JIS T 9241-2:2015 移動・移乗支援用リフト―第2部:移動式リフト | ページ 3

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なお,ロック装置を解除できる機構をもつ場合は,リスクマネジメントを実施する。
c) 機器を設置する場合を除き,1回だけの使用部品(例えば,木ねじ又はタッピングねじ)を用いては
ならない。
d) リフトは製品全体の安全性に影響を及ぼすような組立方式をとってはならない。もし,昇降装置に支
柱がある場合は,その支柱底面を正しく安全に動作する位置に調整して設置する。もし,水平方向へ
の移動が可能ならば,リフトは不用意に傾斜することを防ぐために適切な安全性が保たれていない限
り,動いたり又は操作したりしてはならない。
e) 被懸ちょう者又は使用者の昇降のための全ての制御装置は,そのリフトを操作する人が容易に使えて
操作できなければならない。
f) 電動式リフトは,緊急時に電源を遮断できる構造とする。その装置は,容易に操作でき,緊急時には
すぐ電源を遮断し,更に,安全性を脅かす電動機械式運動を全て停止させる装置が備わっていなけれ
ばならない。緊急停止装置のリセットは,手動操作だけで可能としなければならない。緊急停止装置
の操作部の色は赤でなければならない。
g) 制御装置は,ホールドツーラン方式としなければならない。
h) 昇降機構には,単一故障状態が起きても被懸ちょう者又は使用者が落下しないように安全装置を備え
ていなければならない。
i) 連結点は,身体支持具が不用意に外れない設計としなければならない。
j) 被懸ちょう者又は使用者が身体支持具から不用意に落下しないよう,必要に応じて安全予防策を取ら
なければならない。
k) リフトは,適応する現場状況に応じて被懸ちょう者又は使用者を移乗させるために設計しなければな
らず,その目的は製造業者が指示しなければならない。また,リフトは通常,介助者が1人で操作で
きるものでなければならない。操作できない場合は,取扱説明書に記載しなければならない。
注記 指示された方法で被懸ちょう者又は使用者の位置を定める場合には,介助者の移動などが最
小限になることが望ましい。
l) 意図的に設計されたものでない限り,液体がたまるようなくぼみがあってはならない。
m) 連結点は過度の結合部摩耗を防ぐため,滑らかでなければならない。
n) 操作時,6.1 b) に示した手段が働くことでリフトの安全性が損なわれてはならない。
o) バッテリー駆動式リフトには,充電が必要になると警告を出す装置が備わっていなければならない。
この装置が作動した後に,最大質量を負荷した上で,1昇降サイクルができるだけの電力が残ってい
る構造でなければならない。
p) 剛性身体支持具は,次による。
1) 身体支持具がリフトに完全に固定された構造でない場合は,不用意に外れることが生じないような
構造でなければならない。
2) 背もたれは,座面となす角度が90°以上でなければならない。
5.3.2 ハンガー
ハンガーの幅が調節できる場合には,使用時に不用意に外れないようにハンガー又は身体支持具に安全
装置を備えていなければならない。
5.3.3 中央懸ちょう点
中央懸ちょう点は,通常の使用時にハンガーが脱落しない構造でなければならない。
5.3.4 油圧装置・空圧装置

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油圧装置・空圧装置に関する要求事項は,附属書Aによる。
5.3.5 スリング
スリングは,JIS T 9241-5に規定するものを用いる。

6 性能

6.1 一般

  性能一般は,次による。
a) 操作ハンドルのハンドグリップのあるものは,7.2 a) によって試験したとき,外れてはならない。
b) リフト下降時に身体支持具,ハンガー及び昇降アームのいずれかが被懸ちょう者に接触した場合,被
懸ちょう者に加わる負荷は,上記機構の全質量以上にならないような手段(例 リミットスイッチ,
フリーホイールの原理など)が備わっていなければならない。また,7.2 b) によって試験したとき,
リフトの昇降機構の作用による力は50 N以内でなくてはならない。
c) 7.2 c) によって試験したとき,水平移動中に人体の一部を挟んだとしても,被懸ちょう者にかかる力
は100 N以内でなければならない。
d) フレキシブル装置及びロッキングシステムは,7.2 d) によって試験したとき,製造業者が意図した機
能に影響を与えるような,いかなる損傷又は破損があってはならない。
e) 電動リフトの電磁両立性は,7.2 e) によって試験したとき,JIS T 0601-1-2の規定を満足しなければな
らない。
f) 通常操作時に水のかかる可能性のある全ての電気部品は,7.2 f) によって試験したとき,少なくとも
JIS C 0920のIPX4レベルの性能をもっていなければならない。通常操作時,水中に浸される可能性
のある全ての電気部品は,少なくともJIS C 0920のIPX7レベルの性能をもっていなければならない。
g) リフトは,最大質量の負荷を持ち上げられなければならない。この試験は,7.2 g) によって確認する。
h) リフトは,最大質量の1.5倍以上の負荷がかかった場合,上昇しない構造にしなければならない。こ
の試験は,7.2 h) によって確認する。

