JIS B 7987:2006 排ガス中の一酸化炭素自動計測器 | ページ 2

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j) 校正用ガス導入口 計測器を校正するための校正用ガス(標準ガス)を導入する部分で,図1に例を
示すように,その目的に合わせて選択する(1)。
導入口1) は計測器の総合的校正を行う場合,導入口2) は除湿器以降を含んで校正する場合,導入
口3) は分析計だけを校正する場合に用いる(2)。
注(1) 本来は導入口1) から導入し,校正すべきであるが,長時間を要するために,日常的な校正は導
入口2) 又は導入口3) を選択してもよい。
(2) 導入口3) を選択する場合,標準ガス及び除湿器によって処理された試料ガス中の水分の差は,
測定の必要上その分圧を補正してもよい。

6.4 分析計

6.4.1  赤外線ガス分析計 物質を構成している分子は,それぞれ特有の原子間振動をもっており,この振
動モードの振動数に応じた波長の光を吸収し,圧力が一定のガス体では濃度に対応した吸収を示す。非分
散形赤外線吸収方式による一酸化炭素分析計は,一酸化炭素の4.7 μm付近における赤外線吸収を計測する
ことによって,その成分濃度を測定する方法である。赤外線ガス分析計はJIS K 0151 に適合するものを用
い,図2に例を示すように,光源,回転セクタ,光学フィルタ,試料セル,比較セル,検出器,増幅器な
どで構成する。
図 2 赤外線ガス分析計の構成例
a) 光源 通常,ニクロム線,炭化けい素などの抵抗体に電流を流して加熱したものを用いる。
b) 回転セクタ 試料セルを通る光と比較セルを通る光とを一定周期で断続し,光学的に変調を行うもの
で,断続周期が160 Hzの交互断続方式又は同時断続方式とする。
c) 光学フィルタ 試料ガス中に含まれる干渉成分の吸収波長域の赤外線を吸収除去できるもので,ガス
フィルタ,固体フィルタのいずれか,又はその組み合わせたものを用いる。
d) 試料セル 試料ガスが流通し,両端の窓から赤外線が透過するものを用いる。
e) 比較セル 試料セルと同じ形状のもので,アルゴン又は窒素を封入したものを用いる。
f) 検出器 赤外線の吸収を電気信号に変換するもので,選択的検出器(測定成分ガスなどを適切な分圧
で封入したコンデンサマイクロホン又は熱式流量計)又は非選択的検出器[焦電形などの熱検出素子,
セレン化鉛(PbSe)などの半導体検出素子]を用いる。干渉成分の影響を少なくするため,測定成分
を検出する主検出器と特定干渉成分を検出する補償検出器とを組み合わせて用いる場合がある。
g) 増幅器 検出器の信号を指示記録及び伝送信号に必要な電気信号が得られるように増幅するもので,
増幅回路,演算処理回路などからなる。
6.4.2 差量法の赤外線吸収方式による分析計(差量法赤外線ガス分析計) 赤外線ガス分析計は,JIS K
0151を基本とし,流路を一定周期で切替弁などによって切り替え,試料ガスと比較ガス(ゼロガス)とを
交互に試料セルに導入・測定し,その差量値を測定値とする方式。

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a) サンプル切替式 分析計は図3に例を示すように,回転セクタによって光学的に断続した変調信号を
用い,切替弁などによって,試料ガスと比較ガスとを一定周期で交互に試料セルに導入・測定し,そ
の差量値を測定値とする方式。図3では二つのガスセルを交互に試料セル及び比較セルとして用いて
いるが,試料セル及び比較セルを固定して用いているものもある。
図 3 サンプル切替式分析計の構成例
1) 切替弁 試料ガスと比較ガスとを数秒数十秒間の一定周期で流路切り替え操作を行う弁で,電磁
切替弁などを用いる。
2) 比較ガス 試料ガスとの差量を測定することによって測定対象成分濃度を求めるためのガスで,計
測器周辺空気などを原料ガスとし,必要に応じて測定対象ガスを除去したものを用いる。
3) 酸化触媒管 比較ガス中の一酸化炭素を除去するためのもので,二酸化マンガンと酸化銅との混合
物又は白金などの酸化触媒で構成し,加熱したものを用いる。必要に応じて付加する。
4) 除湿器 比較ガス中の水分を除去する装置で,電子冷却などの方式又は水蒸気の選択浸透による半
透膜気相除湿方式などを用いる。必要に応じて付加する。
b) 流体変調式 分析計は図4に例を示すように,回転セクタを用いず,切替弁などによって試料ガスと
比較ガスとを一定周期で交互に試料セルに導入し,ガス切替によって得られた変調信号を用い,測定
値とする方式。図4では試料セルだけを用いているが,二つのガスセルを交互に試料セル及び比較セ
ルとして用いているものもある。

