JIS A 1906:2015 小形チャンバー法による室内空気汚染濃度低減材の低減性能試験法―一定揮発性有機化合物(VOC),及びホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物濃度供給法による吸着速度測定 | ページ 2

4
A 1906 : 2015
− オーブン
− 分析装置
6.2 チャンバー この規格のチャンバーに適用する一般仕様及び要求事項は,JIS A 1901による。チャ
ンバーのシステムの概念図を,図1に示す。出口空気と入口空気とを循環してはならない。
図1−チャンバーの概念図
6.3 試験片のシール材 試験片の表面からだけ吸着,分解される化学物質を測定する場合,端部及び裏
面をアルミニウムはくなどでシールする。
6.4 空気清浄装置 対象化学物質を含有する試験空気を調整する前の空気は,できる限り清浄な空気を
用いる。バックグラウンド濃度の上昇を防ぐための空気清浄装置を備えるか又は清浄なボンベ空気を使用
する。
6.5 試験空気供給装置 チャンバーに供給する対象化学物質を含有する空気は,標準ガス,ガス発生装
置などを用いて安定した濃度で発生させることが望ましい。標準ガスがない場合は,同等のものを用いる。
複数の対象化学物質をもつガスを用いてもよい。その場合,7.3.4に規定する干渉のおそれがあることを考
慮する。
6.6 温度・湿度制御装置 温度の制御は,チャンバーを必要温度に制御した恒温槽などの試験場所に置
く方法,又はチャンバー内を必要温度に維持する方法のいずれかによる。通常,相対湿度の制御は,供給
空気を必要湿度に維持する方法とし,温度及び相対湿度は,温度・湿度制御システムとは独立して,連続
的にモニタリングする。
なお,チャンバー内に結露を生じさせたり,水を噴霧させたりしないように注意しなければならない。
6.7 積算流量計 チャンバー出口に積算流量計を設置し,チャンバー内の正確な換気量を測定する。積
算流量計と同等以上の性能をもつ装置を用いてもよい。
6.8 空気捕集装置 空気捕集は,チャンバーの入口の供給空気及び出口の排気を用いる。空気捕集用分
岐管を用いる場合は,チャンバー入口及び出口から直接捕集する。ダクト及びチューブを介して捕集する
場合は,その間をできる限り短くし,チャンバーと同じ温度に保つ。
なお,ダクト及びチューブの材質は,ポリテトラフルオロエチレン素材など,吸着が非常に少ないもの
を用いる。
空気捕集時の空気流量がチャンバーの換気量よりも小さい場合は,分岐管などを用いて空気捕集中の換

――――― [JIS A 1906 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
A 1906 : 2015
気量を一定に保つ。チャンバーからの排気は,試験場所から確実に排除する。空気捕集を二重に行うため
に,空気捕集用分岐管を使用することもできる。
6.9 オーブン チャンバー内に付着したVOC,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物を揮発させ
るために,オーブンを使用する。
6.10 分析装置 VOCの分析には,水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC/FID),又は質量
分析計付きガスクロマトグラフ(GC/MS)を使用する。カルボニル化合物の分析には,高速液体クロマト
グラフ(HPLC)を使用する。
分析装置は,VOCの分析には,JIS A 1966の箇条6(装置)又はJIS K 0123の5.(装置),カルボニル
化合物の分析には,JIS A 1962の6.3.1(HPLCシステム)又はJIS K 0124の箇条5(装置)による。又は
これらと同等以上の精度をもつ装置を用いてもよい。

