JIS Z 3110:2017 溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術 | ページ 6

                                                                                             23
Z 3110 : 2017
単位 mm
図21−試験体−検出器間距離b及び線源寸法dに関連した線源−
試験体間距離の最小値fminを求めるためのノモグラム
拡大撮影による補正をしない場合,デジタル検出システムの固有の不鮮鋭度(ui : SRb検出器の2倍)及び
幾何学的不鮮鋭度(uG)の合計不鮮鋭度(uT)は,
uT ui2 uG2 (5)
したがって,検出システムの不鮮鋭度を補償するためには,fminを大きくすることを推奨する。
X線フィルムよりも固有の不鮮鋭度が大きいデジタル検出器を使用する場合に,フィルムによる放射線
透過試験(ISO 17636-1)の手順に規定するのと同程度の合計不鮮鋭度を得るためには,次の条件を推奨す
る。
a) 試験体が検出器に接触している場合(幾何学的拡大撮影技法によらない場合),SRb検出器が,距離bに
依存する式(6)又は式(7)で与えられる値よりも小さくなるようにデジタル検出器を選択する。
クラスAの場合,

――――― [JIS Z 3110 pdf 26] ―――――

24
Z 3110 : 2017
3
b
SRb (6)
15
クラスBの場合,
3
b
SRb (7)
30
b) SO 17636-1に基づくフィルム撮影と同等の不鮮鋭度を得るには,式(6)又は式(7)を満足していれば,
次の式を用いることによって,式(1)又は式(2)並びに図21で与えられる値よりもfminを大きくできる。
クラスAの場合,
2
b
fmin d 2/3 2 2 (8)
b / 5.7 4SRb
クラスBの場合,
2
b
fmin d 2/3 2 2 (9)
b / 15 4SRb
SRb検出器が式(6)又は式(7)から要求される値よりも小さい場合,又はSNRを増大させることで表B.1表
B.12及び表B.15表B.18に規定するIQI値が得られる場合(CP IIに相当),fminは,式(1)又は式(2)又は図
21から求めることができる。
クラスA及びクラスBの像質を満足するための最大画像不鮮鋭度及びSRbの要求値を,表B.13及び表
B.14にそれぞれ示す。
7.1.6で規定している二重壁両面撮影方法,又は7.1.7で規定している垂直撮影方法を使用する場合,式
(1)及び式(2)並びに図21において,距離bを外径Deに代えなければならない。
線源が試験体の外側で反対側に検出器のある場合(7.1.8で二重壁片面撮影方法として記載されている技
法),fminは,外径Deではなく管の呼び厚さtだけで決定する。
可能であれば,より適切な方向から検査を行うために(7.1.4及び7.1.5参照),線源を試験体の中に置き,
二重壁撮影方法(7.1.67.1.8参照)を使用しないことが望ましい。fminは,20 %を超えて短縮してはなら
ない。線源が試験体内の中央に,検出器がその外にあり(7.1.4に示す技法),透過度計の要求を満足して
いれば,20 %を超えて短縮してよい。しかし,この場合も50 %を超えてfminを短縮してはならない。透過
度計の要求を満足していれば,契約当事者間の合意によって更なる短縮ができる。

7.7 幾何学的拡大撮影技法

  CR及びDDAシステムを溶接継手の放射線透過試験に適用する場合の課題は,ほとんどのデジタル検出
器(DDA)又はIP読取システムの画素サイズ(50 m以上)が,フィルムの小さな粒子サイズよりも大き
くフィルムの空間分解能が非常に高いという点である。この困難さは,画像のSNRNの増大(CP IIに相当)
及び/又は必要に応じて拡大撮影によるDDA特有の特性を利用して回避することができる。
注記 幾何学的拡大は,表示した画像のデジタル的な拡大(ズーム)とは異なる。幾何学的拡大だけ
が画像の不鮮鋭度を減少させる。
必要とするIQI値の識別性(針金形透過度計,有孔形透過度計又は有孔階段形透過度計で確認)及びSRb
(複線形像質計で確認。附属書C参照)が,該当する表B.1表B.18に示す要件を満足しない場合,一つ
の対応方法は画像のSNRを高めることである(7.3.2 CP II参照)。
もう一つの対応方法は,IP又はDDAと試験体との距離を大きくした上で,焦点の小さいX線管又は線
源寸法の小さいγ線源を使用して幾何学的拡大撮影技法を適用することである。
最終的には,両方の方法を使用した後で必要な透過度計の値が識別できない場合,そのCRシステム又

