JIS Z 8734:2021 音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定―残響室における精密測定方法 | ページ 3

           8
Z 8734 : 2021

5.4 暗騒音に関する基準

  残響室内で,対象周波数範囲(3.12参照)の1/3オクターブバンドごとに,固定マイクロホン又はマイ
クロホントラバースで測定した測定対象騒音源が作動している間の時間平均音圧レベルと暗騒音の時間平
均音圧レベルとの差ΔLpが20 dB以上の場合は,暗騒音の影響は無視することが可能である。
ΔLpが20 dBより小さい場合は,9.1.2によって暗騒音の補正を行う(図1参照)。
単発性の騒音の時間積分音圧レベルについても,同じ規定を適用する。その場合,暗騒音の時間積分音
圧レベルは,単発性の騒音の測定時間と同じ時間にわたって測定する(8.5.1参照)。暗騒音の補正は,9.2.3
による。
マイクロホントラバースによる測定では,それによって発生する騒音が暗騒音となるので,トラバース
装置を作動しながら暗騒音を測定する。
なお,ISO 3741:2010における試験室の暗騒音に関する規定を,附属書JAに参考として示す。この附属
書によった場合には,その旨を試験報告書(箇条12参照)に記載する。

5.5 大気の気温,湿度及び気圧

  マイクロホンを設置する範囲内の大気の気温及び相対湿度の変化は,表2に示す範囲内でなければなら
ない。
気圧の測定は,±1.5 kPaの誤差範囲で行う。
表2に示す限度は,一般的な測定では十分な条件である。ただし,特殊な装置類で,特に作動条件及び
騒音の放射が大気の条件によって変わるものについては,騒音試験規程で温度及び湿度の条件を規定して
もよい。その場合は,規定の条件で測定を行う。
表2−残響室における測定時の大気の気温及び相対湿度の許容変化範囲
気温tの変化範囲 相対湿度の範囲
℃ %
<30 % 30 %50 % >50 %
気温及び相対湿度の許容限界
−5≦t<10 ±1 ℃,±3 % ±1 ℃,±5 % ±3 ℃,±10 %
10≦t<20 ±1 ℃,±3 % ±3 ℃,±5 % ±3 ℃,±10 %
20≦t≦50 ±2 ℃,±3 % ±5 ℃,±5% ±5 ℃,±10 %

6 測定装置

6.1 一般事項

  音圧レベルの測定に用いる機器は,マイクロホン及びケーブルを含めてJIS C 1509-1のクラス1の要求
事項に適合するものを用いる。周波数分析に用いる機器は,JIS C 1513-1のクラス1の要求事項に適合す
るものを用いる。比較法(8.1,9.1.6及び9.2.6参照)を適用する場合には,JIS Z 8739:2021の要求事項に
適合する基準音源を用いる。

6.2 校正

  マイクロホンは,JIS C 1508に規定するランダム入射の条件で校正する。
測定に先立って,JIS C 1515のクラス1の要求事項に適合する音響校正器を用いて,一つ又はそれ以上
の周波数で音圧レベルの測定システム全体の感度を校正する。測定の後にも感度を点検し,調整をしない
で読み値の変化が0.5 dB以下であることを確認する。読み値の変化がこの値を超えている場合には,測定
データは破棄する。

――――― [JIS Z 8734 pdf 11] ―――――

                                                                                             9
Z 8734 : 2021
音響校正器のJIS C 1515の要求事項に対する適合性,音圧測定システムのJIS C 1509-1の要求事項に対
する適合性,周波数分析器のJIS C 1513-1の要求事項に対する適合性,及び基準音源を用いる場合にはJIS
Z 8739:2021の要求事項に対する適合性について,適切な標準に対してトレーサブルな校正を実施できる機
関で,定期的に検証する。
国が別の規定をしていない限り,音響校正器は1年を超えない期間で,基準音源は2年を超えない期間
で校正することを推奨する。また,JIS C 1509-1の要求事項に適合した測定システム,JIS C 1513-1の要
求事項に適合した周波数分析器については,2年を超えない期間で検証することが望ましい。

