JIS X 6256:2019 情報交換及び保存用のデジタル記録媒体―長期データ保存用光ディスク媒体の寿命推定のための試験方法 | ページ 4

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X 6256 : 2019 (ISO/IEC 16963 : 2017)
相対湿度との組合せを提供する。

8.5 光ディスクの置き方

  この試験の実施対象である各光ディスクは,インキュベーションにおいて,それぞれ垂直に保持し,デ
ィスク間は最小2 mm離して配置する。これによってディスク間の空気を流動させることが可能となり,
エラーレートの測定に悪影響を与える可能性のあるディスク表面の堆積物を最小化できる。

9 寿命推定

9.1 故障時間

  理想的にはストレス条件におかれた全ての光ディスクは,与えられたストレス条件に応じて計算できる
故障時間をもつことが望ましい。ディスクの故障時間は,最大データエラーを含む試験データで決められ
る(A.2.1参照)。しかしながら,あるストレス条件で一つの故障時間も得られない場合は,A.2.3を参照。
故障判断基準の値は,次による。
− BDレコーダブルSL/DL,BDレコーダブルTL/QL,BD書換形SL/DL及びBD書換形TLの各ディス
クについては,10−3を超える最大RSER(附属書F参照)
− DVD-R,DVD-RW,+R及び+RWの各ディスクについては,280を超える最大PI Sum 8
− DVD-RAMディスクについては,10−3を超える最大BER
− CD-R及びCD-RWの各ディスクについては,220を超える最大C1 Ave 10
ディスクのデータエラーは,ディスク材料の劣化の結果によると推定される。材料の化学変化によって,
一般に時間の経過とともに,試験データが指数関数的に変化すると期待され,そのため,時間の関数とし
てのPI Sum 8,BER,C1 Ave 10又はRSERの試験の値は,指数関数的分布をもつことが期待される。
最小二乗法など時間に対する試験データの回帰によって,エラー傾向に適する最良の関数(エラー関数)
を見つけることができる。ディスクの故障時間は,エラー関数及び故障判断基準を用いて計算することが
できる。しかし,故障時間の決定ができないと判断した場合は,故障時間欠落のケースとして取り扱うこ
とが望ましい(A.2.1参照)。

9.2 加速劣化試験法

9.2.1  アイリング加速劣化モデル(アイリング法)
アイリング法では,熱力学の法則から次の方程式を導き出し,それを使って,温度及び相対湿度の二つ
のストレス条件を扱うことができる。
t ATae HekT ( B C T) H
ここに, t : 故障時間
A : 定数
Ta : 温度係数
ΔH : 活性化エネルギー
k : ボルツマン定数(1.380 7×10−23 J/K)
T : 温度(K)
B,C : 定数
この規格では温度T(K)は,T=273.15+Tempとする。
この試験法の温度範囲では,“a”及び“C”はゼロに設定する。アイリング式は,次のいずれかに簡略
化できる。
t Ae H kT eBRH

――――― [JIS X 6256 pdf 16] ―――――

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H
ln t ln A B RH
kT
9.2.2 アレニウス加速劣化モデル(アレニウス法)
アレニウス法では加速劣化に温度ストレスだけを用いている。
故障時間は,次のアレニウスモデル式に従うと仮定される。
t e H kT
H
ln t ln A
kT

9.3 データ解析

  データ解析及びデータの有効性の判定法は,次の附属書に含まれる。
− 附属書A(規定) : 寿命推定法及びデータ解析手順の概要
− 附属書B(規定) : 制御保存条件での寿命推定(アイリング法)
− 附属書C(規定) : 過酷保存条件での寿命推定(アレニウス法)
− 附属書E(参考) : 最ゆう(尤)法を用いたB5ライフの区間推定

9.4 寿命推定結果

  データ解析による寿命推定の結果の報告には,次の内容を含む。
a) この規格の規格番号及び名称
b) 寿命の推定をする保存環境条件
制御保存条件(25 ℃及び相対湿度50 %)又は過酷保存条件(30 ℃及び相対湿度80 %)
c) ディスク試験位置
厳密試験位置又は基本試験位置(7.5参照)
d) ストレス試験条件
厳密ストレス条件又は基本ストレス条件,及び代替条件が使用されたか否か。
e) 試験に用いた記録速度条件(7.3参照)
f) 故障時間データ
完全データか又は故障時間欠落の補完を含むデータか。
g) 標本の情報
各ストレス条件で試験した標本数
h) 推定方法及び推定データ
最小二乗法を使った最ゆう(尤)法か又は加速係数法か,及び対数標準偏差の推定値
i) 最小二乗法を使った最ゆう(尤)法のB50ライフ,B5ライフ及びB5ライフの95 %下側信頼限界[(B5
ライフ) L]
加速係数法のB50ライフ,B5ライフ及びB5ライフの第5分位点の点推定(B5Vライフ)