――――― [JIS Z 3110 pdf 27] ―――――

                                                                                             25
Z 3110 : 2017
はDDAは,その試験に使用することはできない。
全ての製品のデジタル画像において,試験体上で複線形像質計を使用することによって拡大率の正しい
選択を確認しなければならない。複線形像質計は,2SRbがdを超える場合(dは線源寸法),試験体の検出
器に近い側に置き,それ以外の場合,試験体の線源に近い側に配置する。拡大率の選択をするときには,
試験体の両側に複線形像質計を置くが,正しい拡大率及び線源寸法を決定した後は,片方だけが最終的な
製品のデジタル画像が確認できればよい。
きずの自動識別を適用する場合,透過度計がデジタル画像に支障を来すことがある。一連の製品のデジ
タル画像に透過度計を使用しない場合,針金形透過度計,有孔形透過度計又は有孔階段形透過度計及び複
線形像質計による参照画像によって定期的に像質を検証しなければならない。
vを考慮したuImは,uG,及びSRbから,次の式(10)によって推定することができる。
1 2
uIm uG 2SRb (10)
v
ただし
SDD
uG 1d v 1 (11)
f
ここに, SRb : 拡大率=1のときのSRb検出器
SDD : 線源−検出器間距離
f : 線源−試験体間距離
uG : 幾何学的不鮮鋭度
d : JIS Z 4615又は契約当事者間の協議による線源寸法
v : SDD/fで与えられる幾何学的拡大率
uIm : 表B.13又は表B.14によるクラスA又はクラスB試験におけ
る要求される最大画像不鮮鋭度
画像不鮮鋭度が表B.13又は表B.14に指定される適切な値以下となるように,画像の不鮮鋭度を減少さ
せるために拡大率を高めるか,線源寸法を小さくするか,又はこの両方を行わなければならない。これに
は,試験体上に複線形像質計を置いて確認しなければならない。
拡大因子は,通常,試験体の線源側と検出器側とでは異なる。したがって,拡大率vは,試験体の中心
に対して選択しなければならない。線源側と検出器側との拡大率の違いは,±25 %以下が望ましい。7.3.2
に記載されているCP IIを使用する場合は,これよりも小さい拡大率を選択してもよい。

7.8 一回の露出における最大撮影範囲

  一回の露出における最大撮影範囲から,最低限必要な撮影枚数を決定することができる。
平板溶接継手(図1,図15,図17及び図18参照),及び線源を中心から外して曲面溶接継手(図2図
4及び図8図16参照)を試験する場合のデジタル画像の撮影枚数は,像質クラスに従って規定する。
厚さが均一な試験領域の外側の端部での透過厚さと,放射線の中心位置における透過厚さとの比は,ク
ラスAでは1.2,クラスBでは1.1を超えてはならない。
透過厚さの変化によって生じるSNRN値は,表3又は表4に示す値を下回ってはならない。一方,CRで
は附属書Dに示すGVを使用してもよい。
試験領域は,熱影響部を含む溶接継手とする。一般に,母材は,溶接線から両側約10 mmまで試験しな
ければならない。
デジタル画像の推奨撮影枚数は,附属書Aに示すが,ここでは円周突合せ溶接継手に対して許容できる
試験について規定している。

