この規格ページの目次
4
B 7986 : 2006
を用いる。水分が吸引経路の途中で凝縮することを防止するため,必要に応じて加熱する。
d) 除湿器 排ガス中の水分を除去する装置で,空冷(外気温),電子冷却などの方式又は水蒸気の選択浸
透による半透膜気相除湿方式などを用い,排ガスの性状に応じて複数個設置する。
e) 二次フィルタ 試料ガス中の微細ダストを除去するためのもので,ガラス繊維,四ふっ化エチレン樹
脂などの材料を用いる。
f) 吸引ポンプ 試料ガスなどを吸引するポンプで,一般にダイアフラムポンプを用いる。接ガス部は,
耐食材料,例えば,硬質塩化ビニル樹脂などの材料を用いる。
g) 流量計 耐食性を考慮する。JIS B 7551に規定するフロート形面積流量計などを用いる。
h) 切替弁 手動弁又は電磁弁を用い,その材質は耐食性のあるものとする。
i) 流量調整弁 ニードル弁などを用い,その材質は,耐食性のあるものとする。
j) 校正用ガス導入口 計測器を校正するための校正用ガス(標準ガス)を導入する部分で,図1に例を
示すように,その目的に合わせて選択する(1)。
導入口1)は計測器の総合的校正を行う場合,導入口2)は除湿器以降を含んで校正する場合,導入
口3)は分析計だけを校正する場合に用いる(2)。
注(1) 本来は導入口1)から導入し,校正すべきであるが,長時間を要するために,日常的な校正は
導入口2)又は導入口3)を選択してもよい。
(2) 導入口3)を選択する場合,標準ガス及び除湿器によって処理された試料ガス中の水分の差は,
測定の必要上その分圧を補正してもよい。
6.4 分析計
6.4.1 赤外線ガス分析計 物質を構成している分子は,それぞれ特有の原子間振動をもっており,この振
動モードの振動数に応じた波長の光を吸収し,圧力が一定のガス体では濃度に対応した吸収を示す。非分
散形赤外線吸収方式による二酸化炭素分析計は,二酸化炭素の4.3 μm付近における赤外線吸収を計測する
ことによって,その成分濃度を測定する方法である。赤外線ガス分析計はJIS K 0151に適合するものを用
い,図3に例を示すように,光源,回転セクタ,光学フィルタ,試料セル,比較セル,検出器,増幅器な
どで構成する。
備考 その他の赤外線ガス分析計として,差量法の赤外線吸収方式による分析計(差量法赤外線ガス
分析計)のサンプル切替式,流体変調式及びガスフィルタ相関法の赤外線吸収方式による分析
計(ガスフィルタ相関法赤外線ガス分析計)がある。
図 3 赤外線ガス分析計の構成例
a) 光源 通常,ニクロム線,炭化けい素などの抵抗体に電流を流して加熱したものを用いる。
b) 回転セクタ 試料セルを通る光と比較セルを通る光とを一定周期で断続し,光学的に変調を行うもの
――――― [JIS B 7986 pdf 6] ―――――
5
B 7986 : 2006
で,断続周期が160 Hzの交互断続方式又は同時断続方式とする。
c) 光学フィルタ 試料ガス中に含まれる干渉成分の吸収波長域の赤外線を吸収除去できるもので,ガス
フィルタ,固体フィルタのいずれか,又はその組み合わせたものを用いる。
d) 試料セル 試料ガスが流通し,両端の窓から赤外線が透過するものを用いる。
e) 比較セル 試料セルと同じ形状のもので,アルゴン又は窒素を封入したものを用いる。
f) 検出器 赤外線の吸収を電気信号に変換するもので,選択的検出器(測定成分ガスなどを適切な分圧
で封入したコンデンサマイクロホン又は熱式流量計)又は非選択的検出器[焦電形などの熱検出素子,
セレン化鉛(PbSe)などの半導体検出素子]を用いる。干渉成分の影響を少なくするため,測定成分
を検出する主検出器と特定干渉成分を検出する補償検出器とを組み合わせて用いる場合がある。
g) 増幅器 検出器の信号を指示記録及び伝送信号に必要な電気信号が得られるように増幅するもので,
増幅回路,演算処理回路などからなる。
6.4.2 フーリエ変換形赤外線分析計(FTIR) 干渉計から得られる赤外線の分光スペクトルを測定セル
の入射光とする。測定セルに試料ガスを導入又は定期的に窒素を導入し,各々の透過光強度を赤外線検出
器で電気信号に変換し,フーリエ変換,濃度演算などを行う。排ガス中の二酸化炭素濃度は4.2 μm4.3 μm
の吸収波長によって測定する。図4に例を示す干渉計,測定セル,検出器,データ処理部などで構成する。
図 4 フーリエ変換形赤外線方式分析計の構成例
a) 光源 測定用赤外線光源と光路調整用レーザ光源とからなる。
b) 干渉計 マイケルソン干渉計を使用し,分光スペクトルの波長領域は2.5 μm25 μm程度,分解能は
1cm−1程度のものを用いる。
c) 測定セル 試料ガスが流通し,両端の窓から赤外線が透過するものを用いる。
d) 検出器 赤外線検出器とレーザ検出器とからなる。
e) データ処理部 AD変換,フーリエ変換,スペクトル信号処理,濃度演算処理などを行うもので,コ
ンピュータなどからなる。
6.5 指示記録用信号
二酸化炭素濃度を等分目盛で指示記録するものとする。デジタル表示方式のもの
