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ての部)によるほか,次による。
3.1
測定量(measurand)
測定されるべき明確に定義された物理量で,基本的に固有の値によって特性付けられる量。
3.2
測定の不確かさ(uncertainty of measurement)
測定の結果に伴う,合理的に測定される量に結び付けられ得る値のばらつきを特徴付けるパラメータ又
はパラメータの推定値。
3.3
タイプAの評価(Type A evaluation)
統計的方法を用いた不確かさの評価方法。
3.4
タイプBの評価(Type B evaluation)
統計的方法以外の手段による不確かさの評価方法。
3.5
標準不確かさ(standard uncertainty)
単一の不確かさ成分について標準偏差で表される測定の結果の不確かさ。
注記 この規格の第1部及びGUMでは,次のように定義している。
“標準偏差で表される,測定の結果の不確かさ”
3.6
合成標準不確かさ(combined standard uncertainty)
特定の測定又は一連の測定の結果の標準偏差であって,一つ以上の不確かさの成分を計算に入れたもの。
注記 この規格の第1部及びGUMでは,次のように定義している。
“測定の結果が幾つかの測定量以外の量の値から求められるときの,測定の結果の標準不確
かさであり,これらの各量の変化に応じて測定結果がどれだけ変わるかによって重み付けした,
測定量以外の量の分散又は共分散の和の正の平方根に等しい。”
3.7
拡張不確かさ(expanded uncertainty)
合成標準不確かさに包含係数を乗じたもの。ただし,包含係数は,通常,合成標準不確かさの自由度及
び希望する包含率に応じて,t分布から選ばれた限界値である。
注記 この規格の第1部及びGUMでは,次のように定義している。
“測定の結果について,合理的に測定量に結び付けられ得る値の分布の大部分を含むと期待
される区間を定める量。”
3.8
有効自由度(effective degrees of freedom)
二つ以上の変数成分で構成された標準偏差に対応する自由度。
注記 有効自由度は,ウェルチ=サタスウェイト(Welch-Satterthwaite)の近似を用いて計算できる
(GUM,G.4参照)。
3.9
枝分かれ実験計画(nested design)
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ある因子のすべての水準が,他のすべての因子の一つの水準だけに現れる実験の計画。
注記1 この定義は,JIS Z 8101-3から採用した。
注記2 “水準”の定義については,JIS Z 8101-3を参照。
3.10
固定効果(fixed effects)
因子がとり得る値の中から,実験に際し事前に設定した水準から生じる効果。
注記 例えば,5名のオペレータの違いを評価する場合には,オペレータを因子とし5名のそれぞれ
を水準とする。各オペレータのかたより(各オペレータの効果)を 愀 ···, 愀 この
かたよりは,各オペレータに固有であって,同じ実験を更に繰り返しても再現すると考えられ
る。このように効果が一定値で再現するものを固定効果(母数効果)という。オペレータの効
果を評価し,その原因を突き止め,標準化することによって,技能の向上を目的とする場合に
適している。
3.11
偶然効果(random effects)
各因子の水準において,因子がとり得る値の母集団からサンプリングした結果生じる効果。
注記 例えば,5日にわたる実験で,実験日の影響を評価する場合には,実験日を因子とし5日のそ
れぞれを水準とする。各実験日の影響(効果)を 戀 ···, 戀
して評価し,同じ実験を更に繰り返しても,実験日が異なり再現するとは考えられない。この
ように影響(効果)が再現せず,確率的変動として扱うことがふさわしいものを偶然効果(変
量効果)という。オペレータの効果についても,オペレータの集団の中からランダムに割り当
てられたオペレータを水準として,オペレータが異なることによって,ばらつきがどの程度増
大するのかを一般的に評価することを目的とする場合には,オペレータも偶然効果として扱う
ことができる。
3.12
バランス型枝分かれ計画(balanced nested design)
上位の因子内で水準数が一定の枝分かれ計画。
注記 この定義はJIS Z 8101-3から採用した。
3.13
偶然誤差の平均平方(mean square for random errors)
誤差の二乗の和を対応する自由度で除したもの。
注記 “自由度”の定義については,JIS Z 8101-1を参照。
4 不確かさの評価の統計的方法
4.1 GUMのアプローチ
GUMは,測定結果がすべての認識された有意な系統的効果に対して補正されること,その結果が測定
量の最良の(又は少なくともかたよりのない)推定となること,及び測定システムの完全なモデルが存在
することを推奨している。このモデルは,一連の入力量(測定量はこれに依存する。)と測定量(出力量)
との関数関係を示すものである。不確かさの評価の目的は,測定量に合理的に結びつけられ得る値の分布
の大部分を包含すると期待できる間隔を決定することである。かたよりは正確に定量化できないので,測
定結果をかたよりに関して補正すると,更に補正をしたことによる不確かさをもつことになる。
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モデル化プロセスから始まる一般的アプローチは,次による。
注記 このアプローチは,相互に独立している入力量に関係しており,また,相互に依存する入力量
に更に一般化できる(GUM,5.2参照)。
