JIS Z 8734:2021 音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定―残響室における精密測定方法

                                                                                            43
                                                                                   Z 8734 : 2021
                  表G.1−三つの異なるケースについて計算した全標準偏差       謀
      方法の再現性の標準偏差 : 刀                     運転及び据付け条件
               (dB)                  安定              不安定          極めて不安定
                                                     標準偏差 :          dB)
                                         0.5                2                  4
                                                    全標準偏差 :          dB)
                 0.5                    0.7                2.1               4.0
         (精度 : グレード1)
                 1.5                    1.6                2.5               4.3
         (精度 : グレード2)
                 3                      3.0                3.6               5.0
         (精度 : グレード3)
G.4     刀殕   する考察
G.4.1 一般事項
       刀湎    限値は,表5に示すとおりである。さらに,10.3では,個別の機械又は同種の機械群に関してよ
り実際的な    刀                         討を推奨している。これらの検討は,JIS Z 8402(規格群)に定義さ
れている再現性の条件で測定を行うか,又は更に詳細な情報が必要な式(32)に基づくいわゆるモデル化に
よる方法を用いて計算によって行う。
  ある不確かさの要素が特定の応用に関係がない,又は検討することが難しい場合には,ラウンドロビン
試験(10.3.2参照)及びモデル化による方法のために,騒音試験規程で限定した   刀鉛      するのがよい。
  不確かさのバジェットを用いる方法では,ci及びuiが統計的に独立していることと,測定パラメータ及
び環境条件,又は十分な経験的知識を考慮してこれらの不確かさの成分を評価するための数式の存在が必
要となる。この規格の発行時には,それらのデータが十分ではなかった。それでも,G.4.2G.6に示す情
報は,確定的ではないが,関係する量の概要を示すために有効である。
G.4.2 不確かさに対する寄与 :   刀
  気象条件について補正を行う場合,音響パワーレベルLWは,式(G.2)に示すように,多くのパラメータ
の関数である。
                                  A      A           Sc
     LW  method omc L'p(ST)
                           10log10   4.34  10log101       K1 C1 C2 6 slm H (G.2)
                                  A0     S           8Vf
                      ここに,    δmethod :  結果の導出及び関連する不確かさを含む測定方法に起因
                                            する不確かさに関する入力量(dB)
                                     δomc :  測定対象騒音源の運転及び据付け方に起因する不確かさ
                                            に関する入力量(dB)で,  刀       算には含まれていな
                                            い[式(29)参照]。
                                    '   : 
                                   Lp(ST) 測定対象騒音源による1/3オクターブバンドごとの時間
                                            平均音圧レベルを全ての音源位置について平均した値
                                            (dB)
                                       A :  残響室の等価吸音面積(m2)(3.10参照)で,次の式によ
                                            って計算する。
                                                55.26V
                                             A
                                                 cT60
                                             ただし,T60は1/3オクターブバンドごとの残響室の残響
                                             時間(s)(3.8参照)
                                A0=1 m2

――――― [JIS Z 8734 pdf 46] ―――――

           44
Z 8734 : 2021
                                       S : 残響室の室内総表面積(m2)
                                       V : 残響室の容積(m3)
                                          1/3オクターブバンドの中心周波数(Hz)
                                        f : 
                                       c : 測定時の残響室内の気温t(℃)における音速(m/s)で,
                                            次の式による。
                                            c 20.05273  t
                                      K1 :  暗騒音補正値(dB)(9.1.2参照)
                                      C1 :  基準音響パワーP0(1 pW)及び基準音圧p0(20 μPa)に
                                            おける空気の特性音響インピーダンスρ0c0(400 Ns/m3)
                                            と測定時の空気の特性音響インピーダンスρcとの違い
                                            を考慮した補正値(dB)で,次の式によって計算する。
                                                         ps      (273 t)
                                            C1   10log10   5log10
                                                        ps,0         0
                                      C2 :  ある気象条件で測定した音響パワーを,基準気象条件に
                                            おける値に換算するための音響放射インピーダンスに関
                                            する補正値(dB)で,適切な騒音試験規程から求める。
                                            それがない場合には,次の式によって計算する。この式
                                            は,モノポール音源を対象としているが,その他のタイ
                                            プの音源に対しても平均的な値を与える(参考文献[22]
                                            及び[30]参照)。
                                                         ps        (273 t)
                                            C2   10log10   15log10
                                                         ps,0         1
                                       ps :  測定時の残響室内の静圧(kPa)
                                      ps,0 :  基準静圧(101.325 kPa)
                                        t :  測定時の残響室内の気温(℃)
                                                 =314 K(9.1.5参照)
                                                =296 K
                                      δslm :  測定器の不確かさに関する入力量(dB)
                                       δH :  残響室内の相対湿度の変動に起因する不確かさに関する
                                             入力量(dB)
    注記1 式(G.2)と類似の式が,音響エネルギーレベルについても成り立つ。
    注記2 周波数帯域ごとにも,A特性周波数重み付けの値にも,式(G.2)の形の表現を適用することが
            可能である。
    注記3 式(G.2)に含まれている不確かさを表す諸量は,この規格の発行時の知見に基づくものである
            が,今後の検討によっては,他にも要因が見出されるかもしれない。
  入力量によって,確率分布(正規,一様,スチューデント-tなど)は異なる。その期待値(平均値)は
入力量の最適推定値で,その標準偏差が値のばらつきの程度を表す不確かさである。
  据付け方及び運転条件に関係する不確かさの要素はσomcに含まれており,その他の不確かさの要素はσR0
に含まれている。
                2
    R0      ii )
            (cu  (dB)の計算に必要な要素ci及びuiに関する期待値について,現時点の知見を,表G.2
          i
に示す。
  このσR0の計算では,個々の不確かさ寄与の間に相関はないと仮定している。
  幾つかの要素の寄与による標準不確かさについては,今後の検討が必要である。
  直接法による場合の不確かさを求めるのに必要な情報を表G.2に示し,G.4.3で説明する。比較法による
場合の不確かさについては,G.4.4に示す。

