JIS K 0121:2006 原子吸光分析通則 | ページ 2

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ガラス 陽極 中空陰極
石英ガラス窓又はガラス窓
石英窓又はガラス窓
希ガス(ネオン又はアルゴン)
図 2 中空陰極ランプの構造(一例)
b) 高輝度ランプ 特定元素の分析用光源
1) 高輝度中空陰極ランプ
2) 無電極放電ランプ
c) 低圧水銀ランプ 水銀分析用光源
d) キセノンランプ 対象元素の分析用及びバックグラウンド補正用光源
e) 重水素ランプ バックグラウンド補正用光源
f) タングステンランプ バックグラウンド補正用光源
5.2.2 ランプ点灯用電源 光源部の光源ランプ点灯用電源は,光源ランプを点灯させ,その輝度を安定さ
せる機能をもつものとする。

5.3 試料原子化部

5.3.1  フレーム方式の原子化部 フレーム方式の原子化部は,バーナー及びガス流量制御部で構成する。
a) バーナーは,試料溶液をチャンバー内に吹き込んで,細かい粒子だけをフレームに送り込む予混合バ
ーナー及び霧化された試料溶液の全量をフレームに送り込む全噴霧バーナーとする。予混合バーナー
の一例を図3に示す。ここでは,二重管で構成されるネブライザーの外側に助燃ガスが流れることに
よって,試料溶液がチャンバー内に霧状で導入される。この霧は更にディスパーサーにぶつかり,よ
り細かい粒子だけが燃料ガス,助燃ガスとともにチャンバー内を進み,バーナーヘッドのスロットか
らフレームに送り込まれる。予混合バーナーに用いるフレームの種類は,アセチレン・空気,アセチ
レン・一酸化二窒素,水素・アルゴンなどとする。ドレントラップは,燃料ガス及び助燃ガスがドレ
ンチューブから流出しないものを用いる。
b) ガス流量制御部は,バーナーに供給する燃料ガスの圧力,助燃ガスの圧力及びそれらの流量を一定に
保つためのもので,圧力調節弁,流量調節弁などで構成する。

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図 3 予混合バーナー(一例)
5.3.2 電気加熱方式の原子化部 電気加熱方式の原子化部は,電気加熱炉及び電源部で構成する。
a) 電気加熱炉は,発熱体に電流を流して試料溶液を乾燥,灰化,原子化するもので,その発熱体は,黒
鉛製又は耐熱金属製とする。酸化防止,試料蒸気などの移送のため,アルゴン,窒素,アルゴン及び
水素の混合ガスなどを炉の中に流す構造のものがある。電気加熱炉(黒鉛)の一例を,図4に示す。
図 4 電気加熱炉(黒鉛)(一例)
b) 電源部は,電気加熱炉の発熱体を段階的又は連続的に必要な温度に加熱する。
5.3.3 冷蒸気方式の原子化部 冷蒸気方式の原子化部は,水銀蒸気発生部と吸収セルとで構成する。

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a) 水銀蒸気発生部は,試料溶液に還元剤を加え,水銀を還元気化させる還元気化器とする。
b) 吸収セルは両端に石英ガラス窓をもつガス流通構造のものとする。

5.4 光学系

5.4.1  測光方式 シングルビーム方式(図5)とダブルビーム方式(図6)とがある。シングルビーム方
式は,1本の光束で測定を行うが,ダブルビーム方式は,光束をハーフミラーなどによって分割し,一方
を原子化部に通過させ,他方は,う(迂)回する。後者を参照光として光強度変化を補正するものである。
光源ランプ
バーナー 分光器
図 5 シングルビーム方式の光学系例
参照光
サンプル光
分光器
反射ミラー
ハーフミラー
光源ランプ
バーナー
図 6 ダブルビーム方式の光学系例
5.4.2 分光器 光源から放射されたスペクトルの中から必要な分析線だけを選び出すためのもので,回折
格子を用いた分光器を備え,近接線を分離できる十分な分解能を備えたものとする。分光器には,リトロ
ー形分光器(図7),ツェルニ・ターナー形分光器(図8),エバート形分光器(図8),エシェル形分光器
(図9)などがある。
備考 光源スペクトル分布が単純な元素では,干渉フィルターを用いる場合もある。又は回折格子,
干渉フィルターを用いないで,ある波長だけを選択的に検出できる検出器を用いる場合もある。
回折格子
出口スリッ
出口スリット

検出器
集光系
凹面鏡
入口スリット
入口スリット
図 7 リトロー形を用いた分光部

――――― [JIS K 0121 pdf 8] ―――――

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出口スリット
出口スリット
*) **)
検出器
凹面鏡
回折格子
集光系
凹面鏡
凹面鏡
入口スリット
入口スリット
注 *)ツェルニ・ターナー形
**)エバート形
図 8 ツェルニ・ターナー形及びエバート形を用いた分光部
エシェル回折格子
検出器
凹面鏡
入口スリット
入口スリット
凹面鏡
プリズム
図 9 エシェル形を用いた分光部

5.5 検出部

 検出器への入射光の光強度をその強度に応じた電気信号に変換するもので,光電子増倍管,
光電管又は半導体検出器が用いられる。

5.6 データ処理部

 データ処理(2)を行い,吸光度,濃度,検量線,測定結果などを表示,記録する。ア
ナログ方式及びデジタル方式がある。表示には,ディスプレー,プリンター,記録計などを使用する。
注(2) データ処理には,測定値の読み取りの精度向上及び迅速化を図る目的で,信号の積分及び吸収
ピーク値の読み取り機能をもち,検量線の作成及び記憶の機能をもつものがある。

5.7 バックグラウンド補正

部 バックグラウンドを補正するためのものである。バックグラウンド補正方式には,連続スペクトル光源補正方式,ゼーマン分裂補正方式,非共鳴近接線補正方式及び自己反転補
正方式の4種類がある。

――――― [JIS K 0121 pdf 9] ―――――

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5.7.1 連続スペクトル光源補正方式 連続スペクトルを発生する光源(例えば,重水素ランプ,タングス
テンランプなど)をバックグラウンド補正に用いる方式である。連続スペクトル光源ランプ及びその光線
を分析用光源ランプ(中空陰極ランプ)の光軸に一致させる光学系(3)で構成する。連続スペクトル光源方
式の一例を,図10に示す。
注(3) 一般には,ハーフミラーを用いる。
バックグラウンド補正用
光源ランプ
分析用光源ランプ ハーフミラー 試料原子化部 光学系
図 10 連続スペクトル光源補正方式の構成(一例)
補正用光源としては,180350 nmの範囲に分析線をもつ元素に対しては重水素ランプが,また,350
800 nmの範囲の元素に対しては,タングステンランプが最もよく用いられる。図11に光源の発光スペ
クトルと試料の吸収スペクトルとの関係を示す。連続スペクトルを光源とした場合,補正線の波長幅は光
学系に依存し,モノクロメーターのスペクトルバンド幅に等しいので,原子吸収線のそれよりはるかに広
い。その結果,原子蒸気による吸収はほとんど認められず,バックグラウンド吸収だけが測定される。一
方,中空陰極ランプを光源とした場合は,光学系によって取り出される分析線の波長幅は,光源ランプ固
有の輝線スペクトルの波長幅と同じであり,極めて狭いため,原子蒸気による吸収とバックグラウンドに
よる吸収との両方が測定される。したがって,両者の吸収の差を電気的又は計算で求めることによって,
バックグラウンド吸収の影響を除くことができる。

――――― [JIS K 0121 pdf 10] ―――――

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