7 測定対象騒音源の特定,配置,据付け及び作動

7.1 一般事項

  音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルの測定の対象とする騒音源として,構成部品,組立部品,
補助装置,駆動源などの組合せを決めることが重要である。また,測定のために,騒音源をどのように据
え付け,作動させるかを決めることも重要で,これらの条件によって放射される音のパワー又はエネルギ
ーは大きく変化する。この箇条では,再現性のある測定を行うために,また,測定条件を明確にするため
に,測定における騒音源の据付け方法及び作動条件について規定する。
この規格では,騒音源の特定,据付け及び作動に関する一般的な規定を記載するが,特殊なタイプの測
定対象騒音源について,特に騒音試験規程で規定があれば,それによる。

7.2 補助装置

  測定対象騒音源に接続された電気配線,配管,空気ダクトなどが,残響室内に大きな音を出していない
ことを確認する。
可能な場合には,測定対象騒音源の作動に必要な全ての補助装置で本体の一部でないものは,残響室の
外に置く。それが不可能な場合には,それらから残響室内に放射する音を最小限にするように注意を払う。
移動することが不可能,又は発生音を小さくすることが不可能な補助装置などがあれば,それらも含めて
測定対象騒音源とする。

7.3 騒音源の配置

  測定対象騒音源を,残響室の中の1か所又はそれ以上の位置に,実際の使用における室境界との関係を
考慮して設置する。特定の位置が指定されていない場合には,壁から1.5 m以上離して設置する。8.4.2.4
又は附属書Dによって,設置位置を2か所又はそれ以上にする必要がある場合には,それぞれの位置の間
隔は,対象周波数範囲で最低の1/3オクターブバンド中心周波数の音の波長の1/2以上とする。残響室の
床が長方形の場合には,測定対象騒音源の位置が対称にならないようにする。
卓上形の装置で,テーブル又はスタンドの上に置くのが通常の使用の仕方である場合を除き,残響室の
床上で,壁から1.5 m以上離れた位置に設置する。テーブルの上に置くのが通常の装置の場合には,テー
ブル上の中央に設置し,騒音源とテーブルとを一体として測定対象騒音源とする。

7.4 騒音源の据付け

  多くの場合,測定対象騒音源が放射する音響パワー又は音響エネルギーは,騒音源の支持又は据付け条
件によって変化する。騒音源の据付け条件が決まっている場合には,それによるか,又はそれに近い条件
とする。
騒音試験規程に特に指定がない限り,騒音源となる機器の製造業者が指定又は推奨する据付け条件によ
る。特に据付け条件が指定されていない場合,指定されていても測定では不可能な場合,又は多様な据付
け方がある場合には,それによって騒音源からの音の放射が著しく変化することがないように注意する。

――――― [JIS Z 8734 pdf 12] ―――――

           10
Z 8734 : 2021
騒音源を載せる構造物からの音の放射が少なくなるような注意も必要である。
寸法が小さな騒音源では,それ自体からの低周波数の音の放射が小さくても,据付け方によっては騒音
源からの振動が大きな面に伝わって,低音域の音の放射が大きくなる場合もある。このような場合には,
支持面への振動の伝達を防ぐとともに,支持面から騒音源に対する反動を防ぐために,可能ならば測定対
象騒音源を弾性支持する。その場合,据え付けるベースが振動して音を放射しないように,硬くて十分に
大きな機械インピーダンスをもっている必要がある。ただし,このような弾性支持は,測定対象騒音源が
実際に弾性支持して用いられる場合に限る。
主要な駆動部分とそれによって作動する機械との結合条件が,測定対象騒音源からの音の放射に大きな
影響を与えることもある。このような場合には,フレキシブルに接続する方法をとるのがよいが,それら
の部分を弾性支持することも考える。
手持ち形の騒音源は,手で持って測定するか,何かで支持するとしても,それに振動が伝わって音が放
射されないように注意する。騒音源を作動するために何らかの支持が必要な場合には,支持器具は,測定
対象騒音源の一部とみなせるようになるべく小さくし,騒音試験規程がある場合には,その条件に合わせ
る。
壁際の床に設置する機械·装置類は,音響的に剛な壁面の前の剛な床上に設置する。壁面に設置する機
械·装置類は,音響的に剛な壁面に設置する。

