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Z 8404-2 : 2008 (ISO/TS 21749 : 2005)
表6−プローブNo.2062に対する配線方法の差
ウエハ ウエア識別番号 日数 差
1 −0.010 8
2 −0.011 1
3 −0.006 2
17 1
4 0.002 0
5 0.001 8
6 0.000 2
1 −0.008 9
3 −0.004 0
39 2 4 −0.002 2
5 −0.001 2
6 −0.003 4
1 −0.001 6
2 −0.011 1
3 −0.005 9
63 3
4 −0.007 8
5 −0.000 7
6 0.000 6
1 −0.005 0
2 −0.014 0
3 −0.004 8
103 4
4 0.001 8
5 0.001 6
6 0.004 4
1 −0.005 6
2 −0.015 5
3 −0.001 0
125 5
4 −0.001 4
5 0.000 3
6 −0.001 7
二つの方法の差をプロットしたものが,図4である。この表から,差がほとんどマイナスになっている
ことが分かる。差の最大値及び最小値は,それぞれ,0.004 4及び−0.015 5である。方法によるかたより
は,差の平均値又は補正値で次のように推定する。
29
ib
b i 1
.0003 83
29
差の総数が29であることから,試料標準偏差に基づく配線のかたよりの不確かさは,次のようになる。
29
(bi b) 2
1
Sb .0000 96 cm
29 28
29の補正値 (ibについて,計算したt値
) = −4.013 3となる。補正値の確率分布の平均がゼロであると
いう仮説は,棄却される。
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 26] ―――――
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X軸 : 時間,d
Y軸 : 二つの配線構成の間の抵抗率の差,Ω・cm
1,···.,5ウエハの識別番号(表6参照)
図4−二つの配線方法の間の差−5個のウエハについて,
6日間,プローブNo.2062を使って実施された測定の一連の実験
6 不確かさのタイプBの評価
6.1 不確かさのタイプBの評価は,偶然効果及び系統効果の両者に適用する。これらの際立った特徴は,
不確かさ成分の計算がデータの統計的解析に基づいていないという点である。
タイプBの評価の実施に至る不確かさの要因の例には,次のようなものがある。
− 別の試験所で校正された参照標準
− 報告値の計算に使用された物理定数
− サンプリングできない環境効果
− 測定機器の構成/形態の調整不備
− 測定機器の不十分な分解能
6.2 参照標準に関する校正報告書,物理定数に対する不確かさの公表された報告書など,不確かさの要
因が文書化されている場合は,解析は容易である。不確かさは,通常,拡張不確かさUとして報告され,
次の公式を用いて,標準不確かさに換算される。
U
u
k
係数kが未知か又は文書化されていない場合は, k = 2とするのが安全である。個別の測定のプロセス
にとどまるが,統計的解析をするだけの十分なサンプリングができない不確かさの要因は,タイプBの評
価が必要になる。広く用いられている方法の一つが,次の項目によって,最悪のケースの効果を推定する
方法である。
− 経験
− 科学的判断
− 少数データ
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 27] ―――――
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6.3 身近な状況では,推定されたかたより又は補正値は,ある想定した統計分布から無作為抽出したも
のとみなされることができる。この場合,標準不確かさは,この分布の標準偏差とする。可能性のある統
計分布の中で,二つの分布について考える。
a) 一様分布 端点±aが与えられ,−aと+aとの間のすべての値が同程度に確からしい。
−a a
1
Ssource a
3
対応する自由度は,aが十分に定量化されたものである場合,無限大とすることができる。その他
の場合は,自由度は,aが分かっている正確さを反映するように選択する。GUM,G 4.2を参照。
b) 三角分布 三角分布では,同一端点をもつ一様分布の場合より標準不確かさは小さくなる。
−a a
1
Ssource a
6
自由度は,通常,無限大とする。
7 不確かさの伝ぱ(播)
7.1 一般
7.1.1 不確かさの評価についてこれまで示したアプローチは,いわゆる,トップダウンアプローチである。
不確かさ成分は,直接,測定を繰返すことによって評価される。このアプローチを不確かさの伝ぱ(播)
則の利用と対比するために,方形の面積を,長さL及び幅Wの組の測定を繰り返すことによって推定する。
面積A,
A=L×W
は,それぞれの繰返しから計算する。報告された面積の標準偏差は,繰返し求めた面積から直接推定する。
7.1.2 このアプローチは,次のような利点をもつ。
− 長さ及び幅の測定の間の共分散を適切に扱うことができる。
− ある範囲の測定条件の中で,また,十分な長時間で測定が行われる場合に現れる思いもよらない不確
かさの原因を適切に扱うことができる。
7.1.3 影響を与えるすべての効果を反映するような方法で,直接測定を繰り返すことができない場合があ
る。この場合,不確かさの伝ぱ(播)則の使用を検討できる(GUM)。このアプローチでは次のものを計算
する。
a) 長さの平均値と幅の平均値との積としての測定結果
b) “長さ”Lの標準不確かさ
c) “幅”Wの標準不確かさ
また,二つの変数の積に対する近似計算を用いて,二つの標準不確かさを,測定結果の一つの標準不確
かさに合成する。長さの測定値と幅の測定値との間に共分散がない場合,次に示す公式を用いる。
