JIS Z 3110:2017 溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術 | ページ 5

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表2−鋼,銅及びニッケル合金に対するγ線源及び1 MeVを超える高エネルギーX線発生装置による
透過厚さの範囲
放射線源 透過厚さ
w
mm
クラスA クラスB
170Tm
5以下 5以下
169Yb a)
1以上 15以下 2以上 12以下
75Se b)
10以上 40以下 14以上 40以下
192Ir
20以上 100以下 20以上 90以下
60Co
40以上 200以下 60以上 150以下
1 MeVから4 MeVの高エネルギーX線発生装置 30以上 200以下 50以上 180以下
4 MeVから12 MeVの高エネルギーX線発生装置 50以上 80以上
12 MeVを超える高エネルギーX線発生装置 80以上 100以上
注a) アルミニウム及びチタンのための透過厚さwは,10 mm以上70 mm以下でクラスA,25 mm以上55 mm
以下でクラスBとする。
b) アルミニウム及びチタンのための透過厚さwは,35 mm以上120 mm以下でクラスAとする。

7.3 検出器システム及び金属スクリーン

7.3.1  最小のSNRN
デジタル撮影では,表3及び表4に示す最小SNRN値を満たさなければならない。CRでは最小SNRN値
に対応する最小グレイ値(GVmin)を満たしていればよい(附属書D参照)。
附属書Dは,SNRNの測定用手順を示す。附属書Dは,SNRN値の代わりに正規化されていないSNR値
を使用する場合,使用者にとって必要な換算表を示す。
使用するIP及びスキャナ並びにそれらの設定に対して,附属書Dの手順によって表3及び表4で要求
する最小SNRN値と同等のGVminが求まるならば,その値を使用してもよい。
注記1 グレイ値に関する補足事項を,参考として附属書Eに示す。
SNRN値は,溶接線近傍で母材の厚い側に置いた針金形透過度計,有孔形透過度計又は有孔階段形透過度
計の近くで,かつ,厚さ及びGVが均一な範囲で測定する。CRだけに用いるGVは,針金形透過度計,有
孔形透過度計又は有孔階段形透過度計近くの溶接継手の関心領域で測定する。試験体の表面粗さが画像ノ
イズ及びSNRNに影響を及ぼすため,表3の値を推奨値とする。SNRNの測定を溶接継手の熱影響部で実施
する場合,最小SNRN値は,表3及び表4の値の1.4倍とする。ただし,溶接継手の余盛及び裏波を仕上げ
て母材と同じ厚さにした場合は,この限りではない。
注記2 フィルム撮影技法において,熱影響部で測定した場合の濃度は,通常,3.5から4の間となる。
これは,濃度2以上である余盛の中心と比較して1.4倍高いSNRNになることに相当する。熱
影響部は,一定のGVの領域にあり,SNRNの正確な測定が可能であるため,熱影響部でSNRN
を測定することを推奨する。
附属書Dは,要求されるSNRNの代わりとなる同等のCRのGVminの算出方法を示す。
附属書Dには,SNRNの代わりに正規化しないSNRの測定値を用いるための換算表を示す。最小の正規
化しないSNRは,SRb検出器並びに表3及び表4の要求されるSNRN値から算出できる。
フィルム撮影技法では,写真の合否基準として最小濃度を規定している。デジタル画像では,合否基準
を決めるために,CRの場合にはGVmin,SNRN値又はSNR値(附属書D参照)を定義し,DDAの場合に
は最小SNRN値又はSNR値(附属書D参照)を定義しておかなければならない。具体的な値が定義されて

