この規格ページの目次
6
M 8702 : 2019
(8.2参照)。
サンプリングシステムは,サンプリングする鉱石の最大粒度及び流量に適応するように設計しなければ
ならない。サンプリング及び試料調製システムの詳細な設計要求事項は,箇条7箇条10に規定する。
5.1.4 インクリメントの質量
5.1.4.1 一般
偏りのない試料を得るために必要なインクリメントの質量は,代表的なサンプリングの状態について計
算することができる[式(1)式(3)参照]。計算した質量と実際のインクリメントの質量との比較は,サン
プリングシステムの設計及び運転のチェックに有用である。有意な差がある場合は,その原因を特定し,
問題点の是正処置をとらなければならない。
5.1.4.2 落下流サンプリングのインクリメントの質量
カッタ形一次サンプラを用いて鉱石流からコンベヤベルトの落口において,機械的に又は手動で採取さ
れるインクリメントの質量[m1(kg)]は,次の式(1)による。
ql1
m=
1 (1)
6.3vC
ここに, q : コンベヤベルト上の鉱石流量(t/h)
l1 : 一次サンプラのカッタ幅(m)
3.6 : m1を求めるための単位の換算係数
vC : 一次サンプラのカッタ速度(m/s)
偏りを避けながら採取することのできるインクリメントの最小質量は,7.5.4で規定するカッタの最小幅
及び7.5.5で規定するカッタの最大速度によって決まる。
5.1.4.3 停止ベルトサンプリングのインクリメント質量
停止ベルトから手動で採取されるインクリメントの質量[m1(kg)]は,コンベヤ上の鉱石の全断面の
質量に等しく,次の式(2)による。
ql2
m=
1 (2)
6.3vB
ここに, q : コンベヤベルト上の鉱石流量(t/h)
l2 : コンベヤベルトから採取される鉱石の横断面の流れ方向の長
さ(m)
3.6 : m1を求めるための単位の換算係数
vB : コンベヤベルトの速度(m/s)
偏りを避けながら採取することのできるインクリメントの最小質量は,コンベヤから採取される鉱石の
最小の長さ,すなわち,3dによって決まる。ここに,dは鉱石の最大粒度(mm)で,一次カッタの採取
試料では,最小30 mm,それ以降の工程では,最小10 mmとする。
5.1.4.4 スピア形サンプラ又はオーガ形サンプラによる手動サンプリングのインクリメント質量
ロットの貨車からスピア形サンプラ又はオーガ形サンプラを用いて採取されるインクリメントの質量
[m1(kg)]は,次の式(3)による。
2
π l3 L
m1 = (3)
4 000
ここに, ρ : 鉱石(最大粒度1 mm未満)のかさ密度(t/m3)
l3 : スピア形サンプラ又はオーガ形サンプラの直径(mm)
――――― [JIS M 8702 pdf 11] ―――――
7
M 8702 : 2019
L : 貨車中の鉱石の深さ(m)
4 000 : m1を求めるための単位の換算係数
偏りを避けながら採取することのできるインクリメントの最小質量は,スピア形サンプラ又はオーガ形
サンプラの最小直径,すなわち,30 mmによって決まる。
このインクリメント抽出方法は,最大粒度1 mm未満の鉱石のサンプリングだけに適用できる。
5.2 総合精度
この規格は,ロットの全鉄分,シリカ分,アルミナ分,りん分,水分及び粒度区分の値に対して,信頼
率95 %で表1の総合精度( 戀 を達成できるように設計されている。
必要があれば,より高い精度を採用してもよい。精度は,JIS M 8708による。
表1−総合精度( 戀
単位 質量分率(%)
品質特性 総合精度(戀
ロット質量
(t)
70 000
340 000 270 000 210 000 150 000 100 000 45 000 30 00015 000
超 超 超 超 超 超 超 超 超
70 000
340 000 270 000 210 000 150 000 100 000 45 00030 000 15 000
以下 以下 以下 以下 以下 以下 以下 以下 以下
全鉄分 0.33 0.34 0.35 0.37 0.38 0.40 0.42 0.45 0.49 0.55
