JIS B 8815:2013 電気チェーンブロック | ページ 3

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図10−フック間最小距離及び揚程(横行装置付)

5.2 揚程

  揚程は,定格荷重を巻上げ及び巻下げできる最大距離をいい(図9及び図10参照),7.2によって測定を
行ったとき,表示値3)以上でなければならない。

5.3 温度上昇

  温度上昇は,7.3.1及び7.3.2によって試験を行ったとき,電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度上昇
が表6の値以下でなければならない。
なお,周囲温度は,40 ℃以下とする。

――――― [JIS B 8815 pdf 11] ―――――

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表6−温度上昇限度
単位 K
区分 耐熱クラスa) 温度上昇限度
電動機巻線 120 (E) 75
130 (B) 80
155 (F) 105
180 (H) 125
電磁ブレーキ巻線 120 (E) 100
130 (B) 110
155 (F) 135
180 (H) 160
注a) 耐熱クラスの定義はJIS C 4003による。

5.4 始動電圧

  始動電圧は,7.4によって試験を行ったとき,巻上げ及び横行ができなければならない。

5.5 巻上速度及び巻下速度

  巻上速度及び巻下速度の許容範囲は,7.5によって試験を行ったとき,定格速度の表示値3)に対して表7
による。
表7−巻上速度及び巻下速度の許容範囲
定格速度 巻上速度の許容範囲 巻下速度の許容範囲
m/min % %
2未満 ±20 −20+25
2以上 ±10 −10+25

5.6 横行速度

  電動横行式の横行速度の許容範囲は,7.6によって試験を行ったとき,定格速度の表示値3)に対して表8
による。
表8−横行速度の許容範囲
定格速度 許容範囲
m/min %
4未満 ±20
4以上 ±10

5.7 巻上げ及び巻下げのブレーキ

  巻上げ及び巻下げのブレーキは,7.7によって試験を行ったとき,確実に停止しなければならない。また,
荷が停止するまでの距離は,1分間の巻上距離の1 %以下とする。

5.8 横行のブレーキ

  電動横行式の横行のブレーキは,7.8によって試験を行ったとき,確実に停止しなければならない。また,
横行装置が停止するまでの距離は,1分間の横行距離の10 %以下とする。

5.9 巻上電流

  巻上電流は,7.9によって試験を行ったとき,巻上げの定格電流の表示値3)以下でなければならない。

――――― [JIS B 8815 pdf 12] ―――――

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5.10 横行電流

  横行電流は,7.10によって試験を行ったとき,横行の定格電流の表示値3)以下でなければならない。

5.11 過巻防止

  過巻防止は,7.11によって試験を行ったとき,過巻上げ及び過巻下げを防止できなければならない。

5.12 過負荷特性

  過負荷特性は,7.12によって試験を行ったとき,各部に異常があってはならない。

5.13 横行性能

  横行性能は,7.13によって試験を行ったとき,支障なく横行しなければならない。

5.14 絶縁抵抗

  絶縁抵抗は,JIS B 9960-32の18.3(絶縁抵抗試験)によって行い,規定を満たさなければならない。

6 構造

6.1 一般構造

  一般構造は,次による。
a) 電気チェーンブロックの本体は,中央に全体を支える主枠と,下フックを付けたロードチェーンを巻
き取るロードシーブ及びチェーンガイドによって構成され,それに電動機,歯車,ブレーキ,過巻防
止装置,電装品,その附属品などが上フックと一体となって組み立てられた構造とする。
b) 電気チェーンブロックの横行部は,手押横行式では横行車輪など,鎖動横行式では手鎖,横行車輪な
ど,電動横行式では電動機,歯車,横行車輪などからなる構造とする。
c) 電動横行式の横行装置は,ブレーキを備えなければならない。
d) 電気チェーンブロックの電気装置(電動機及び制御部)の保護方式は,JIS C 4034-5又はJIS C 0920
の規定による保護方式の分類に従い,その規定による性能を満足しなければならない。
なお,電動機及び制御部は一体又は連結される場合が多いが,電動機と制御部とが分離している場
合,又はそれぞれの保護方式が異なる場合は,電動機と制御部との間で保護等級が低い方,又はそれ
ぞれの保護方式を表示してもよい。
e) 外観は,使用上有害なきず,割れ,さび,まくれ,その他の欠陥がなく,各部の仕上げは良好でなけ
ればならない。

6.2 ロードチェーン

  ロードチェーンは,JIS B 8812に規定するチェーンを使用する。

6.3 ロードシーブ及びアイドルシーブ

  ロードシーブ及びアイドルシーブは,ロードチェーンと円滑にかみ合い,外れを防止できる構造でなけ
ればならない。

6.4 フック

  フックは,JIS B 2803に規定するフックを使用する。ただし,JIS B 2803の13.(表示)による表示はし
なくてよい。
下フックは,スラスト軸受その他の構造で自由に回転しなければならない。フックは玉掛け用ワイヤロ
ープなどが当該フックから外れることを防止するための装置を備えなければならない。

