この規格ページの目次
- 5.4 呼吸用保護具使用の計画に関する注意事項
- 5.5 IDLH環境での使用
- 5.6 換気が不十分な場所での使用
- 5.7 給気式呼吸用保護具に使用する酸素及び空気の品質
- 5.8 高気圧下での使用
- 5.9 低温下及び高温下での使用
- 5.10 めがねなどの使用
- 5.11 会話装置
- 5.12 危険区域からの脱出
- 6. 管理責任者の責務
- 7. 着用者の教育及び訓練
- 7.1 着用者の教育
- 7.2 着用者の訓練
- 8. 保守管理
- 8.1 清浄化及び消毒
- 8.2 保守管理上の注意事項
- 8.3 部品交換の場合の注意事項
- 8.4 保管上の注意事項
- 8.5 廃棄基準
- JIS T 8150:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS T 8150:2006の関連規格と引用規格一覧
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T 8150 : 2006
5.4 呼吸用保護具使用の計画に関する注意事項
呼吸用保護具使用の計画を立案する場合は,次の事項
に十分注意しなければならない。
a) 使用する環境中の酸素濃度 酸素濃度が14 %未満の場合は,IDLH環境であるので,面体の脱落など
は,致命的な事故となるため,十分な注意が必要である。
b) 有害物質の種類,物性,有害性及び濃度 有害物質の種類ごとに,物性,有害性,ばく(曝)露限界
濃度,皮膚障害などの可能性を調査するとともに,環境中の有害物質の濃度を測定することによって,
環境の濃度倍率を求める。
c) 使用環境の状況 有害物質の発生が定常的か,間けつ(歇)的か,発生する時間帯,複数の有害物質
が共存するか,作業場の温湿度,照度,騒音,障害物の有無などの使用状況を調査し,適切な呼吸用
保護具使用の計画を立てる。
d) 使用環境への適合 使用環境に適合した呼吸用保護具を選ぶ(4.1及び4.2による。)。
e) 着用方法 適正な方法に従う。呼吸用保護具着用の経験のない作業者には装着訓練を実施する。
f) 使用及び保守管理方法 正しい使用及び保守管理を行う。
5.5 IDLH環境での使用
IDLH環境での使用は,次による(4.1及び4.2参照)。
a) 作業者は安全帯又は命綱を着用しなければならない。
b) 安全区域に少なくとも1名の監視者を配置しなければならない。
c) 安全区域には救出用の呼吸用保護具,救命用具などを準備しなければならない。
d) 作業者と監視者との間には連絡の手段[音声,信号,会話装置(有線,無線)など。]を講じておかな
ければならない。
e) 連続する作業時間が長時間にならないように注意しなければならない。
5.6 換気が不十分な場所での使用
マンホール,タンク,サイロなど換気が不十分な場所で呼吸用保護
具を使用する場合は,次による。
a) DLH環境とみなし,5.5を適用する。
b) 作業前に酸素濃度,可燃性物質及び有害物質の濃度の測定をしなければならない。
c) 作業中に,できる限り換気を行い,新鮮な外気を取り入れなければならない。また,必要に応じて可
燃性物質及び有害物質の濃度並びに酸素濃度の測定を行わなければならない。
5.7 給気式呼吸用保護具に使用する酸素及び空気の品質
給気式呼吸用保護具に使用する酸素及び空気
の品質は,次のとおりとする。
a) 循環式呼吸器に使用する圧縮酸素は,日本薬局方の酸素,JIS K 1101に規定する酸素又はこれらと同
等以上の品質のものでなければならない。
b) 給気式呼吸用保護具に使用する圧縮空気は,呼吸及び呼吸用保護具に適した空気の品質のものでなけ
ればならない。呼吸用保護具に適する空気の品質は,呼吸用保護具の種類又は設計によって異なるの
で,詳細は使用説明書など,製造業者の指示によらなければならない。
c) ) の目的を達成するために,油滴又は油蒸気の出る空気圧縮機を使用する場合には,油滴などを除く