シリカ分a) 0.33 0.34 0.35 0.37 0.38 0.40 0.42 0.45 0.49 0.55
アルミナ分a) 0.10 0.11 0.12 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.18 0.20
りん分a) 0.005 7 0.005 8 0.005 9 0.006 3 0.006 5 0.006 8 0.007 2 0.007 7 0.008 4 0.009 4
水分 0.33 0.34 0.35 0.37 0.38 0.40 0.42 0.45 0.49 0.55
粒 最大粒度 −10 mm区分 3.3 3.4 3.5 3.6 3.7 3.9 4.0 4.2 4.4 5.0
度 200 mmの鉱石 (平均20 %)
最大粒度
50 mmの鉱石
1.65
−31.5+6.3 mm −6.3 mm区分 1.7 1.75 1.8 1.85 1.95 2.0 2.1 2.2 2.5
整粒鉱石 (平均10 %)
焼結用粉鉱 +6.3 mm区分
(平均10 %)
ペレット用粉鉱 −45
(平均70 %)
ペレット −6.3 mm区分0.66 0.68 0.70 0.72 0.74 0.78 0.80 0.84 0.88 1.00
(平均5 %)
注a) シリカ分,アルミナ分及びりん分の総合精度は,参考値である。
注記 表1以外の物理特性及び冶金特性は,鉱石の輸送工程及び還元工程での状態を示しており,こ
の規格では総合精度については規定していない。
総合精度( 戀 は式(4)式(6)に示すように,サンプリング,試料調製及び測定の標準偏差を合成した
もので,サンプリング,試料調製及び測定の総合標準偏差( の2倍であり,質量分率(%)で表示
する。
2 2 2
=
SPM S+ P+ M (4)
――――― [JIS M 8702 pdf 12] ―――――
8
M 8702 : 2019
2 2 2
SPM=2 SPM=2 S + P + M (5)
S
W
(pdf 一覧ページ番号 )
n1
ここに, サンプリングの標準偏差
試料調製の標準偏差
測定の標準偏差
鉱石の品位変動
n1 : 一次インクリメント個数
式(4),式(5)及び式(6)は,層別サンプリングの理論に基づいている(詳細は,附属書B参照)。ロットか
ら採取する一次インクリメント個数は,所要のサンプリング精度及び採取する鉱石の品位変動によって変
わる。したがって,一次インクリメント個数の決定に当たっては,次の事項を明確にしなければならない。
a) 所要のサンプリング精度, 戀
b) 採取する鉱石の品位変動, 圀
オンラインの試料調製が試料調製場所から離れたサンプリングプラント内で行われる場合は,サンプリ
ングと試料調製との区別が不明確になる。オンライン試料調製の精度は,サンプリング精度又は試料調製
精度のいずれかに含まれる。いずれの精度に入るかは,一次サンプリング精度から二次サンプリング精度
及び三次サンプリング精度の分離ができるかによる。
試料調製は,いずれの場合でも次工程への代表試料を選別する作業なので,サンプリング作業を含んで
いることになる。
最も厳密な解析は,サンプリングの標準偏差を各サンプリング段階で分解することで,式(4)は次の式(7)
になる。
2 2 2 2 2
SPM= S1+ S2+ S3+ P + M (7)
ここに, 一次サンプリングの標準偏差
二次サンプリングの標準偏差
三次サンプリングの標準偏差
この解析方法を用いて,各サンプリング段階の精度が別々に測定されて適正化されることによって,最
適なサンプリング及び試料調製システムが得られる。
5.3 品位変動
品位変動( は,ロットの不均質さを表す値であり,系統サンプリングを質量基準で行う場合には,
層内インクリメントの品質特性の標準偏差である。品位変動を決めるために選ぶ特性値は,全鉄分,シリ
カ分,アルミナ分,りん分,水分及び粒度である。
地 それぞれの鉱石の種類ごと又は銘柄ごと,及び通常の稼働状態における荷役設備ごとにJIS M
8707による実験によって求めなければならない。鉱石の品位変動の大きさは,表2の3種類に区分する。
時間基準サンプリングの場合は,コンベヤベルト上の鉱石流量が均一ならば,質量基準サンプリングの場