――――― [JIS Z 8734 pdf 47] ―――――

                                                                                            45
                                                                                   Z 8734 : 2021
G.4.3 直接法
G.4.3.1 一般事項
  表G.2に示す不確かさのパラメータの説明及び数値の例は,G.4.3.2G.4.3.12に示す。不確かさの計算式
は,測定不確かさの幅の予測を示す例とともに示す。
 表G.2−直接法によって比較的平たんな周波数スペクトルをもつ騒音源のA特性音響パワーレベルを測定
                          する際のσR0を決める不確かさのバジェットの例
          量            推定   標準不確かさa) : ui 確率分布          感度係数a) : ci
                          dB
 δmethod 方法           0            0.3          正規                 1
                                      uL'                                     1
  L'p(ST)
       時間平均音圧レ                 NN
                                        pi(ST)   
                                                                         110ΔLp /10
                         L'p(ST)                     正規
        ベルの平均値                    M S                                     1
                                                                              1
 K1    暗騒音補正値     K1          sLp(B)        正規                 ΔLp /10
                                                                          10    1
 V/S   残響室の容積の                                             240       4.3c
        室表面積に対す   0           uVS
                                         /           正規         Tc
                                                                     60  VS/     /
                                                                               8 fVSc
        る比
 V     残響室の容積     0            uV           正規                 4.3/V
                                             2
                                    2.42T60 sT                            4.3 240V
 T60   残響時間         0                          正規                   2
                                      f   Ndecay                        T60 TSc
                                                                               60
                                                                   8.7                  f
                                                                          0.570.25log(2.6)
                                                                                    10
 t     気温             0           t /3          一様
                                                                  273 t  10.0011H  0.007t
 ps    静圧             0           ps/3          一様                 8.7/ps
 δslm 騒音計           0            0.3          正規                1
                                                                                    f
                                                                       2.61.6log(0.7)
                                                                               10
 δH   相対湿度         0           H /3          一様
                                                                          10.5 H
 注a) 表中に示す量は,数値例として示す。
G.4.3.2 測定方法 : δmethod
  適用する測定方法に起因する不確かさumethodは,測定結果の導出及びそれに伴う不確かさを含んでいる。
バイアスを考慮しているとすれば,この不確かさは,実際の経験及びラウンドロビン試験によってだけ求
めることが可能である。モデル化の方法が洗練されるにつれて,この不確かさは0に近づく。しかし,知
識が十分でない不確かさの要素をモデル化することが難しい,又は実際的でない場合には,この不確かさ
の要素は測定の再現性σR0を決める唯一の要因となる。経験の浅い人が規格によって測定を実施する場合
は,後者の例である。
  100 Hzより高い周波数では,経験的には測定方法に起因する不確かさはumethod=0.3 dB程度とみなせる。
100 Hzより低い周波数では波長が長くなるので,有効なマイクロホン位置の数が少なくなり,残響室のモ
ードの数も少なくなる。それによって,100 Hz未満の周波数では,umethod=3 dBとなる。
  測定方法は,測定結果に直接影響するので,感度係数はcmethod=1である。
  100 Hzより高い周波数の測定では,不確かさ寄与は0.3 dBである。
G.4.3.3 音圧レベルの繰返し性 :  L'p(ST)

