JIS R 9101:2018 せっこうの化学分析方法 | ページ 5

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15.5.2 試料に亜硫酸カルシウムを含有する場合
操作は,次の手順による。
a) 試料をビーカー(300 mL)に正しくはかりとり,過酸化水素水 (1+9) 10 mL及び緩衝溶液(pH4)10
mLを加えて,水で全量を約150 mLとする。かき混ぜながら亜硫酸カルシウムを酸化し,溶かした後,
ろ紙(6種,11 cm)でろ過し,温水で数回洗浄する。ろ液及び洗液はビーカー(500 mL)に受ける。
b) ろ液に塩酸 (1+1) 2 mL及び水を加えて全量を約300 mLとする。
c) 以後は,15.5.1 b)からの操作による。

15.6 計算

  試料中の三酸化硫黄の含有率は,次のa)又はb)の式によって算出する。
a) 試料に亜硫酸カルシウムを含有しない場合
m1 .0343 500
Gs3 = 100
s1 200
ここに, Gs3 : 三酸化硫黄の含有率(%)
m1 : 沈殿の質量(g)
s1 : 13.2.3ではかりとった試料の質量(g)
b) 試料に亜硫酸カルシウムを含有する場合
m2 .0343 m3 .0012 5
Cs3 = 100
s2
ここに, Gs3 : 三酸化硫黄の含有率(%)
m2 : 沈殿の質量(g)
m3 : 16.6で求めた二酸化硫黄の含有率(%)×s2
s2 : 15.4ではかりとった試料の質量(g)

16 二酸化硫黄の定量方法

16.1 方法の区分

  二酸化硫黄の定量は,チオ硫酸ナトリウム滴定法による。

16.2 要旨

  試料によう素標準溶液を加えて酸化した後,塩酸を加えて溶かし,チオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定
する。

16.3 試薬

  試薬は,次のものを用いる。
a) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液 チオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及び炭酸ナトリウム(無
水)0.2 gをはかりとり,水を加えて溶かし1 Lになるようにうすめる。これに3-メチル-1-ブタノール
(イソアミルアルコール)約10 mLを加え,よく振り混ぜて2日間放置する。この溶液は,次のよう
にして標定する。
よう素酸カリウム(標準試薬)を120140 ℃で2時間乾燥し,デシケーター中で放冷した後,約
0.71 gを0.1 mgまで正しくはかりとり,水で溶かした後,200 mLの全量フラスコに移して水で標線ま
でうすめる。この溶液20 mLを分取して共通すり合わせよう素フラスコA形(300 mL)に入れ,よう
化カリウム2 g及び硫酸 (1+5) 5 mLを加え速やかに栓をして静かに振り混ぜた後,水100 mLを加え,
直ちに遊離したよう素をチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定する。滴定の終点近くで溶液の色が微黄
色になったとき,でん(澱)粉溶液数滴を加えて滴定を続け,青が消えたときを終点とする。次の式

――――― [JIS R 9101 pdf 21] ―――――

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によってファクターを算出する。
a 20 1
f=
1 m
100 200 v .0003 566 7
ここに, f1 : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液のファクター
m : よう素酸カリウム(標準試薬)の質量(g)
a : よう素酸カリウム(標準試薬)の純度(%)
v : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液の使用量(mL)
b) 塩酸 (1+1)
c) 0.05 mol/Lよう素標準溶液 よう化カリウム40 gを少量の水に溶かし,これによう素12.7 gを加えて
完全に溶かした後,塩酸 (1+1) 1 mL及び水を加えて1 Lとする。この溶液は,次のようにして標定
する。
よう素標準溶液20 mLを分取し,水100 mLを加え,0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定
する。滴定の終点近くで溶液の色が微黄色になったとき,でん(澱)粉溶液数滴を加えて滴定を続け,
青が消えたときを終点とする。この標準溶液のファクターは,次の式によって算出する。
v f1
f2=
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ここに, f2 : 0.05 mol/Lよう素標準溶液のファクター
v : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液の使用量(mL)
f1 : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液のファクター
d) でん(澱)粉溶液 でん(澱)粉1 gをビーカー(100 mL)にはかりとり,冷水10 mLを加えてよく
かき混ぜた後,熱湯200 mLの中へかき混ぜながら少しずつ加える。液が透明になるまで煮沸し,放
冷した後,上澄液を使用する。この溶液を保存するときは,少量のトルエン又は二硫化炭素を添加す
る。

