JIS Z 3110:2017 溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術 | ページ 2

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3.6
グレイ値,GV(gray value)
デジタル画像における画素の数値。
注記 これは,一般的に画素値と表される値であり,検出器の応答特性,アナログ−デジタル値及び
検出器の信号に置き換えることができる。
3.7
線形化グレイ値,GVlin(linearized gray value)
検出器の露光線量と直線的に比例し,検出器が露光されていないときに0(ゼロ)値となる画素の数値。
注記 これは,一般的に線形化した画素値と表される値であり,線形化した検出器信号に置き換える
ことができる。
3.8
デジタル検出器の基本空間分解能,SRb検出器(basic spatial resolution of a digital detector)
デジタル画像において測定された固有の不鮮鋭度(3.27参照)の半分相当及び実効的な画素の大きさに
相当し,幾何学的拡大率(3.24参照)が1のときにデジタル検出器が解像できる最小の形状及び寸法。
注記1 この測定では,複線形像質計をデジタル検出器又はIP上に直接置く。
注記2 この不鮮鋭度の測定は,JIS Z 2307を参照。
注記3 この規格では,表記がない場合は,単位をmmとする。
3.9
デジタル画像の基本空間分解能,SRb画像(basic spatial resolution of a digital image)
デジタル画像において測定された合計不鮮鋭度(3.29参照)の半分相当及び実効的な画素の大きさに相
当し,デジタル画像において解像できる最小の形状及び寸法。
注記1 この測定では,複線形像質計を試験体上に直接置く(線源側)。
注記2 この不鮮鋭度の測定は,JIS Z 2307を参照。
注記3 この規格では,表記がない場合は,単位をmmとする。
3.10
信号対ノイズ比,SNR(signal-to-noise ratio)
指定されたデジタル画像の関心領域における,GVlinの標準偏差(ノイズ)に対するGVlinの平均値の比。
3.11
正規化された信号対ノイズ比,SNRN(normalized signal-to-noise ratio)
デジタル画像から測定されたSRbによる正規化,及び測定したSNR測定値から,次の式による算出の両方
又はいずれかによるSNR。
886. μm
SNRN SNR測定値
SRb
ここに, SRb : 基本空間分解能(μm)
3.12
コントラスト対ノイズ比,CNR(contrast-to-noise ratio)
二つの画像領域における,信号レベルの標準偏差(ノイズ)の平均値に対する信号レベル平均値の差の
比。
注記 CNRは,像質の構成要素を表し,(溶接継手の)放射線減弱係数とSNRとの積にほぼ依存する。
デジタル画像において,適切なCNRに加えて,対象とする特徴を解像するために,適切な不鮮

――――― [JIS Z 3110 pdf 6] ―――――

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鋭度又はSRbも必要となる。
3.13
正規化されたコントラスト対ノイズ比,CNRN(normalized contrast-to-noise ratio)
デジタル画像から直に測定されたSRbによる正規化,及び測定したCNR測定値から,次の式による算出の
両方又はいずれかによって正規化されたCNR。
886. μm
CNRN CNR測定値
SRb
ここに, SRb : 基本空間分解能(μm)
3.14
エイリアシング(aliasing)
入力された画像の空間周波数が,デジタル画像の出力可能な空間周波数よりも高い場合に画像に現れる
画像の乱れ。
注記 エイリアシングは,通常,直線におけるぎざぎざ,階段状の絵柄,又はモアレパターンとして
現れる。
3.15
連続した不良画素,CKP(cluster kernel pixel)
五つ以上の良好な周辺画素をもたない連続した不良画素。
3.16
呼び厚さ,公称厚さ,t(nominal thickness)
製造時の厚さ許容差を考慮しない場合の母材の呼び厚さ。
3.17
透過厚さ変化量,Δt(penetration thickness change)
呼び厚さに対する放射線ビームの入射角度の違いによる透過厚さの変化。
3.18
透過厚さ,w(penetrated thickness)
透過する全ての材料の呼び厚さによって算出される放射線照射方向における材料の厚さ。
3.19
試験体−検出器間距離,b(object-to-detector distance)
試験体の撮影部における線源側表面と検出器感光層との間の放射線ビームの中心軸に沿った最大距離。
3.20
線源寸法,d(source size)
放射線源寸法又は焦点寸法。
3.21
線源−検出器間距離,SDD(source-to-detector distance)
放射線照射方向で測定された線源と検出器との間の距離。
注記 SDD=f+b
ここに, f : 線源−試験体間距離
b : 試験体−検出器間距離
3.22
線源−試験体間距離,f(source-to-object distance)