6.2 ハンガー

  ハンガーは,7.3によって試験したとき,使用上支障のある変形,破損及び摩耗があってはならない。

6.3 中央懸ちょう点の停止距離

  中央懸ちょう点の停止距離は,7.4によって試験したとき,50 mm以内でなければならない。

6.4 昇降速度

  昇降速度は,7.5によって試験したとき,次による。
a) 中央懸ちょう点の下降速度は,最大質量を負荷したときに0.15 m/sを超えてはならない。
b) 中央懸ちょう点の昇降速度は,無負荷時に0.25 m/sを超えてはならない。

6.5 操作力及び操作トルク

  手指,手又は足で操作するように設計したリフト構成部品を操作する力又はトルクは,7.6によって試験
したとき,次の規定を満足しなければならない。
a) 手指による操作 : 5 N以下
b) 手又は腕による操作 : 105 N以下
c) 足による操作 : 300 N以下
d) 回転(ノブ)による操作 : 1.9 Nm以下
注記 被懸ちょう者,使用者又は他の専門職以外の者が操作するリフトの場合は,次の項目を指針と

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して適応可能である。
1) ある機能を手で始動又は解除するレバーの操作力は,60 Nを超えないことが望ましい。
2) 一定の時間ある機能を始動又は解除するために使用するレバーの操作力は,13 Nを超えない
ことが望ましい(例えば,電動車いすのジョイスティック)。
3) ある機能を足で始動又は解除するために使用するレバーの操作力は,“引っ張る方向で”60 N
及び“押す方向で”100 Nを超えないことが望ましい。
4) ある機能を指で始動又は解除するために使用する器具の操作力は,5 Nを超えないことが望
ましい。

6.6 耐久性

6.6.1  一般
リフトは,最大質量負荷時と無負荷時との両方において7.7.1によって試験したとき,本来の機能を果た
し,使用上支障のある変形,破損又は摩耗があってはならない。
6.6.2 剛性身体支持具
剛性身体支持具は,7.7.2によって試験したとき,製造業者の指定する機能を維持していなければならな
い。

6.7 静的強度

  リフトは,7.8に規定する静的強度試験終了後に,製造業者によって決められたように機能し,かつ,機
能に使用上支障を及ぼすような変形,破損又は摩耗があってはならない。

6.8 静的安定性

  リフトは,7.9に規定する静的安定性試験を無負荷時及び最大質量負荷時において実施したとき,次の角
度において平衡(バランス)を失ってはならない。
a) ベースを指定された移動状態位置にして,前方及び後方傾斜角を10°
b) ベースを最も不利な位置にして,前方及び後方傾斜角を7°
c) 他の方向は傾斜角5°

6.9 ブレーキ

  リフトには,ブレーキを備え,7.10によって試験したとき,方向にかかわらず10 mm以内で停止しなけ
ればならない。

6.10 移動力

  移動に必要な移動力は,7.11によって試験したとき,次の規定を満足しなければならない。
a) 移動開始力 : 160 N以下
b) 移動状態力(押し/引き) : 85 N以下

6.11 騒音

  リフトの騒音は,7.12によって測定したとき,騒音レベルが65 dB以下でなければならない。

7 試験方法

7.1 一般

7.1.1  試験条件
リフトは,使用可能状態で試験しなければならない。しかし,多目的リフトは,製造業者の指示に従っ
て組み立て,様々な組合せがある場合には,全ての組合せを最も不利な条件で行う。
試験は,通常の屋内条件下で行う。全ての試験は,一つの試供品で行う。

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なお,リフトが多目的設計のもので,立ち上がり用リフトの機能を含んだものであれば,耐久性試験一
般は,7.7.1の代わりにJIS T 9241-6の7.7.1(一般)を適用する。
7.1.2 試験装置
試験装置は,次による。
a) 試験面 剛性があり,平らで,かつ,傾斜可能とし,リフトが傾いても滑らないようにストッパが付
いている面とする。
b) ストッパ 車輪半径を超え,車輪直径未満の高さとする。
c) 試験用おもり 試験用おもりを必要とする場合には,鉄製で,角を丸くとり(R25 mm以上),直径350
mmとする(図4参照)。スリングを使う試験を行うときには,被懸ちょう者に模擬したおもりを用い
ることもできる。
d) 荷重負荷装置 負荷することによって発生する力が無視できる程度である装置とする。
e) 騒音計 JIS C 1509-1に規定する騒音計とする。
f) 剛性身体支持具へ負荷する位置 剛性身体支持具への負荷位置は,図5及び図6による。
図4−試験用おもり
主要項目
a 最大質量(kg)の2倍の値をミリメートルで表したもの
b 200 mm
注記 aの起点は,座面及び背もたれ両方の中心を通る垂直面上で,座面の中心を基点としたbの高さにおける背もた
れとの接点とする。
図5−剛性身体支持具への荷重位置

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単位 mm
500 500
1 16% 42% 42% 2
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基準値
1 最後
2 先頭
3 ベース
a) 正面図
試験おもり
a
c
b
aの起点
(台座端とbの交点)
bの起点
(台座の中心)
a 最大質量(kg)の2倍の値をミリメートルで表したもの
b 200 mm
c 重心
注記 aの起点は,座面及び背もたれ両方の中心を通る垂直面上で,座面の中心を基点
としたbの高さにおける台座端との接点とする。
b) 側面図
図6−ストレッチャ式ストレッチャへの荷重位置

――――― [JIS T 9241-2 pdf 15] ―――――

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  • ISO 10535:2006(MOD)

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