JIS K 0400-38-20:1999 水質―シアン化物の定量―第2部:容易に遊離するシアン化物の定量 | ページ 3

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K 0400-38-20 : 1999 (ISO 6703-2 : 1984)

12. 手順

12.1
− 吸収容器の内容物を全量フラスコ25mlに移す。吸収容器を水約3mlずつで3回すすぎ,すすいだ液
をフラスコに移し,水で標線まで薄め,混合する。
− この溶液10mlをピペットで,別の全量フラスコ25mlに移し,混合しながら緩衝液(10.1)2ml,塩酸
(1mol/l) (4.2)4ml及びクロラミンT溶液(10.4)1mlを加え,このフラスコに栓をし,5±1分間放置する。
− ピリジン−バルビツル酸溶液(10.5)3mlを加える。水を標線まで加え,混合する。
− 対照液(2)に対して光路長10mmのセルで,578nmにおける吸光度を測定する。測定はピリジン−バル
ビツル酸溶液を添加後,20±5分間後に行う。
− 空試験液(7.2)の吸光度を同様に測定する。
12.2 検量線の作成
12.2.1 標準液の調製
− シアン化カリウム標準液(10.6)2,5,20及び25mlをそれぞれピペットで四つの全量フラスコ250mlに
とる。水酸化ナトリウム溶液(10.2)で標線まで薄めて,混合する。
− 12.1の第2及び第3段落に従って操作する。
12.2.2 吸光度測定 12.1の第4段落に従って操作する。
12.2.3 検量線のプロット 溶液のシアン化物含有量,mg,に対して吸光度のグラフをプロットする。吸
光度と濃度との関係は直線である。このグラフは時々,特に新しい包装の試薬を使用した場合は,確認す
る。
標準液の絶対値は,硝酸銀溶液による滴定によって確認する。

13. 試験結果の表現

− 容易に遊離するシアン化物の濃度,mg/lは,次の式によって求められる。
ma mb 1000
f1 f2 VS
ここに, ma : 検量線から読み取った試験液中のシアン化物の含有量 (mg)
mb : 空試験液のシアン化物の含有量 (mg)
Vs : 試料の体積 (ml) (7.1参照)
f1=0.4 : 吸収容器の内容物の40%だけを定量に用いたとして
f2=0.97 : サンプリング直後に保存剤の添加による試料の体積が増加
する。中和のために,試料各1l当たり,試薬を10ml以上を
用いたとき,この係数は,10mlにつき0.01だけ低くなる。
− この試験結果は,表2に示された精度を考慮に入れ,mg/lで報告する。

14. 精度

 表2に示す精度データは,室間試験で得られた。試料はごみ埋立地の地下水から採取した。

15. 試験報告

 報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) 用いた方法の引用[すなわち,JIS K 0400-38-20 (ISO 6703-2) 吸光光度法]
b) 結果及び用いた表現方法
(2) 吸収液の代わりに,水酸化ナトリウム溶液(10.2)10mlを用いて対照液とする。

――――― [JIS K 0400-38-20 pdf 11] ―――――

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c) 定量中に気付いた異常な特別事項
d) 結果に影響を及ぼしたかもしれない付随的事項とともに,この規格の第1章及び第2章に規定されて
いないか,又は随意と考えられる手順の詳細な説明。
表2 精度データ(吸光光度法)
試料 試験室数 シアン化物 変動係数
含有量
mg/l %
シアン化カリウム溶液 16 4.6 6
安定化した試料 16 0.13 31
シアン化カリウムを添加 16 0.32 22
した安定化試料
第3章 シアン化物イオンの定量−チンダル効果を用いる滴定法

16. 適用性

 この方法は,シアン化物が0.005mgを超えて含まれている吸収液に適用できる。
この方法は,吸収液がわずかに濁っているときは滴定できるが,かなり濁っているときは適用できない。
強く濁っている吸収液は,クロロホルム12mlと振り混ぜることによって“クリーンナップ”すること
ができる。相分離は遠心分離器の使用によって促進できる。
備考 原国際規格では四塩化炭素を使用しているが,この規格ではクロロホルムに変更した。

17. 原理及び反応

 シアノ銀錯イオンの生成は,次の式に従う。
2CN−+Ag+→[Ag(CN)2]−
ここで,過剰の銀イオンが存在すると,シアン化銀の沈殿が生成する。
[Ag(CN)2]−+Ag+→2AgCN
よう化カリウムを添加すると終点の検出が改善される(よう化銀の溶解度積はシアン化銀のそれより小
さいため
I−+Ag+→AgI
コロイド状よう化銀の生成は,チンダル効果によって示される。