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放射線ビームの中心軸に沿った放射線源と試験体の検出器から最も遠い線源側表面との間の距離。
3.23
外径,De(external diameter)
管の呼び外径。
注記 外径に基づいて円周溶接継手に必要な推奨撮影枚数を求める場合は,附属書Aを参照。
3.24
幾何学的拡大率,v(geometric magnification)
SDDのfに対する比率。
3.25
原画像,生データ,オリジナル画像(original image, raw data)
CR又はデジタル検出器によって取り込まれた画像(検出器に関する補正を含む。)。
3.26
IQI値(IQI value)
透過度計又は像質計の示す像質の値(附属書B参照)。
3.27
固有の不鮮鋭度,ui(inherent unsharpness)
検出器システムに固有の不鮮鋭度で,全ての幾何学的不鮮鋭度を除き,検出器に隣接する複線形像質計
からデジタル画像上で測定された不鮮鋭度。
3.28
要求される最大画像不鮮鋭度,uIm(required maximum image unsharpness)
試験体の平らな面に置かれた複線形像質計のデジタル画像の測定に必要な最大の画像不鮮鋭度。
3.29
合計不鮮鋭度,uT(total unsharpness)
試験体表面に置かれた複線形像質計の検出器の平らな面における,デジタル画像から測定した検出器シ
ステムに固有の不鮮鋭度に幾何学的不鮮鋭度を含めた合計の不鮮鋭度。
3.30
不良画素の補間(bad pixel interpolation)
不良画素から本来得られるであろう画素値について,周囲の正常な画素を用いた演算による推定を行う
処理。

4 記号及び略語

  この規格の目的のために,表1に示す記号及び略語を適用する。
表1−記号及び略語
記号又は略語 用語
b 試験体−検出器間距離 (3.19参照)
b' 二重壁撮影における試験体に垂直な試験体−検出器間距離 (7.1.6参照)
d 線源寸法 (3.20参照)
De 外径 (3.23参照)
f 線源−試験体間距離 (3.22参照)
f' (7.1.6参照)
二重壁撮影における試験体に垂直な線源−試験体間距離

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表1−記号及び略語(続き)
記号又は略語 用語
GV グレイ値 (3.6参照)
GVlin 線形化グレイ値 (3.7参照)
GVmin 最小グレイ値 (7.3.1参照)
SNR 信号対ノイズ比 (3.10参照)
SNRN 正規化された信号対ノイズ比 (3.11参照)
t 呼び厚さ (3.16参照)
Δt 透過厚さ変化量 (3.17参照)
uG 幾何学的不鮮鋭度 (7.6参照)
ui 固有の不鮮鋭度 (3.27参照)
uIm 要求される最大画像不鮮鋭度 (3.28参照)
uT 合計不鮮鋭度 (3.29参照)
v 幾何学的拡大率 (3.24参照)
w 透過厚さ (3.18参照)
CKP 連続した不良画素 (3.15参照)
CNR コントラスト対ノイズ比 (3.12参照)
CNRN 正規化されたコントラスト対ノイズ比 (3.13参照)
CR コンピューテッドラジオグラフィ (3.1参照)
D 検出器 (7.1.2参照)
DDA デジタル検出器 (3.3参照)
IP 輝尽性蛍光体イメージングプレート (3.2参照)
IQI 像質計(透過度計) (3.26参照)
S 放射線源 (7.1.2参照)
SDD 線源−検出器間距離 (3.21参照)
SRb 基本空間分解能 (3.8,3.9参照)
SRb検出器 デジタル検出器の基本空間分解能 (3.8参照)
SRb画像 デジタル画像の基本空間分解能 (3.9参照)
iSRb 補間された基本空間分解能 (附属書C参照)
iSRb検出器 補間された検出器の基本空間分解能 (附属書C参照)

