルの光学的特性が一致している
ことが望ましい。ベースライン補正機構をもつ装置では,この補正を行う必要はない。ただし,特性が一
致しなくとも,その差が小さい場合には,吸収セルについてセルブランク値を測定し,補正を行うことが
できる。
a) 試料セル,対照セルに同一溶媒を入れ,それぞれ測定試料及び対照試料とし,6.1又は6.2によって測
定を行う。
なお,溶媒として測定波長範囲で吸収が少ないものを用いる。
b) 透過パーセントを測定したときは,吸光度に換算する。
c) 得られた値を,対照セルに対する試料セルのセルブランク値とする。セルブランク値を決定したセル
は,同一の組合せセルとして用いなければならない。
7. 特定波長範囲における吸収曲線の測定
5.5.2の測定準備を行った後,次の手順によって測定する。
7.1 複光束方式における測定
複光束方式における測定は,次による。
a) 目的とする波長範囲の片端の波長(11)に,装置の波長目盛を合わせ,波長を設定する。
注(11) 長波長側への設定又は短波長側への設定については装置によって異なるため,設定位置の決定
は,装置の取扱説明書による。
b) 記録式の場合は,目的とする波長範囲を走査し,各波長(1)での透過パーセント又は吸光度を測定,記
録する。必要のある場合には,セルブランク値を補正し,吸収曲線を作成する。
c) 手動式の場合は,次の手順による。
――――― [JIS K 0115 pdf 11] ―――――
1) 試料に応じ,適切な波長間隔(12)で6.1の操作を繰り返す。
注(12) 液体試料では,例えば10 nm間隔で測定するが,鋭い吸収をもつ気体試料などでは,一般に,
更に波長間隔を狭くして測定する。
2) 必要がある場合には,セルブランク値を補正する。
3) 横軸を波長(1),縦軸を透過パーセント又は吸光度とし,測定点をプロットして吸収曲線を作成する。
7.2 単光束方式における測定
単光束方式における測定は,次による。
a) 目的とする波長範囲の片端の波長(11)に,装置の波長目盛を合わせ,波長を設定する。
b) 記録式の場合は,目的とする波長範囲(1)を走査し,各波長での透過パーセント又は吸光度を測定する。
必要がある場合には,セルブランク値を補正し,吸収曲線を作成する。
c) 手動式の場合は,次の手順による。
1) 試料に応じ,適切な波長間隔(12)で6.2の操作を繰り返す。
2) 必要がある場合には,セルブランク値を補正する。
3) 横軸を波長(1),縦軸を透過パーセント又は吸光度とし,測定点をプロットして吸収曲線を作成する。
8. 定量
定量分析は,濃度既知の試料群の吸光度から求めた検量線,又は吸光度の時間変化を用いて,
測定試料の濃度又は特性値を算出して行う。定量方法には,次の方法がある。
備考1. 定量方法には,この規格に規定する方法のほかに,モル吸光係数などを用いて濃度を算出す
る方法もある。
2. 通常,定量には,液体又は気体試料が用いられるが,濃度既知の試料がある場合には,固体
試料でも定量分析ができる。固体試料では,表面反射・散乱などの定量分析に及ぼす影響に
留意する。
8.1 検量線法
分析種の濃度が既知で,濃度が異なる幾つかの検量線用試料について,吸光度の測定を
行い(13),吸光度と分析種の濃度との関係式によって表された検量線を作成する。次に,測定試料の測定を
行い,試料に含まれている分析種の濃度を関係式によって算出し,定量を行う。
注(13) 試料と同一の前処理を行い,同一条件で測定することが望ましい。
実際の手順は,検量線用試料を個別規格に規定した方法によって調製し,これらの溶液の吸光度を測定
する。検量線用試料中の分析種の濃度を横軸に,吸光度を縦軸にとり,検量線を作成する(14)。
検量線の一例を図5に示す。この検量線によって,分析種の濃度を求める(15)(16)(17)(18)。
注(14) 分析種及び共存物質が懸濁質である場合,解離,会合を起こすような場合,又は分析種の濃度
が高すぎる場合などは,検量線が直線にならない場合がある。試料が懸濁している場合は,試
料による吸光度に加え,散乱による光の減衰が観測されるため,分析種による吸光度を正確に
測定できないことがある。
(15) 検量線は,直線を示す範囲内での使用が望ましい。曲線となる場合には,濃度によっては測定
精度が悪くなる場合がある。
(16) 検量線用試料は,分析種の濃度が内挿値となるような濃度に調製することが望ましい。
(17) 検量線が直線で,原点を通ることが確認されている場合には,予想される分析種の濃度より高
い濃度の検量線用試料を用いて,一点の測定点だけで検量線を作成することができる。
(18) 試料が懸濁している場合は,試料による吸光度に加え,散乱による光の減衰が観測されるため,
定量を行うことができない。このような場合,散乱だけによる吸収が観測される波長の吸光度
をバックグラウンドとして,試料による吸収,散乱による吸収がともに含まれる波長の吸光度
――――― [JIS K 0115 pdf 12] ―――――
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から差し引いた吸光度を使用することによって,定量が可能になることもある。バックグラウ
