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Z 8404-2 : 2008 (ISO/TS 21749 : 2005)
ある。各ウエハの報告値は,ウエハ中心で,短時間で6回繰返し測定して得た値の平均値である。測定は,
測定可能な5個のNISTプローブの一つであるプローブNo.2362を用いて,アメリカ合衆国商務省国立標
準技術研究所(NIST)で実施した。
不確かさの評価では,次の時間に依存したばらつきの原因を考慮した。
a) ウエハ中心における測定の繰返し
b) 日間効果
c) ラン間の効果
さらに,次のかたよりの原因を考慮した。
− プローブNo.2362によるかたより
− 配線の方法Aによるかたより
8.2 データの収集及びチェック用標準
8.2.1 証明書用の測定それ自体は,日間及び長期的な効果について情報を与えることがないので,時間に
依存する不確かさ成分を推定するための主要な資料とはならない。三つの時間に依存する不確かさ成分を,
3段枝分かれ計画から推定した。
− J =ウエハの中心における5個の測定値
− K = 6日間
− L = 2のラン
3段枝分かれ計画に対するモデルは,次による。
Ylkj= + l+ lk +lkj
ここに,
l ,2.1 k,1 ,1
,6, 及び j 5,
8.2.2 この目的のためにウエハのロットからランダムに選択したM = 5個のウエハのそれぞれについて,
実験を繰り返した。これらのチェック用標準は,解析ではウエハ138,139,140,141及び142である。実
験はQ = 5個のプローブについても繰り返す。それらは,解析ではプローブNo.1,No.281,No.283,
No.2062,No.2362である。データには次のものが含まれる。
− ランの番号
− ウエハの識別
− 測定の月日
− オペレータ
− 温度
− ウエハ中心で五つの測定値の平均
− 五つの測定値からの短時間(併行精度)標準偏差
8.3 併行精度,日間及び長時間効果の解析
ウエハ識別番号に対して各プローブの併行精度標準偏差をプロットすることによって,プローブ
No.2362の精度を他のプローブと比較し,一致度を確認した。プローブNo.2362がラン1において最高の
精度(ばらつきの小ささ)を示したので,これを証明書用測定のために選択した。ただし,精度は,次に
示すように,不確かさに対する寄与分としては,唯一のものとも,最も重要なものともいえない。
ここでは,ウエハの効果を固定効果とする。ウエハによる交差的効果(二元配置的な直交する効果)を
伴う3段枝分かれ計画は混合モデルであり,5.2.2のモデルとは異なる。表9は,分散分析表である。
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表9−ゲージ調査データの分散分析表
要因 自由度 ν 平均平方 MS 平均平方の期待値
ラン 1 MSR .0009 198 2 2D 2R
5 30
日(ラン内) 10 MSD(R) = .0003 238 2
5 2D
誤差 48 MSE .0000 804 6 2
注記 この例において,クロスオーバ効果(ウエハと実験との交互作用効果)は,考慮していない。こうした効果
は,一つの要因が他の原因に影響を及ぼす場合に考慮する。例えば,一方の薬剤の投与が他方の効果を抑制
するような状況で,2種類の薬剤の効果を調査する場合が該当する。
併行精度,日間及び繰返し効果の分散成分も得られる。
2 2
MS E .0000 804 6
MS D(R) S E
2D 2D
.0000 486 6
5
MS R MS D(R)
2R 2R
.0000 198 7
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8.4 プローブのかたより
8.4.1 グラフ解析
プローブの精度については,8.1で規定した。プローブのかたよりは,8.4で規定する。グラフ解析は,5
個のプローブの間の相対的なかたよりを明らかにする。各ウエハについて,各プローブに対するウエハ平
均からの差を,ウエハ識別番号に対してプロットする。グラフで示すように,プローブNo.2362(識別番
号5)は,他のプローブに対してかたよりを示す。すなわち,必ず低い値を示す。このかたよりは,プロ
ーブを用いると,より一層顕著になる(ラン2)。
プローブ識別番号
− 1 = No.1
− 2 = No.281
− 3 = No.283
− 4 = No.2062
− 5 = No.2362
8.4.2 定量解析
5個のプローブに対する補正値を,各ウエハの平均値からの差として表10に示す。個別のランにおいて,
5.5.2で定義するように,k = 1,2,3,4,5(プローブNo.1,281,283,2062,2362)及びi = 138,139,
140,141,142において, bki Yki Y i である。
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表10−5個のプローブに対するかたより
ウエハ ウエハ識別番号 プローブNo. ラン1 ラン2
1 0.024 8 −0.011 9
281 0.010 8 0.032 3
138 1 283 0.019 3 −0.025 8
2 062 −0.017 5 0.056 1
2 362 −0.037 2 −0.050 7
1 −0.003 6 −0.000 7
281 0.039 4 0.005 0
139 2 283 0.005 7 0.023 9
2 062 −0.032 3 0.037 3
2 362 −0.009 4 −0.065 7
1 0.040 0 0.010 9
281 0.018 7 0.010 6
140 3 283 −0.020 1 0.000 3
2 062 −0.012 6 0.018 2
2 362 −0.026 1 −0.039 8
1 0.039 4 0.032 4