5 放射線透過撮影方法の分類及び補償原理

5.1 分類及び適用

  デジタル放射線透過撮影方法(以下,デジタル撮影技法という。)は,二つの像質クラスに分類される。
− クラスA : 基本的な技法
− クラスB : 像質改善技法
クラスAでは,検出が不十分な場合は,クラスBを適用する。
クラスBに比べてよりよい撮影方法を適用する場合には,契約当事者間で全ての試験パラメータについ
て合意することが望ましい。
デジタル撮影技法の選択は,契約当事者間で合意しなければならない。
きずの識別性は,JIS Z 2306に基づく透過度計及びJIS Z 2307に基づく像質計を使用して検証する。
クラスBにおいて,技術的な理由によって,放射線源の種類又は線源−試験体間距離fのような指定さ
れた条件のうち一つを満たすことができない場合,クラスAで指定された条件に変更することに契約当事
者間で合意してもよい。
きずの識別性の低下を補償するためには,CRでは最小GV及びSNRNを,DDAではSNRNをそれぞれ増

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加させる。この場合,SNRNを1.4より大きい係数で増加させることが推奨される。この結果,クラスAと
比較して感度がよく,要求するIQI感度が得られた場合,クラスBに分類してもよい。撮影配置7.1.4及
び7.1.5について,7.6に記載する特別のSDD短縮が適用される場合は,クラスBへの分類は適用できな
い。

5.2 補償原理(Compensation Principles,CP I,CP II,又はCP III)

5.2.1  概要
デジタル検出器を用いたデジタル撮影で十分なコントラスト感度を得るために,5.2.25.2.4に規定する
補償原理を適用する。
これらは,検出可能な試験体の厚さの差Δw当たりの検出器のSRbで正規化された最小のCNRNを得るも
のである。次の5.2.25.2.4に示すコントラスト,鮮鋭度のうち一つが十分でないために,要求されたΔw
当たりのCNRNを得ることができない場合,信号対ノイズ比(SNR)の増加分で補償することができる。
5.2.2 CP I
コントラストの低下に対するSNRの増加(例えば,X線管電圧の増加に対してX線管電流又は照射時間
を増加させる)により補償する。
5.2.3 CP II
鮮鋭度が十分でない(表B.13及び表B.14に示すよりもSRb値が大きい)検出器に対するSNRの増加に
より補償する(複線形像質計において規定の線対が分解できない場合に,針金形透過度計,有孔形透過度
計又は有孔階段形透過度計の識別感度を増加させるために,SNRを増加させる。)。
5.2.4 CP III
DDAの不良画素修正によって生じる局所的な不鮮鋭度の増加に対するSNRの増加により補償する。
5.2.5 理論背景
これらの補償原理は,小さい寸法のきずについて次の近似式に基づく(Δw≪w)。
CNRN μeff SNR
c
Δw SRb
ここに, c : 定数
μeff : 特定の材質コントラストと等しい実効エネルギーの減弱係

6 一般的要求事項及び準備

6.1 電離放射線の防護

  電離放射線を使用する場合,地域,国又は国際的に定められた防護措置を適用しなければならない。
警告 X線又はγ線による被ばくは,健康にとって非常に有害になる可能性がある。放射線透過試験
装置又は線源を使用する場合には,適切な法的要件を適用しなければならない。

6.2 表面の前処理及び製造工程

  一般的に試験する溶接継手への表面仕上げは必要ないが,表面の不完全部又はコーティングが欠陥の検
出を困難にする可能性がある場合,表面は滑らかに研磨するか,又はコーティングを除去しなければなら
ない。
特別の規定がない限り,デジタル撮影は,製造の最終段階,例えば,研磨又は熱処理の後に実施しなけ
ればならない。

――――― [JIS Z 3110 pdf 10] ―――――

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JIS Z 3110:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17636-2:2013(MOD)

JIS Z 3110:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3110:2017の関連規格と引用規格一覧