JIS R 9101:2018 せっこうの化学分析方法 | ページ 3

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12 酸化鉄(III)の定量方法

12.1 方法の区分

  酸化鉄(III)の定量は,次のいずれかの方法による。
a) DTA滴定法 この方法は,酸化鉄(III)の含有率0.1 %以上の試料に適用する。
b) 1,10-フェナントロリン吸光光度法
c) 原子吸光分析法 この方法は,酸化鉄(III)の含有率1.0 %以下の試料に適用する。
d) CP発光分光分析法 この方法は,酸化鉄(III)の含有率1.0 %以下の試料に適用する。

12.2 EDTA滴定法

12.2.1 要旨
10.5 d)で保存した試料溶液(A)を用い,pHを2.22.5とした後,サリチル酸溶液を指示薬としてEDTA
標準溶液で滴定する。
12.2.2 試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)
b) 塩酸 (1+1)
c) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)
d) サリチル酸溶液(20 g/L) サリチル酸2 gをメタノール(95 vol%)100 mLに溶かす。
e) エリオクロムブラックT溶液 調製方法は,JIS K 8001のJA.5による。
f) 緩衝溶液 (pH10) 塩化アンモニウム70 gを適量の水に溶かし,アンモニア水570 mLを加え,水
を加えて1 Lにうすめる。
g) 0.01 mol/L亜鉛標準溶液 JIS K 8005に規定する亜鉛を塩化カルシウムデシケーター又は硫酸デシケ
ーター中に,24時間以上保った後使用する。亜鉛の表面が酸化しているおそれのある場合は,塩酸 (1
+1),水,アセトンで順次に洗い,110 ℃で5分間乾燥して用いる。この亜鉛約0.65 gを0.1 mgまで
正しくはかりとって,ビーカー(200 mL)に入れ,塩酸 (1+1) 20 mLを加え,少し温めて完全に溶か
した後1 Lの全量フラスコに洗い移し,冷却した後水で標線までうすめる。
この標準溶液のファクターは,次の式によって算出し,小数点以下3桁に丸める。
m
f=
1
.0653 8
ここに, f1 : 0.01 mol/L亜鉛標準溶液のファクター
m : はかりとった亜鉛の質量(g)
h) 0.01 mol/L EDTA標準溶液 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物3.72 gを適量の水に溶か
して1 Lの全量フラスコに入れ,水で標線までうすめ,ポリエチレン瓶に保存する。この標準溶液は,
次のようにして標定する。
なお,市販のEDTA標準溶液を用いることができる。
0.01 mol/L亜鉛標準溶液25 mLを分取してビーカー(200 mL)に移し,水を加えて約100 mLとし,
水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)を加えて中和した後,pHを9.510.0に調節し,緩衝溶液(pH10)
2 mL及びエリオクロムブラックT溶液2,3滴を加えて0.01 mol/L EDTA標準溶液で滴定し,溶液の
色が赤紫から赤みが全く消えて鮮明な青となった点を終点とする。この標準溶液のファクターは,次
の式によって算出し,小数点以下6桁に丸める。

――――― [JIS R 9101 pdf 11] ―――――

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25 f1
f2=
v
ここに, f2 : 0.01 mol/L EDTA標準溶液のファクター
v : 0.01 mol/L EDTA標準溶液の使用量(mL)
f1 : 0.01 mol/L亜鉛標準溶液のファクター
12.2.3 操作
定量操作は,次の手順による。
a) 10.5 d)で保存した試料溶液(A)から100 mLを分取し,ビーカー(300 mL)に移す。これに酢酸アン
モニウム溶液(250 g/L)10 mLを加え,塩酸 (1+1) を用いてpHを2.22.5に調節する。
b) 指示薬としてサリチル酸溶液(20 g/L)1 mLを加え,0.01 mol/L EDTA標準溶液で滴定し,溶液の色
が赤紫から無色又は淡黄色になったときを終点とする。
12.2.4 計算
試料中の酸化鉄(III)の含有率は,次の式によって算出する。
v1 f2 .0000 798 5250
GF = 100
s v2
ここに, GF : 酸化鉄(III)の含有率(%)
v1 : 0.01 mol/L EDTA標準溶液の使用量(mL)
f2 : 0.01 mol/L EDTA標準溶液のファクター
s : 10.4ではかりとった試料の質量(g)
v2 : 試料溶液(A)からの分取量(mL)