ンド波長として,2波長を用いることもある。
吸
光
度 検量線
測定試料の吸光度
測定試料の 分析種の濃度
分析種の濃度
図 5 検量線法の一例
8.2 標準添加法
定量する同一試料溶液から4個以上の一定量の試料をとる。1個を除き,これに分析種
の濃度が既知である溶液を,それぞれ濃度が段階的に異なるように加える。これらの試料及び先に除いた
1個の試料を,必要な場合には,それぞれ発色操作を行った後,一定量として測定試料を調製し,吸光度
を測定する。それぞれに加えた分析種の濃度を算出し,標準液の添加による分析種の濃度の増加量を横軸
(19)に,吸光度を縦軸にとり,関係式を作成する。関係線と横軸との交点(図6に示す点X)から分析種の濃
度又は量を求める(20)。
注(19) 分析種の濃度と一定濃度・濃度既知の標準液の添加量又は一定量の添加回数との間に比例関係
が成立するため,横軸に添加量又は添加回数をとることができる。
(20) 標準添加法は,関係式が一次で,かつ,吸光度から空試験値を補正した値で作成した検量線が
原点を通過する場合にだけ適用する。
――――― [JIS K 0115 pdf 13] ―――――
吸
光
度 標準液の添加による吸光度の増加
試料溶液による吸光度
標準液の添加による分析種濃度の増加量
X
図 6 標準添加法の一例
8.3 その他の定量方法
主にたん白・核酸の定量に使われる方法として,次の種類がある。
a) 260 nmの吸光度だけを用いる方法 検量線を用いない簡便法として,おおよその濃度係数を260 nm
における吸光度に乗じて定量を行う。
b) 比演算(RATIO)による方法 260 nmの測光値と280 nmの測光値の比を計算し,精製度を確認する指
標にする。比演算の期待値との割合を%で表示し,純度とすることもある。
c) 2波長を用いる方法 2種類の物質が存在する場合,二つの波長を測定すれば,観察される吸光度がそ
れぞれ2成分の和と考えることができる。したがって,それぞれの濃度を変数とした連立方程式を解
くことによって,濃度を定量する。
8.4 レートアッセイ
酵素の反応速度分析(酵素の触媒濃度の測定)に用いられる方法である。定量す
る試料を試料セルに入れ,吸光度の時間変化を測定する。単位時間当たり(通常は1分間)の吸光度変化
を計算し,係数を乗じ酵素の触媒濃度を計算する。
8.5 定量値の表し方
定量値の表し方は,JIS K 0050の4.(単位及び記号並びに比率)及び6.(検量線
用溶液及び滴定用溶液)による。
9. データの質の管理
データの質の管理には,次の項目が重要である。
9.1 装置の性能確認
次に示す項目から必要なものを選択し,日常点検,定期点検によって装置の性能
を確認し,装置のバリデーションを行う。定期点検は標準操作手順書(SOP: Standard Operating Procedure)
を作成し,標準操作手順書によって行うと便利である。また,装置バリデーション用のソフトウェアが用
意されている場合は,ソフトウェアによって行うこともできる。
a) 波長正確さ
b) 測光正確さ
c) 分解
d) ベースライン安定性
e) ベースライン平たん度(複光束方式の場合だけ)
f) 迷光
――――― [JIS K 0115 pdf 14] ―――――
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備考 必要に応じて,上記以外の項目を追加することもできる。
9.2 適切な試料の調製
測定対象に応じて,5.3に示した内容に従って適切な調製を行う。
10. 測定結果の記録
測定結果は,必要に応じて,次の事項を記録する。
a) 測定年月日及び測定者名
b) 試料名
c) 分析種
d) 測定方法
e) 装置の名称及び形名
f) 校正の時期及び方法
g) 測定波長
h) スペクトル幅
i) 吸収セルの材質
j) 吸収セルの形状
k) 吸収セルの光路長又はセルの内径
l) 対照試料
m) 空試験値
11. 個別規格に記載すべき事項
吸光光度分析法を用いる個別規格には,少なくとも次の事項を記載しな
ければならない。
a) 分析種及び定量範囲
b) 試料の採取方法及び保存方法
c) 試料の前処理及び測定試料の調製方法(分解,分離,濃縮,試薬,反応条件など)
d) 測定条件
1) 測定装置の種類
2) 測定波長
3) 吸収セルの種類(材質,光路長など)
4) 対照試料の種類
5) 測定試料調製から測定までの時間
6) 吸収曲線の例示
e) 定量方法の種類
f) 分析結果の表示
――――― [JIS K 0115 pdf 15] ―――――
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JIS K 0115:2004の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0115:2004の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0212:2016
- 分析化学用語(光学部門)
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8223:2016
- 過塩素酸(試薬)