JIS L 1920:2022 繊維製品の防ダニ性能試験方法 | ページ 2

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3.10
増殖抑制性能(efficiency of suppression of house dust mite reproduction)
室内じん(塵)性ダニの増殖を抑制させる性能
3.11
通過防止性能(efficiency for prevention of penetration against house dust mite)
室内じん(塵)性ダニの侵入を防ぎ,通過を不可能にする性能
注釈1 この規格では,物理的作用によってダニ生体が通過できないものに限定する。

4 原理

4.1 忌避試験

a) 侵入阻止法 試験装置には大きさの異なるシャーレを2枚用いる。シャーレ(小)は試料を敷き詰め
中心部分にダニ飼料をばらまいたもの。シャーレ(大)は生存ダニ10 000匹を含むダニ培地をばらま
いたもので,その中央部分にシャーレ(小)を重ね置き,試験装置とする。試験開始24時間後のシャ
ーレ(小)内に移動したダニ数を調べ,試料の忌避性能を調べる。
なお,この規格では,侵入阻止法の試験方法については附属書C,ダニ数の計数方法を附属書Bに
まとめた。
b) ガラス管法 ガラス管の片側の末端からダニ飼料,ダニ計数用わた,試料の順に詰め,ガラス管のも
う一方の端に生存ダニ10 000匹を含むダニ培地をばらまき,密閉したガラス管を試験装置とする。試
験開始48時間後のダニ飼料及びダニ計数用わたのダニ数を調べ,試料の忌避性能を調べる。
ガラス管法には,試料のかさ(嵩)幅を固定する固定具を使用するか否かで,2種類の試験方法が
あり,ふとんわたの材質から次のいずれかを選ぶ。
1) ガラス管A法 固定具を使用しないガラス管法
2) ガラス管B法 固定具を使用するガラス管法
なお,この規格では,ガラス管法の試験方法については附属書D,ダニ数の計数方法を附属書Bに
まとめた。

4.2 増殖抑制試験

  試料に生存ダニ50匹80匹を含むダニ飼料0.1 gをばらまいたものが試験装置で,試料の種類によって
試験容器にシャーレ(小)又はサンプル管瓶のいずれかを使用する。ダニ数の計数観察は,試験開始4週
間後及び6週間後の2回行う。さらに,試験期間を延長する場合は最長8週間とし,試験開始7週間8
週間の間に3回目のダニ数の計数観察を行う。増殖抑制試験は,各時点のダニの増殖具合から試料の増殖
抑制性能を調べる。
増殖抑制試験は,試験容器によって試験名称を次のように区別する。
a) 増殖抑制試験A法 シャーレ(小)を用いる増殖抑制試験
b) 増殖抑制試験B法 サンプル管瓶を用いる増殖抑制試験
なお,この規格では,増殖抑制試験の試験方法については附属書E,ダニ数の計数方法を附属書Bにま
とめた。

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4.3 通過防止試験

  試験装置は,ガラス管の開口部の片側に試料を貼り付け,その上面をプラスチックフィルムで被覆し,
ガラス管のもう一方の開口部にろ紙を接着して密閉したもの。ガラス管の中に生存ダニ数10 000匹を含む
ダニ培地を閉じ込め,試験開始24時間後に試料を通過したダニ数をプラスチックフィルム上から観察し,
試料の通過防止性能を調べる。
なお,この規格では,通過防止試験については,ダニ数の計数方法も含めて附属書Fにまとめた。