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いない場合は,表3及び表4の値を満足しなければならない。異なる放射線源及び厚さに対する最小SNRN
値を,表3及び表4に示す。
注記3 SNRN測定の詳細は,ISO 16371-1及び附属書Dを参照。
7.3.2 CP II
針金形透過度計,有孔形透過度計又は有孔階段形透過度計によるIQI値(表B.1表B.12及び表B.15
表B.18)及び複線形像質計によるSRb画像(表B.13及び表B.14)の両方を満足しなければならない。使用
する検出器システム及び露出条件によって両方のIQI値を満足できない場合,針金形透過度計,有孔形透
過度計又は有孔階段形透過度計の識別度を向上させて,指定された値より大きい不鮮鋭度(又は指定され
た値より大きいSRb)を補償することができる。
例えば,ある検出器の構成では,D12及びW16(透過厚さ5 mm,クラスB−表B.3及び表B.14)の要
求値を満足できない場合,D11及びW17の値が同等の検出感度として扱うことができる。この補償方法に
よる場合,分離できない複線形像質計の線対を2ランク下げるのに対して,針金形透過度計の最小識別線
径を2ランクまで上げて改善することに限られる。特定の用途に対して要求されるきず検出感度が得られ
る場合,契約当事者間で合意されれば,補償を分離できない複線形像質計の線対が3ランクに対して,針
金形透過度計の最小識別線径を3ランクまで改善することに拡張してよい。
DDAに対するコントラスト感度は,所定の距離及びX線管電圧においてデジタル撮影するために使用
するX線管電流(mA)と露出時間との積に依存する。したがって,針金形透過度計,有孔形透過度計又
は有孔階段形透過度計の検出性は,時間及びX線管電流を増加することで高めることができる。これは,
CRへも適用されるが,IPの蛍光体層における構造ノイズによって制限を受ける。DDAシステムの場合,
最大SNRNは,校正手順の程度によって制限される。
SRb検出器は,設計及びハードウェアのパラメータによって決まる。
幾何学的拡大撮影技法を適用する場合,SRbは,基本空間分解能(SRb画像)から得られる。すなわち,複
線形像質計のIQI値の測定から求める(7.7参照)。
7.3.3 IP用金属スクリーン及び遮蔽
前方に金属スクリーンを使用する場合,検出器とスクリーンとの間に良好な接触が要求される。これは,
真空パックしたIP,又はスクリーンとIPが密着するよう圧力をかけることで実施してもよい。IPと密着
していない鉛はく(箔)スクリーンは,像の不鮮鋭度の一因となる場合がある。IPに接する鉛はくスクリ
ーンの使用で得られた増感効果は,フィルム撮影技法より小さい。
多くのIPは,鉛からの低エネルギー後方散乱線及び後方遮蔽の蛍光X線に対して極めて高い感度をも
つ。この影響は,端部の不鮮鋭度及びCNRの低下の大きな原因となるので,最小限にすることが望ましい。
鋼又は銅の遮蔽をIPの後方に直接置くことを推奨する。また,鉛板の後方散乱線とIPとの間の鋼又は銅
の遮蔽板は,像質を向上させることができる。最新のカセット及び検出器の設計は,この効果を考慮して
いるものがあり,この場合には,カセットの外側に追加の鋼又は銅の遮蔽板を必要としない。
注記 IPの保護層によって,増感効果はかなり弱められる。放射線エネルギー及び保護層の設計に依
存し,一般的なX線エネルギーの範囲で,増感効果はスクリーンを使用しない場合と比較する
と20 %から100 %の間である。
IPに密着させた鉛はくスクリーンの増感効果は小さく,鉛はくスクリーンを使用しなくても,露出時間
又はX線管電流の増加によって補償できる。IPに接触する鉛はくスクリーンは,慎重に取り外さないとIP
にきずを生じるおそれがある。そのため,鉛はくスクリーンは,カセット外側からの散乱線に対する中間
フィルタとしてカセット外側に使用することが望ましい。厚さ12 mm未満の鋼の検査においては,中間フ