――――― [JIS Z 8734 pdf 48] ―――――

           46
Z 8734 : 2021
  測定の繰返し性の不確かさ uL'(ST) は,連続して行った測定の結果の値の近さであり,測定したレベル値
                             p
の標準偏差から,次の式で求められる。
                                uL'              NS NM L'pi(ST)      2
                                                                 L'pm(ST)
                                  pi(ST)    1                 j
                        uL'(ST)
                          p
                                 NNM S   NNM S  j 1 i 1  NNM S 1
  ここで,L pm(ST)は,測定対象騒音源が作動しているときの暗騒音の補正をしていない時間平均音圧レベ
ルの算術平均値(dB)である。
                                                           '
  感度係数 Lc'(ST) は,暗騒音レベルの影響を受ける。この量は, Lp(ST) に関するLWの偏導関数から求めら
            p
れる。G.4.3.4で示す cと同様の導出を行うことによって,繰返し性に関する感度係数は,次のようにな
                    K1
る。
                        Lc          1
                          '(ST)110ΔLp /10
                          p
                                          1
  これは,更に Lc'(ST) =1+ cと簡略化することが可能である。G.4.3.4で示す
                         K1                                         cと同じような極端な筋書
                                                                      K1
                p
             Lc
                  =1.1となる。8.4.2に規定した騒音源及びマイクロホン位置に関する条件を満たせば,
きを考えると,'(ST)
                p
最悪のケースで,不確かさ寄与は単一の周波数帯域で1 dB又はそれ以下となる可能性がある。A特性音圧
レベルについては,複数の周波数帯域の成分の和をとるので,不確かさ寄与は0.2 dB程度となる。残響時
間を長くする,拡散装置を用いて測定値のばらつきを小さくする,又は騒音源及びマイクロホン位置の数
を増やすことによって,不確かさ寄与を小さくすることが可能である。測定の繰返し性は,平均化時間の
影響を大きく受ける。平均化時間が十分な回数の機械の作動周期を含んでいないと,全不確かさは精密級
の測定の条件を満たさないであろう。騒音の発生が極めて小さい騒音源については,暗騒音を低くするこ
とによって感度係数を小さくし,全不確かさを小さくすることが可能である。この例では,不確かさ寄与
は0.2 dBと仮定している。
G.4.3.4 暗騒音補正値 : K1
  暗騒音補正値K1による不確かさ uは,一つのマイクロホン位置で繰り返して測定した暗騒音のレベル
                                K1
値の標準偏差 sLp(B) から求められる。
                                  Lp(B) に関するLWの偏導関数から求められる。式(13)式(16)から,
  暗騒音 Lp(B) による感度係数 cは,
                            K1
                          ΔLp /10
 Lp(ST)   L'p(ST)
             10log10110       と表される。ただし, Δp
                                                    L   L'p(ST)
                                                               Lp(B) である。
  この例では,感度係数の符合は重要ではなく,次のように簡略化することが可能である。
                                  1
                         cK1   ΔLp /10
                              10     1

――――― [JIS Z 8734 pdf 49] ―――――

                                                                                            47
                                                                                   Z 8734 : 2021
                        湘    には,更に簡略化されて,
                                           cK1 3.6/ΔLp 0.24 となる。極端な筋書きとして,暗騒音
の標準偏差が3 dBの状態で,騒音が低い騒音源を測定した場合について考える。この場合, L'p Lp(B) が
10 dB(9.1.2で,各周波数帯域で許される最小値)の最悪のケースを考えると,感度係数は cK1 0.11 とな
り,不確かさに対する全寄与は0.3 dBとなる。暗騒音を適切な方法で下げることができれば,この寄与は
0.03 dBにすることが可能である。暗騒音の変動を小さくすることができれば,この不確かさの成分は小さ
くなる。感度係数を小さくする効果的な方法としては,暗騒音の原因を探し出し,それからの音を遮蔽す
るか吸収すればよく,具体的には,しっかりと設置する,鉛で包む,振動を遮断する,質量を付加する,
吸音材を付加するなどの方法を適宜とればよい。さらに,不確かさ uは,平均化時間を4倍にするごと
                                                             K1
に半分にすることが可能である。
G.4.3.5 残響室の総表面積に対する残響室の容積の比 : V/S
  残響室の総表面積に対する残響室の容積の比は,相関のある二つの量の比である。直方体の残響室を考
えると,残響室の縦·横·高さの寸法lx,ly及びlzに関する不確かさ          それらの寸法の1 %以下であろ
う。V/Sに関する不確かさは, uVS
                              /    lVS 2
                                  2(/)      lx 4 ly 4lz 4/3 (V/Sの約0.4 %)となる。
  感度係数 cVS
            / は,式(G.2)で表される音響パワーレベルLWのV/Sに関する偏導関数から,次のように求め
られる。
                              240       4.3c
                        cVS
                          /
                              Tc
                               60  VS
                                   (/)(8    /
                                           fVSc  )
  感度係数は,低い周波数で大きくなる。200 HzでT60=1 s,V/S 0.66であるような小さな室を考えると,
200 Hzで感度係数は−0.9,V/Sの不確かさは0.4 %で,全不確かさは−0.003 dBとなる。感度係数は,8 000
Hzで0.7まで大きくなり,それぞれの周波数帯域における不確かさは相関関係にあるので,A特性音圧レ
ベルの不確かさは,騒音源のスペクトル形状に依存する。A特性音圧レベルの代表的な値としては,0.002
dBである。
G.4.3.6 残響室の容積 : V
  残響室の容積を見積もる際の不確かさをuVとする。直方体の残響室を考えると,残響室の縦·横·高さ
の寸法lx,ly及びlzに関する不確かさ          それらの寸法の1 %以下で,確率分布として一様分布を考える
と,標準偏差は l /3 となる。残響室の容積の標準不確かさは,uV   lVlx 2   ly 2lz 2/3 (残響室の
容積の約1 %)となる。
  V/Sの項は別に考慮するとしてこれを無視し,式(G.2)でLWの残りの項についてVに関する偏導関数を求
めると,感度係数cVは,次の式となる。
                        Vc
                            4.3/V
  残響室の容積に関する不確かさを1 %とすると,合成不確かさは0.04 dBとなる。直方体でない残響室の
場合には,不確かさを小さく保つために,十分注意して残響室の容積を測定する必要がある。
G.4.3.7 残響時間 : T60
  残響室の残響時間の測定に関する不確かさuTは,残響時間T60の減衰測定の標準偏差sT及びISO