――――― [JIS X 6256 pdf 17] ―――――

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附属書A
(規定)
寿命推定法及びデータ解析手順の概要
A.1 寿命推定のためのデータ解析
A.1.1 一般
寿命推定のデータ解析は,次の前提条件に基づいている。
− 光ディスクに記録されたデータの寿命は,対数正規分布に従う。
− アイリング法は,制御保存条件(25 ℃及び相対湿度50 %)の場合に使用される(附属書B参照)。
− アレニウス法は,過酷保存条件(30 ℃及び相対湿度80 %)の場合に使用される(附属書C参照)。
最ゆう(尤)法(附属書E参照)は,正確な解析及び区間推定に適用される。それゆえ,この規格の寿
命推定は,最ゆう(尤)法を用いた推定に基づいて規定する。
最ゆう(尤)法の計算は複雑で簡単にはできない。寿命データが完全データで,その分布が対数正規分
布の場合,推定寿命は最小二乗法を使っても計算が可能であり,また,計算結果は最ゆう(尤)法の計算
結果と同じになる。したがって,完全データの場合は,比較的計算が簡単な母集団の推定をする実用的な
計算方法として最小二乗法を採用している。
寿命のデータが完全データでなく故障時間が欠落している場合は,参考の細分箇条としてA.2.4に推定
方法を示す。
加速係数法は,DVDディスクの寿命推定に広く使用されてきた。過去のデータとの関連で評価を必要と
する場合,A.2.6及びB.3に説明する加速係数法を参照することができる。
多層ディスクでは,加速条件によっては,各インキュベーション区分時間の後で最大データエラーが異
なる層で生じる場合がある。その場合,まず最初に最大データエラーに異常値がないかどうかを確認する
ことが望ましい。最大データエラーが異なる層で生じる場合は,多層ディスクの故障時間は各層ごとに推
定し,その各層の故障時間の中の最小値をディスクの故障時間とすることが望ましい。
A.1.2 対数正規モデル並びに lnB及び
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lnBの点推定
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故障時間tは対数正規分布LN(μ,σ2)するため,対数寿命(y=lnt)は,正規分布N(μ,σ2)に従う。ここに,
μ及びσ2は,それぞれyの期待値及び分散である。
μは,xの関数として,次による。
y μx σ z
β0 β1x1β2x2σ z
ここに, z : N(0,σ2)の分位点
β0 : lnA
β1 : ΔH/k
β2 : B
A及びB : 定義は9.2.1参照
x1 : 温度に関連した変数でx1=1/T
x2 : 相対湿度に関連した変数でx2=RH
注記 xは,2次元(x1,x2)のベクトルである。
寿命分布の第p分位点又はBpライフは,信頼性工学の分野では広く使われている。ln Bpの点推定は,次

――――― [JIS X 6256 pdf 18] ―――――

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X 6256 : 2019 (ISO/IEC 16963 : 2017)
による。
p
ln B β
x
β x
β zp 100σ
0 1 1 2 2
寿命分布の第5分位点及び第50分位点の点推定は,次による。
ln B β
x
β x
β .164σ
5 0 1 10 2 20
ln B β
β1x10x
β
50 0 2 20
ここに, x10,x20 : 制御保存条件(25 ℃,相対湿度50 %)
x10 : x10=1/(273.15+25)
x20 : x20=50
注記 寿命推定の目的は,母集団の寿命を推定することにある。したがって,σ2は,不偏分散である。
A.1.3 光ディスク(寿命)の区間推定
光ディスクの対数寿命 ln Bp の区間推定は下側限界だけを考えればよい。対数寿命 ln Bp の(100−α) %の下
側信頼限界は,次による。
p
ln B p
ln B zα 100 p)
var(ln B
L
ここに, p)
var(lnB : ln Bp の分散(附属書E参照)
A.1.4 最小二乗法によるβ及びσの推定
i番目の標本に対する線形重回帰モデルは,次による。
yij β0β1x1 j εij (i = 1nj) (j = 1J)
β2x2 j
ここに, εij : 誤差
nj : 各グループの標本数
J : グループの総数
jyは,次による。
推定値
j
y β
x
β1x1 j
β
0 2 2j
ここに, x1j : x1j=1/[273.15+Tj (単位 ℃) ]
x2j : x2j=RHj
また,残差平方和Seは,次による。
J nj
2
Se yij j
y
j 1i 1
寿命データが完全データで対数正規分布の場合,最小二乗法で求めた推定回帰係数は,最ゆう(尤)法
で推定したものと同じになり,寿命推定に使用することができる。最小二乗法で得た計算結果を利用する
方法を次に示す。
jyの推定回帰係数は,Seに最小二乗法を用いて求めることができる。推定値 0 拿1 打 び
2 戰 五つの
標本グループA,B,C,D及びEの110個の線形重回帰方程式を解くことで求めることができる。