12.3 1,10-フェナントロリン吸光光度法

12.3.1 要旨
10.5 d)で保存した試料溶液(A)を用い,アスコルビン酸で鉄を還元した後,1,10-フェナントロリンを
加え,酢酸アンモニウムでpHを調節して呈色させ,その吸光度を測定して酸化鉄(III)の含有率を求め
る。
12.3.2 試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) アスコルビン酸溶液(50 g/L) 冷暗所に保存し,保存中に着色したときは,新しく調製する。
b) 1,10-フェナントロリン溶液 1,10-フェナントロリン塩酸塩−水和物1 gを適量の水に溶かした後,1 L
にうすめる。冷暗所に保存し,保存中に着色したときは新しく調製する。
c) 酢酸アンモニウム溶液(200 g/L)
d) 塩酸 (1+1)
e) 鉄標準原液(1 000 mg/L)
12.3.3 装置
装置は,吸光光度分析装置を用いる。
12.3.4 操作
定量操作は,次の手順による。
a) 10.5 d)で保存した試料溶液(A)から,適量を分取して,100 mLの全量フラスコに移し,水を加えて
約50 mLとする。
なお,試料溶液(A)からの分取量は,酸化鉄(III)の含有率に応じて表1による。
b) これに,アスコルビン酸溶液(50 g/L)2 mLを加えて振り混ぜ,1,10-フェナントロリン溶液10 mL及

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び酢酸アンモニウム溶液(200 g/L)10 mLを加え,標線まで水を加えて振り混ぜ,30分間放置する。
c) この溶液の一部を吸光光度分析装置の吸収セルにとり,波長510 nm付近の吸光度を測定する。
表1−試料溶液の分取量
酸化鉄(III)の含有率 %分取量 mL
0.15未満 50
0.15以上 0.30未満 25
0.30以上 0.75未満 10
0.75以上 1.50未満 5
12.3.5 検量線の作成
12.3.2 e)の鉄標準原液(1 000 mg/L)を水で正しく100倍にうすめ,その020 mL(鉄として00.2 mg)
を100 mLの全量フラスコに段階的にとり,水を加えて約50 mLとする。12.3.4のb)及びc)の手順に従っ
て操作して吸光度を測定し,その吸光度と鉄の濃度との関係線を作成して検量線とする。
12.3.6 計算
12.3.5で作成した検量線を用い,12.3.4で測定した吸光度から鉄の濃度を求め,次の式によって試料中の
酸化鉄(III)の含有率を算出する。
C 103 250
GF = 100 .1429 7
s v
ここに, GF : 酸化鉄(III)の含有率(%)
C : 吸光度から求めた鉄の濃度(mg/100 mL)
s : 10.4ではかりとった試料の質量(g)
v : 試料溶液(A)からの分取量(mL)
1.429 7 : 鉄から酸化鉄(III)への換算値

12.4 原子吸光分析法

12.4.1 要旨
10.5 d)で保存した試料溶液(A)を用いて,原子吸光分析装置によって鉄の吸光度を測定し,酸化鉄(III)
の含有率を求める。
12.4.2 試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸 (1+1)
b) 過塩素酸(60 %)
c) 硫酸
d) 炭酸カルシウム(アルカリ分析用)
e) マトリックス溶液-I 炭酸カルシウム(アルカリ分析用)11.6 gをはかりとってビーカー(500 mL)
に入れ,適量の水を加えて分散させ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 200 mLをビーカーの縁から少しず
つ加えて溶かす。これに過塩素酸(60 %)100 mLを加え,放冷した後,1 Lの全量フラスコに移し,
水で標線までうすめる。この溶液は,ポリエチレン瓶に移して保存する。
f) マトリックス溶液-II 適量の水に硫酸6.5 mLを加え,放冷した後,1 Lの全量フラスコに移し,水で
標線までうすめる。この溶液は,ポリエチレン瓶に移して保存する。
g) 鉄標準原液(1 000 mg/L)

