JIS F 8081:2005 船用電気設備及び電子機器―電磁両立性 | ページ 2

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F 8081 : 2005 (IEC 60533 : 1999)
備考1. 英語では“interference”(障害)と“disturbance”(妨害)とは,しばしば同義語として用いら
れる。
2. フランス語では“perturbation lectromagntique”(電磁妨害)もまた“brouillage lectromagntique”
(電磁障害)の意味で使われる [IEV 161-01-06]。
3.3.1 性能低下 [degradation (of performance) ] すべての装置,機器又はシステムの意図された性能からの
好ましくないかい(乖)離。
備考 用語“degradation”(低下)は,一時的な又は恒久的な不良に使用可能である[IEV 161-01-19]。
3.3.2 機能喪失 (loss of function) 技術的対策によってだけその機能を復帰させることができる許容値を
超える装置の機能喪失。機能喪失の特別なケースとして破壊がある。
備考 機能喪失には,一時的な又は恒久的な喪失がある。
− 恒久的な機能喪失を復帰させるための技術的対策とは,工具又は予備品の使用を必要とす
る。
− 一時的な機能喪失を復帰させるための技術的対策とは,コンピュータにおけるリセット操
作,又は電源再投入のような使用者による簡単な復帰行為が必要である。
3.4 電磁妨害 (electromagnetic disturbance) ある装置,機器若しくはシステムの性能を低下させる又は生
物,無生物に悪影響を与えるすべての電磁現象。
備考 電磁ノイズ,好ましくない信号又は伝達媒体自身の変動は,電磁妨害となる場合がある[IEV
161-01-05]。
3.5 妨害発生源 [emitter (of electromagnetic disturbance) ] 電磁妨害として作用し,電圧上昇,電流上昇又
は電磁界強度上昇を与える装置,機器又はシステム[IEV 161-01-23]。
3.6 被妨害装置 (susceptible device) 電磁妨害を受け性能が低下する可能性をもつ装置,機器又はシステ
ム[IEV 161-01-24]。
3.7 エミッション [(electromagnetic) mission] 発生源から電磁エネルギーが放射される現象[IEV
161-01-08]。
3.8 イミュニティ [immunity(to a disturbance) ] 電磁妨害が存在しても機能低下なしに動作する装置,機
器又はシステムの能力 [IEV 161-01-20]。
3.9 結合 (coupling) エネルギーがある回路から他の回路へ伝達されることが可能な回路間の相互作用。
3.10 挿入損失 (insertion loss) 電源から負荷に直接給電された場合の負荷における電力と,電源と負荷と
の間に設けられた4極装置(フィルタなど)を介して給電された負荷における電力との対数比。
3.11 反射損失 (return loss) 反射損失aとは,反射係数rの逆数値に対する対数比である。すなわち,
1
a 20 log
r
ここに,r : 進行波に対する反射波の比率
備考 保護回路のインピーダンスが,接続ケーブルのインピーダンスと一致している場合r=0,a=
∞とする。
3.12 EMC解析 (EMC analysis) 電気装置への影響程度を決定するためのEMCデータの編集と判読。
3.13 電磁障害マトリックス [electromagnetic interference matrix (EMI matrix) ] 妨害発生源と被妨害機器と
の組み合わせマトリックス。行と列の交点において電磁障害の大きさを知る。
3.14 被試験機器 [equipment under test (EUT) ] EMC(エミッション及びイミュニティ)適合試験を受けな
ければならない機器(装置,器具及びシステム)。

――――― [JIS F 8081 pdf 6] ―――――

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3.15 機器又はサブシステム (equipment or subsystem) 電気的及び機械的に幾つかのサブユニットを組み
合わせ,意図された機能を果たすための技術的装置。
3.16 統合システム (integrated system) 意図された機能を果たすために相互接続された独立した機器の組
合せ。
例 異なるゾーンにセンサ及び装置をもつ貨物統合監視システム。
3.17 システム (system) 設計に従って相互に作用する装置及び/又は構成要素の組合せ。あるシステム
の装置及び/又は構成要素が,他のシステム(サブシステムと呼ばれる)の場合もある。このような装置
及び/又は構成要素(サブシステム)には,次のものがある。
− ハードウエア
* 制御システム;
* 被制御システム;
− ソフトウエア;
− オペレータ;
備考 各種の機器が装備される船全体を,一つのシステムとみなす場合がある。
3.18 接地 [ground (earth) ] 船の金属構造及び導電接続するすべてのその他の金属部分。
備考1. 保護接地(保護アース)に関しては3.19参照。
2. EMCのためには,金属部間の接続は電位差を均一とし,当該周波数範囲において低インピー
ダンスとすることが要求される。当該周波数範囲には,動作周波数同様妨害周波数が含まれ
る。この周波数範囲と電気装置の物理的大きさが,達成可能な均一電位を決定し,接地の有
効性が決定される。この接地は,すべての場合に保護接地の人身に対する安全に合致してい
るとは限らない。
3. 非金属構造の船は,すべての金属部の導電性接続(接地板がある場合これを含む。)は共通接
地を形成する。
3.19 保護接地(保護アース) (protective earth) 人体に危険な電流に対する保護対策として必要な導体で,
この導体は,次に示す機器ケーシングの一つ又はそれ以上の導電部を電気的に接続する。
− 外部導電部
− 主接地(アース)端子
− 分電システムの接地端子(存在する場合)
− 他の機器の金属ケーシング
3.20 基準接地 (reference ground) 他の導体が基準とする電位をもつ導体。
3.21 形式試験 (type test) この規格に規定された要求事項にその機器の設計が合致していることを確認
するために供試機器に対して実施するEMC試験。
3.22 ポート (port) 妨害を受けるか又は与える場合がある外部の電磁環境と機器との特定の接続(図1
参照)。
備考 導電性インタフェースは,ケーブル,接地端子,又は管,据付部品などで構成される場合があ
る。