7.5 測定中の騒音源の作動

  騒音源が放射する音響パワー又は音響エネルギーは,負荷,作動速度及び作動条件によって変化する。
可能な限り,騒音源の再現性が保たれ,代表的な使用状態で最も騒音の発生が大きい状態で測定する。騒
音試験規程がある場合にはその規定によるが,それがない場合には,次のa) g)の作動モードのうち,一
つ又はそれ以上を選んで,測定を行う。
a) 騒音源に特定の負荷及び条件を与えた場合
b) 騒音源に最大負荷を与えた場合[a)の条件と異なる場合]
c) 騒音源に負荷をかけない場合(アイドリングの状態)
d) 騒音源を決められた条件内で最高の運転速度にした場合
e) 騒音源を通常の使用状態で発生音が最大になるように作動した場合
f) 騒音源に決められた条件内で模擬的な負荷をかけた場合
g) 騒音源を決められた条件内で特定のサイクルで作動した場合
音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルの測定の前に,安定した温度の条件で駆動源及び伝達系を
動かし,騒音源を適正な作動条件に安定させておく必要がある。負荷,速度及び作動条件のいずれも,測
定中は一定に保つ,又は制御された方法で作動サイクルを変化させる。
加工する材料の種類及び切断道具の設計などの二次的な条件によって,音響パワー又は音響エネルギー
の放射が変化する場合には,その変化をなるべく小さくし,通常の使用条件を代表するように,これらの
条件を実際的な範囲で調整する。模擬的な負荷の条件とする場合には,測定対象騒音源の音響パワーレベ
ル又は音響エネルギーレベルが通常の使用状態を代表するように,条件を設定する。
速度制御が可能な冷却ファンを備えた電気装置,コンプレッサーを内蔵した空調機器などは,試験室内
の気温によって騒音の放射が変化する。騒音試験規程で特に指定がない場合には,この種の装置類につい
ては,作動に適切と思われる温度を±2 ℃の範囲に保って測定を行い,その旨を報告する。

――――― [JIS Z 8734 pdf 13] ―――――

                                                                                            11
Z 8734 : 2021

8 残響室内における測定

8.1 一般事項

  音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定には次の二つの方法があり,いずれかによる。
a) 直接法 残響室の等価吸音面積を用いる方法。
b) 比較法 音響パワーレベルが既知の基準音源を用いる方法。
二つの方法とも,中心周波数が100 Hz10 000 Hzの1/3オクターブバンドに適用が可能であるが,特に
必要な場合には,附属書Eに示す指針に従って,中心周波数が50 Hzの1/3オクターブバンドまで拡張し
てもよい(3.12参照)。

8.2 測定対象騒音源の最初の設置位置

  測定対象騒音源を,7.3によって選択した残響室内の最初の位置に設置する。

8.3 マイクロホン位置

  直接法及び比較法のいずれによる場合にも,測定対象騒音源とそれに最も近いマイクロホン位置との距
離dmin(m)は,対象周波数範囲の全ての周波数帯域にわたって,式(8)で計算される値以上とする。
V
dmin DT
1 (8)
60
ここに, D1=0.08
V : 残響室の容積(m3)
T60 : 残響時間(s)
近距離バイアス誤差を小さくし,マイクロホン位置が残響音場内にあることを確実にするために,5 000
Hz未満の周波数については,D1を0.16とすることを強く推奨する。
比較法を適用する場合には,測定対象騒音源とそれに最も近いマイクロホン位置との間の最短距離は,
式(8)によってもよいが,式(9)で求めてもよい。
0.05 LW (RSS) p(RSS)
dmin D210 (9)
ここに, D2=0.4
LW(RSS) : 基準音源の音響パワーレベルで,既知の値(dB)
Lp(RSS) : 残響室内で基準音源を作動したときの時間平均音圧レ
ベル(dB)
式(9)によってdminを決める場合,基準音源からの距離を十分にとって,直接音の影響が無視できる領域
でLp(RSS)を測定する。
近距離バイアス誤差を小さくし,マイクロホン位置が残響音場内にあることを確実にするために,5 000
Hz未満の周波数については,D2を0.8とすることを強く推奨する。
残響室及び試験条件の適性が附属書Dによって確かめられている場合には,適性試験の場合と同じ数の
マイクロホン及び同じマイクロホン位置,又は連続的なマイクロホントラバースによって時間平均音圧レ
ベルを測定する。
残響室が附属書Dの要求事項を満たしていない場合には,6点のマイクロホン位置を設定し,時間平均
音圧レベルの標準偏差を求めて評価する(8.4.2参照)。その場合の6点のマイクロホン位置は,どの室表
面からも1.0 m以上離れ,騒音源からdmin以上離れた位置とする。それぞれのマイクロホン位置の最小間
隔は,対象周波数範囲の最低の中心周波数の音の波長の1/2とする。標準偏差を求めるための測定以外の
測定では,連続的なマイクロホントラバースの方法を用いてもよい。
連続的なマイクロホントラバースによる場合には,次のa) e)の条件を満たさなければならない。