フィルタなどを設けるほか,空気圧縮機の過熱によって一酸化炭素が発生することを防止する措置を
講じなければならない。
d) 空気を充てんした高圧ガス容器を使用した自給式呼吸器に,酸素を充てんした高圧ガス容器を使用し
てはならない。
5.8 高気圧下での使用
給気式呼吸用保護具を使用する場合は,次の事項について考慮しなければなら
ない。
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a) エアラインマスク 大部分のものは使用可能である。ただし,デマンド形の一部には使用できないも
のもあるので,不明の場合は製造業者に照会して機種を選択しなければならない。環境圧力に見合っ
た供給圧力に調整する必要がある。
b) 空気呼吸器 高気圧用のものを使用する。ただし,表1のように使用時間は環境圧力(絶対圧力)が高
くなるほど,これに反比例して短くなることに注意しなければならない。
表 1 空気呼吸器の環境圧力に対する使用時間比
環境圧力 例 大気圧下で30分
ゲージ圧力 絶対圧力 使用可能な場合の使用
使用時間比
環境区分 時間(概略値)
kPa kPa (概略値)
min
大気圧 0 98 1 30.0
98 196 1/2 15.0
196 294 1/3 10.0
高気圧
294 392 1/4 7.5
392 490 1/5 6.0
c) 半閉鎖循環式呼吸器 高気圧用として作られたもので,呼吸ガス中の酸素分圧が高くならないよう窒
素と酸素とを混合したガスを使用している。ただし,使用するときは,製造業者の使用説明書に従い,
慎重に取り扱わなければならない。
d) 循環式呼吸器 この種の呼吸器のうち,使用前から循環系内にある空気を再呼吸する方式で,酸素分
圧が一定範囲内に自動的に調節される構造のものは高気圧下でも使用できるが,それ以外のものは着
用時間によっては酸素中毒を起こす危険性が大きい。いずれの場合も,使用するときは,製造業者の
使用説明書に従って取り扱わなければならない。
5.9 低温下及び高温下での使用
低温下及び高温下での使用は,次による。
a) 低温下で呼吸用保護具の使用
1) 給気式呼吸用保護具に使用する圧縮空気又は圧縮酸素は乾燥したものとする。
2) 著しい低温環境では,排気弁が呼気中の水蒸気によって凍結するおそれがあるので,特殊な防寒カ
バーを取り付けるなどの注意が必要である。
3) アイピースの曇りを防止するため,次の事項に注意する必要がある。
3.1) 全面形面体は,ノーズカップをもつものとする。
3.2) アイピースにはあらかじめ防曇処理を施すか,又は防曇剤を塗布して使用する。
3.3) 全面形面体を着用する場合は,アイピースに息を吹きかけないように着用する。
3.4) 低温環境下で保管された面体等は,クラックを生じたり,顔面と十分に密着が得られないほど変
形又は硬化するおそれがあるので注意する必要がある。
b) 高温下での呼吸用保護具の使用
1) 高温環境では,ボルテックスチューブ,冷媒などによって,給気を冷却できるものを使用すること
が望ましい。
2) 高温環境下で使用及び保管された呼吸用保護具は,ゴム部品などの老化が促進されるおそれ,又は
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永久的な変形をしているおそれがあるので十分点検しなければならない。
5.10 めがねなどの使用
めがねなどを呼吸用保護具と併用する場合は,次による。
a) めがね,ゴーグル,フェイスシールド,溶接用保護面などと面体とを併用する場合は,面体と顔面と
のフィットネスを妨げるような着用をしてはならない。
b) コンタクトレンズと呼吸用保護具とを併用する場合は,作業中コンタクトレンズがずれたり取れたり
したときでも,安全区域に脱出するまでは呼吸用保護具を外してはならない。
5.11 会話装置
会話装置を使用する場合は,次による。
a) 伝声板方式の会話装置を使用する場合は,孔があいていないことを確認し,また,孔をあけないよう