7 試験条件

7.1 低減量の性能試験全般

  試験条件は,7.2及び7.3による。また,試験は大気圧に近い状態で行う。

7.2 低減量の性能試験

7.2.1  温度及び相対湿度
チャンバー内の温度は,標準温度状態を28 ℃とする。相対湿度は,JIS Z 8703に規定する50 %とする。
チャンバーは,次の条件の範囲内で制御可能であるものとする。
温度 : (28±1.0) ℃ 相対湿度 : (50±5) %
なお,温湿度依存性を確認するため,目的に応じてその他の温湿度条件で測定を行うことが望ましい。
試験場所の空気とチャンバー内との温度及び相対湿度が異なるため,チャンバーの中に試験片を入れると
き,チャンバー内の環境に初期的な変動が観測されることがあるので,これらの変動を記録する。温度及
び相対湿度の範囲は,時変動を示すものであり,チャンバー内の温度分布及び湿度分布を均一になるよう
にする。
注記 温度及び相対湿度は,吸着速度に大きな影響を与える場合がある。
7.2.2 供給空気のバックグラウンド濃度
対象化学物質を含有する空気及び混合前の清浄空気のバックグラウンド濃度は,試験に影響を及ぼさな
い程度の低さとする。
なお,加湿の場合に使用する純水には,影響を及ぼすようなVOC,ホルムアルデヒド及び他のカルボニ
ル化合物が極力少ないものとする。JIS K 0557に規定するA1以上の水で,対象成分を検出しないもの。
7.2.3 物質伝達率
試験片表面における物質伝達率(水蒸気)を測定する。チャンバー内における試験片表面の物質伝達率
は水蒸気によって測定した場合,(15±3) /hの範囲にあることが望ましい。
なお,物質伝達率依存性を確認するため,目的に応じて,その他の物質伝達率で測定を行うことが望ま
しい。
注記1 供給濃度低減効果は,物質伝達率の影響を大きく受ける。
注記2 物質伝達率の大小は,室内濃度,気流,試験建材の表面積の大きさで変化する。
注記3 物質伝達率 (15±3) /hは,試験建材表面を流れる雰囲気空気の風速でおおむね (0.25±0.05)
m/sに相当する。
7.2.4 単位面積当たりの換気量及び換気回数

――――― [JIS A 1906 pdf 7] ―――――

6
A 1906 : 2015
換気回数は,(0.5±0.05) 回/hを標準とする。試料負荷率は,2.2 m2/m3を標準とする。
異なるチャンバーから得られた結果を比較する場合には,換気回数n及び試料負荷率Lを同一条件とす
る。換気回数n及び試料負荷率Lは吸着速度に影響を与えることがある。
注記 定常状態では,チャンバー濃度は,吸着,分解試験条件を設定する場合のパラメータとして選
択される単位面積当たりの換気量に左右される。
7.2.5 供給濃度
チャンバーに供給する対象化学物質濃度は,おおむねガイドライン値とする。試験の目的によっては他
の濃度で試験してもよい。この場合,その旨を試験報告書に記載する。

7.3 低減効果への影響に対する性能

7.3.1  一般
通常,予想される空気温度,湿度,室内含有ガスなどの各種環境因子が対象化学物質の低減量の性能に
与える影響を測定することができる。ただし,この場合,各種環境因子の変動は,7.3.27.3.4による低減
量の性能を測定した条件に対して1種類だけ変動させて測定を各種環境要素ごとに行う。
7.3.2 温度及び湿度に対する影響
温度設定は,チャンバー内の温度を (23±1.0) ℃及び (18±1.0) ℃とする。チャンバー内相対湿度は7.2.1
による。供給濃度は,7.2.5による。
相対湿度設定は,チャンバー内の相対湿度を (25±5) %,(50±5) %及び (75±5) %とする。チャンバー
内温度は7.2.1による。供給濃度は,7.2.5による。
7.3.3 供給濃度
対象化学物質の濃度自体の影響は,7.2.5の供給濃度のおおむね2倍及び1/2倍で測定を行う。測定温度
及び湿度の設定は,7.2.1による。
7.3.4 干渉ガスの影響
室内での存在が予想される各種干渉ガスに関しては,供給空気に含まれる各種干渉ガス濃度を変化させ
た測定を行い,試験建材の対象化学物質の低減効果に与える影響を確認する。