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ィルタは推奨しない。
異なる放射線源用に推奨されるスクリーンの材料及び厚さを,表3及び表4に示す。要求される像質が
得られる場合,契約当事者間の合意によって,他のスクリーンの厚さを用いることができる。金属スクリ
ーンをIPの前に置くことを推奨しており,DDAに適用した場合にも,散乱線の影響を低減できる。
表3−鋼,銅及びニッケル基合金のデジタル撮影に関する最小SNRN値(CR及びDDA)
及び前方金属スクリーン(スクリーンはCRだけ)
放射線源 透過厚さ 最小SNRN c) 前方金属スクリーンの種類及び厚さ
w クラスA クラスB
mm mm
X線管電圧 100 150 なし
50 kV以下
X線管電圧d) 70 120 0.1以下(鉛)
50 kVを超え 150 kV以下
X線管電圧d) 70 100 0.1以下(鉛)
150 kVを超え 250 kV以下
X線管電圧d) 50以下 70 100 0.3以下(鉛)
250 kVを超え 350 kV以下 50を超え 70 70 0.3以下(鉛)
X線管電圧d) 50以下 70 100 0.3以下(鉛)
350 kVを超え 1000 kV以下 50を超え 70 70 0.3以下(鉛)
169Yb d)
5以下 70 120 0.1以下(鉛)
5を超え 70 100 0.1以下(鉛)
192Ir d),75Se d)
50以下 70 100 0.3以下(鉛)
50を超え 70 70 0.1以上 0.4以下(鉛)
60Co a), b)
100以下 70 100 0.3以上 0.8以下(鋼又は銅)
1 MeVを超え5 MeV以下の + 0.6以上 2 以下(鉛)
高エネルギーX線発生装置a), b)
100を超え 70 70 0.3以上 0.8以下(鋼又は銅)
+ 0.6以上 2 以下(鉛)
5 MeVを超える 100以下 70 100 0.6以上 4 以下(鋼,銅又は鉛)
高エネルギーX線発生装置a), b)
100を超え 70 70 0.6以上 4 以下(鋼,銅又は鉛)
注a) 複合スクリーン(鋼+鉛)の場合,鋼はくスクリーンをIPと鉛はくスクリーンとの間に置く。
b) 鋼又は鋼+鉛の代わりに,像質の試験が可能な場合,銅,タンタル又はタングステンのスクリーンを使用し
てもよい。
c) 溶接継手の余盛及び裏波を平滑にして母材の厚さにする場合を除き,SNRNを熱影響部で測定する場合は,表
の数値を1.4倍しなければならない。
d) 鉛はくスクリーンは,鋼又は銅のスクリーンと全部又は一部を差し替えてもよい。鋼又は銅の等価厚さは,
鉛の厚さの3倍である。

――――― [JIS Z 3110 pdf 23] ―――――

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表4−アルミニウム及びチタンのデジタル撮影に関する最小SNRN値(CR及びDDA)
及び前方金属スクリーン(スクリーンはCRだけ)
放射線源 最小SNRN b) 前方金属スクリーンの
クラスA クラスB 種類及び厚さ
mm
X線管電圧 70 120 0.03以下(鉛)
150 kV以下
X線管電圧 70 100 0.2以下(鉛)a)
150 kVを超え 250 kV以下
X線管電圧 70 100 0.2以下(鉛)a)
250 kVを超え 500 kV以下
169Yb
70 100 0.2以下(鉛)a)
75Se
70 100 0.3以下(鉛)a)
注a) 0.2 mmの鉛の代わりに,0.1 mmのスクリーンとし,0.1 mmの追加フィルタをカ
セットの外側に使用してもよい。
b) 溶接継手の余盛及び裏波を平滑にして母材の厚さにする場合を除き,SNRNを熱影
響部で測定する場合は,表の数値を1.4倍しなければならない。

7.4 放射線の照射方向

  放射線の照射方向は,試験対象範囲の中心に向け,その点における試験面との角度を,直角としなけれ
ばならない。ただし,特定の不完全部が,異なる放射線の照射方向によって検出できる場合は,この限り
でない。この場合は,放射線の照射方向を適切な方向に調整することができる。
例 開先部の融合不良を検出する場合,放射線の照射方向は溶接の開先角度に合わせることによって
良好な結果が得られる。