に注意する。
b) 電気による会話装置を爆発又は火災のおそれがある場所で使用する場合は,環境空気に適した防爆構
造を備えていなければならない。
5.12 危険区域からの脱出
次のいずれかに該当するときは,危険区域から脱出しなければならない。
a) 呼吸用保護具が故障したとき。
b) 呼吸用保護具内への有害物質又は環境空気の漏れを感じたとき。
c) 警報器が付いている呼吸用保護具が,警報を発したとき。
d) 呼吸用保護具の使用可能時間が残り少なくなったとき。
e) 呼吸抵抗の異常な増加又は減少を感じたとき。
f) 呼吸用保護具着用中にめまい,吐き気,寒気,目への刺激,脱力などを感じたり,せき,くしゃみ,
おう吐,発熱,呼吸困難などがあったとき。
g) その他異常を感じたとき。
6. 管理責任者の責務
呼吸用保護具の使用を管理する責任者は,次に示す事項について,一般的知識を
もたなければならない。
a) 環境空気の有害の程度
b) 呼吸用保護具の選択基準
c) 着用者の訓練方法
d) 使用時の注意事項
e) 点検及び保守管理方法
f) 使用に関する法令,規則など
g) その他必要とする項目
7. 着用者の教育及び訓練
7.1 着用者の教育
呼吸用保護具の着用者には,次に示す事項について教育をしなければならない。
a) 環境空気の有害の程度
b) 呼吸用保護具の有効性及び選択した理由
c) 使用する呼吸用保護具の機能,特徴及び使用上の注意事項
d) 点検及び保守管理方法
e) 緊急時の認識及び対処方法(必要がある場合)
f) 使用に関する法令,規則など
g) その他必要とする項目
――――― [JIS T 8150 pdf 13] ―――――
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7.2 着用者の訓練
呼吸用保護具の着用者には,次に示す事項について指導及び訓練をさせなければな
らない。
a) 呼吸用保護具の着脱を迅速,かつ,確実に行う方法。
b) 各部の調節方法。例えば,しめひもの締め過ぎによる面体の過度の圧迫感,ハーネスの調節不良によ
る呼吸用保護具の安定感の不足,空気呼吸器の空気量の過不足による呼吸のひっ迫, 圧迫感などを,
できるだけ少なくするような調節方法。
c) 面体を用いる場合はフィットテストの方法。フィットネスが悪いと防護率が低下するため,着用する
場合には特に注意を要する。例えば,しめひもは,締付けが不十分でも強く締め付け過ぎてもフィッ
トネスを損なうことがある。したがって,フィットネスを向上させる着用方法及びフィットテスト方
法には,日ごろの訓練で十分習熟しておく必要がある。
d) 使用可能時間を知る方法。
e) 呼吸用保護具の気密漏れなどの不具合及び故障の発見方法並びにその場の対策。
f) ろ過材,吸収缶,清浄缶などの消耗品,又は排気弁,吸気弁などの消耗部品の交換時期を知る方法。
g) 着用者にとって必要な呼吸用保護具の保守及び点検方法。
8. 保守管理
8.1 清浄化及び消毒
清浄化及び消毒は,次による。
a) 個人専用の呼吸用保護具は,必要に応じて清浄化処理を行わなければならない。
b) 共同使用する呼吸用保護具は,着用者が替わるたびに清浄化し,かつ,消毒しなければならない。
8.2 保守管理上の注意事項
呼吸用保護具の保守管理上の注意事項は,法令などに定めるほか,次の事
項による。
a) 定期的に点検を行う。点検に当たっては,製造業者の使用説明書などによることが望ましい。
b) 呼吸用保護具を投げたり,落としたり,強い衝撃を与えたりしないように注意しなければならない。
c) 呼吸用保護具が次に示すいずれかに該当するときは,廃棄,修理又は部品の交換を行わなければなら
ない。
1) 破損しているとき。
2) 老化,変形,腐食,汚損などが著しく,適正な性能が得られないおそれがあるとき。
3) 使い捨て式防じんマスクの場合は使用限度時間が,その他の呼吸用保護具の場合は保存年限が,交