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図 4 流体変調式分析計の構成例
1) 切替弁 試料ガスと比較ガスとを12 Hzの一定周波数で流路切り替え操作を行う弁で,電磁切替
弁などを用いる。
6.4.3 ガスフィルタ相関法の赤外線吸収方式による分析計(ガスフィルタ相関法赤外線ガス分析計) 赤
外線ガス分析計は,JIS K 0151を基本とし,図5に例を示すように,試料ガスを試料セルに導入し,測定
ガス(一酸化炭素を含むガス)及び比較ガス(ゼロガス)を封入したフィルタからなるガス相関フィルタ
と回転セクタとを一定周期で回転させ,測定ガスフィルタと比較ガスフィルタとで得られる差信号を用い,
測定値とする方式。
図 5 ガスフィルタ相関法分析計の構成例
a) ガス相関フィルタ 測定ガス(一酸化炭素を含むガス),比較ガス(ゼロガス)を封入した2種類のフ
ィルタから構成されるものを用いる。
b) 反射ミラー 試料ガス中の一酸化炭素を測定するのに十分な光路長とするために,試料セル内で光を
複数回反射させるためのもので,赤外線の損失が少ない材質のものを用いる。
6.4.4 定電位電解方式による分析計(定電位電解分析計) ガス透過性隔膜を通じて電解液中に拡散吸収
された一酸化炭素が,定電位電解によって酸化されたときに得られる電解電流を測定し,排ガス中の一酸
化炭素濃度を連続的に求めるものである。図6に例を示すように,定電位電源,ガス透過性隔膜,検出器
(電解セル),増幅器などで構成する。

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図 6 定電位電解分析計の構成例
a) ガス透過性隔膜 電解セル中の電解液の流出を防ぐとともに,試料ガスを透過させ作用電極へガスの
供給を行うもので,一酸化炭素の透過性に優れた多孔質高分子膜などを用いる。
b) 作用電極 電解液中に拡散吸収された一酸化炭素を定電位電解によって酸化し,その濃度に応じた電
解電流を発生させるためのもので,ふっ素樹脂などで形成し,触媒,疎水性樹脂などからなる。触媒
は白金,金,パラジウムなどを用いる。
c) 対極 電解セル中で作用電極と対の電気回路を構成し,定電位電解に必要な酸化電位を作用電極に与
えるための電極。
d) 参照電極 作用電極の電位を一酸化炭素の酸化に必要な電位にするための電極。
e) 電解液 ガス透過性隔膜を透過したガスを吸収させるもので,酸性溶液などを用いる。
f) 定電位電源 作用電極と参照電極間に一定の電位を与えるための直流電源。
g) 酸性ガス除去フィルタ 酸性ガスを除去し,干渉成分の影響を低減するために用いる。

6.5 指示記録用信号

 一酸化炭素濃度を等分目盛で指示記録するものとする。デジタル表示方式のもの
は,測定単位が印字できるものとする。

7. 性能試験

 計測器の性能試験は,次による。
なお,指示誤差,耐電圧及び絶縁抵抗以外の各項目については,その計測器の最小目盛範囲における試
験結果をもって各レンジごとの性能としてもよい。

7.1 試験条件

 試験条件は,次のa)   f)による。
a) 周囲温度 535 ℃の間の任意の温度で,試験中の変化幅は5 ℃。
b) 湿度 相対湿度は85 %以下。
c) 大気圧 95106 kPaで,試験中の変化幅は5 kPa (3)。
注(3) 試験開始時の気圧から±0.5 kPa を超えた場合は,気圧補正をする。
d) 電源電圧 定格電圧
e) 電源周波数 定格周波数
f) 暖機時間 取扱説明書に記載された時間