8 試験条件の検証

8.1 試験条件のモニタリング

  温度,相対湿度及び換気量は,次の精度で連続的にモニタリングして記録する。
− 温度 ±0.5 ℃
− 相対湿度 ±5 %
− 換気量 ±10 %
温度及び相対湿度は,入口空気又は出口空気を測定してもよい。

8.2 チャンバーの気密性

  チャンバーの気密性の確認は,JIS A 1901に準じる。圧力降下測定,又は入口及び出口の流量の同時比
較測定,若しくはトレーサーガス希釈の測定によって,年1回以上の頻度で確認する。

8.3 チャンバー内の換気回数

  換気回数は,JIS A 1901に準じる。チャンバー出口に積算流量計を設置し,測定した換気量Qをチャン
バーの容積Vで除したものを換気回数nとする。
換気回数の設定値の変動はなるべく少なくする。通常,トレーサーガスを用いた換気回数の確認は,年
1回以上の頻度で行う。

――――― [JIS A 1906 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
A 1906 : 2015
積算流量計を用いて出口で試験を行う場合には,その装置による背圧のため,チャンバーに流れる流量
が下がる可能性に注意する。

8.4 チャンバー内の換気性能係数

  換気性能係数の測定は,JIS A 1901に準じる。試験は,チャンバー内に試験片,又は試験片と同じ大き
さの不活性基材(例えば,ガラス板又はステンレス鋼板)を入れて行う。

8.5 回収率及びシンク効果

  回収率の測定は,JIS A 1901に準じる。対象化学物質の回収率は,対象成分の標準ガス,ガス発生装置
などを用いて発生させた既知濃度ガスを用いて測定する。ここで測定される濃度は,試験の場合に供給す
る濃度と同程度であるものとする。
なお,二つ以上のチャンバーを直列に接続して測定してもよい。
チャンバーの性能は,80 %以上の平均回収率を確保できるものとする。
注記1 親水性の対象化学物質の回収率を測定する場合は,除湿空気を使用する。
注記2 シンク効果若しくは漏れがある場合,又は校正精度が低い場合は,試験で最低限必要な精度
を満たすことが困難となる。
注記3 平均回収率は,チャンバーの入口濃度に対する出口濃度から算出する。

9 チャンバーの準備

  試験を開始する前には,7.2.2を満足するようにチャンバーの解体・洗浄を行う。解体したチャンバーを
水で洗浄し,残存している化学物質を揮発させるためにオーブンで加熱処理を行う。チャンバーがオーブ
ン内に収納できない場合は,チャンバー内の温度を上昇させる方法でもよい。加熱処理が終了した後,チ
ャンバーを測定可能な温度まで冷却後,速やかに組立を行う。

10 試験片の準備

  試験片の準備は,JIS A 1902-1,JIS A 1902-2,JIS A 1902-3及びJIS A 1902-4による。試験片をチャンバ
ー内に設置し,対象化学物質を含有した空気を供給した時点を試験開始とする。

11 測定方法

11.1 バックグラウンド濃度及びトラベルブランク

  新しく試験を開始する前に,空のチャンバーについて1日換気を行った後でバックグラウンド濃度を測
定し,定量する。トラベルブランクは,空気捕集ごとに測定し,定量する。
なお,バックグラウンド濃度及びトラベルブランクは,試験に影響を及ぼさない程度の低さであるもの
とする。

11.2 チャンバー内での試験片の位置

  試験片は,チャンバーの中央部に置き,空気が試験片の吸着面上を均一に流れるようにするのがよい。

11.3 チャンバー出口濃度を測定する時間

11.3.1  低減量の性能試験
試験を開始した後に,事前に設定した時間に従い,11.4によって空気捕集を開始する。室内空気に面す
る単位面積当たりの試験建材が対象化学物質を空気中から除去する低減量を測定する。ただし,測定条件
は,7.2による。チャンバーを流れる積算空気流量及び空気の漏れのないことを確かめ,空気捕集の間の出
口流量が,入口流量から空気捕集時の流量を差し引いた数値であることを確認する。空気捕集は,通常,

