JIS B 0625:2021 公差解析用語 | ページ 7

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B 0625 : 2021
附属書E
(参考)
公差解析の標準的な手順−サイズ公差と幾何公差とを含む公差解析の例
サイズ公差と幾何公差とを含む公差解析の一例として,図E.1に示す部品1,部品2で構成する組立品
の解析寸法で示される隙間の部分をワーストケースで解析する。各寸法の右向きを正とする。図E.2に部
品図を示す。この解析例は,1次元の公差解析とし,穴·軸を中心とした回転を考慮しない。なお,部品図
は指示の一部が省略されている。
2
3 解析寸法
4 1
公差解析のループ
部品1
5 1 穴の位置の理論的に正確な寸法
2 穴の位置度公差
3 穴の位置度公差のボーナス公差
4 穴の位置度公差の浮動
5 がた
6 軸の位置度公差
部品2 7 軸の位置度公差のボーナス公差
9 8 軸の位置度公差の浮動
9 軸の位置の理論的に正確な寸法
6
7
8
図E.1−2枚の板で構成する組立品の公差解析図
a) 部品1 b) 部品2
注記 この例では,一部の指示は省略されている。
図E.2−部品1及び部品2の指示
まず,隙間の部分の解析の前に,二つの部品間の穴と軸との組立てを示す図E.2において,部品1の穴
の最大実体実効サイズは,穴の図示サイズから下の許容差を引き,そのうえで幾何公差の値を引いて,6.2
−0−0.2=6となる。同様に部品2の軸の最大実体実効サイズは,軸の図示サイズから上の許容差を加え,
そのうえで幾何公差の値を加えて,5.8+0+0.2=6となる。したがって,この穴と軸とは干渉せずに組立

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て可能であることが確認できる。
次に,図E.2で指示する部品を組み立てたときの公差解析表を,表E.1に示す。穴と軸との位置度公差
には,最大実体公差方式を指定しているので,ボーナス公差[実際の部品のサイズ(当てはめサイズ)に
依存し,幾何公差に追加して緩和できる公差のことをいう(JIS B 0023:1996参照)。]を見込む必要がある。
そのため,累積公差は±0.5 (1)と大きいが,穴と軸とを,組み立てる際に,サイズと姿勢の二つのばらつき
の影響を同時に受けるために,実効状態が定義できる最大実体公差方式を用いることになる。すなわち,
図E.3のような最大実体公差方式を用いない公差設計では,図E.4に示すように組立てを保証できないこ
とになる。
公差の累積を小さくするために,次のような指針で公差再配分を行って解析する。まず,軸と穴は,直
径と比較して長くない(深くない)ので,姿勢のばらつきは小さいと見込める。したがって,図E.5に示
すように姿勢公差にゼロ幾何公差方式を指定し,それとは別に,軸及び穴の位置度公差はφ0.2を維持す
る。部品1の穴の最大実体実効サイズは,穴の図示サイズから下の許容差を引き,そのうえで姿勢の幾何
公差の値を引けば,6−0−0=6となる。同様に部品2の軸の最大実体実効サイズは,軸の図示サイズから
上の許容差を加え,そのうえで幾何公差の値を加えれば,6+0+0=6となる。すなわち,図E.6に示すよ
うにこの穴と軸も干渉せずに組立て可能であることが確認できる。
なお,この例では,幾何公差のデータム参照に最大実体公差方式が指定できないので,データム形体の
浮動(累積要素4及び8)を見込む必要はない。
表E.1−公差解析表(公差累積表)
累積要素 寸法 上·下の 部品 記述
符号 許容差
1 − 20 部品1 穴の位置の理論的に正確な寸法
2 ±0.1 穴の位置度公差
φ0.2(±0.1)
3 ±0.025 穴の位置度公差に付加されるボーナス公差
φ6.25−φ6.2=0.05(±0.025)
4 穴の位置度公差のデータム形体の浮動
該当せず
5 ±0.25 部品12 がた
φ6.25−φ5.75=0.5(±0.25)
6 ±0.1 部品2 軸の位置度公差
φ0.2(±0.1)
7 ±0.025 軸の位置度公差に付加されるボーナス公差
φ5.8−φ5.75=0.05(±0.025)
8 軸の位置度公差のデータム形体の浮動
該当せず
9 + 21 軸の位置の理論的に正確な寸法
解析寸法/ + 1 ±0.5
累積公差

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a) 部品1 b) 部品2
注記 この例では,穴と軸との組立てを保証することは不可能である。
図E.3−部品1及び部品2の指示
軸の公差域
注記 この例では,最大実体状態で組立てできないことがある。
図E.4−図E.3の図面を用いる場合の解釈図
a) 部品1 b) 部品2
注記 この例では,一部の指示は省略されている。
図E.5−改善された部品1及び部品2の指示

――――― [JIS B 0625 pdf 33] ―――――

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解析寸法
データムA
データムC
a) 解釈図1(誇張して描いた組立品)
穴の公差域
平面度の公差域 データムB
データムA データムA
直角度の
公差域
直角度の
公差域
データムC データムC
平面度の公差域 データムD
軸の公差域
b) 解釈図2(各幾何公差の公差域) c) 解釈図3(穴と軸の実効状態)
図E.6−図E.5の図面を用いる場合の解釈図
次に,図E.5で指示する部品を組み立てたときの公差再配分した公差解析表を,表E.2に示す。穴と軸
の位置度公差には,最大実体公差方式が用いられていないので,ボーナス公差を見込む必要はない。また,
この例でも幾何公差のデータム参照に最大実体公差方式が指定できないので,データム形体の浮動を見込
む必要はない。累積公差は0.5(±0.25)となり,表E.1の公差配分の例と比較して累積公差が減少してい
る。

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表E.2−公差再配分した公差解析表(公差累積表)
累積要素 寸法 上·下の 部品 記述
符号 許容差
1 − 20 部品1 穴の位置の理論的に正確な寸法
2 ±0.1 穴の位置度公差
φ0.2(±0.1)
3 穴の位置度公差に付加されるボーナス公差該当せ

4 穴の位置度公差のデータム形体の浮動
該当せず
5 ±0.05 部品12 がた
φ6.05−φ5.95=0.1(±0.05)
6 ±0.1 部品2 軸の位置度公差
φ0.2(±0.1)
7 軸の位置度公差に付加されるボーナス公差
該当せず
8 穴の位置度公差のデータム形体の浮動
該当せず
9 + 21 軸の位置の理論的に正確な寸法
解析寸法/ + 1 ±0.25
累積公差

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