16.4 試料はかりとり量

  試料は,約2 gを0.1 mgまで正しくはかりとる。

16.5 操作

  定量操作は,次の手順による。
a) 試料を共通すり合わせよう素フラスコA形(300 mL)に正しくはかりとり,水約50 mLを加えた後,
0.05 mol/Lよう素標準溶液を一定量(25 mL)加えて振り混ぜ,塩酸 (1+1) 20 mLを加えた後,速や
かに栓をして1015分間振り混ぜて試料を溶かす。
b) フラスコの栓を除き,未反応のよう素を0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定する。滴定の終
点近くで溶液の色が微黄色になったとき,でん(澱)粉溶液数滴を加えて滴定を続け,青が消えたと
きを終点とする。

16.6 計算

  試料中の二酸化硫黄の含有率は,次の式によって算出する。
Gs2
v2 f2 v1 f1 .0003 203
= 100
s
ここに, Gs2 : 二酸化硫黄の含有率(%)
v1 : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液の使用量(mL)
f1 : 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液のファクター
v2 : 0.05 mol/Lよう素標準溶液の使用量(mL)
f2 : 0.05 mol/Lよう素標準溶液のファクター
s : 16.4ではかりとった試料の質量(g)

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17 二酸化炭素の定量方法

17.1 方法の区分

  二酸化炭素の定量は,水酸化ナトリウム溶液吸収−塩酸滴定法による。

17.2 要旨

  試料を塩酸で分解し,生成した二酸化炭素を塩化バリウム及び水酸化ナトリウム溶液中に導入して吸収
させ,塩酸標準溶液で滴定する。

17.3 試薬

  試薬は,次のものを用いる。
a) メチルオレンジ溶液(1 g/L) 調製方法は,JIS K 8001のJA.5による。
b) フェノールフタレイン溶液(10g/Lエタノール溶液) 調製方法は,JIS K 8001のJA.5による。
c) ブロモフェノールブルー溶液(1 g/L) 調製方法は,JIS K 8001のJA.5による。
d) 0.2 mol/L水酸化ナトリウム標準溶液 水酸化ナトリウム9 gを水1 Lに溶かし,ポリエチレン瓶に保
存する。
なお,市販の水酸化ナトリウム標準溶液を用いることができる。
この溶液は調製のときに炭酸塩を除く必要はない。また,あらかじめ標定しておく必要もない。
e) 塩化バリウム溶液 塩化バリウム二水和物10 gを水1 Lに溶かし,これにフェノールフタレイン溶液
(10 g/Lエタノール溶液)約1 mLを加える。
f) 塩酸 (1+5)
g) 0.2 mol/L塩酸標準溶液 塩酸20 mLを適量の水でうすめた後,1 Lとする。
なお,市販の塩酸標準溶液を用いることができる。この溶液は,次のようにして標定する。
JIS K 8005の炭酸ナトリウムを白金るつぼ中で500650 ℃に4050分間保ち,硫酸デシケーター
中で放冷したものを用いる。この炭酸ナトリウム(標準試薬)2.53.0 gを0.1 mgまで正しくはかり
とり,適量の水に溶かして250 mLの全量フラスコに移し,水で標線までうすめる。この溶液25 mL
を分取し,ブロモフェノールブルー溶液を用いて塩酸標準溶液で滴定し,溶液が青紫から黄色になっ
たときを終点とする。次の式によってファクターを算出し,小数点以下3桁に丸める。
m 1.0
f=
v .0010 6
ここに, f : 0.2 mol/L塩酸標準溶液のファクター
m : はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
v : 0.2 mol/L塩酸標準溶液の使用量(mL)