18. 試薬

 分析には,分析用と認められたものだけを,また,使用する水は蒸留水又はイオン交換水でな
ければならない。
18.1 硝酸銀,溶液,c (AgNO3) =0.01mol/l JIS K 8550に規定する硝酸銀を用いて調製する。
18.2 硝酸銀,溶液,c (AgNO3) =0.001mol/l この溶液の貯蔵及びビュレットの使用は暗所で行う。この
溶液の力価は頻繁な間隔で確認するか,又は使用前に硝酸銀溶液(18.1)を用いて新しい溶液を調製する。
18.3 よう化カリウム,溶液 JIS K 8913に規定するよう化カリウム20gを水に溶かし,水で薄めて100ml
にする。

19. 装

置(図2参照) 通常の試験室用の装置,及び19.1 自動ビュレット(暗色ガラス) 容量10ml,0.005mlの正確さで体積が測れるもの。自動ビュレッ
トが入手できなければ,ミクロビュレット。
19.2 マグネチックスターラー 黒い台と黒い回転子付き。

――――― [JIS K 0400-38-20 pdf 12] ―――――

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19.3 高輝度光源 例えば,焦点調節ができるレンズ及び絞り付きの顕微鏡ランプ,絞り付きのスライド
プロジェクター,又は絞り若しくは光ファイバー光学系付きのダブルビームランプ。絞り穴の口径は4
6mmでなければならない。
19.4 滴定容器 ガラス製,印のないもの。内径約25mm,容量は20ml。

20. 手順

− 吸収容器の内容物を全量フラスコ25mlに移す。この容器を水約3mlずつで3回すすぎ,すすぎ液も
このフラスコに入れ,標線まで水で薄め,混合する。
− 滴定はなるべく,暗い部屋の中で行うとよい。
− 光線のビーム中に全量フラスコを置く(図2参照)。もし,この溶液が濁っていれば,16.を参照する。
チンダル効果が明確に認められないときは,ピペットを用いてこの溶液10mlずつを2個とり,2個の
滴定容器(19.4)に移し,それぞれによう化カリウム溶液(18.3)1滴を加える。
− 一つの滴定容器をマグネチックスターラーに載せ,回転子を入れる。もう一つの滴定容器を最初の容
器と光源との間に置く(図2参照)。ダブルビームランプを使用する場合は,容器を並べて置く。硝酸
銀溶液(18.2)が入っているビュレットの先端を溶液の中につけ,マグネチックスターラーのスイッチを
入れて滴定を始める。よう化銀の生成は遅いので,ゆっくりと滴定を行う。
− チンダル効果による濁りが明りょうに認められるときが終点である。これは硝酸銀溶液を加えない対
照試料との比較によって容易に認めることができる。使用した硝酸銀溶液の体積を記録する。もし,
滴定量が5mlを超えるときは,全量フラスコから2個の少ない分取量(例えば,1ml)をピペットを
用いて二つの滴定容器にとり,これに水酸化ナトリウム溶液(10.2)を加えて全体積を10mlとする。滴
定を繰り返す。
− 滴定容器を交換し,回転子を入れる。二つ目の溶液を最初と同じ濁りの程度まで滴定し,用いた硝酸
銀溶液の体積を記録する。
− 空試験液(7.2)を用いて同様な操作を行う。この試験において,二つの滴定に使用した硝酸銀溶液の合
計量は,通常が0.02mlである。ただし,それぞれの場合において,0.04mlを超えてはならない。
図2 チンダル効果を用いたシアン化物イオンの定量装置

21. 試験結果の表現

− 容易に遊離するシアン化物の濃度,mg/lは,次の式によって求められる。

――――― [JIS K 0400-38-20 pdf 13] ―――――

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(V1 V2 V0 ) 1 1000
f2 f3 Vk
ここに, V0 : 空試験の二つの滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の全体積 (ml)
V1 : 初めの滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (ml)
V2 : 2回目の滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (ml)
VK : 試料の体積 (ml)
f1=0.052 : 0.001mol/l硝酸銀溶液1mlに相当するCN−の質量 (mg)
f2=0.8 : 吸収溶液の内容物の80%だけを滴定に用いたとして
f3=0.97 : サンプリング直後の保存剤の添加による試料の体積が増加す
る。中和のために,試料各1l当たり,試薬10ml以上を用い
たとき,この係数は,10mlにつき0.01だけ低くなる。
− 試験結果は,表3に示した精度を考慮に入れて,mg/lで報告する。