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 28] ―――――
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SA W2 SL2 L2 SW2
7.1.4 理想的な例では,この値は,面積測定値から直接得た値とそれほど差がないはずである。しかし,
状況によっては,次の理由から大きな差を示すことがある。
− 予測できなかった共分散
− 測定量の報告値に影響を与える乱れ
− 近似の誤差
一般に,不確かさの伝ぱ(播)則を,次のモデル,
Y )
f ( X, Z,
すなわち,一つ又は複数の変数である測定値X,Z,···.,の関数に適用すると,Yの標準偏差は,次の式
で与えられる。
2 2
f f f f
SY2 SX2 SZ2 2
SXZ
X Z X Z
ここに, S :
X Xの標準不確かさ
S :
Z Zの標準不確かさ
SXZ : X及びZの共分散
f : X,Z,...などの最適推定値であるx,z,...の点で評価した,
X
Xに関する関数fの偏微分値
7.1.5 測定を二つ一組で実施していない場合,共分散項を推定するのが困難になることがある。次のよう
な場合には,これらの項を公式から削除できる。
a) ,Zの測定値が独立な場合,その共分散項がゼロである。
b) 実際上,共分散項が十分なデータから推定されたものである場合,又はその決定について他の情報が
利用できる場合にだけ,共分散項を計算に含めることが望ましい。
一般に,Yが2個の分銅の質量の和であったり,2個のゲージブロックの端面間の長さの和であったり
などする場合には,校正して得られる試験項目の報告値はゼロでない共分散をもっているということを考
慮するのがよい。
7.2 一変数関数に関する公式
一変数の関数である報告値の標準偏差を,参考文献[6]から引用した表7に示す。報告値Yは,N個の測
定値の平均の,一変数の関数である。
7.3 二変数関数に関する公式
測定値の二変数の測定値の関数である報告値の標準偏差を,参考文献[6]から引用した表8に示す。報告
値Yは,N個の測定値の平均値の,二つの変数の関数である。標準偏差の係数を“感度係数”と呼ぶ。
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 29] ―――――
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表7−単一の変数の関数に対する標準偏差
Xの関数Y Yの標準偏差の一次近似 備考
Xは,N個の独立測定値の平均 Sは,Xの標準偏差
X
1
Y X SX
N
X SX
Y
X N1( + X2)
2X
Y (X2) SX
N
SX
Y X
2 NX
SX
Y In(X)
NX
eX Nが小さい場合,近似が悪くなり得る。
Y eX SX
N
100SX Y Xが正規分布していると仮定。
Y 参考文献[7]参照。
X 2N
表8−二つの変数の関数の標準偏差
X,Zの関数Y Yの標準偏差
X及びZは,N個の測定値の平均である。 SはXの標準偏差
X
SはZの標準偏差
Z
S2XZ はX,Zの共分散a)
1
Y AX BZ
2
A2SX B2SZ2 2AB 2
SXZ
N
2
X X SX SZ2 2
SXZ
Y 2 2
2
Z NZ X Z XZ
X Y2
Z 22
SX X 2SZ2 2
2X ZSXZ
Y NX 2
X Z
2
Y SX SZ2 2
SXZ
Y X Z 2
N X2 Z2 XZ
2 2 2
Y SX 2 SZ SXZ
Y ( X) aZ
( ) b a2 +b + 2ab
N X2 Z2 XZ
注a) 推定値が信頼できる場合は,共分散項を含める。
8 事例-ゲージ調査からの不確かさのタイプAの評価
8.1 目的及び背景
この事例の目的は,複数の不確かさの原因をもつ測定プロセスについて,不確かさの評価を示すことで
ある。対象の測定は,シリコンウエハの抵抗率(Ω・cm)である。ここでは,この測定について示された
基準であるASTMのF84方法に従って,方法Aと呼ばれる特殊な方法に配線した4端子法を用いて校正
した,約100個のシリコンウエハの抵抗測定することについて,その不確かさを計算しようとするもので
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 30] ―――――
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JIS Z 8404-2:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/TS 21749:2005(IDT)
JIS Z 8404-2:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
JIS Z 8404-2:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ0035:2008
- 標準物質―認証のための一般的及び統計的な原則
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用
- JISZ8101-3:1999
- 統計―用語と記号―第3部:実験計画法
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-3:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
- JISZ8402-4:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-5:2002
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第5部:標準測定方法の精度を求めるための代替法
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方