JIS R 5204:2019 セメントの蛍光X線分析方法 | ページ 2

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4 一般的要求事項

4.1 試料の定量におけるガラスビードの枚数

  試料の定量におけるガラスビードの枚数は,2枚一組のガラスビードによる。
なお,品質管理を目的とする場合は,1枚でもよい。

4.2 許容差

4.2.1  併行許容差
併行許容差は,2枚一組のガラスビードの定量値の差の許容限界値であり,酸化物としての質量百分率
で表され,11.5の表1に示すとおりとする。
4.2.2 対標準物質許容差
対標準物質許容差は,検定用試料の標準値(11.2.2)と定量値の平均値[11.5.1のb),12.2.1のd),及び
12.3.1のe)]との差の許容限界値であり,酸化物としての質量百分率で表され,11.5の表2に示すとおり
とする。

5 試薬及び標準物質

5.1 試薬

  検量線用試料の調製に用いる試薬は,分析対象の化学成分の含有率が分かっているものを用いる4)。
注4) 一般的に試薬の化学成分の含有率は,試薬会社から試験成績表を入手し,それによって確認す
ることができる。
なお,その含有率は一般的にはある乾燥条件で乾燥された試料に対して求められているので,
含有率の算出に当たっては乾燥減量を考慮する。
試薬は,酸化物又は炭酸塩が適しており,附属書JAを参考にするとよい。

5.2 標準物質

5.2.1  認証標準物質
認証標準物質は,JIS Q 0031で規定する認証値5)及び不確かさに関する分析情報の証明書が提供されて
いるものでなければならない。
認証標準物質は,JIS Q 0030で規定する標準物質生産者の要求事項に適合している組織によって供給さ
れた物質であることが望ましい。
注5) IS Q 0031では,認証特性値と記載されている。
5.2.2 工業標準物質
工業標準物質は,均質に調製された物質(例えば,セメント)であり,公定法で規定されている化学分
析方法又はこれに準じる化学分析方法によって分析され,化学成分の標準値が正確に求められている物質。
なお,工業標準物質の標準値は,少なくとも4試験所による共同試験によって決定されたものでなけれ
ばならない。

6 装置及び器具

  装置及び器具は,次による。
6.1 天びん(秤) 天びん(秤)は,0.000 1 gの差を量ることができるものを用いる。
6.2 溶融るつぼ,成形型及び溶融型 溶融るつぼ,成形型及び溶融型は,白金合金製6)のものを用いる。
なお,溶融型は,溶融るつぼ及び成形型の両方の機能を備えたものをいう。
分析にビードの底面(平滑面)を使用する場合は,成形型又は溶融型の底面は平滑性を保ち,きずをつ

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けないようにしなければならない7)。
注6) 例えば,Pt/5 %Au,Pt/Rhのような離促進効果のあるものを用いるとよい。
7) 溶融るつぼ,成形型及び溶融型に汚れが付いた場合は,例えば,塩酸(1+10)又はくえん酸(100
g/L)中で煮沸すると取り除くことができる。
6.3 蓋 ガラスビードの調製において蓋を用いる場合は,白金合金製のものを用いる。ただし,離促
進効果をもつ必要はない。
6.4 炉 炉は,試料及び融剤の強熱,ガラスビードの調製時の溶融及び成形のために用い,その目的に
従って適切な温度に調節できる電気炉,マッフル炉,高周波炉などを用いる。
6.5 自動ガラスビード溶融装置 自動ガラスビード溶融装置は,試料と融剤との混合物の溶融及びガラ
スビードの成形の操作を自動的に行えるものを使用する。
6.6 冷却装置 ガラスビードの成形時に用いる冷却装置8)は,空冷式のもの又は水冷式の金属板を用いる。
注8) 一般的には放冷で十分であるが,試料によっては急速に溶融物を冷却する必要があり,冷却装
置を用いる。これによって均質なガラスビードが得られ,成形型からガラスビードを外すこと
が容易となる。
6.7 蓄熱体 蓄熱体は,小径の成形型を用いる際,電気炉から取り出したときに急速に成形型が冷えな
いようにするために必要な場合に用いる。
6.8 蛍光X線分析装置 蛍光X線分析装置9)は,分析対象の化学成分について十分な感度でX線強度を
測定できるものを使用する。
注9) 測定条件は,試料の種類,蛍光X線分析装置の種類,分析する化学成分,それらの含有率など
を考慮し,設定する。
6.9 比例計数管用のフローガス フローガスのボンベ10)及び接続配管の温度は,比例計数管の感度に影
響するために重要である。そのため,蛍光X線分析装置内の比例計数管に導入されるフローガスの温度が
一定となるように,ボンベの設置及び接続配管を行う11)。
なお,新しいボンベを使用する場合は,最低2時間前にボンベを設置し,温度が一定となるようにする。
注10) ガスの組成は,ボンベの内容量が減ると変化することがある。ボンベは,完全に空になる前に
取り替えることが望ましい。
11) ボンベを温度管理していない場所に設置する場合には,室内の接続配管を長くしてフローガス
の室内の滞留時間を長くするとよい。