――――― [JIS Z 8734 pdf 50] ―――――

           48
Z 8734 : 2021
354:2003[1]の式(10)から,次の式で表される。
                              2.42T60 sT2
                        uT
                                 f   Ndecays
                      ここに,     Ndecays :  残響減衰の測定回数(代表的な例として,Ndecays=120)
                                        f :  1/3オクターブバンド中心周波数
  残響時間の感度係数cTは,残響時間に関するLW[式(18)]の偏導関数から,次のように表すことが可能
である(残響室の等価吸音面積Aを含む項については,Aに残響時間を代入して偏導関数を求める。)。
                              4.3 240V
                        cT         2
                             T60 TSc
                                   60
  最悪のケースの例として,騒音源が500 Hzで卓越した音を放射しているとする。残響時間を1 sとし,
500 Hzにおける残響時間の標準偏差をsT=0.2と仮定すると,感度係数は−5 dB/sとなり,最悪の不確か
さ寄与はuTcT=1 dBとなる。更に長いT60ではuTcT=0.05 dBとなり,A特性音圧レベルには多くの周波数
帯域が寄与する。不確かさ寄与は,T60を大きくする,残響減衰の測定のばらつきを小さくする,又は残響
減衰の測定回数を多くすることによって小さくすることが可能である。
G.4.3.8 気温 : t
  気温の変化による不確かさutは,気温t(℃)が±Δtの範囲で変化(一様分布)したとすると,次のと
おりとなる
                        tu
                             t
                            Δ/3
  気温に関する感度係数ctは,気温に関するLW[式(18)]の偏導関数に対するおおよその曲線当てはめか
ら,次の式で求められる。C1及びC2の項は,気温に関して微分している。残響室の等価吸音面積Aを含
む項に関しては,A=αSとしてαに関して偏導関数をとる。必要とされる∂α/∂tは,JIS Z 8738(対応国際
規格 : ISO 9613-1[15])から見積もられている。壁による反射のたびの音圧振幅の吸収aについては,残響
室の吸音aroom,1 m当たりの空気の音響吸収adBm及びセービンの式に基づく平均自由行程4 V/S(残響室の
容積70 m3<V<200 m3で,約3.3 m)から見積もっている。
                            8.7      V          1         adBm  8.7   0.570.25log(2.6)
                                                                                       10  f
                       ct        17.4 1
                           273 t     S   aroom4(/)
                                                 VSadBm      t   273 t  10.001 1H  0.007 t
                      ここに,        H :  相対湿度(%)
                                        f :  A特性音圧レベルに対して最も寄与が大きい成分の周波
                                             数
                                        t :  温度(℃)
  表2に示した温度及び湿度の限度は,10 000 Hzでこの不確かさ寄与ut ctの最大値を1.0 dB以下に抑え
るように設定されている。騒音源が放射する音は,ほとんど1 000 Hz以下であると仮定すれば,表2の限
度以内であれば,最悪のケースでも0.5 dBである。これは,上の式による値に近い。一般的に,残響室内
の気温に影響を与えないような騒音源であれば,不確かさは0.05 dB以下に抑えられる。気温を適切に制
御する,気温が平衡状態を保つようにする,又は測定時間を短くするなどによって,不確かさを小さくす
ることが可能である。一般に,高音多湿の条件では,気温の1 ℃当たりの感度係数の変化は小さい。
G.4.3.9 静圧 : ps
  静圧psがΔps=±4 kPaの範囲で変化(一様分布)したとすると,静圧の変化による不確かさ uは,次
                                                                                      ps
のとおりである。