281 −0.010 7 −0.003 7
141 4 283 0.024 6 −0.019 1
2 062 −0.028 0 0.043 6
2 362 −0.025 2 −0.053 4
1 0.006 2 0.009 3
281 0.037 6 0.017 4
142 5 283 −0.004 4 0.019 2
2 062 −0.001 1 0.000 8
2 362 −0.038 3 −0.046 9
8.4.3 プローブによるかたよりの扱い
精度が優れていることから,プローブNo.2362を認証プロセス用として選択したが,他のプローブに対
するかたよりが問題を引き起こしている。この問題を処理する可能性として,次の二つが考えられる。
a) プローブNo.2362で行ったすべての測定値をプローブの平均値について補正する。
b) 不確かさの評価において,プローブ間の差に対する標準偏差を含める。
調査対象のプローブがこの形式のプローブからのランダムなサンプルであると仮定できる場合は,a)の
方が優れた選択肢となる。単位(抵抗率)を試験方法によって定義する場合には,特にこれがあてはまる。
したがって,ここでは,プローブNo.2362の平均かたよりについてすべての測定値を補正し,不確かさの
タイプAの評価として,補正の標準偏差を求める。
表10から,ウエハごとのプローブNo.2362の補正値は表11になる。補正値は,すべてマイナスである。
場所での符号検定に基づいて,二つのランからの補正値は同じ母集団からのものとして処理した。
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 33] ―――――
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表11−ウエハごとのプローブNo.2362に対するかたより
ウエハ ラン1 ラン2 全体
138 0.037 2 0.050 7
139 0.009 4 0.065 7
140 0.026 1 0.039 8
141 0.025 2 0.053 4
142 0.038 3 0.046 9
平均 0.027 2 0.051 3 0.039 3
分散(10値) 0.000 261 8
標準偏差 0.016 18
プローブNo.2362のかたよりは,−0.039 3であると推定された。プローブNo.2362のかたよりの不確か
さは,次の式のようになる。
.0016 18
Sb .0005 117
2362
10
8.5 配線のかたより
8.5.1 二つの方法で構成したプローブでの測定
多くの考え得る方法の中でも特定の方法である方法Aによって配線したプローブNo.2362で,証明書用
の測定を行った。ゲージ調査は,大きな外れを特定する方法として,二つの方法で配線したプローブ
No.2362を用いて実施した。配線方法に関する生データは,ここでは省略する。
8.5.2 グラフ解析
同じ日に実施した方法A及び方法Bでの測定値の間の差を,各ウエハについて,6日間のデータをプロ
ットした。図5は,約2か月の間隔をおいた2回のランを別々に表す。中心の線は,ゼロラインである。
データポイントは,このゼロラインの上下にかなりランダムに分散しており,プローブNo.2362について,
方法間の差がないことを示す。したがって,この原因による不確かさへの寄与は無視できるとみなす。
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Z 8404-2 : 2008 (ISO/TS 21749 : 2005)
X軸 : 時間,d
Y軸 : 測定値間の抵抗率の差,Ω・cm
1) ラン1
X軸 : 時間,d
Y軸 : 測定値間の抵抗率の差,Ω・cm
1,···,5 : ウエハの識別番号(表10)
2) ラン2
図5−時間に関する方法A及び方法Bの測定値の差
8.5.3 方法間の差についての定量試験
以上の結果は,5個のウエハについて6日間測定した値から,平均差及び標準偏差を計算した表12に基
づくt検定によって確認される。平均値が統計的に異なっているかを試験するt統計量は,値が2未満で
あり,有意な差がないことを示す。結論として,配線方法によるかたよりがないこと,及びこれを要因と
――――― [JIS Z 8404-2 pdf 35] ―――――
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JIS Z 8404-2:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/TS 21749:2005(IDT)
JIS Z 8404-2:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
JIS Z 8404-2:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ0035:2008
- 標準物質―認証のための一般的及び統計的な原則
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用
- JISZ8101-3:1999
- 統計―用語と記号―第3部:実験計画法
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-3:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
- JISZ8402-4:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-5:2002
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第5部:標準測定方法の精度を求めるための代替法
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方