JIS Z 3110:2017 溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術 | ページ 11

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Z 3110 : 2017
D.2 最小グレイ値の決定
厚さが均一でない試験体のCR検査を行う場合,SNRNの測定は,デジタル画像において均一なGVとな
っている領域を必要とするため,最小SNRNの代わりに最小グレイ値(GVmin)を指定することが望ましい。
この場合,異なる画像処理ソフトウェアを用いて簡便に行ってもよい。
GVlinは,正確なSNRN及びこれに等価なGVを測定するための前提条件である。つまり,GVは,走査さ
れたIPの指定された場所において,線量に正比例(オフセットなし)する必要があることを意味する。こ
れは,通常,製造業者のソフトウェアによって提供されている。
画像処理が施されていないCRシステムがGVlinを供している場合は,CR技術の使用に当たり平均GV
への画像SNRNの依存性を利用することができる。GVとSNRNとの関係は,読取装置の型式,読取りのパ
ラメータ及び同じIPの型式の組合せだけで利用することができる。画素サイズ,走査速度,光電子増倍管
の電圧又はゲインなどの読取装置の設定値を変更した場合は,要求されるSNRNに相当するGVminを新たに
決定しなければならない。
注記1 CRにおいて,SNRNと平均GVとの相関関係は,X線管電圧が50 kVを超えるX線装置から
数MeVの高エネルギーX線発生装置までの広範囲においては,X線管電圧及びX線管電流
の設定に依存しない。これは,γ線源においても同様である。この関係は,DDAには適用で
きない。GVminの格付けは,附属書Cに規定する撮影条件で使用する最小SNRNに相当する。
表3又は表4の最小SNRNに相当するGVminを求めるために,a) d)に定められている手順が適用できる。
a) 図D.1に示す階段状試験片の撮影を行う。シェーディング効果を避けるために,広い面積の階段をも
つ階段状試験体を使用することを推奨する。階段状試験体は,検出器のデジタル画像の全面を覆わな
ければならない。
b) 図D.2に示すように,各段における平均GV及びSNRNを測定する。
c) 平均GVの関数として測定したSNRN(又はSNR)をグラフにプロットする(図D.3参照)。
d) 表3又は表4に従い,仕様で要求される最小SNRNに対する等価なGVminを求める。表D.2に例を示す。
得られたGVは,フィルム撮影技法における最小光学フィルム濃度に相当するGVminを求めるために使
うことができる(図D.3参照)。
a) d)の手順に代えて,異なる照射線量(X線源)又は撮影時間(γ線源)でIPを撮影してもよい。照
射は,附属書Cと同じ条件で行うことが望ましい。
これを製品のデジタル画像に適用する場合,IP用ハードカセット又はIPソフトカセットの前に,追加
スクリーン又は鋼製又はアルミニウムの平板を使用しなければならない。GVminは,表D.1に規定されてい
る要求されるSNRN又は図D.3に示すSNRの達成値に相当するデジタル画像から求めなければならない。
生産現場でのデジタル画像の関心領域のどの部分においても規定のGVminを達成する場合は,デジタル
画像においてSNR又はSNRNの値の測定は必要ない。
より精度を高めるために,図D.3に示すような図を描くことを推奨する。
GVminを仕様として使用する場合は,CR読取装置の詳しい設定及びそれに対応するIPの形式を記録する。
GVminの最終仕様は,例えば,表D.2のような表で示すことが望ましい。
注記2 使用したCR読取装置の種々のSNRN,その走査パラメータ(例えば,ゲイン設定1)及びIP
の種類に対応する値として,GVを指定してもよい。
読取装置システムで高いGV及び低いゲイン設定値であれば,低いSNRNを指定してもよい。このような
値が確認される場合は,超えてはならない最大GVを指定しなければならない。

――――― [JIS Z 3110 pdf 51] ―――――

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記号
1 X線管
2 銅製のフィルタ
3 コリメータ
4 銅製の階段状試験体
5 カセットに収納されたIP
図D.1−表3又は表4の必要最小SNRNに対するCRの等価GVを求めるための撮影配置