7 セメント試料の調製

  セメント試料の調製は,次による。セメント試料が周囲の空気にさらされる時間をできるだけ短くする
ために,操作は手早く行わなければならない。
セメント試料は,検査単位について平均的な品質を表すように,セメントを採取し,縮分して約5 kgの
代表試料とする。その採取方法及び縮分方法は,受渡当事者間の協議によって定める。
a) 代表試料を縮分器又は4分法によって縮分して,試料を約100 g採取する。
b) IS Z 8801-1に規定する目開き150 μm又は125 μmのふるいで,ふるう。
c) ふるい残分中の金属鉄を磁石を使って取り除く12)。
d) 金属鉄を取り除いた残分をすりつぶして,完全に目開き150 μm又は125 μmのふるいを通過させる13)。
e) 試料を気密性のある汚れのない乾いた容器に移し替え,十分に試料が混ざるように強く振る。
注12) 分析が品質管理を目的とする場合及び金属鉄の含有量が分析値に影響を及ぼさないような場

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合は,金属鉄の除去はしなくてもよい。金属鉄の含有量が著しく多い場合は記録し,報告書
に記載する。
注13) 試料に石英が含まれる場合には,均一なガラスビードを得るために,90 μmのふるいを通過
するまで試料を粉砕しなければならないことがある。また,均一なガラスビードを得るため
の溶融時間及び溶融温度は,試料の細かさによって影響される。

8 融剤

8.1 融剤の選定

8.1.1  一般事項
ガラスビード14)の調製に使用する融剤は,検量線の作成及び検定と試料の測定とにおいて同じ融剤を用
いなければならない。使用する融剤は,8.1.28.1.4の条件に適合しなければならない15)。
注14) 検量線用ビード(3.2),分析用ビード(3.3),強度ドリフト補正用ビード(3.4)及び検定用ビ
ード(3.5)のガラスビード。
15) 融剤は,四ほう酸リチウム(無水)を用いるのが望ましい。
8.1.2 溶融
試料は,融剤によって完全に溶融されなければならない。また,成形の過程で晶出があってはならない16)。
注16) ある設定温度において均質な溶融を行う方法として,融剤の粒子を細かくすることがある。
8.1.3 重吸収剤
次の条件が満たされる場合には,酸化ランタン17)又は酸化バナジウムのような共存成分の影響を軽減で
きる重吸収剤18)を融剤と併用してもよい。
− 使用量は,分析対象の化学成分の定量精度が損なわれない量とする。
− 分析対象である化学成分の分析線に対してスペクトルの重なりをもたない。
注17) 酸化ランタンは,ガラスの生成及び安定化に効果がある。
18) 重金属の重吸収剤を用いたガラスビードは,適切に廃棄処理を行う。
8.1.4 融剤の純度
融剤は,分析する化学成分の含有率を考慮した純度のものを用いなければならない。
8.1.5 融剤の切替え
融剤の種類(化学組成)が同じ場合でも,融剤の製造会社又はロット番号が変わった場合には,新しい
融剤によって検定用ビードを調製し,12.2に従って新しい検定用ビードが対標準物質許容差を満たすこと
を確認する。対標準物質許容差を満たさなかった場合には,新しい検量線を作成する(箇条11を参照)。