――――― [JIS Z 8734 pdf 51] ―――――

                                                                                            49
                                                                                   Z 8734 : 2021
                        ups Δps /3
  静圧による感度係数 cは,静圧psに関するLW[式(18)]の偏導関数から求められる。C1及びC2の項は,
                     sp
静圧に関して微分している。
                              8.7
                        cps
                              ps
  この不確かさ寄与は一般に小さく, uc
                                   ps ps 0.05 dBである。しかし,静圧は運転条件の再現性に関する
不確かさuomcに影響することがある。
G.4.3.10 騒音計 :       
  音響パワー測定に関して,クラス1の測定器の不確かさuslmは,0.3 dBである[28]。この数値は,国立研
究機関における経験とも一致している。
  騒音計の不確かさは,測定結果に直接影響するので,感度係数はcslm=1であり,不確かさ寄与は0.3 dB
である。騒音計の不確かさに関するその他の詳細な情報は,JIS C 1509-1に示されている。感度係数cslm
を小さくするためには比較法を用いればよいが,その場合には,基準音源の不確かさが問題となる。
G.4.3.11 相対湿度 : 
  相対湿度Hが±             囲で変化(一様分布)したとすると,相対湿度の変化による不確かさuHは,次
の式となる。
                        uH  ΔH /3
  相対湿度による感度係数cHは,ctの場合と同様に,相対湿度に関するLW[式(18)]の偏導関数に対する
おおよその曲線当てはめから,次の式で求められる。
                              2.61.6log(0.7)
                                       10  f
                        cH                     H>10 %の場合
                                  10.5H
  ただし,fはA特性音圧レベルに対する寄与が最も大きい成分の周波数である。
  表2に示した温度及び湿度の限度は,10 000 Hzでこの不確かさ寄与uH cHの最大値を1.0 dB以下に抑え
るように設定されている。騒音源が放射する音は,ほとんど1 000 Hz以下であると仮定すれば,表2の限
度内であれば,最悪のケースでも0.5 dBである。これは,上記の式による値に近い。一般的に,不確かさ
は0.05 dB以下に抑えられる。相対湿度を適切に制御する,相対湿度が平衡状態を保つようにする,又は
測定時間を短くするなどによって,不確かさを小さくすることが可能である。一般に,湿度が高ければ,
相対湿度の変化による感度係数cHの変化は小さい。
G.4.3.12 σR0の代表的な値
  それぞれの事項の代表的な値を用いると,式(G.2)に基づくσR0は,次のとおりとなる。
                    2
        R0     (uc
                 ii )   0.32 0.22 0.032 0.0022 0.042 0.052 0.052 0.052 0.32 0.05 2 0.5 (dB)
              i
G.4.4 比較法
  比較法による場合の不確かさのバジェットは,直接法による不確かさのバジェットを測定対象騒音源に
適用した結果σR0(ST)及び基準音源に適用した結果u(LW(RSS))から得ることが可能で,次の式で表される。
                          R0   ( W (RSS) ) 2
                               uL        (    )2
                                            R0(ST)

――――― [JIS Z 8734 pdf 52] ―――――

           50
Z 8734 : 2021
  多くの場合,測定対象騒音源と基準音源との不確かさは同じであり,直接法におけるそれぞれのパラメ
ータが約40 %大きくなる。一方,比較法による場合は,a) 残響時間T60を用いない,b) サンプリングに
関する誤差     ,騒音計に関する誤差δslm及び測定方法に関する誤差δmethodは,相殺される。
            L'(ST)
             p
  比較法では,残響時間T60,残響室の容積V及び室表面積Sは計算に入らないので,それらによる不確
かさは,測定対象騒音源と基準音源との両方について,0としてよい。
  基準音源と測定対象騒音源との測定で,マイクロホン位置及び音源位置を同じにすれば,幾つかの不確
かさの要素が相殺される。サンプリングによる不確かさを比較法によって小さくすることができるとすれ
ば,基準音源と測定対象騒音源との両方について,感度係数は半分,すなわち Lc'(ST)0.5 となる。最悪の
                                                                        p
ケースは,騒音源が狭帯域騒音を放射している場合である。直接法における例と同じように,8.4.2に示し
た騒音源及びマイクロホン位置の数に関する要求事項を満たしていれば, Lc'(ST)0.5 で,最悪のケースの
                                                                    p
不確かさ寄与は0.5 dBとなる。一般的には,0.1 dBである。
  同じ騒音計を用いて,短時間のうちに測定を繰り返した場合,校正,指向性,周波数重み付け及び気温·
静圧·湿度に関する系統誤差は相殺される。測定対象騒音源及び基準音源に関する不確かさは,別々に計
算して加算するので,合成不確かさをuslm以下にするために感度係数を小さくする必要がある。cslm=0.5
とすると,不確かさ寄与は0.15 dBとなる。同様に,測定方法に関する不確かさをcmethod=0.5とすれば,
不確かさ寄与は0.15 dBとなる。
  測定対象騒音源に関しては,不確かさ寄与は残響時間,サンプリング及び騒音計に関する不確かさ寄与
を除いて直接法と同じである。この最悪の筋書きにおける測定対象騒音源に関する不確かさ寄与σR0(ST)は,
次のとおりとなる。
                           2
            R0(ST)    (uc
                         ii ) 0.152 0.12 0.032 02 02 02 0.052 0.052 0.152 0.052 0.25 (dB)
                     i
  基準音源に関しては,不確かさ寄与は測定対象騒音源と同様であるが,それ以外に,校正,音源の作動
及び据付け条件に関する不確かさの要因による不確かさ寄与が加わる。一般的に,製造業者が推奨する補
                                                                                       cL'
正を行えば,σomc(RSS)=0.5 dBである。マイクロホン及び音源位置の数による不確かさは, uL'    =
                                                                                   p(RSS)   p(RSS)
0.03 dBとする。最悪の場合でも,基準音源からの音は暗騒音より十分に大きいので,uc
                                                                             K1 K1 0.0 dBとな
る。この筋書きでは,基準音源の不確かさに対する寄与 uLW(RSS)        次の式となる。
                                         2         2
                     uLW(RSS)        ii )
                                    (uc     omc(RSS)
                                  i
                         0.152 0.032 0.02 02 02 02 0.052 0.052 0.152 0.052 0.52 0.55 (dB)
  この筋書きでは,比較法による予想される不確かさは,次の式となる。
                                        2        2
                          R0  uLW (RSS)   R0(ST)  0.61 (dB)