は,測定単位が印字できるものとする。
7. 性能試験
計測器の性能試験は,次による。
なお,指示誤差,耐電圧及び絶縁抵抗以外の各項目については,その計測器の最小目盛範囲における試
験結果をもって各レンジごとの性能としてもよい。
7.1 試験条件
試験条件は,次のa) f)による。
a) 周囲温度 535 ℃の間の任意の温度で試験中の変化幅は5 ℃。
b) 湿度 相対湿度は85 %以下。
――――― [JIS B 7986 pdf 7] ―――――
6
B 7986 : 2006
c) 大気圧 95106 kPaで,試験中の変化幅は5 kPa(3)。
注(3) 試験開始時の気圧から±0.5 kPa を超えた場合は,気圧補正をする。
d) 電源電圧 定格電圧
e) 電源周波数 定格周波数
f) 暖機時間 取扱説明書に記載された時間
7.2 試験用ガス
標準ガス,スパン試験用ガス及びゼロ試験用ガスとする。
標準ガスは,JIS K 0003に規定するものを用いる。その他のガスについては,JIS K 0055に規定する方
法で調製されたもの,又はこれらの規格に準じる方法で調製されたものを用いる。
これらのガスの種類及び適用する試験項目は,表3による。
表 3 試験用ガス
項目
成分濃度 適用試験項目
ガスの種類
スパンガス 最大目盛値(4)の80100 % 7.4のd),e)
(CD5CD25)
標準
中間点ガス 最大目盛値(4)の50 %付近 7.4のd)
ガス
(CD3CD15)
ゼロガス 最大目盛値(4)の 0 % 7.4のd),e)
スパン試験用ガス 最大目盛値(4)の8095 % 7.4のa),c),f),g),h)
ゼロ試験用ガス 最大目盛値(4)の 0 % 7.4のa),b),c),e),f)
注(4) 選択したレンジの最大目盛値。
備考1. スパン試験用ガス及びゼロ試験用ガスとは,標準ガスによってその濃度が確認されたガスとする。
2. 高圧ガスの安全取扱方法については,高圧ガス保安法及び環境大気自動測定における高圧ガス管理取扱
手引書等を参考にして安全を確保する。
7.3 校正
計測器の校正は暖機終了後,表3に示すゼロガス及びスパンガスを用いて,次の方法で行う。
a) ゼロ調整 ゼロガスを設定流量で計測器に導入し,指示が安定した時点でゼロ調整を行う。
b) スパン調整 スパンガスを設定流量で計測器に導入し,指示が安定した時点でスパン調整を行う。
c) 必要に応じてa)及びb)の調整を繰り返し,ゼロ及びスパンのそれぞれが合うまで行う。
7.4 試験方法
試験方法は,次のとおりとする。
a) 繰返し性 ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,最終指示値を確認し記録した後,スパン試験用ガス
を同様に導入し,最終指示値を確認し記録する。この操作を3回繰り返し,ゼロ指示値,スパン指示
値の各々の平均値を算出し,各測定値と平均値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。
b) ゼロドリフト ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,必要な場合はゼロ指示値を最大目盛値の5 %程
度に設定して,24時間連続測定を行う。この間におけるゼロ指示値の初期の指示値からの最大変動幅
の最大目盛値に対する百分率を求める。
c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時,試験終了時(24時間後)及び中間に2回
以上(5)ゼロ試験用ガスに代えてスパン試験用ガスを導入し,指示値を記録する。この間におけるスパ
ン指示値の初期の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率を求める(6)。
注(5) 各スパン測定点の測定時間間隔は,4時間以上離れていなければならない。
(6) 大気圧変化に対する指示値への影響を自動補正する機能がない計測器において大気圧の影響が
見られるときは,次の式を用いて大気圧の変動分を補正したものを用いる。ただし,計測器に
――――― [JIS B 7986 pdf 8] ―――――
7
B 7986 : 2006
大気圧変化に対する指示値への影響量が示されている場合は,その値を用いて補正する。
(S P0 / P) 0
100
F
ここに, δ : スパンドリフト(%)
S : スパン試験用ガスを導入したときの指示値(vol%)
S0 : 初期にスパン試験用ガスを導入したときの指示値(vol%)
P0 : 試験開始時の大気圧(kPa)
P : 試験開始時とスパン試験用ガスを導入したときの大気圧(kPa)
F : 最大目盛値(vol%)
なお,ゼロドリフトの影響が見られるときは,次の式によってその変動を補正する。
(S Z) 0 / P S0
100
F
ここに, Z : スパン試験用ガス導入直前のゼロ指示値(vol%)
d) 指示誤差 ゼロ校正,スパン校正を行った後,中間点ガスを導入し,指示値を記録する。この指示値