8.2 融剤中の湿分

  融剤はあらかじめ適切な温度19)で強熱し,シリカゲルのデシケーター中に保管したものを用いる。
なお,一旦,決定した融剤の強熱条件は,検量線の作成及び検定と試料の測定とにおいて同じでなけれ
ばならない。
保管中に吸湿した場合には,次のいずれかの方法による。
a) 融剤を105±5 ℃で2時間以上,乾燥して,シリカゲルのデシケーター中に保管したものを用いる。
b) 風袋を量ったひょう(秤)量びんに融剤約1 gを0.000 1 gまで正しく量り採る。乾燥器を用いて105
±5 ℃で2時間以上,乾燥して,シリカゲルのデシケーター中で放冷し,質量を量る。融剤中の湿分
は,式(1)から算出し,四捨五入によって小数点以下2桁に丸める。ガラスビードの調製時には,その
融剤中の湿分で補正した量の融剤を正確に量り採る。

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m1 m2
M 100 (1)
m1
ここに, M : 融剤中の湿分(%)
m1 : 融剤の質量(g)
m2 : 乾燥後の融剤の質量(g)
注19) 例えば,四ほう酸リチウムの場合は,650750 ℃で23時間の強熱が適当である。
8.3 離促進剤
必要に応じて,少量の離促進剤20)を用いてもよい。離促進剤を用いる場合には,検量線の作成及び
検定と試料の測定とにおいて同じ量を用い,ガラスビードの調製の同じ段階で用いなければならない。
注20) 離促進剤は,冷却時の溶融ビードの割れの防止及び型からの取り出しを容易にする。
離促進剤の種類としては,臭化リチウム,臭化アンモニウム,よう化リチウム,よう素酸
リチウム,よう化アンモニウムなどが知られている。
離促進剤中の臭素及びよう素は,溶融条件によってはビード中に残留する場合がある。臭
素はBr LαによるAl Kαへの重なり,よう素はI Lβ2によるTi Kαへの重なりがある。そのため,
離促進剤を用いる場合には,残存している臭素及びよう素の影響を確認しておくのがよい。
9 見掛けの強熱減量の定量

9.1 要旨

  蛍光X線分析で求めた定量値を分析値に換算するために,見掛けの強熱減量21)を求める。
注21) セメント試料を950±25 ℃の酸化雰囲気(空気中)で強熱した場合,脱水及び脱炭酸によって
質量が減少する。また,硫化物及び低次の硫黄酸化物などの被酸化物が存在する場合にはそれ
らの酸化によって質量が増加する。被酸化物の酸化分の増加を補正しない強熱減量を見掛けの
強熱減量という。

9.2 操作

  試験は,同一試料について併行条件として2回の繰返しで行い,次による。ただし,品質管理を目的と
する場合は1回でもよい。
a) 空焼きをして風袋を量った白金又は磁器るつぼに試料約1 gを0.000 1 gまで正しく量り採る。
b) るつぼに少し隙間を開けて蓋をして950±25 ℃に調節した電気炉中に置き,15分間以上強熱する。
c) るつぼをシリカゲルのデシケーター中で放冷し,質量を量る。
d) 15分間以上の強熱を繰り返し,恒量を求める。強熱前後の質量差が0.000 5 g未満になったときを恒量
とし,見掛けの強熱減量L(%)を次の式(2)から算出し,四捨五入によって小数点以下2桁に丸める。
m1 m2
L 100 (2)
m1
ここに, L : 見掛けの強熱減量(%)
m1 : 試料の質量(g)
m2 : 強熱後の試料の質量(g)
e) 2回の見掛けの強熱減量の差が,9.3の許容差以内の場合には,それらを平均し,四捨五入によって小
数点以下2桁に丸める。許容差より大きい場合には,更に1回,試験を行い,最も近い2回の試験結
果を平均し,四捨五入によって小数点以下2桁に丸める。