a) モデル入力量(影響量を含む。)をモデル出力量(測定量)に関連付けるための,測定プロセス又は測
定システムの数学的モデル(関数関係)を作成する。多くの場合,このモデルは,測定結果を計算す
るために使用する公式(一つ又は複数)であり,必要に応じて,不確定な効果,環境による効果及び
測定結果に影響を与えることのあるかたより補正のような,その他の効果で拡大される。
b) モデル中の入力量に,最良推定値及びこの標準不確かさ(標準偏差として表現した不確かさ)を割り
当てる。
c) 各入力量に起因する,測定結果の標準不確かさへの寄与分を評価する。これらの寄与分は,入力量に
かかわる偶然効果及び系統効果の両者の不確かさを考慮しなければならず,また,それ自体は,より
詳細な不確かさの評価を含んでいることがある。
d) 測定結果の(合成)標準不確かさを得るために,これらの標準不確かさを合成する。この不確かさの
評価は,GUMに従って,不確かさの伝ぱ(播)則を用いて行うか,又は不確かさの伝ぱ(播)則が
適用できない場合,若しくは適用できるかどうか分からない場合には,より一般的な解析的方法又は
数値的方法によって行う。
e) 適切な場合は,拡張不確かさと,それによって規定の信頼度における測定量に対する包含間隔を得る
ために,測定結果の標準不確かさとに包含係数を乗じる。GUMは,包含係数を計算するために使用
できるアプローチを示す。すべての入力量の標準不確かさに対する自由度が無限である場合,包含係
数は正規分布から求める。それ以外では,合成標準不確かさに対する(有効)自由度は,入力量の最
適推定の標準不確かさに対する自由度から,ウェルチ=サタスウェイト(Welch-Satterthwaite)の公式
を用いて推定する。
GUMは,標準不確かさの評価に,適切などのような方法を用いることも認めている。GUMは,不確か
さの評価方法を,併行観察結果の統計的処理によるタイプAの評価と,その他の手段によるタイプBの評
価とに区別している。合成標準不確かさの評価では,いずれのタイプの評価による不確かさも,分散(標
準不確かさの二乗)によって特徴付けて,同じ方法で処理することになっている。
この手順,及びその基礎となる付加的な仮定の詳細は,GUMに記載されている。
この規格の目的は,入力量の併行測定又は全測定操作による併行測定のいずれによって得られたかには
関係なく,上記b)を中心に,統計的手段による統計的不確かさの評価についての詳細を追加することであ
る。
この規格では,“測定対象物(artefact)”という用語を測定との関係においてしばしば用いる。この用語
を用いることによって,測定がバルク品目又は化学薬品などに対して行われるという一般的な説明になる。
4.2 チェック用標準
チェック用標準とは,次の特性をもつことが必要とされる標準である。
a) 定期的に測定できなければならない。
b) 生産品目に対して,組成及び形状が近似していなければならない。
c) 安定した人工物でなければならない。
d) 常に,測定プロセスで利用可能でなければならない。
理想的なチェック用標準は,標準がこれらの特性をもつことを条件として,該当する場合は生産品目か
らランダムに選択され,かつ,この目的のために確保されたものである。
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チェック用標準の使用例には,次のものが含まれる。
− 安定した測定対象物についての測定
− 校正実験から推定した,二つの参照標準の値の差
チェック用標準の測定値を解析する方法については,5.2.3で規定する。
この規格では,“チェック用標準”という用語を一般的な説明に用いる。例えば,バルク品目又は化学薬
品が使用されることもある。
4.3 不確かさの評価のステップ
4.3.1 不確かさの評価における第一歩は,試験品目について,測定結果を報告するための測定量を定義す
ることである。結果として生じる不確かさはこの定義によって左右されるため,測定量を明確に定義する
ように特に配慮することが望ましい。測定量の定義は,次のものが考えられる。
− ある瞬間における,空間のある1点における量
− ある瞬間における,特定の空間領域を平均した量
− ある期間全体にわたって平均した,空間のある1点における量
例えば,セラミック材料の試料の硬さに対応する測定量は,次の場合で(非常に)異なる。
a) 試料の特定の1点におけるもの
b) 試料全体にわたる平均とするもの
4.3.2 測定量の値が直接測定できる場合,標準不確かさの評価は,併行測定の数並びに併行測定を実施す
る環境条件及び作業上の条件によって左右される。また,参照標準に対する校正の不確かさのような,測
定を繰り返すために選択した条件では見つけることができないその他の不確かさの要因によっても左右さ
れる。他方,測定量の値が,直接測定することはできないが,間接的な量の測定から計算できる場合には,
様々な量を合成するためのモデル(又は関数関係)を定義しなければならない。この場合,測定量の値の標
準不確かさを評価するために,間接的な量の最適推定値の標準不確かさを評価する必要がある。
不確かさの評価で従うべきステップの概要は,次による。
a) タイプAの評価 :
1) 出力量をYで表し,Yを繰返し測定できる場合は,次の偶然効果の分散成分の推定値を求めるため
に分散分析モデルを使用する。
− 試験品目に対する繰返し測定の結果のばらつき
− チェック用標準の測定のばらつき
− 実験計画に従って行った測定のばらつき
2) を直接繰返し測定できず,また,次のモデル
Y f(X1,X2 , ,Xn )
が知られていて,更に,入力量Xiを繰返し測定できる場合は,Xiの最適推定値xiの不確かさを評価
する。これによって,不確かさの伝ぱ(播)則を使用できる。
3) 又はXiの測定を繰返しできない場合は,タイプBの評価を参照する。
b) タイプBの評価 : 各入力量の最適推定値の標準不確かさを評価する。