――――― [JIS Z 8734 pdf 53] ―――――

                                                                                            51
                                                                                   Z 8734 : 2021
G.5  合成標準不確かさ
  入力量の間の相関が無視できる場合には,音響パワーレベルの算出における合成標準不確かさu(LW)は,
式(G.3)で表される。
                                       2   2           2  2
                         ( W)
                        uL      tot  R0  omc      ii )
                                                     (cu    omc (G.3)
                                                   i
G.6  再現性データに基づく測定不確かさ
  不確かさの寄与及び入力量間の起こり得る相関に関するデータが得られない場合には,箇条10に規定さ
れている再現性の標準偏差の値を,音響パワーレベルの算出における合成標準不確かさの推定値u(LW)と
みなしてもよい。その場合には,包含係数としてある値kを選べば,積k                 替  設定した包含確率
の条件における拡張測定不確かさUを見積もることが可能である。慣例として,通常は,95 %の包含確率
が選ばれ,正規分布を仮定すれば,両側包含係数は2となる。誤解を避けるために,拡張測定不確かさと
ともに包含確率も試験報告書の中に記載するのがよい。

――――― [JIS Z 8734 pdf 54] ―――――

           52
Z 8734 : 2021
                                         附属書JA
                                          (参考)
              ISO 3741:2010における残響室の暗騒音に関する記載
JA.1 一般事項
  ISO 3741:2010では,残響室の暗騒音に関して,次の規定を設けている。
  なお,括弧内の箇条番号は,ISO 3741:2010における箇条番号である。
JA.2 暗騒音に関する基準(5.4)
JA.2.1 暗騒音の相対的基準(5.4.1)
JA.2.1.1 一般事項(5.4.1.1)
  全てのマイクロホン位置又はトラバース経路にわたって平均した測定対象騒音源の時間平均音圧レベル
(暗騒音が存在する条件における値)と暗騒音の時間平均音圧レベルとの差ΔLpは,全ての周波数帯域に
わたって,次による。
a) 中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで,6 dB以上
b) 中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドで,10 dB以上
  これらの条件が成り立てば,この規格の暗騒音に関する基準は満たされている。
    注記1 単発性の騒音の時間積分音圧レベルについても,同じ基準を適用する。その場合,暗騒音の
            時間積分音圧レベルの測定時間は,単発性の騒音の測定時間と同じとする。
    注記2 マイクロホンのトラバース装置を用いる場合には,それによって発生する騒音は,暗騒音の
            一部となる。
JA.2.1.2 周波数帯域ごとの測定(5.4.1.2)
  残響室内の暗騒音が極めて低く,よく制御されていても,JA.2.1.1に規定した要求事項を,全ての周波
数帯域にわたって満たすことができないこともある。このような場合,ある周波数帯域の暗騒音補正をし
た測定対象騒音源のA特性周波数重み付けをした音響パワーレベル又は音響エネルギーレベル(附属書F
参照)が,最大のA特性周波数重み付けをした音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルとなっている
周波数帯域の値に対して15 dB以上低い場合,その周波数帯域は,対象周波数範囲から除外してもよい。
JA.2.1.3 A特性周波数重み付け測定(5.4.1.3)
  A特性音響パワーレベル又はA特性音響エネルギーレベルを測定し,報告する場合には,それらの結果
が,この規格の暗騒音に関する基準を満たして求められたかどうかについて,次の検討を行う。
a)   特性音響パワーレベル又はA特性音響エネルギーレベルを,測定対象周波数範囲の全ての周波数帯
    域のデータから計算する。
b) 次に,中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドでΔLp<6 dBとなっている
    周波数帯域,及び中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドでΔLp<10 dBとなっている
    周波数帯域のデータを除いて,a)の計算を繰り返す。
  これらのレベルの差が0.5 dB未満であれば,全ての周波数帯域のデータから計算したA特性音響パワー
レベル又はA特性音響エネルギーレベルは,この規格の暗騒音に関する基準を満たして求められたとして
よい。
JA.2.2 暗騒音の絶対値による基準(5.4.2)

――――― [JIS Z 8734 pdf 55] ―――――

                                                                                            53
                                                                                   Z 8734 : 2021
  残響室内の暗騒音のレベルが,対象周波数帯域全体にわたって,表JA.1に示す値以下であれば,6 dB
及び10 dBの要求事項を全ての周波数帯域について満たしていなくても,この規格の暗騒音に関する要求
事項を満たしているとして測定を行ってよい。そのような場合,6 dB及び10 dBの要求事項を満たさない
周波数帯域では,音源の放射音が低い,又は測定不可能なレベルであると考えることができ,報告するデ
ータは,これらの周波数帯域で音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルの上限を示していると考えて
よい。
  測定対象騒音源による音圧レベルが,表JA.1に示す値以下となっている周波数帯域がある場合には,測
定値が表JA.1に示す値を超えている連続した周波数帯域の最低周波数から最高周波数までの間に,対象周
波数範囲を限定してもよい。そのような場合には,対象とする周波数帯域の範囲を報告しなければならな
い。
                   表JA.1−残響室内の暗騒音の最大値に関する絶対値による基準
                 1/3オクターブバンド中心周波数 各周波数帯域における最大音圧レベル
                             Hz                              dB
                              50                             42
                              63                             39
                              80                             36
                             100                             33
                             125                             30
                             160                             27
                             200                             24
                             250                             21
                             315                             18
                             400                             15
                             500                             12
                             630                             11
                             800                             11
                            1 000                            10
                            1 250                            10
                            1 600                            10
                            2 000                            10
                            2 500                            10
                            3 150                            10
                            4 000                            10
                            5 000                            10
                            6 300                            10
                            8 000                            10
                            10 000                           10
JA.2.3 暗騒音の基準を満たさない場合の記載(5.4.3)
  JA.2.1で規定した相対値による基準及びJA.2.2で規定した絶対値による基準のいずれも満足しない場合
には,この規格の暗騒音に関する要求事項を満たしていない旨を試験報告書に明記し,基準を満たさない
周波数帯域を示す。さらに,測定がISO 3741:2010に“完全に適合して”行われたと記載又は暗示しては
ならない。