7.2 試験用ガス

 標準ガス,干渉影響試験用ガス,スパン試験用ガス及びゼロ試験用ガスとする。
標準ガスは,JIS K 0001,JIS K 0002,JIS K 0003,JIS K 0004及びJIS K 0007に規定するものを用いる。
その他のガスについては,JIS K 0055に規定する方法で調製されたもの,又はこれらの規格に準じる方

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法で調製されたものを用いる。これらのガスの種類及び適用する試験項目は,表3による。
表 3 試験用ガス
項目
成分濃度 適用試験項目
ガスの種類
スパンガス(JIS K 0002) 最大目盛値 (4)の80100 % 7.4のd),e),g)
(CM-P50CM-P5000)
中間点ガス(JIS K 0002) 最大目盛値 (4)の50 %付近 7.4のd)

(CM-P25CM-P2500)

ゼロガス 最大目盛値 (4)の0 % 7.4のd),e),g)

二酸化炭素(JIS K 0003) 10 vol%(CD10) 7.4のg)(赤外線吸収方式)

一酸化窒素(JIS K 0001) 180200 ppm(NM-P200) 7.4のg)(定電位電解方式)
二酸化硫黄(JIS K 0004) 180200 ppm(SD-P200) 7.4のg)(定電位電解方式)
プロパン(JIS K 0007) 180200 ppm(PN-P200) 7.4のg)(定電位電解方式)
スパン試験用ガス 最大目盛値 (4)の8095 % 7.4のa),c),f),h),i)
ゼロ試験用ガス 最大目盛値 (4)の0 % 7.4のa),b),c),e),f)
注(4) 選択したレンジの最大目盛値
備考1. スパン試験用ガス及びゼロ試験用ガスとは,標準ガスによってその濃度が確認されたガスとする。
2. 二酸化炭素,一酸化窒素,二酸化硫黄及びプロパンは,干渉成分の影響を試験するガスである。
3. 高圧ガスの安全取扱方法については,高圧ガス保安法及び環境大気自動測定における高圧ガス管理取扱手引
書を参考にして安全を確保する。

7.3 校正

 計測器の校正は暖機終了後,表3に示すゼロガス及びスパンガスを用いて,次の方法で行う。
a) ゼロ調整 ゼロガスを設定流量で計測器に導入し,指示が安定した時点でゼロ調整を行う。
b) スパン調整 スパンガスを設定流量で計測器に導入し,指示が安定した時点でスパン調整を行う。
c) 必要に応じてa)及びb)の調整を繰り返し,ゼロ及びスパンのそれぞれが合うまで行う。

7.4 試験方法

 試験方法は,次のとおりとする。
a) 繰返し性 ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,最終指示値を確認し記録した後,スパン試験用ガス
を同様に導入し,最終指示値を確認し記録する。この操作を3回繰り返し,ゼロ指示値,スパン指示
値の各々の平均値を算出し,各測定値と平均値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。
b) ゼロドリフト ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,必要な場合はゼロ指示値を最大目盛値の5 %程
度に設定して,24時間連続測定を行う。この間におけるゼロ指示値の初期の指示値からの最大変動幅
の最大目盛値に対する百分率を求める。
c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時,試験終了時(24時間後)及び中間に2回
以上(5)ゼロ試験用ガスに代えてスパン試験用ガスを導入し,指示値を記録する。この間におけるスパ
ン指示値の初期の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率を求める(6)。
注(5) 各スパン測定点の測定時間間隔は,4時間以上離れていなければならない。
(6) 大気圧変化に対する指示値への影響を自動補正する機能がない計測器において大気圧の影響が
見られるときは,次の式を用いて大気圧の変動分を補正したものを用いる。ただし,計測器に
大気圧変化に対する指示値への影響量が示されている場合は,その値を用いて補正する。
(S P0 /P)−S0
δ 100
F
ここに, δ : スパンドリフト(%)
S : スパン試験用ガスを導入したときの指示値(ppm)
S0 : 初期にスパン試験用ガスを導入したときの指示値(ppm)

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