――――― [JIS X 6256 pdf 19] ―――――

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X 6256 : 2019 (ISO/IEC 16963 : 2017)
(σlsm) 2 を最小二乗法で求めた不偏分散とすると,推定値 (σlsm) 2 は,次による。
J nj
(yijy j) 2
Se j 1 i 1
(σlsm ) 2
(n )3 (n )3
J
n : 総標本数を表し jn
ここに, n
j 1
n−3 : n−3=n−1−2
−1 : 有限の標本数による数値
−2 : 自由度の数値(温度及び湿度)
注記 この細分箇条ではアイリング法の場合を示す。アレニウス法の場合,自由度は1(温度だけ)
であり,n−3はn−2になる。
0 拿1 打 び
2 扎
統計ソフトウェアツールの回帰分析を使うことで,線形重回帰係数の推定値
2
の分散の推定値 (σlsm)
を得ることができる。
B50ライフ,B5ライフ及びB5ライフの95 %下限信頼限界は,次による。
B50 ライフ 50
exp ln B
exp β0β1x10β2x20
B5 ライフ 5
exp ln B
exp β x
β1x10
β .164σ
0 2 20
exp β0x
β
1 10
x
β
2 20 .164σ lsm
ここに, x10,x20 : 制御保存条件(25 ℃,相対湿度50 %)
σを代入することによって, B及び
50 5
σに lsm var ln var ln Bは,次による(E.3参照)。
J J
1
n 1 1
2 2 njx1 j 2 njx2 j
σ lsm σ lsm
j 1 σ lsm
j 1
J J J
1
1 1 1
var ( ln B
50 )1 x10 x20 2
njx1 j 2
njx12j 2
njx1 jx2 jx10
σ lsm
j 1 σ lsm
j 1 σ lsm
j 1
J J J x20
1 1 1 2
2 njx2 j 2 njx1 jx2 j2 nx
j 2j
σ lsm
j 1 σ lsm
j 1 σ lsm
j 1

――――― [JIS X 6256 pdf 20] ―――――

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JIS X 6256:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 16963:2017(IDT)

JIS X 6256:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 6256:2019の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISX6230:2017
情報の交換及び蓄積用のデジタル記録媒体―120mm単層(25ギガバイト/ディスク)及び2層(50ギガバイト/ディスク)BDレコーダブルディスク
JISX6231:2017
情報の交換及び蓄積用のデジタル記録媒体―120mm3層片面(100ギガバイト/ディスク),3層両面(200ギガバイト/ディスク)及び4層片面(128ギガバイト/ディスク)BDレコーダブルディスク
JISX6232:2017
情報の交換及び蓄積用のデジタル記録媒体―120mm単層(25ギガバイト/ディスク)及び2層(50ギガバイト/ディスク)BD書換形ディスク
JISX6233:2017
情報の交換及び蓄積用のデジタル記録媒体―120mm3層(100ギガバイト/ディスク)BD書換形ディスク
JISX6246:2005
120mm(4.7GB/面)及び80mm(1.46GB/面)DVD―書換形ディスク(DVD-RAM)
JISX6248:2007
80mm(1.46GB/面)及び120mm(4.70GB/面)DVD リレコーダブルディスク(DVD-RW)
JISX6249:2009
80mm(1.46GB/面)及び120mm(4.70GB/面)DVDレコーダブルディスク(DVD-R)
JISX6250:2009
120mm(4.7GB/面)及び80mm(1.46GB/面)+RWフォーマット光ディスク(4倍速まで)
JISX6251:2009
120mm(4.7GB/面)及び80mm(1.46GB/面)+Rフォーマット光ディスク(16倍速まで)
JISX6252:2011
120mm(8.54Gbytes/面)及び80mm(2.66Gbytes/面)2層DVDレコーダブルディスク(DVD-R for DL)
JISX6282:2009
情報交換用120mm追記形光ディスク(CD-R)
JISX6283:2009
情報交換用120mmリライタブル光ディスク(CD-RW)