5 試験の準備

5.1 試薬

  試薬は,次による。
5.1.1 水 第十七改正日本薬局方の常水の基準に適合するもの。ただし,試薬の調製に用いる場合は,第
十七改正日本薬局方の基準に適合する精製水を使用しなければならない。
5.1.2 乾燥酵母 第十七改正日本薬局方の基準に適合するもの。ダニ飼料の材料として使用する。
5.1.3 飽和食塩水 JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム(特級)392 gを水1 000 mlに加え,加熱溶解
させた後,上澄み液だけ採取したもの。密閉容器(5.2.17)内の湿度調整及び飽和食塩水浮遊法(B.2.1)に
使用する。
5.1.4 非イオン界面活性剤 非イオン界面活性剤ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソ
ルベート80) 0.1 gを水100 mlに溶解させたもの。ダニの回収作業時に湿潤剤として使用する。
5.1.5 着色液 クリスタルバイオレット(C25H30ClN3·9H2O)6.0 g又はメチレンブルー(C16H18N3S·Cl·
3H2O)0.6 gをJIS K 8102に規定するエタノール(特級又は1級)100 mlに溶解させた後,水で全量を1 000
mlにしたもの。ろ紙及びろ紙上のきょう(夾)雑物を染色し,ダニを見分けやすくするために使用する。
なお,この着色液を直接ろ紙の染色に用いる場合は,数倍に希釈したものを用いる。また,着色の濃淡
による見やすさには個人差があるので,着色用試薬の分取量を加減してもよい。ただし,着色液によって
ダニが死亡又は着色されてはならない。

5.2 材料及び器具

  材料及び器具は,次による。
5.2.1 循環式熱風乾燥機 温度70 ℃±2 ℃に設定できるもの。試料及びダニ飼料の前処理に使用する。
5.2.2 恒温器,恒温室 温度25 ℃±2 ℃,暗条件に設定できるもの。ダニの飼育,試験に使用する。
5.2.3 三角フラスコ JIS R 3503に規定するもので,呼び容量が50 mlのもの。飽和食塩水浮遊法(B.2.1)
に使用する。
5.2.4 ビーカー JIS R 3503に規定する呼び容量が50 ml又は100 mlのもの。容量が50 mlのものは飽和
食塩水浮遊法(B.2.1)に,100 mlのものは全量展開法(B.2.2)に使用する。
5.2.5 シャーレ(大) JIS R 3503に規定するペトリ皿で,内径が約90 mm,内高約20 mmのもの。侵入

――――― [JIS L 1920 pdf 7] ―――――

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阻止法の試験装置(C.2)に使用する。また,ダニの飼育容器,吸引ろ過したろ紙の受け皿などにも用いる。
5.2.6 シャーレ(小) 外径45 mm,内高約15 mmのガラス製のもの。侵入阻止法の試験装置(C.2)及
び増殖抑制試験の増殖抑制試験A法(E.2.1)の試験装置(E.2)に使用する。
5.2.7 ガラス管A JIS R 3644に規定する外径22 mm±0.6 mm(肉厚1.2 mm±0.2 mm),長さ約100 mm
で硬質のもの。ガラス管法の試験装置(D.2)に用いる。
5.2.8 ガラス管B JIS R 3644に規定する外径40 mm±1.0 mm(肉厚2.0 mm±0.3 mm),長さ約55 mmで
硬質のもの。通過防止試験の試験装置(F.2)に用いる。
5.2.9 ゴムバンド JIS Z 1701に規定するゴムバンドの呼びが18(折り径70 mm±3 mm,幅15 mm±1.5
mm)に相当するもの。ガラス管法の試験装置(D.2)及び通過防止試験の試験装置(F.2)に使用する。
5.2.10 サンプル管瓶 ガラス製で,外径約30 mm,全長約63 mm,及び容量約30 mlのもの。増殖抑制試
験の増殖抑制試験B法(E.2.2)の試験装置(E.2)に使用する。
5.2.11 ホットメルト接着剤 JIS K 6862に規定するもので,適切な強度をもち,ダニに影響を与えないも
の。通過防止試験の試験装置(F.2)に使用する。
5.2.12 ろ紙 JIS P 3801に規定する大きさが直径70 mm又は90 mmの定性分析用のろ紙。生存ダニの計
数(附属書B)及び通過防止試験の試験装置(F.2)に使用する。
なお,ダニの計数に用いるろ紙は,ダニを重複して計数しないように5 mm10 mm間隔に線,又はま
す目を書き入れて使用する。
5.2.13 粘着テープ JIS Z 1539に規定するもので,適切な粘着力があり,ダニに影響を与えないもの。ガ
ラス管法の試験装置(D.2)及び通過防止試験の試験装置(F.2)に使用する。
5.2.14 粘着シート は(這)い出したダニを固着するのに十分な粘着力があるもの。粘着シートは,ダニ
培地の準備(附属書A),侵入阻止法(附属書C)及び増殖抑制試験(附属書E)で用いる密閉容器(5.2.17)
のす(簀)の子の上に敷き,試験室のダニ汚染防止のためダニトラップとして用いる他,ダニの回収用に
熱追出し法(B.2.4)で使用する。使用する粘着シートが試験装置の取り出しに支障がある場合は試験容器
の底面に離紙を貼り付けて使用する。熱追出し法で用いる粘着シートはダニを捕着する粘着力をもち,
かつ,試料から粘着剤を残さずに再離性のあるものを用いなければならない。
5.2.15 高密度織物 JIS L 1096の8.1.1(織物の組織)のA法(JIS法)による通気度が1 cm3/cm2·s10
cm3/cm2·sで,繊維の種類が綿100 %のもの。ガラス管法の試験装置(D.2)に使用する。
5.2.16 標準布 JIS L 0803の表1に規定されている“単一繊維布”の“綿”,呼び番号3-1(かなきん3号)。
ふとん側地,カバー·シーツ類,毛布などの無加工試料の代用及び通過防止試験(附属書F)の基準布と
して用いる。
5.2.17 密閉容器 プラスチック製の容器で気密性のあるもの。密閉容器は,ダニ飼料又はダニ培地がプラ
スチックから発生する静電気の影響を受けないように,余裕のある大きさを選ぶ。密閉容器は,その中に
す(簀)の子を敷き,内容積の約10 %量の飽和食塩水(5.1.3)を入れ,ダニの飼育及び試験に用いる。さ
らに,試験に用いる場合は,試験区ごとに密閉容器を準備しなければならない。
− 密閉容器及びす(簀)の子は,ポリプロピレン製など試験に影響を与えない材質で,抗菌剤など特殊
な処理されていないものでなければならない。