――――― [JIS Z 8734 pdf 14] ―――――

           12
Z 8734 : 2021
a) トラバース経路上のいかなる点も,騒音源からdmin以上離れるようにする。
b) トラバース経路上のいかなる点も,残響室の表面から1.0 m以上離れるようにする。
c) トラバース経路上のいかなる点も,拡散板の表面から0.5 m以上離れるようにする。
d) トラバース経路は,残響室の表面に対して10°以内の面を通るようにしてはならない。
e) トラバース経路は,直線,円弧又は円とし,その長さlは,最低周波数帯域の中心周波数の音の波長
の3倍又は10.3 mのうちの小さい方の値以上とする。
小さな残響室では,測定点が残響音場内に入ることを確実にするために,トラバース経路同士の最小間
隔を,1 mと最低周波数帯域の中心周波数の音の波長の1/2のいずれか短い方よりも長くすることができ
る場合には,トラバース経路の長さを,二つ以上に分割することを推奨する。

8.4 時間平均音圧レベルの測定

8.4.1 一般事項
直接法及び比較法のいずれによる場合にも,i番目(i=1,2·n)のマイクロホン位置又はマイクロホン
トラバースで,対象周波数範囲の1/3オクターブバンドごとに,測定対象騒音源による時間平均音圧レベ
ルL pi(ST)を,選択した作動モード(7.5参照)ごとに,適切な測定時間にわたって測定する。残響室が附属
書Dの要求事項を満たしている場合には,適性試験の場合と同じ数のマイクロホン及びマイクロホン位置,
又は連続的なマイクロホントラバースによって,時間平均音圧レベルを測定する。残響室が附属書Dの要
求事項を満たしていない場合には,8.3に記載したように6点の離散点を設定し,評価のための最初の測定
位置とする(8.4.2参照)。
測定対象騒音源の放射音又は暗騒音の各マイクロホン位置における音圧レベルが時間的に変動する場合
には,測定時間を長くする必要があり,その時間を試験報告書に記載する。中心周波数が160 Hz以下の
1/3オクターブバンドについては,測定時間は30秒以上とする。中心周波数が200 Hz以上の1/3オクター
ブバンドについては,測定時間は10秒以上とする。回転拡散翼を用いる場合には,測定時間は,その回転
周期の整数倍又は10回転以上の長さとする。マイクロホントラバースによる場合には,測定時間は,トラ
バースの2回分の長さ以上とする。
測定対象騒音源の時間平均音圧レベルの測定の直前又は直後に,対象周波数範囲の1/3オクターブバン
ドごとの暗騒音の時間平均音圧レベルLpi(B)を,各マイクロホン位置又はマイクロホントラバース経路で,
測定対象騒音源の測定と同じ時間にわたって測定する。
8.4.2 離散周波数成分の測定が保証されていない残響室における追加的評価(附属書D参照)
8.4.2.1 一般事項
離散周波数成分を含む騒音源の測定のための特性が,附属書Dに規定する試験方法によって適正である
と評価されている残響室については,8.4.2.28.4.2.5の手順は必要ない。
8.4.2.2 予備測定による標準偏差の計算
8.4.1によって最初に設定した6点のマイクロホン位置で測定した時間平均音圧レベルの標準偏差sMを,
式(10)によって1/3オクターブバンドごとに計算する。
NM(pre)
L'pm(pre)
L'pi(pre) 2
sM (10)
i 1 NM(pre)1
ここに, L pi(pre) : 騒音源が作動している間の,i番目のマイクロホン位置
における1/3オクターブバンド時間平均音圧レベル(dB)

――――― [JIS Z 8734 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS Z 8734:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3741:2010(MOD)

JIS Z 8734:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8734:2021の関連規格と引用規格一覧