――――― [JIS A 1906 pdf 9] ―――――

8
A 1906 : 2015
試験開始から1日,3日,7日,(14±1) 日及び (28±2) 日経過後に採取するものとし,追加の空気捕集を
行ってもよい。
試験の目的に応じて,これらの測定日数を選んでもよい。持続性能のデータが必要な場合,空気捕集は
試験開始から28日経過以降も採取する。持続性能が当初の1/2又はなくなった場合には,試験を終了して
もよい。
VOC,カルボニル化合物などの化学物質が放散する場合,JIS A 1901によって放散速度を確認する。
11.3.2 長期の低減効果の持続性能
11.3.1の測定を低減量の性能が当初の1/2となる時間を測定する。低減効果が物理吸着,化学吸着,試験
建材に含有する化学物質との化学反応によって生じることが明らかなものについては,ガイドライン値の
供給濃度における飽和除去量を簡易に求めることができる。
11.3.3 低減効果への影響に対する性能
11.3.1の低減量の性能測定の条件に対し,各種環境因子を1種類だけ変動させて測定を各種環境要素ご
とに行う。測定条件は,7.2による。

11.4 空気捕集

  通常,VOCの捕集にはTenax TA吸着管などを,カルボニル化合物の捕集にはDNPHカートリッジを使
用する。空気捕集の方法は,JIS A 1901に準じる。ただし,捕集管は,JIS A 1962の6.1.1(サンプリング
カートリッジ),JIS A 1965の6.1(サンプラ)及びJIS A 1966の6.1(サンプラ)による。

12 対象化学物質の分析

  対象化学物質の分析法は,JIS A 1962の9.3(試料の分析),JIS K 0124の箇条8(操作)及びJIS A 1965
の箇条9(分析),JIS A 1966の箇条10(手順)又はJIS K 0123の10.(定量分析)による。

13 吸着速度,積算吸着量及び換気量換算値の算出及び結果の表現方法

  対象化学物質のチャンバーへの供給濃度及び出口濃度を測定する。チャンバー換気量及び試験片の表面
積から単位面積当たりの吸着速度Fm[μg/(m2・h)]を算出する。
in, t Q
out, t
Fm (1)
A
ここに, Fm : 単位面積当たりの吸着速度[μg/(m2・h)]
ρin,t : 経過時間tにおける対象化学物質のチャンバーへの供給
濃度(μg/m3)
ρout,t : 経過時間tにおける対象化学物質のチャンバー出口濃度
(μg/m3)
Q : チャンバーの換気量(m3/h)
A : 試験片の表面積(m2)
濃度低減が清浄空気による換気量の増大によって達成されるとして,換気量換算値Fv,eq[m3/(h・m2)]を
算出する。
in, t
1 Q
out,t
Fv,eq (2)
A
吸着速度及び経過時間から,積算吸着量ρAc(μg/m2)を算出する。

――――― [JIS A 1906 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS A 1906:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 16000-24:2009(MOD)

JIS A 1906:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 1906:2015の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISA1901:2015
建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定方法―小形チャンバー法
JISA1902-1:2015
建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第1部:ボード類,壁紙及び床材
JISA1902-2:2015
建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第2部:接着剤
JISA1902-3:2015
建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第3部:塗料及び建築用仕上塗材
JISA1902-4:2015
建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件―第4部:断熱材
JISA1905-1:2015
小形チャンバー法による室内空気汚染濃度低減材の低減性能試験法―第1部:一定ホルムアルデヒド濃度供給法による吸着速度測定
JISA1962:2015
室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量―ポンプサンプリング
JISA1965:2015
室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenax TA(R)吸着剤を用いたポンプサンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラフィーによる定量
JISA1966:2015
室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析―ポンプサンプリング
JISK0123:2018
ガスクロマトグラフィー質量分析通則
JISK0124:2011
高速液体クロマトグラフィー通則
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK8872:2008
ホルムアルデヒド液(試薬)
JISZ8703:1983
試験場所の標準状態