と中間点ガスの表示濃度との差の最大目盛値に対する百分率を求める。
e) 最小検出限界 ゼロ校正,スパン校正を行った後,ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,指示記録さ
せる。2分間隔で25点以上の指示を読み,標準偏差(x0s)を求める。その標準偏差を2倍した値の
最大目盛値に対する百分率を最小検出限界(x)とし,次の式によって求める。
2x0
x 100
ここに, sx0 : ゼロ試験用ガスによる指示値の標準偏差(vol%)
c : 最大目盛値(vol%)
備考 指示値の平滑(移動平均)時間を可変できる計測器にあっては,表2で要求される性能(応答
時間)を満たす設定範囲で行わなければならない。
f) 応答時間 試料導入口から設定流量のゼロ試験用ガスを導入し,指示安定後,導入ガスをスパン試験
用ガスに切り換える。このときの指示記録において,スパン試験用ガスの導入の時点から最終指示値
の90 %値に達するまでの時間を測定する。
g) 試料ガスの流量の変化に対する指示値の安定性 設定流量のスパン試験用ガスを導入し,指示が安定
したときの値をAとする。次に流量を設定値から+5 %変化させ,指示が安定したときの値をBとす
る。さらに,流量を設定値から−5 %変化させ,指示が安定したときの値をCとする。B−A,C−A
の値の最大目盛値に対する百分率を求める。
h) 電源電圧に対する指示値の安定性 電源電圧を定格電圧にしてスパン試験用ガスを導入し,指示が安
定したときの値をAとする。次に電源電圧を定格電圧の+10 %に変化させ,指示が安定したときの
値をBとする。さらに,電源電圧を定格電圧の−10 %に変化させ,指示が安定したときの値をCと
する。B−A,C−Aの値の最大目盛値に対する百分率を求める。
i) 耐電圧 計測器電源スイッチ“入り”の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間に定格周波
数の交流1 000 Vを1分間加えて,異常の有無を調べる。
j) 絶縁抵抗 計測器電源スイッチ“入り”の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間の絶縁抵
抗を,JIS C 1302に規定する直流500 V絶縁抵抗計で測定する。
――――― [JIS B 7986 pdf 9] ―――――
8
B 7986 : 2006
8. 試験報告書
作成する報告書は,次の項目を含むものとする。
a) 7.(性能試験)の7.1,7.2及び7.3のうち必要な事項。
b) 4.(計測器の種類及び測定範囲)の表1のうち必要な事項。
c) 試験結果
d) 特記事項
9. 表示
計測器には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。
a) 名称及び製造業者が指定する形名
b) 測定対象成分
c) 測定濃度範囲
d) 使用温度範囲
e) 定格電圧,定格周波数及び容量
f) 製造業者名又はその略号
g) 製造年月
h) 製造番号
これらの表示は,1か所にまとめて表示しなくてもよい。
10. 取扱説明書
取扱説明書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。
a) 設置場所に関する注意事項
b) 試料ガスの温度,流量,ダスト濃度及び干渉成分のそれぞれの許容範囲
c) 試料ガスの前処理方法
d) 配管及び配線
e) 暖機時間
f) 使用方法
1) 測定の準備及び校正
2) 測定操作
3) 測定停止時の処置
g) 保守点検
1) 日常点検の指針
2) 定期点検の指針
3) 流路系の清掃
4) 故障時の対策
――――― [JIS B 7986 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS B 7986:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.40 : 固定施設からの発生ガス
JIS B 7986:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7551:1999
- フロート形面積流量計
- JISC1302:2018
- 絶縁抵抗計
- JISK0003:1998
- 標準物質 ― 標準ガス ― 二酸化炭素
- JISK0055:2002
- ガス分析装置校正方法通則
- JISK0095:1999
- 排ガス試料採取方法
- JISK0151:1983
- 赤外線ガス分析計
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0212:2016
- 分析化学用語(光学部門)
- JISK0213:2014
- 分析化学用語(電気化学部門)
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISZ8103:2019
- 計測用語