c) 測定結果の標準不確かさを得るために,タイプA及びタイプBの評価からの標準不確かさを合成する。
d) 拡張不確かさを計算する。
4.4 この規格における例
この規格にある例及び箇条8の詳細なケーススタディは,幾つかの不確かさの要因をもつ測定プロセス
の不確かさについて,その評価方法を説明することを目的としている。利用者は,これらの箇条で説明し
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ている原則を,個別の用途に合わせて一般化することが望ましい。これらの例では,測定結果に対するか
たよりという形をとった,偶然効果及び系統効果の両方の効果を示す。ここでは,経時的に観察される不
確かさ,例えば,短期的な期間に対する不確かさ(併行精度),及び再現精度と同様に,日々の又は実験ご
との中間再現精度の方法に対する不確かさを定量化することに重点を置いている。利用者の目的のために
は,問題の測定プロセスにとって意味をなすような方法で定義することが望ましい。
不確かさの複数の要因を取り扱うための方策を明らかにするために,米国国立標準技術研究所(NIST)
の電気技術研究所からのデータを利用する。この測定値は,シリコンウエハの体積抵抗率(Ω・cm)であ
る。ウエハの表面のプローブによって抵抗を測定することが本質的に困難であること,及び測定量がASTM
試験方法で定義されていて,方法とは無関係に定義することができないという理由から,これらのデータ
が説明するために選ばれた。
実験の意図は,特殊な形で配線した4端子法を用いて認証を受けた,様々なレベルの抵抗率(Ω・cm)
におけるシリコンウエハの抵抗率測定の不確かさを評価することである。試験方法は,ASTM法F84であ
る。各ウエハについて報告されている抵抗率は,ウエハの中心部での6回の短期併行測定の平均値である。
5 不確かさのタイプAの評価
5.1 一般
5.1.1 一般的に,繰返しが可能な測定結果(GUM,3.1.43.1.6参照)は,タイプAの評価に適したデー
タを提供できる。タイプAの評価は,例として,次の点に基づいて行うことができる。
− 結果を得るために必要な測定のプロセス又はそれに加えて行う,試験品目についての繰返し測定結果
− 実際の測定を行う前の,方法の妥当性評価時に行われる,適切な試験材料についての測定結果
− 適切とみなされる場合,測定方法の安定性をモニターするために一定期間にわたって繰返し測定され
た試験材料,すなわち,チェック用標準の測定結果
− 認証標準物質又は参照標準についての測定結果
− 影響する量の繰返しの観測及び識別(例えば,試験所内の環境条件の定期的又はランダムなモニタリ
ング,測定結果を計算するために使われる量の繰返し測定など)。
5.1.2 タイプAの評価は,偶然効果及び系統効果の双方に適用できる(GUM,3.2)。不確かさの評価が,
一連の測定結果の統計的解析に基づくものであることが唯一要求される。偶然効果と系統効果との区別は,
次のように行う。
− 偶然効果は,測定の単位(観察)ごとに変動するもので,補正を行わない。
− 系統効果は,短期間の幾つかの観察の間,基本的に一定であるとみなすことができるもので,少なく
とも理論的には,補正したり,結果から除くことができる。
系統効果と偶然効果との区別が困難な場合には,これらは関連する統計モデルの使用及び解釈の問題と
なる。一般的には,偶然効果と系統効果とを区別することはできない。
GUMでは,一般に,すべての系統効果を補正すること,すなわち,このような原因からの不確かさは
補正の不確かさだけとすることを推奨している。枝分かれ計画を用いた不確かさのタイプAの評価におけ
る時間の役割は5.2で規定する。測定の方法及び材料の不均質性による不確かさは,それぞれ5.3及び5.4
で検討する。測定の方法によるかたよりについての評価及び補正方法,並びにその不確かさの評価方法に
対する指針は,5.5で規定する。解析を行うに当たり,偶然効果と系統効果とのどちらが該当するかは,不
確かさの原因の報告値及び不確かさの内容への影響の仕方によって決まる。
あるタイプの測定機器について,そのタイプのすべての測定機器を代表するものとみなせるような機器
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- ISO/TS 21749:2005(IDT)
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- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
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- 規格番号
- 規格名称
- JISQ0035:2008
- 標準物質―認証のための一般的及び統計的な原則
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用
- JISZ8101-3:1999
- 統計―用語と記号―第3部:実験計画法
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-3:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
- JISZ8402-4:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-5:2002
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第5部:標準測定方法の精度を求めるための代替法
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方