――――― [JIS F 8081 pdf 7] ―――――

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外被ポート
入出力信号及び制
交流給電ポート 御ポート
機 器
直流給電ポート 接地ポート
図1 ポートの例
3.23 ゾーン (zones) その場所に位置する被妨害装置及び/又は妨害装置によって特定される場所で,次
に区分される(図2参照)。
− 甲板及び船橋ゾーン : 船内通信装置,信号処理装置,無線通信装置,航海機器及びその補機
器並びに金属構造物に設けられた大きな開口部によって特定される制御室及び操舵室並びに送
受信アンテナの近傍区域;
− 一般分電ゾーン : 一般負荷によって特定される区域;
− 特別分電ゾーン : 表3の制限値を超える妨害を発生する推進システム,バウスラスタなどに
よって特定される区域;
− 居住ゾーン : 乗客,乗員などがそこで使用するために船内にもち込む機器によって特定され
る区域;
3.24 一般負荷 (normal consumer) 機械,制御機器,小形変換器など船の運航用の機器。
3.25 ケーブルの選択 (cable selection) 選択された類似の信号形式及び信号レベルのケーブルは,同一分
類として扱う。

――――― [JIS F 8081 pdf 8] ―――――

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図2 ゾーンの概略系統図 (例)
3.26 ケーブルの分離 (Cable separation) 異なる分類のケーブルは,クロストークを減少させるために間
に空間を設けて敷設する。

――――― [JIS F 8081 pdf 9] ―――――

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4. 一般

 船用機器及びシステムは,電力線,制御線によって伝導される妨害,又は電磁放射環境からの
直接の妨害など,各種の電磁妨害を受ける可能性がある。妨害の形式とそのレベルは,システム,サブシ
ステム又は機器が設置され,動作する環境による。
船に設置された個々の機器は,広周波数帯域にわたる電磁妨害の発生源となり,それが電力線及び信号
線を通して伝達し,又は直接放射して,他の機器の性能及び外部電磁環境に影響を与える。
イミュニティ要件のための試験用の許容基準は,動作要件として規定された性能基準に関係する。
エミッションを制限するこれらの要求の目的は,機器及びシステムによって発生する妨害が,他の機器
及びシステムの意図された動作が確保されるレベルを超えないことを確実とするためのものである。
備考1. 7.に規定されたイミュニティの最低要件は,代表的な電磁環境を示したもので,船用のイミ
ュニティの適切なレベルを明確にするために選定されたものである。
2. しかしながら,他の船上機器が受信アンテナから3 m以内の距離で使用される場合,この規
格のエミッションの制限値は,無線受信機障害に対して十分な保護とはいえない(附属書B
参照)。
3. 妨害に鋭敏な機器が送信アンテナから3 m以内の距離で使用される場合のような特別な場合,
7.で規定した制限値より高くイミュニティ特性を向上させるための追加の対策を採用しなけ
ればならない場合がある。

5. EMC試験計画

5.1   目的 試験を実施する前に,EMC試験計画を制定しなければならない。EMC試験計画は,少なく
とも5.25.5の規定による要素を含まなければならない。
この規格の試験は,通常,形式試験として実施し,可能な限り,EMC試験所で実施しなければならない。
EMC試験方法については,IEC基本規格を参照するが,形式試験が実施不能な場合(EUTの寸法,機能
的な動作などのため),必要に応じて,試験所で条件に合わせた試験方法で個々の試験を実施して差し支え
ない。
5.2 EUTの構成
5.2.1 一般 船用システムは,統一された機器構成ではない。単体又は統合設置にかかわらず,形式,数
量,機器の設置方式は,システムごとに異なる場合がある。したがって,すべての構成を試験することは
合理的でなく,形式試験の実施が推奨される。
EMC状況(エミッションとイミュニティの両方に関する)の現実的なシミュレーションのためにEUT
は,ケーブル,給電などの補機器を含め,実際の設置状況を代表するものとして構成しなければならない。
このEUT構成は,可能な限り通常状態(ソフトウェアを含んで)で試験しなければならない。
5.2.2 EUTの機器構成 システム,サブシステム又は分散して設置される場合のある機器の形式試験の
場合,実際的な設置状況を再現するために,EUTのすべての構成要素を含む1種類以上の代表的な構成を
選択しなければならない。選択された構成の根拠を,EMC試験計画に記述しなければならない。
備考 試験完了後に発行される形式試験証明書は,EMC試験計画に記載されているEUT機器構成に
だけ有効である。
5.2.3 EUT接続ケーブル 十分な数量の各種の接続ケーブルを選択しなければならない。各種類ごとの
接続ケーブルの少なくとも一つは,代表された構成での試験に使用しなければならない。
接続ケーブルは,標準タイプ(表C.1参照)のものを採用しなければならない。
特殊ケーブルが必要とされる場合,EUTの製造業者は,その仕様書を提供するのが望ましい。

――――― [JIS F 8081 pdf 10] ―――――

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JIS F 8081:2005の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60533:1999(IDT)

JIS F 8081:2005の国際規格 ICS 分類一覧

JIS F 8081:2005の関連規格と引用規格一覧