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− す(簀)の子は,水平を維持できるものでなければならない。
5.2.18 実験動物用粉末飼料 マウス,ラット,ハムスターなどの実験動物の飼育に用いるもの。ダニ飼料
の材料[A.2.2のa)]として使用する。
5.2.19 天びん 最小表示が0.000 1 gまで可能なもの
5.2.20 実体顕微鏡 JIS B 7139-1に規定するもので,落射式照明装置を備え,倍率が20倍程度のもの
5.2.21 試験用ふるい JIS Z 8801-1に規定するもので,その目的から次の2種類を使用する。
a) 目開き500 μm700 μm 洗出し法(B.2.3)に用いる。
b) 目開き300 μm 実験動物用粉末飼料(5.2.18)の選別に用いる。
5.2.22 固定具 ステンレス製の金網(目開き約1 mm)でできたもの。直径約20 mmの円形に切り取った
もの及び折り曲げて縁を付けた同径のもの。ガラス管B法(D.2.2)で,試料の厚さを20 mm±2 mmに保
つために用いる。
5.2.23 吸引装置 吸引瓶にブフナーロートを取り付けて,アスピレータ(又は吸引ポンプ)で吸引ろ過で
きるようにしたもの。必要があれば,吸引力を調節するためのバイパスを入れて使用する。
5.2.24 数取器 09 999までカウントできるもの。ダニの計数に用いる。
5.2.25 プラスチックフィルム JIS Z 1707に規定したもので,ポリエチレン又はポリプロピレン製の食品
用ラップフィルム。通過防止試験(附属書F)の試験装置(F.2)に用いる。
5.2.26 合成繊維ふとんわた 繊維の種類がポリエステル100 %で,繊度が5 dtex8 dtex,繊維長が51 mm
75 mmのもので,特殊な加工が施されていないもの。前処理[6.2.1のb)]を施し,ガラス管法(附属書
D)の試験装置(D.2)のダニ計数用わた及びふとんわたの無加工試料の代用に用いる。
5.2.27 タイルカーペット原反 JIS L 4406の“タイルカーペット”の第一種に該当する原反。裏打ち及び
プレコート処理が施されていないもので,かつ,基布がノーバインダータイプのもので,パイル素材にナ
イロンフィラメント糸で反染め又は湯通し後のものが使用されているもの。前処理[6.2.1のa)]を施し,
カーペットの無加工試料の代用に用いる。
5.2.28 ホットプレート 40 ℃±1 ℃で加熱できるもの。熱追出し法(B.2.4)に用いる。
5.2.29 温度測定器 JIS Z 8704に規定したもので,20 ℃100 ℃の範囲を2点以上測定,記録できるも
の。また,測温体が,貼り付け固定の可能なもの。熱追出し法(B.2.4)に用いる。