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12.4.3 装置
装置は,原子吸光分析装置を用いる。
12.4.4 操作
定量操作は,次の手順による。
10.5 d)で保存した試料溶液(A)の一部を分取し,水を加えて2倍にうすめ,その一部を原子吸光分析
装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,鉄用光源ランプを用いて,波長248.3 nmにおける吸光度を
測定する。
12.4.5 検量線の作成
12.4.2 g)の鉄標準原液(1 000 mg/L)を水で正しく10倍にうすめ,その015 mL(鉄として01.5 mg)
を100 mLの全量フラスコに段階的にとり,水を加えて約50 mLとする。これに12.4.2 e)のマトリックス
溶液-I 10 mL1)及び12.4.2 f)のマトリックス溶液-II 10 mL2)を加え,水で標線までうすめる。これらの標
準液を原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,波長248.3 nmにおける吸光度を測定し,
吸光度と鉄の濃度との関係線を作成して検量線とする。
注1) 試料中の酸化カルシウム(CaO)の含有率GC(%)が既知の場合は,マトリックス溶液-Iの添
加量νは次の式によって算出する。
C
10 (mL)
326.
注2) 試料中の三酸化硫黄(SO3)の含有率Gs3(%)が既知の場合は,マトリックス溶液-IIの添加量
νは次の式によって算出する。
3s
10 (mL)
465.
12.4.6 計算
12.4.5で作成した検量線を用い,12.4.4で測定した吸光度から鉄の濃度を求め,次の式によって試料中の
酸化鉄(III)の含有率を算出する。
C 103 250 2
GF = 100 .1429 7
s 100
ここに, GF : 酸化鉄(III)の含有率(%)
C : 吸光度から求めた鉄の濃度(mg/100 mL)
s : 10.4ではかりとった試料の質量(g)
1.429 7 : 鉄から酸化鉄(III)への換算値

12.5 ICP発光分光分析法

12.5.1 要旨
10.5 d)で保存した試料溶液(A)を用いて,ICP発光分光分析装置によって発光強度を測定し,酸化鉄(III)
の含有率を求める。
12.5.2 試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸 (1+1)
b) 過塩素酸(60 %)
c) 硫酸
d) 炭酸カルシウム(アルカリ分析用)

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e) マトリックス溶液-I 12.4.2 e)で調製した溶液。
f) マトリックス溶液-II 12.4.2 f)で調製した溶液。
g) 鉄標準原液(1 000 mg/L)
12.5.3 装置
装置は,JIS K 0116によるICP発光分光分析装置を用いる。
12.5.4 操作
定量操作は,次の手順による。
10.5 d)で保存した試料溶液(A)の一部を分取し,水を加えて2倍にうすめ,その一部をICP発光分光
分析装置の発光部に導入し,波長238.204 nmにおける発光強度を測定する。
12.5.5 検量線の作成
12.5.2 g)の鉄標準原液(1 000 mg/L)を水で正しく10倍にうすめ,その015 mL(鉄として01.5 mg)
を100 mLの全量フラスコに段階的にとり,水を加えて約50 mLとする。これに12.5.2 e)のマトリックス
溶液-I 10 mL及び12.5.2 f)のマトリックス溶液-II 10 mLを加え,水で標線までうすめる。これらの標準
液をICP発光分光分析装置を用いて,波長238.204 nmで各々の溶液の発光強度を測定し,発光強度と鉄濃
度との関係線を作成して検量線とする。
12.5.6 計算
12.5.5で作成した検量線を用い,12.5.4で測定した発光強度から鉄の濃度を求め,次の式によって試料中
の酸化鉄(III)の含有率を算出する。
C 103 250 2
GF = 100 .1429 7
s 100
ここに, GF : 酸化鉄(III)の含有率(%)
C : 発光強度から求めた鉄の濃度(mg/100 mL)
s : 10.4ではかりとった試料の質量(g)
1.429 7 : 鉄から酸化鉄(III)への換算値

13 酸化カルシウムの定量方法

13.1 方法の区分

  酸化カルシウムの定量は,次のいずれかの方法による。
a) DTA滴定法
b) 過マンガン酸カリウム滴定法

13.2 EDTA滴定法

13.2.1 要旨
試料を塩酸で溶かした後,ろ過する。この溶液を用い,pHを12.713.2とした後,HSNN希釈粉末を用
いてEDTA標準溶液で滴定する。
13.2.2 試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) 塩酸 (1+1)
b) トリエタノールアミン (1+1)
c) 水酸化カリウム溶液(200 g/L)
d) SNN希釈粉末2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸 調製方法

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