合と同様にJIS M 8707を適用することができる。
品位変動の大きさが不明の鉱石に対しては,速やかにJIS M 8707に従って実験を行い,品位変動区分を
決定しなければならない。この場合,品位変動区分は,次による。
――――― [JIS M 8702 pdf 13] ―――――
9
M 8702 : 2019
a) 当該鉱石又は類似の鉱石に対して,品位変動区分の情報がない場合は,区分を“大”とする。
b) 品位変動区分の情報がある場合は,最初の区分として,類似の鉱石の区分を適用する。
化学成分,水分,粒度用試料などを別々に採取する場合には,特性値ごとの品位変動区分を適用する。
表2以外の,物理特性及び冶金特性用の試料を別々に採取する場合には,区分“大”を適用する。
試料を一つ以上の品位特性値を測定するために用いる場合は,それらの品位特性の中の最も大きな品位
変動区分を適用する。
品位変動区分の決定方法は,附属書JAによる。
表2−品位変動(σW)の大きさの分類
単位 質量分率(%)
品質特性 品位変動( 区分
大 中 小
全鉄分 最 2.0> 最 1.5
シリカ分 最 2.0> 最 1.5
アルミナ分 最 0.6> 最 0.4
りん分 最 0.015> 最 0.011
水分 最 2.0> 最 1.5
粒 最大粒度200 mmの −10 mm区分(平均20 %) 最 10> 最 7.5
度 鉱石
最大粒度50 mmの鉱石
−31.5+6.3 mm整粒 −6.3 mm区分(平均10 %) 最 5> 最 3.75
鉱石
焼結用粉鉱 +6.3 mm区分(平均10 %)
ペレット用粉鉱 −45 (平均70 %) 最 3> 最 2.25
ペレット −6.3 mm区分(平均5 %)
5.4 サンプリング精度及び一次インクリメント個数
5.4.1 質量基準サンプリング
品位変動( 戀
の値が既知の場合は,一次インクリメント個数(n1)は,所要のサンプリング精度(
を用いて,式(8)で求める。
2
2 W
n1 = (8)
S
これは,一次インクリメント個数を決定する望ましい方法である。ただし, 地 渠 大”,“中”
又は“小”として区分する場合,表3に示すサンプリング精度( 戀 を満たすために必要なインクリメン
トの最小必要個数は,表3から求めることができる。理論的背景は,附属書Bによる。表3では,精度に
対しサンプリング費用など経済性の観点からロットの大きさが小さくなるに従って,所要の精度を緩和し
ている。
品位変動区分が“大”の鉱石で,小ロットにおいて式(8)で規定するインクリメント個数を確保できない
場合は,受渡当事者間の協定によって,採取可能な最大のインクリメント個数を採取する。ただし,小口
試料の数及び測定回数を増やすことによってサンプリングの精度の低下分を補償し,必要な総合精度
――――― [JIS M 8702 pdf 14] ―――――
10
M 8702 : 2019
(βSPM)を満足するよう努めなければならない。
表3−サンプリング精度( 戀 を満足させるのに必要なインクリメントの最小必要個数[n1 a)]の例
ロットの質量 戀
サンプリング精度( 一次インクリメント個数
(1 000 t) 質量分率(%) (n1)
超 以下 全鉄分, アル りん分 最大粒度 −30+6.3 mm整ペレット用 品位変動区分
シリカ分 ミナ 200 mm又は50 粒鉱石の−6.3 粉鉱の−45 大 中 小
又は水分 分 mmの鉱石の mm区分,焼結 ,ペ
−10 mm区分 用粉鉱の+6.3 レットの
mm区分 −6.3 mm区
分
340 − 0.30 0.08 0.003 7 1.49 0.75 0.45 280 140 70
270 340 0.31 0.09 0.003 9 1.55 0.77 0.47 260 130 65
210 270 0.32 0.09 0.004 1 1.61 0.80 0.48 240 120 60
150 210 0.34 0.10 0.004 2 1.69 0.84 0.51 220 110 55
100 150 0.35 0.10 0.004 4 1.77 0.88 0.53 200 100 50