22. 精度

 室間試験から得られた精度データを表3に示す。試料はごみ埋立地の地下水から採取した。

23. 試験報告

 報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) 用いた方法の引用[すなわち,JIS K 0400-38-20 (ISO 6703-2) チンダル効果を用いる滴定法]
b) 結果及び用いた表現方法
c) 定量中に気付いた異常な特別事項
d) 結果に影響を及ぼしたかもしれない付随的事項とともに,この規格の第1章及び第3章に規定されて
いないか,又は随意と考えられる手順の詳細な説明。
表3 精度データ(滴定法)
試料 試験室数 シアン化物 変動係数
含有量
mg/l %
シアン化カリウム溶液 16 4.6 5
安定化した試料 16 0.15 33
シアン化カリウムを添加した 16 0.31 19
安定化試料
第4章 シアン化物イオンの定量−指示薬を用いる滴定法

24. 適用性

 この方法は,0.05mgを超えるシアン化物を含む吸収溶液に適用できる。
この方法は,吸収溶液に色が付いていたり,強い濁りがあれば適用できない(3)。

25. 原理

 硝酸銀溶液による吸収容器の内容物の滴定。この銀イオンの過剰と5-(4-ジメチルアミノベン
ジリデン)ロダニンとの赤い銀錯体の生成。

26. 試薬

 分析には,分析用と認められたものだけを,また,使用する水は蒸留水又はイオン交換水でな
ければならない。
18.に規定した試薬,及び
(3) 色が付いたり,著しい濁りがあれば,電位差法を用いる。

――――― [JIS K 0400-38-20 pdf 14] ―――――

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26.1 指示薬溶液 5-(4-ジメチルアミノベンジリデン)ロダニン0.02g(JIS K 8495に規定するp-ジメチ
ルアミノベンジリデンロダニンを用いる。)をJIS K 8034に規定するアセトンに溶かし,アセトンで薄め
て100mlとする。
この溶液は,暗所に保管すれば約1週間は安定である。

27. 装置

 通常の試験室用の装置,及び
27.1 マグネチックスターラー 回転子付き
27.2 ビュレット 容量10ml
27.3 滴定容器 ガラス製,容量50ml

28. 手順

− 吸収容器の内容物をビーカー50mlに移す。この容器を水約5mlずつで3回すすぎ,すすいだ液をビー
カーに加える。指示薬溶液(26.1)0.1mlを加える。硝酸銀溶液(18.2)を入れたビュレットの先端を液に浸
す。マグネチックスターラーのスイッチを入れて,液の色が黄色から赤に変わるまで滴定する。
色はごく短い時間だけ安定である。
もし,硝酸銀溶液(18.2)が10ml以上必要であれば,硝酸銀溶液(18.1)を用いて滴定する。
− 空試験液を使用して,同様に行う(4)。
この空試験においては硝酸銀溶液(18.2)の体積は通常0.08mlである。しかし,0.2mlを超えてはならない。

29. 試験結果の表現

− 容易に遊離するシアン化物の濃度,mg/lは,次の式によって求められる。
(V1 V0 ) 1 1000
f2 VS
ここに, V0 : 空試験に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (ml)
V1 : 滴定に要した硝酸銀溶液(18.2)の体積 (ml)
Vs : 試料の体積 (ml) (7.1)
f1=0.052 : すなわち,0.001mol/l硝酸銀溶液(18.2)の1mlに相当する
CN−の質量 (mg)
f2=0.97 : サンプリング直後に添加した保存剤によって試料体積が
増加したとして。この係数は,中和によって,試料各1l
当たり,試薬10ml以上を用いたとき,10mlにつき0.01
だけ低くなる。
− 0.1mg/l近くまでの結果を報告する。
備考 もし,0.01mol/l硝酸銀溶液(18.1)を使用したときは,適切な補正を行わなければならない。

30. 試験報告

 報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) 用いた方法の引用[すなわち,JIS K 0400-38-20 (ISO 6703-2) 指示薬を用いる滴定法]
b) 結果及び用いた表現方法
c) 定量中に気付いた異常な特別事項
d) 結果に影響を及ぼしたかもしれない付随的事項とともに,この規格の第1章及び第4章に規定されて
(4) 空試験液は,水酸化ナトリウム溶液(4.3)10m1及び水20mlを用いて調製する。

――――― [JIS K 0400-38-20 pdf 15] ―――――

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