――――― [JIS Z 3110 pdf 28] ―――――

26
Z 3110 : 2017

7.9 デジタル処理

7.9.1  画像の走査及び読取り
選択した像質を得るためには,検出器又は読取装置の使用において,それぞれの製造業者が推奨する条
件に従う。デジタル画像は,処理,取扱い又はその他の原因によって解釈の障害となるようなアーチファ
クトが生じないようにする。
7.9.2 DDAの校正
DDAを使用する場合,その製造業者が推奨する検出器校正手順を適用する。検出器は,X線を照射しな
い未露光画像,及びX線を照射して得られる少なくとも1枚の均一な画像で校正する。複数枚の画像を用
いた校正は,SNRN及び線形性を高めるが,校正にはより多くの時間を要する。校正によってノイズを最小
限に抑えるためには,校正画像は,全て検査を実施する際のデジタル画像に使用する線量によって撮影す
る。その手順の記録を取る場合には,校正画像は,品質保証のための画像として取り扱う。校正は,定期
的に行い,露出条件が大幅に変更になる場合にも実施する。
7.9.3 不良画素の補償
不良画素とは,DDAにおける不良の検出素子である。
DDAを使用する場合,その製造業者のガイドラインに従い,検出器は不良画素を決定するためにマッピ
ングし,この不良画素マップは記録しなければならない。不良画素の補間は,DDAによるデジタル撮影で
は,不可欠の手順である。関心領域の中に連続した不良画素(CKP)のあるDDAは使用できない。
SRb検出器が表B.13又は表B.14に規定される値以下の検査には,不良画素をもたないDDA及びCRを適
用する。幾何学的拡大撮影技法を使用する場合には,SRb画像は,附属書Cに記載されているように測定画
像から決定する。この場合,複線形像質計は,試験体の上に直接置かなければならない(7.7参照)。この
SRb値は,表B.13又は表B.14に規定される値以下にしなければならない。検出器又は画像のSRb値が,表
B.13又は表B.14に規定される値を上回る場合,7.3.2に記載されるCP IIを適用してもよい。
きずの大きさがSRb画像に近い検査にDDA又はIPを使用する場合には,要求されるSNRNを高めなけれ
ばならない。検査は,契約当事者間の合意に基づいて実施しなければならない。SNRNを高く規定すること
で,不良画素の補間によって局所的に高まった不鮮鋭度が補償されることがある。
不良画素の評価は,定期的に実施しなければならない。
注記 CP IIと同様に,高いSNRNは,不良画素の補間によって局所的に高まった不鮮鋭度を補償する。
これは,CP IIIである。
7.9.4 画像処理
7.9.4.1 放射線検出器のデジタルデータは,SNR,SRb及びSNRNを求めるための線量に直接比例するよう
なGVlin表示で評価しなければならない。最適な画像表示のためには,コントラスト及び明るさは表示画像
を確認しながら調節できることが望ましい。画像を表示し評価するためのソフトウェアの中には,オプシ
ョンとしてフィルタ機能,プロファイル描画,SNR及びSNRNの計算機能が備わっていることが望ましい。
重要な画像解析を行う場合には,1:1(デジタル画像の1画素をモニタの1画素で表示)及び1:2(デジタ
ル画像の1画素をモニタの4画素で表示)のズーム倍率を用いて画像を解釈する。
7.9.4.2 原画像へ追加で適用した画像処理(例,画像表示改善のためのハイパスフィルタ)は記録を取り,
再現性を確保して,契約当事者間で合意しなければならない。
7.9.4.3 針金形透過度計,有孔形透過度計又は有孔階段形透過度計を評価するために追加的な画像処理
(例えば,ハイパスフィルタ)を実施する場合,溶接継手の評価及びIQI値の決定のいずれにおいても,
同一フィルタのパラメータを使用する。

――――― [JIS Z 3110 pdf 29] ―――――

                                                                                             27
Z 3110 : 2017

7.10 モニタの観察条件及びデジタル画像の保存

7.10.1 モニタの観察条件
デジタル画像は,暗所で観察する。モニタの設定は,適切な試験画像で確認する。
画像評価用モニタは,次の要件を満足しなければならない。
a) 輝度 ≧250 cd/m2
b) V ≧256階調(8 bit)
c) コントラスト比 ≧1 : 250
d) 画素数 ≧100万画素(画素ピッチ0.3 mm以下)
7.10.2 デジタル画像の保存
試験対象とする原画像は,検出システムで取り込まれた十分な解像度の状態で保存しなければならない。
保存に先立って,アーチファクトのない検出器画像を得るために,検出器の校正に関わる処理(例えば,
オフセット修正,検出器の均一化のためのゲイン校正及び不良画素の補間)だけが適用できる。
データは複数保存し,情報の欠損を生じない(ロスレス)圧縮だけを使用し,長期保存するために適切
なバックアップを取らなければならない。

8 試験報告書

  それぞれの撮影ごと又は一連の撮影において,使用したデジタル撮影に関わる技術情報及び結果を記載
する。より理解しやすくするため,その他の特別な条件も試験報告書に記載する。
試験報告書には,少なくとも次の事項を記載する。
a) 試験組織の名称
b) 試験体
c) 材質
d) 熱処理
e) 溶接継手の寸法
f) 材料の呼び厚さ
g) 溶接工程
h) 判定基準を含む試験仕様
i) デジタル撮影技法及び像質クラス,並びにこの規格が要求するIQI値
j) 7.1に規定する撮影配置
k) 拡大率
l) 使用したマーキング方法
m) 検出器の配置計画
n) 線源,焦点の種類及び寸法,並びに使用した機器の識別
o) 検出器,スクリーン,フィルタ及びSRb検出器
p) DAでは達成したSNRN及び要求されるSNRN,又はCRでは達成したGV及び要求されるGV,及び
/又はSNRN
q) Rの場合 : 読取装置の形式及びパラメータ(画素サイズ,走査速度,ゲイン,レーザ強度,レーザ
の焦点寸法など)
r) DAの場合 : 形式及びパラメータ(ゲイン,フレーム時間,フレーム数,画素サイズ,校正手順など)
s) 使用したX線管電圧及びX線管電流,又は線源の種類及び放射能強度(Bq)

――――― [JIS Z 3110 pdf 30] ―――――

次のページ PDF 31

JIS Z 3110:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17636-2:2013(MOD)

JIS Z 3110:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3110:2017の関連規格と引用規格一覧