――――― [JIS Z 3110 pdf 52] ―――――

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図D.2−階段状試験体画像の段における平均GV及びSNRNの測定結果
表D.2−GVminの要求規定例(図D.3も参照)
要求されるSNRN ゲイン設定1に対応する ゲイン設定2に対応する
GVmin GVmin
150 1250 2500
120 1015 2030
100 590 1180
70 270 540

――――― [JIS Z 3110 pdf 53] ―――――

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記号
1 階段状試験体測定値
2 階段状試験体測定値の近似曲線
X GV
Y SNRN
図D.3−図D.2に従って測定したSNRN対平均GVのプロット図

――――― [JIS Z 3110 pdf 54] ―――――

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附属書E
(参考)
グレイ値に関する補足事項
E.1 導入
CRでは,視覚(可視性)を画像コントラストとノイズとの関数として表現するために,GVを使用して
もよい(フィルム撮影技法における濃度及びフィルムシステムクラスの代わりに,SNR又はGVを使用す
る)。したがって,GVlinを使用して,ある部分の特定領域内で吸収された放射線量を測定することができ
る。12ビットCRシステムの場合,この関係からGV“0”は,照射線量“0”に相当するが(フィルムの
ネガ表示では白い部分),GV“4095”は検出器の飽和状態に相当する(フィルムのネガ表示では黒い部分)。
GV及びSNRNの測定は,関心領域内の平均GV(平均値),及び/又は関心領域内におけるGVの標準偏
差に対する平均GVの比率であるSNRNを求めるソフトウェアを使用して行わなければならない。関心領域
の最小画像領域は,定量的測定のために,1 100画素(すなわち,20×55画素。ISO 16371-1参照)で構成
する。
測定したIPのGVは,任意の放射線線質に関して,照射線量に正確に比例する。読取装置の内部(電子)
ゲインの設定値,光電子増倍管の特性,及びAD変換特性(例えば,ビット数)が,線量とGVとの比例
係数を決定する。これらのパラメータのいずれかを変更した場合は,附属書Dに規定されているように,
最小グレイ値(GVmin)を新たに決定する必要がある。一部のシステムでは,対数で表すGV又は平方根特
性で表すGV又は未知のゼロ値による正規化した値でGVを提供することがある。このような値は,線形
化し,実際のゼロ値(照射線量“0”に対応)に関連付けなければならない。もしそうでなければ,フィル
ムの濃度に対応する値として,GVを用いてはならないし,SNR又はCNRのそれぞれの測定でGVを扱う
こともできない。GV及びSNRN値は,デジタル画像のデジタルフィルタリングを行う前に決定しなければ
ならない。
E.2 ノイズ
CRの画像は,最適ではない条件で撮影すると,過度なノイズ(低SNRN又は低CNRN)によって,画質
要件を実現する際の障害となることがある。
より最適な撮影を行うために,留意すべき事項は次による。
a) 線源又はγ線源からの照射線量が低いと,CNRNが低くなる。CNRNは,線量が達成可能な最大値に
まで増加するにつれて非線形で増加するが,これは実際の検出器の構造ノイズ(固定パターンノイズ)
が原因である。
b) Pにおける画像ノイズの原因は,放射線の影響を受けやすい結晶の内部構造及び表面粗さである。高
品質のデジタル画像を得るためには,構造ノイズの低い微粒子タイプのIPを選択することが望ましい。
製造業者は,IP読取装置システムの達成可能な最大SNRNに関する情報を提供することが望ましい。
c) DAは構造ノイズを発生させるが,これは,検出器素子の様々な特性が原因である。これらは,校正
手順によって均一化することができる。より精密な校正方法を使用することで,非常に高いSNRを達
成することができる。熱等の効果及び限られた校正時間によって,校正の有効性が制限されるため,
補正しきれない残留固定パターンノイズが残る。
d) ノイズは,高ニッケル基合金又は粗い表面をもつ一部の物質によって散乱線として生じることがある。

――――― [JIS Z 3110 pdf 55] ―――――

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JIS Z 3110:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17636-2:2013(MOD)

JIS Z 3110:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3110:2017の関連規格と引用規格一覧