7.5 散乱線の低減

7.5.1  金属フィルタ及びコリメータ
後方散乱線の影響を低減するために,直接放射線は,できるだけ試験対象範囲に絞らなければならない。
75Se,192Ir,60Coなどの線源を使用する場合,又はエッジ散乱がある場合は,溶接継手及びカセット又は
DDAの間に,低エネルギー散乱線に対するフィルタとして鉛シートを使用することができる。このシート
の厚さは,透過厚さに応じて0.52 mmとする。例えば,すず(錫),銅,鋼など鉛以外の材料をフィル
タとして使用できる。鋼又は銅の薄いスクリーンは,鉛シートと検出器との間に置くことが望ましい。
7.5.2 後方散乱線の遮蔽
新しいCR試験の配置ごとに,各カセットのすぐ後に鉛文字B(最小文字高さ10 mm,最小厚さ1.5 mm)
を置いて,後方散乱線の影響を確認しなければならない。この文字の画像がデジタル画像上で暗い(GVlin
の増加)場合,又は識別できない場合は,後方散乱線に対して良好な遮蔽が得られている。この文字が明
るい画像(GVlinの減少)として記録された場合は,検出器の後に少なくとも厚さ1 mmの鉛シート,又は
少なくとも厚さ1.5 mm以上のすずシートを置き,後方散乱線を遮蔽しなければならない。さらに,鉛の
蛍光X線放射の影響を低減するために,鉛遮蔽体と検出器との間に鋼又は銅の追加の遮蔽(厚さ約0.5 mm)
を設けなければならない。放射線エネルギーが80 keVを超える場合,検出器の後側に鉛はくスクリーンを
接触させて使用してはならない。

7.6 線源-試験体間距離

  線源−試験体間距離の最小値fminは,線源寸法d,及び試験体−検出器間距離bによって決まる。線源寸
法dは,JIS Z 4615又は契約当事者間の協議に基づかなければならない。

――――― [JIS Z 3110 pdf 24] ―――――

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線源寸法は,長方形又はだ(楕)円形などのように縦横二つの寸法で表され,大きい方の数値を使用す
る。
実用的な線源−試験体間距離fは,図2 b),図8 b),図13 b)及び図14 b)に示す撮影配置を除いて,距離
fと線源寸法dとの比,すなわち,f/dが式(1)又は式(2)を満足するよう選択する。
クラスAの場合,
f≧
5.7b3/2 (1)
d
クラスBの場合,
f≧
15b3/2 (2)
d
ここに, b : 試験体−検出器間距離(mm)
距離bが1.2t未満の場合,式(1)又は式(2)並びに図21の距離bは,呼び厚さtに置き換える。
fminを決めるために,図21のノモグラムを使用してもよい。このノモグラムは,式(1)又は式(2)に基づい
ている。
実用的な距離fは,図2 b),図8 b),図13 b)及び図14 b)に示す撮影配置において,距離fと線源寸法d
との比,すなわち,f/dが式(3)又は式(4)を満足するよう選択する。
クラスAの場合,
f≧ 35.7b

(pdf 一覧ページ番号 )

                         d       t
クラスBの場合,
f≧ 15tb

(pdf 一覧ページ番号 )

                         d     3
ここに, t : 試験部の呼び厚さ(mm)
b : 試験体−検出器間距離(mm)
クラスAにおいて,平面状不完全部の検出を要求された場合,幾何学的不鮮鋭度を半分に減らすために
fminを,クラスBと同じとする。
割れの生じやすい材料に対する重要な撮影には,クラスBの撮影配置における距離fを大きくして,割
れなどのきずに対する放射線の照射角度を小さくすることによって,検出性を高くする撮影技法などを使
用する。

――――― [JIS Z 3110 pdf 25] ―――――

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JIS Z 3110:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17636-2:2013(MOD)

JIS Z 3110:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3110:2017の関連規格と引用規格一覧