――――― [JIS Z 8734 pdf 56] ―――――

           54
Z 8734 : 2021
JA.3 音響パワーレベルの算出における暗騒音の補正(9.1.2)
  測定対象騒音源が作動している間に,i番目のマイクロホン位置又はi番目のマイクロホントラバースで
測定した時間平均音圧レベルに対する1/3オクターブバンドごとの暗騒音補正値K1iを,式(JA.1)によって
計算する。
                                          0.1 Lpi
                         K1i 10log10110         (JA.1)
                      ここに,   Lpi       Lpi(B)
                                      L'pi(ST)
                            ただし,    L  pi(ST) :  騒音源の作動中に,i番目のマイクロホン又はi
                                                   番目のマイクロホントラバースで測定した1/3オ
                                                   クターブバンド時間平均音圧レベルを,全ての音
                                                   源位置について平均した値(暗騒音補正なし,dB)
                                           Lpi(B) :  i番目のマイクロホン又はi番目のマイクロホント
                                                   ラバースで測定した暗騒音(B)の1/3オクター
                                                   ブバンド時間平均音圧レベル(dB)
         椢最             湘    には,K1iは0 dBとする。
  中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで,6 dB≦     槿    15 dBの場合には,
式(JA.1)によってK1iを計算する。
  中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドで,10 dB≦       槿    15 dBの場合には,式(JA.1)に
よってK1iを計算する。
  中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドの一つ又はそれ以上の帯域で,      
<6 dBの場合には,K1iは1.26 dB(     槿   6 dBの場合の値)とする。中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3
オクターブバンドの一つ又はそれ以上の帯域で,   槿   10 dBの場合には,K1iは0.46 dB(     槿   10 dBの場
合の値)とする。いずれの場合にも,試験報告書に図及び表で明記し,それらの周波数帯域で測定対象騒
音源の音響パワーレベルの上限値であることを示す。
JA.4 音響エネルギーレベルの算出における暗騒音の補正(9.2.2)
  測定対象騒音源が作動している間に,i番目のマイクロホン位置で測定した時間積分音圧レベルに対す
る1/3オクターブバンドごとの暗騒音補正値K1iを,式(JA.2)によって計算する。
                                            ,,/10
                                           LETi
                         K1i 10log(110
                                   10         ) (JA.2)
                      ここに,   LETi
                                    ,, L'ETi  LETi
                                           ,,(ST) ,,(B)
                            ただし,   L E,T,i(ST) :  騒音源の作動中に,i番目のマイクロホンで測定
                                                   した1/3オクターブバンド時間積分音圧レベル
                                                   (dB)
                                         LE,T,i(B) :  i番目のマイクロホンで測定した暗騒音の1/3オ
                                                   クターブバンド時間積分音圧レベル(dB)
             T,i≧15 dBの場合には,K1iは0 dBとする。
  中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで,6 dB≦        T,i<15 dBの場合には,
式(JA.2)によってK1iを計算する。
  中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドで,10 dB≦           T,i<15 dBの場合には,式(JA.2)
によってK1iを計算する。
  中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで,           T,i<6 dBの場合には,K1i

――――― [JIS Z 8734 pdf 57] ―――――

                                                                                            55
                                                                                   Z 8734 : 2021
は1.26 dB(          T,i=6 dBの場合の値)とする。中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドの
一つ又はそれ以上の帯域で,         T,i<10 dBの場合には,K1iは0.46 dB(      T,i=10 dBの場合の値)とする。
いずれの場合にも,試験報告書に図及び表で明記し,それらの周波数帯域で測定対象騒音源の音響エネル
ギーレベルの上限値であることを示す。