17.4 装置

  装置は,図1の装置を用いる。

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単位 mm
A : 活栓付漏斗 容量約60 mL,足の下方はやや細く,先端は上向きに曲げる。
B : 分解フラスコ 首までの容積170±10 mLのもので,50 mL及び100 mLの所にそれぞれ標線を付ける。側
管には小形の蒸留管を備える。
C : ガス吸収器球状部 下部三角フラスコから押し上げられた吸収液をこの中にためるとともに,分解フラス
コから導入される熱水蒸気の冷却器としての役目をする。容積220±20 mL,内部に封入された曲管及び下
部の足管は,内径2 mm,外径56 mmとする。
D : ガス吸収器下部三角フラスコ 上部球状部とすり合わせによって一体をなす。容積500±20 mLのもので,
300 mLの所に標線を付ける。
なお,球状部と連結するときに,ゴムバンドを架けるように球状部及びフラスコのすり合わせの上下に
はバンド止めの角を備える。
E・F : ゴム管 Fは,これをGから外して球状部の活栓口に連結できるような長さにしておく。
G : ガラス管
H : ピンチコック
I : 遮蔽板 分解フラスコを加熱するときに吸収器への放射熱を防ぐために用いる。
J : ゴム栓 吸収器の三角フラスコに合う薄形のゴム栓で,ビュレットの先を深く差し込めるように小孔が開
けてあるもので,滴定のときに用いる。
K : 滴定用ビュレット 容量25 mL,コックから先の部分を約7 cmに引き伸ばし,先端の孔を細くして1滴が
0.020.03 mLになるようにする。
図1−二酸化炭素定量装置

――――― [JIS R 9101 pdf 24] ―――――

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17.5 試料はかりとり量

  試料は,二酸化炭素の含有率に応じて表2に示す量を0.1 mgまで正しくはかりとる。
表2−試料はかりとり量
二酸化炭素の含有率 % 試料の質量 g
2未満 2
2以上 5未満 1
5以上 0.5

17.6 操作

  定量操作は,次の手順による。
a) 試料をはかりとって分解フラスコBに入れ,50 mLの標線まで水を加え,メチルオレンジ溶液(1 g/L)
1,2滴を加える。煮沸を円滑にするために,一端を封じた細いガラス毛細管(長さ23 cm)数本を
入れ,活栓付漏斗Aを差し込んで密栓する。
b) 0.2 mol/L水酸化ナトリウム標準溶液25 mLを分取してガス吸収器下部三角フラスコDに入れ,直ち
に塩化バリウム溶液を300 mLの標線まで加え,ガス吸収器球状部Cをはめてバンドをかけた後,図
1のようにガス吸収器と分解フラスコとを連結する。
なお,定量操作の前に,分解フラスコ及び吸収器は一度水を満たした後,水を流出して内部を実験
室内の空気で置換しておく。特に数個の試料について連続して定量を行う場合には,前回の操作で装
置内の空気が実験室内の空気と異なった組成になっているから,新たに試験を行うたびにこれを実行
する必要がある。
警告 換気の悪い室内で多数のバーナーを使用し,室内の空気中の炭酸ガス量が甚だしく変動する
おそれのある場合には,装置内の空気の置換を室外で行えばよい。
c) 連結管のピンチコックHでガラス管Gを挟み,ガスの通路を開き,ガス吸収器球状部の活栓を開く。
d) 活栓付漏斗Aに塩酸 (1+5) を満たし,活栓を開いて分解フラスコ中に塩酸を少しずつ流下させ,試
料が溶けて溶液が赤変してから,更に12 mL過剰に加える。ただし,分解フラスコ内の溶液は最後
まで赤を保っていなければならない。
なお,塩酸 (1+5) を大過剰に加えることは避けなければならない。
e) 分解フラスコを緩やかに加熱し,溶液が煮沸してガス吸収器球状部の曲管の露出部が指頭で長く触れ
られない程度に熱せられてから,更に10分間煮沸を継続する。加熱の強さは,凝縮水が曲管から数秒
間に1,2滴の割合で滴下する程度とする。
f) 加熱をやめ,手早くピンチコックHでゴム管Fを閉じ,ガス吸収器球状部の活栓も閉じる。ゴム管F
をガラス管Gから離し活栓の先端を連結させ,吸収器を約5分間激しく振り混ぜた後,ピンチコック
H及び活栓を開けて球状部内に残留している吸収液を三角フラスコ内に流下させる。
なお,振り混ぜたとき,三角フラスコ内の溶液の赤が消えた場合は,ゴム管Fの先をガラスコック
の方に連結して閉回路を作り,外気と遮断した状態でピンチコック及び活栓を少し開いて球状部内の
液の一部を三角フラスコに流下させた後,赤の消えない状態で,更に約5分間振り混ぜる。もし球状
部内の液の半分近くを流下させてもなお赤が消えたならば,試料を少なくしてもう一度操作をやり直
す。
g) 三角フラスコから球状部を取り外してゴム栓Jをはめ,滴定用ビュレットKの先端を深く差し込み,

――――― [JIS R 9101 pdf 25] ―――――

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