6 試料

6.1 採取方法

  試料が羽毛ふとんわた以外の繊維製品の場合は,JIS L 0105に規定した方法に従い,羽毛ふとんわたの
場合は,JIS L 1903に規定した方法による。採取する量は,次による。
採取した試料は,試料別にポリエチレン製などの袋に入れ,密封し,他の試料に影響を受けないように
試験室内で保管する。なお,保管場所は,水分,直射日光などの影響のない場所とする。
a) カーペット,ふとん側地など 30 cm×30 cm以上

――――― [JIS L 1920 pdf 9] ―――――

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b) 合成繊維ふとんわたなど 50 g以上
c) 羽毛ふとんわた 10 g以上

6.2 無加工試料

6.2.1 侵入阻止法,ガラス管法及び増殖抑制試験
侵入阻止法(附属書C),ガラス管法(附属書D)及び増殖抑制試験(附属書E)は,加工品と同時に無
加工試料も試験を行わなければならない。無加工試料として加工品と同質のものが準備できる場合は,そ
れを試験に用いる。加工品と同質の無加工試料が準備できない場合で,試料がカーペット,合成繊維ふと
んわた,ふとん側地及びカバー·シーツ類の場合は,次に示したものを無加工試料として試験に代用して
もよい。
a) カーペット タイルカーペット原反(5.2.27)をJIS L 1930の附属書F[C形基準洗濯機(パルセータ
式)の洗濯方法仕様書]のC4M法に規定する方法によって,洗濯,遠心脱水後,120 ℃±2 ℃,30分
間加熱乾燥し,再度,JIS L 1930の附属書FのC4M法に規定する方法によって,洗濯,遠心脱水し,
室温乾燥させたもの。なお,洗濯は,洗剤を使用しない湯洗いとする。
b) 合成繊維ふとんわた 合成繊維ふとんわた(5.2.26)を洗濯用ネットに入れ,JIS L 1930の附属書Fの
C4M法に規定する方法によって洗濯し,遠心脱水後,室温乾燥させたもので,無加工試料の代用とし
て用いる他に,ガラス管法(附属書D)のダニ計数用わたに使用する。なお,洗濯は,洗剤を使用し
ない湯洗いとする。
c) ふとん側地,カバー·シーツ類 標準布(5.2.16)を用いる。
6.2.2 通過防止試験
通過防止試験は,試験成立の是非を確認するために,試料と併行して基準布も試験を行わなければなら
ない。その基準布として標準布(5.2.16)を用いる。

7 準備

7.1 試料

7.1.1 前処理
試料は,試験開始前に,循環式熱風乾燥機(5.2.1)を用いて,70 ℃±2 ℃,10分間加熱処理を行い,試
験に用いる。
なお,加熱処理は,試料を適切な大きさの蓋付ステンレスバットに入れて行う。また,2種類以上の試
料を加熱処理を行う場合は,試料別に加熱処理を行わなければならない。
前処理を施した試料は,速やかに試験を開始し,試験日程などの理由で,やむを得ず保管する場合は,
7.1.2に従って保管する。
7.1.2 保管
前処理を施した試料を,試料別にポリエチレン製などの袋に入れ,密封し,他の試料の影響を受けない
ように試験室内で保管する。なお,保管場所は,温度,水分,直射日光などの影響のない場所とする。

――――― [JIS L 1920 pdf 10] ―――――

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JIS L 1920:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 21326:2019(MOD)

JIS L 1920:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS L 1920:2022の関連規格と引用規格一覧