――――― [JIS Z 8734 pdf 58] ―――――

           56
Z 8734 : 2021
                                         附属書JB
                                          (参考)
 残響室を用いる音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定の原理
                                    並びに各種の補正
JB.1 一般事項
  この規格による音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定は,残響室内の残響音場を利用する
方法に基づいており,直接法及び比較法の二つの方法を規定している。この附属書では,これらの測定法
の原理と,直接法による音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの算出式に含まれている四つの補正
項の意味及び導出を示す。
JB.2 音響パワーレベルの測定原理
  残響室の内部で音響エネルギー密度が一定という拡散音場の仮定に基づけば,残響室内に置いた音源が
放射する音響パワーと室境界で吸収される音響パワーとのつり合いから,式(JB.1)が成り立つ。
                            cA
                         P   e (JB.1)
                             4
                      ここに,        P :  音源の音響パワー(W)(3.15参照)
                                       c :  音速(m/s)
                                       A :  残響室の等価吸音面積(m2)(3.10参照)
                                       e :  残響室内の平均音響エネルギー密度(J/m3)
                                                                        2              2   2
  拡散音場では,平均音響エネルギー密度eと音圧の実効値の2乗の空間平均値 pとの間に,
                                                                        eff       e  peff/c
(ただし,ρは空気の密度,cは音速)の関係があるので,式(JB.1)は式(JB.2)となる。
                             A  2
                         P     peff (JB.2)
                            4 c
  ここで,レベル表示における基準値として規定されている基準音響パワーP0(1 pW)と基準音圧p0(20
μPa)との間には,式(JB.3)の関係がある。
                             A0  2
                         P0    p0  (JB.3)
                              c
                             00
                      ここに,       A0 :  基準等価吸音面積(1 m2)
                                     ρ0c0 :  基準の特性音響インピーダンス(400 Ns/m3)
  この関係を用いて式(JB.2)をレベル表示すると,式(JB.4)のとおり,音源の音響パワーレベルLW(dB)の
算出の基本式が得られる(3.3及び3.16参照)。
                                       A             c
                                                      00
                         LW Lp 10log10  610log10      (JB.4)
                                       A0            c
                      ここに,        p 残響室内の時間平均音圧レベルの空間平均値(dB)
                                      L : 
JB.3 音響エネルギーレベルの測定原理
  単発性の音を放射する音源については,音響パワーの概念は適用することは不可能で,音響エネルギー
を測定する必要がある。

――――― [JIS Z 8734 pdf 59] ―――――

                                                                                            57
                                                                                   Z 8734 : 2021
  単発性の音を放射する音源を,拡散音場の仮定が成り立つ残響室内に置いた場合,式(JB.5)が成り立つ。
                                d()
                                 et  cA           t             cA t
                          ()
                         Pt  V        et
                                         () 又は, P()   d瓰 Vet()    e()   d瓰 (JB.5)
                                 dt   4           0              4 0
                      ここに,      P(t) :  音源の音響パワーの瞬時値(W/s)
                                      () 残響室内の音響エネルギー密度の瞬時値の空間平均値
                                     et : 
                                            (J/m3/s)
                                       V :  残響室の容積(m3)
  式(JB.5)で,t=∞(実際には,単発性の音が十分に減衰するまでの時間)とすると,音源が放射する音響
エネルギーJ(J)は,式(JB.6)で表される。
                                      cA
                         J    ()   d
                              Ptt          ()   d
                                           ett   (JB.6)
                             0        4 0
                                                                                           2()
                                                      etと音圧の瞬時値の2乗の空間平均値 pt
  拡散音場では,音響エネルギー密度の瞬時値の空間平均値()
               2     2
との間に et
         ()  pt()/ c の関係があるので,式(JB.6)は式(JB.7)となる。
                             A    2       A
                         J         ()   d
                                  ptt         ET (JB.7)
                            4 c 0        4 c
                                      t2
                                         2()   d
                      ここに,  ET    ptt   :  音圧暴露量(Pa2s)
                                      t1
  ここで,レベル表示における基準値として規定されている基準音響エネルギーJ0(1 pJ)と基準音圧暴露
量E0[(20 μPa)2s=4×10−10 Pa2s]との間には,式(JB.8)の関係がある。
                              A0
                         J0     E0  (JB.8)
                               c
                              00
  この関係を用いて式(JB.7)をレベル表示すると,式(JB.9)のとおり,音源の音響エネルギーレベルLJ(dB)
の算出の基本式が得られる(3.4及び3.18参照)。
                                        A             c
                                                       00
                         LJ LET
                               , 10log10  610log10      (JB.9)
                                        A0            c
                      ここに,      LET
                                       ,
                                          :  残響室内の時間積分音圧レベル(本体の3.4参照)の空
                                             間平均値(dB)
JB.4 気象条件に関する補正(直接法)
JB.4.1 一般事項
  この規格の直接法による音響パワーレベルLWの算出式[本体の式(18)]及び音響エネルギーレベルLJ
の算出式[本体の式(26)]には,気象条件に関する二つの補正項(C1及びC2)が含まれている。これらの
補正項の意味と導出は,次のとおりである。
JB.4.2 補正項C1
  式(JB.4)及び式(JB.9)の右辺の第4項は,空気の特性音響インピーダンスに関する補正を意味している。
この項を,空気の状態方程式ps=ρRθ[ここで,ps : 静圧(Pa),ρ : 空気の密度(kg/m3),R : 気体定数(287.1
m2/s2/K),θ : 温度(K)]及び音速の式cR [ここで,κ : 比熱比(1.4)]を用いて変形すると,式(JB.10)
のとおり,補正項C1(dB)が得られる。

――――― [JIS Z 8734 pdf 60] ―――――

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  • ISO 3741:2010(MOD)

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金属材料の試験,非鉄金属材料の試験・検査,原材料,伸銅品,アルミニウム及びアルミニウム合金の展伸材,

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