JIS B 0625:2021 公差解析用語 | ページ 4

           14
B 0625 : 2021
附属書A
(参考)
公差設計の概念及び公差解析用語の体系
A.1 公差設計の概念における公差解析の位置付け
図A.1は,公差設計の概念に含まれる公差解析,公差配分,公差再配分,公差計算などの位置付けを示
している。なお,寸法の公差表示方式及び幾何公差表示方式を適用した図示,はめあいの設計,実効寸法
の計算,工程能力指数及び位置度公差記入法の式については,この規格では扱わない。
公差設計
この規格の範囲 この規格の範囲外
公差配分 寸法の公差表示方式及び
幾何公差表示方式を適用
公差計算 した図示
はめあいの設計
(隙間,しめしろ)
公差解析
公差計算
公差計算
実効寸法の計算
公差再配分
公差計算
公差計算
工程能力指数(C p,C pk)
位置度公差記入法の式
(ASME Y14.5-2018)
公差計算
図A.1−公差設計の概念における公差解析,公差配分,公差再配分,公差計算などの位置付け

――――― [JIS B 0625 pdf 16] ―――――

                                                                                            15
B 0625 : 2021
A.2 公差解析用語の体系
この規格の用語体系を,図A.2に示す。
公差解析(1001) 1次元の公差解析(1002)
2次元の公差解析(1003)
3次元の公差解析(1004)
公差配分(2001)
公差の累積(3001) ばらつき(3002)
累積公差(3003) 公差計算(3004) ワーストケース(3005)
二乗和平方根(3006)調整係数(3007)
モンテカルロ法(3008)
システムモーメント法(3009)
中央値変換(3010)
寄与率(3011)
がた(3012) 最小のがたの値(3013)
図示のがたの値(3014)
最大のがたの値(3015)
てこ比(3016)
累積要素数(3017)
許容累積公差(3018)
公差再配分(4001)
公差解析図(5001) 解析寸法(5002) 解析寸法の中央値(5003)
解析形体(5004)
ループ(5005)
公差解析表(6001)
管理部品(7001)
管理形体(7002)
管理寸法(7003)
管理公差(7004)
図A.2−公差解析用語の体系

――――― [JIS B 0625 pdf 17] ―――――

           16
B 0625 : 2021
附属書B
(参考)
公差解析の標準的な手順−
寸法を対象としたワーストケース及び二乗和平方根の方法による例
B.1 解析の手順(事例1)
ワーストケース及び二乗和平方根を使用した公差解析は,最も簡易で基本的な解析方法である。ここで
は,図B.1に示す組立品の例の中にある解析寸法について,公差解析のフローチャートを図B.2,及び公
差解析図を図B.3に示す。また,表B.1及び表B.2の公差解析表から,ワーストケース及び二乗和平方根
を使用した公差解析の標準的な手順を示す。
部品3 部品1
寸法
解析
部品2
注記 この例では,対象がサイズ形体であるので,寸法は図示サイズと同意である
(図は誇張して描いてある。)。
図B.1−組立品の例
図B.1の組立図に示す部品1と部品2とを部品3の中に挿入する場合の隙間を解析寸法として,公差解
析を行う。部品1の寸法は30,部品2の寸法は19,部品3の寸法は50である。図B.2のフローチャート
に示すa) l)は,公差解析の手順に対応している。

――――― [JIS B 0625 pdf 18] ―――――

                                                                                            17
B 0625 : 2021
公差解析 開始
a), b)
解析寸法,及び
許容累積公差の設定
各部品の形体への公差配分
c)
公差解析図の作成
符号の設定
公差解析のループの構成
d) h), k)
公差解析表の作成,中央値変換
累積公差の算出
i)
j)
No
公差再配分 許容累積公差 > 累積公差
Yes l)
公差解析 終了
図B.2−公差解析のフローチャートの例
解析寸法
1
3
2
図B.3−公差解析図(破線は公差解析のループを示す。)
例として,a) l)に公差解析の手順を示す。

――――― [JIS B 0625 pdf 19] ―――――

           18
B 0625 : 2021
a) 図B.1において,解析寸法がワーストケースで0を下回らない(部品1と部品2とを部品3に挿入す
る際に干渉する確率を0とする。)という設計要求があることが前提となる。
b) 一般の工作機械の能力をもとに,各部品の形体に対して,1を(+0.6/0),2を±0.2及び3を±0.5の
ように公差配分をする。
c) 図B.3に示す公差解析のための図を作成し,各寸法に上向きを正とする符号を割り当てる。解析寸法
の隙間の一端をループの始点,他端をループの終点とし,その間を各寸法及び公差13でつなぎ,
隙間をめぐる公差解析のループを構成する。
d) 寸法及び許容差の中央値変換を行う。
e) 変換した寸法,許容差,及び許容差の二乗を求めて表に記入する(表B.1参照)。
f) 表B.1の中央値変換した寸法及び上·下の許容差の列において次の計算を行う。寸法の列において符
号を考慮して値の和を求める。ワーストケースによる値の列において許容差の列の値の和を求める。
二乗和平方根による値の列において許容差の二乗和の列の値の和を求め,その平方根をとる。
g) 各許容差(公差)の寄与率を求める。
h) 隙間は,ワーストケースでは0.7±1,及び二乗和平方根では0.7±0.62となる。
i) この例での設計要求は,重要管理寸法となる隙間がワーストケースで0を下回らないことである。解
析寸法の中央値が0.7であるので,この場合の許容累積公差は−0.7(上限なし)となる。ワーストケ
ースでの累積公差は±1であるので,組立て時に干渉を起こす可能性があり,設計要求を満たさない。
j) 設計要求が満たされなかったので,公差解析表のワーストケースの寄与率を参照し,寄与率の大きい
部品の許容差(公差)を小さくする。ここでは,1を(+0.5/0),及び3を±0.2に公差を再配分する(表
B.2参照)。
k) 再配分した公差をもとに公差解析表を書き直し,隙間は,ワーストケースで0.75±0.65,二乗和平方
根で0.75±0.38となる。
l) 解析寸法の中央値が0.75であるので,この場合の許容累積公差は−0.75(上限なし)である。ワース
トケースでの累積公差が±0.65であり,設計要求を満たすので,公差解析を終了する。
なお,この例では,ワーストケースの累積公差を用いて判断したが,各部品の寸法のばらつきが正規分
布で,無作為抽出した各部品で組み立てるのであれば,二乗和平方根の累積公差を用いて判断したほうが
合理的な場合もある。その場合,公差再配分は不要となる。ただし,ある低い確率で組立て時に干渉を起
こす可能性があり,その確率を算出するには,モンテカルロ法,システムモーメント法などを使用して詳
細な公差解析を行えばよい。

――――― [JIS B 0625 pdf 20] ―――――

次のページ PDF 21

JIS B 0625:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 0625:2021の関連規格と引用規格一覧