6.5 電動機

  電動機は,単相誘導電動機,三相誘導電動機又は直流電動機を使用する。

――――― [JIS B 8815 pdf 13] ―――――

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6.6 巻上げ及び巻下げのブレーキ

  巻上げ及び巻下げのブレーキは,次による。
a) ブレーキは,次の場合に荷が下がらないように自動的に作動しなければならない。
1) 手動操作スイッチを放した場合。
2) 非常停止が作動した場合。
3) ブレーキへの電源供給が妨げられた場合。
4) 電気チェーンブロックへの電源供給が妨げられた場合。
5) 巻上電動機が三相誘導電動機であって,電気チェーンブロックへの電源供給の2相が欠相した場合。
b) 巻上電動機が三相誘導電動機であって,電気チェーンブロックへの電源供給の1相が欠相した場合で
あっても,制御できない状態4)で荷が下がってはならない。
注4) 制御できない状態とは,押ボタンを放したり,非常停止ボタンを押したりしたときに停止し
ない状態である。
c) 制動トルクの値(電磁ブレーキとメカニカルブレーキとがあるものはその和)は,定格荷重をつった
ときのトルクの150 %以上とする。

6.7 押ボタンスイッチ

  押ボタンスイッチは,操作部分から手を放したときに確実に巻上げ及び巻下げ,又は横行の回路を遮断
しなければならない。

6.8 横行レール幅

  一般的な横行レール幅は,表9による。
表9−横行レール幅(代表値)
定格荷重 横行レール幅
t mm
75 100 125 150 175 190
0.1 1 ○ ○ ○
1.25 3.2 ○ ○ ○
4 5 ○ ○ ○
6.3 20 ○ ○ ○

6.9 過巻防止装置

  過巻防止装置は,機械式又は電気式とし,ロードチェーンが過巻上げ及び過巻下げになったとき,確実
に作動する構造とする。電気式の場合は,電動機及び電磁ブレーキの電流を遮断する構造とする。

6.10 操作回路

  操作回路は,次による。
a) 電磁接触器の操作回路は,コイルの一端を接地側電線に接続し,他端を押ボタンスイッチ側に接続す
る構造とする。ただし,絶縁トランスを用いた操作回路の場合は除く。
b) 巻上げと巻下げとの同時作動及び左横行と右横行との同時作動を防ぐためのインターロックを設け
る。
なお,直切り(じかぎり)操作形の場合にも適用する。

――――― [JIS B 8815 pdf 14] ―――――

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6.11 押ボタンコード

  押ボタンコードは,JIS C 3301,JIS C 3306,JIS C 3312及びJ1S C 3327又はこれらと同等のコード若
しくはキャブタイヤケーブルを使用し,押ボタンスイッチを引っ張っても押ボタンコード及び接続部に直
接力が加わらない構造とする。

6.12 チェーンバケット

  ロードチェーンの無負荷側チェーンを収納するチェーンバケットを設けなければならない。

6.13 その他の安全装置

  電気チェーンブロックは,次の安全装置を備えることが望ましい。
a) 定格荷重リミッタ 定格荷重リミッタは,力の流れを制限するか,又は巻上装置への電力供給を止め,
巻上動作を停止する構造とする。定格荷重リミッタは,滑りクラッチの場合は定格荷重の170 %以下,
それ以外の場合は125 %以下の荷重で作動するようにする。
b) 非常停止スイッチ 非常停止スイッチは,JIS B 9960-32の10.7.2(非常停止用機器の種類)及び10.7.3
(アクチュエータの色)の要求を満たす構造とする。非常停止スイッチは,押ボタンスイッチ近傍の
即座に操作できる箇所に設置する。非常停止は,JIS B 9960-32の9.2.2(停止機能)で示す停止カテゴ
リ0又は停止カテゴリ1として機能するようにする。

7 試験

7.1 フック間最小距離の測定

  定格荷重をつって巻き上げ,図9又は図10のように下フックが過巻防止装置の作動によって停止した状
態で,上下フック間の内側距離5)を測定する。
注5) 据置形は据置面,横行装置付きの懸垂形はレール下面,ダブルレール形はレール上面とそれぞ
れ下フック内側との距離をいう。

7.2 揚程の測定

  揚程は,定格荷重を巻上げ及び巻下げができる最大距離で,次の式によって求める。
H=L−C
ここに, H : 揚程(m)
L : 上下フック間の内側距離の最大値(m)
C : フック間最小距離(m)
なお,実測が困難なときは,リンクチェーンのリンク数から計算によって求めてもよい。

7.3 温度試験

7.3.1  短時間負荷試験
短時間負荷試験は,次による。
a) 巻上げ 定格電圧,定格周波数,定格荷重及び定格速度で,表10に示す基準負荷サイクルで,表3
から選択した時間連続運転を行い,その直後,電動機巻線及び電磁ブレーキ巻線の温度をJIS C 4034-1
の7.に規定する抵抗法で測定する。
表10−巻上げの基準負荷サイクル
定格速度 巻上げの基準負荷サイクル
m/min
2未満 巻上げ0.2 m−休止3秒−巻下げ0.2 m−休止3秒
2以上 巻上げ1 m−休止3秒―巻下げ1 m−休止3秒

――――― [JIS B 8815 pdf 15] ―――――

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