換時期に達しているとき。
4) 排気弁の作動が正常でないとき又は排気弁座にきずなどがあるとき。
d) 防じんマスクを使用中に,面体内,フィルタの裏などに汚れが認められる場合は,次の事項などの可
能性があるので,調査し改善する必要がある。
1) 粉じんがフィルタを透過したとき。
2) 顔面と面体とのすき間から漏れたとき。
3) 取扱いが適切でないために汚れたとき。
e) 防じんマスクのフィルタに粉じんがたい(堆)積したため,吸気抵抗が増大し,使用に支障を来した
場合は,製造業者の取扱説明書中の使用上の注意事項による。
f) 防毒マスク用吸収缶のうち,栓のあるものは,上下に栓をし,栓がないものは,気密性の良い容器な
どに入れて,外気と遮断して保管することが望ましい。
g) 清浄化及び消毒に当たっては,呼吸用保護具の材料をいためるおそれがあるものは使用しない。
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h) その他詳細は,製造業者の使用説明書による。
8.3 部品交換の場合の注意事項
呼吸用保護具の部品を交換する場合には,法令などによるほか,次に
よる。
a) 部品などの交換は,次による。
1) 国家検定対象品の場合は,その呼吸用保護具用として指定されたものを使用しなければならない。
2) 国家検定対象品以外の場合は,その呼吸用保護具用として設計されたもの,製造業者が勧めるもの,
又は安全が確認されたものを使用しなければならない。
b) 製造業者が使用説明書に交換方法を記してある消耗品及び消耗部品を交換する場合は,その方法どお
りに行わなければならない。
8.4 保管上の注意事項
呼吸用保護具を保管する場合は,次による。
a) 次に示す場所を避けて,保管することが望ましい。
1) ほこりが多い場所
2) 直射日光又は有害光線が当たる場所
3) 呼吸用保護具に悪い影響を与えるような高温,低温又は多湿な場所
4) 呼吸用保護具に害を与える物質の存在する場所
b) 永久的な変形を起こさないように保管しなければならない。
c) 脱出用又は救出用のものは,常に迅速に取り出せるように保管し,明りょう(瞭)な標識を付けてお
かなければならない。
d) その他詳細は,製造業者の使用説明書による。
8.5 廃棄基準
呼吸用保護具(部分及び部品も含む。以下,同じ。)を廃棄する場合は,次による。
a) 廃棄基準を定めることが望ましい。
b) 廃棄基準制定に当たっては,法令,規則などによるほか,使用説明書及び製造業者の提供する情報を
利用することが望ましい。
c) 廃棄する呼吸用保護具は,廃棄品であることを明示するなど,再使用されないようにしておかなけれ
ばならない。
――――― [JIS T 8150 pdf 15] ―――――
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JIS T 8150:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.30 : 呼吸保護装備
JIS T 8150:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK1101:2017
- 酸素
- JISM7601:2001
- 圧縮酸素形循環式呼吸器
- JISM7611:1996
- 一酸化炭素用自己救命器(COマスク)
- JISM7651:1996
- 閉鎖循環式酸素自己救命器
- JIST8001:2006
- 呼吸用保護具用語
- JIST8151:2018
- 防じんマスク
- JIST8152:2012
- 防毒マスク
- JIST8153:2002
- 送気マスク
- JIST8155:2014
- 空気呼吸器
- JIST8156:1988
- 酸素発生形循環式呼吸器
- JIST8157:2018
- 電動ファン付き呼吸用保護具
- JIST8159:2006
- 呼吸用保護具の漏れ率試験方法