9.3 許容差

  許容差は,0.10 %とする。

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10 ガラスビードの調製

10.1 一般事項

  ガラスビードの調製条件は,10.6の検定を行い,決定する。また,全てのガラスビード14)の調製におい
て同じ手順でなければならない。
なお,ガラスビードの調製条件は,セメントの種類によって別々に決めてもよい。

10.2 試料及び融剤の量り採り

10.2.1 一般事項
全てのガラスビードの融剤と試料との質量比率は,同じでなければならない22)。また,試料と融剤の合
量は,使用する成形型又は溶融型の大きさによって決定し,ガラスビードを調製する際,同じにする。
試料,融剤及び離促進剤は,それぞれを0.000 1 gまで正確に量り採る。
なお,離促進剤を溶液で添加する場合は,マイクロピペットを用いて一定量(体積)を正確に添加す
る。
試料の量り採りは,未強熱試料を用いる場合は10.2.2,強熱試料を用いる場合は10.2.3による。
硫化物又は低次の硫黄酸化物を含む試料(石灰石を除く。)の場合は,10.2.3による強熱試料を用いなけ
ればならない。また,白金と反応してるつぼを傷める可能性のある炭化物,鉄,その他の金属を含む試料
の場合も強熱試料を用いることが望ましい。強熱試料を用いる場合には,吸湿によるコンタミネーション
を避けるために所定の量を素早く量り採る。また,多量の炭酸塩を含む試料の場合,未強熱試料を用いる
ことが望ましい23)。
注22) 試料に対する融剤の質量比率が1より大きい場合,融剤中の不純物が測定結果に影響を与える
可能性があり,試料に対する融剤の比率が大きいほどその影響は大きくなる。
23) 例えば,石灰石を分析する場合,試料を強熱すると炭酸カルシウムが酸化カルシウムとなる。
酸化カルシウムは空気中の水分及び二酸化炭素と反応しやすいため,試料の量り採りが難しい。
そのため,未強熱試料を用い,ガラスビードを調製する際,脱炭酸を緩やかに行うとよい。
10.2.2 未強熱試料を用いる場合の試料の量り採り量
必要な未強熱試料の量り採り量m3(g)を,式(3)によって計算する。
m4
m3 (3)
L
1
100
ここに, m3 : 未強熱試料の量り採り量(g)
m4 : ガラスビードの調製に必要な試料の量(g)
L : 9.2の見掛けの強熱減量(%)
10.2.3 強熱試料を用いる場合の試料の前処理
ガラスビードの調製に必要な量より多めの試料をるつぼ24)に量り採り,950±25 ℃に調節した電気炉中
に置き,15分間以上の強熱を繰り返して恒量を確認し,シリカゲルのデシケーター中に保管する。恒量は
強熱前後の質量差が量り採った試料に対し0.05 %未満になったときとする。試料量が多い場合,恒量に達
するのに強熱を繰り返す必要があるため,一つのるつぼに入れる試料は,5 g以下とすることが望ましい。
また,必要に応じて,最初の強熱後に試料中の塊を壊すとよい。
注24) 白金るつぼを用いることが望ましいが,磁器るつぼを用いる場合には,コンタミネーションを
避けるため,汚れのないものを用いる。

――――― [JIS R 5204 pdf 10] ―――――

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JIS R 5204:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 29581-2:2010(MOD)

JIS R 5204:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 5204:2019の関連規格と引用規格一覧