70 100 0.37 0.11 0.004 5 1.86 0.92 0.56 180 90 45
45 70 0.39 0.11 0.004 9 1.98 0.98 0.59 160 80 40
30 45 0.42 0.12 0.005 2 2.11 1.05 0.63 140 70 35
15 30 0.45 0.13 0.005 7 2.28 1.13 0.68 120 60 30
− 15 0.50 0.14 0.006 2 2.50 1.24 0.75 100 50 25
戀
注a) サンプリング精度を変えるために,n1の値を変えてもよい。例えば,n1を2倍にすると
/1 2 .071 倍よ
戀 2
くなり,n1を半分にすると 4.1 倍悪くなる。
5.4.2 時間基準サンプリング
一次インクリメントの最小必要個数は,式(8)によるが,表3を用いてもよい。その他の要領は,5.4.1
に準じる。
5.5 試料調製精度及び総合精度
5.5.1 一般
試料調製精度は,調製方法の選択に左右される。しかし,試料調製をまずインクリメントごと又は小口
試料ごとにある適切な段階まで行い,その後に大口試料にまとめると精度は向上する。
粒度測定及びそれ以外の物理試験の試料の調製・測定精度( 戀 は,鉱石の種類ごとにそれぞれ表5
及び表6に規定する数値以内とする。 戀 湮 定は,JIS M 8708の方法1及び方法2による。
縮分及び測定を大口試料ごと,小口試料ごと又はインクリメントごとに行う場合,総合標準偏差(
は,5.5.25.5.4による。
5.5.2 大口試料の調製及び測定
全インクリメントを集めてロットの大口試料を調製し,大口試料についてn2回測定した場合,総合標準
偏差は式(9)による。
2
2 2 2 M
SPM= S+ P+ (9)
n2
ここに, 大口試料から試験試料を調製する調製標準偏差
5.5.3 小口試料の調製及び測定
同じ数のインクリメント個数からなる小口試料n3個を調製し,小口試料ごとにn2回測定した場合,総合
標準偏差は式(10)による。
――――― [JIS M 8702 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS M 8702:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3082:2017(MOD)
JIS M 8702:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 73 : 鉱採及び鉱物 > 73.060 : 金属鉱物及びそれらの濃縮物 > 73.060.10 : 鉄鉱石
JIS M 8702:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISM8700:2013
- 鉄鉱石及び還元鉄―用語
- JISM8704:2015
- 鉄鉱石―ロットの質量及び品質特性値の決定方法
- JISM8705:2015
- 鉄鉱石―ロットの水分決定方法
- JISM8706:2015
- 鉄鉱石及び還元鉄―ふるい分けによる粒度分布の測定方法
- JISM8707:2004
- 鉄鉱石―品位変動評価実験方法
- JISM8708:2005
- 鉄鉱石―サンプリング,試料調製及び測定の精度を確認する実験方法
- JISM8708:2021
- 鉄鉱石―サンプリング,試料調製及び測定の精度を確認する実験方法
- JISM8709:2006
- 鉄鉱石―サンプリングの偏りを調査する実験方法
- JISM8712:2009
- 鉄鉱石―回転強度試験方法
- JISM8713:2009
- 鉄鉱石―被還元性試験方法
- JISM8715:2009
- 鉄鉱石ペレット―膨れ試験方法
- JISM8718:2009
- 鉄鉱石ペレット―圧かい強度試験方法
- JISM8720:2009
- 鉄鉱石―低温還元粉化試験方法
- JISZ8801-1:2019
- 試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい
- JISZ8801-2:2000
- 試験用ふるい―第2部:金属製板ふるい