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JIS B 7754:1991 規格概要
この規格 B7754は、各種工業材料及び製品の耐光性並びに耐候性を試験するために用いるキセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機について規定。
JISB7754 規格全文情報
- 規格番号
- JIS B7754
- 規格名称
- キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機
- 規格名称英語訳
- Light-exposure and light-and-water-exposure apparatus (xenon-arc lamp type)
- 制定年月日
- 1979年1月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 19.040
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1979-01-01 制定日, 1984-02-01 確認日, 1989-03-01 確認日, 1991-03-01 改正日, 1996-03-01 確認日, 2002-06-20 確認日, 2007-03-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS B 7754:1991 PDF [20]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
B 7754-1991
キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機
Light-exposure and light-and-water-exposure apparatus (Xenon-arc lamp type)
1. 適用範囲 この規格は,各種の工業材料及び製品の耐光性(1)並びに耐候性(2)を試験するために用いる
キセノンアークランプ式耐光性試験機及び耐候性試験機(以下,試験機という。)について規定する。
注(1) 光の照射に対して変化しにくい性質。
(2) 屋外で日光,風雨などの自然の作用に対して変化しにくい性質。
備考1. 耐光性試験機とは,短時間に耐光性の一部の性質を調べるために,太陽光に近似した人工光
源の照射を行うことができる試験装置をいい,耐候性試験機とは,短時間に耐候性の一部の
性質を調べるために,太陽光に近似した人工光源の照射を行い断続した水の噴霧を行うこと
ができる試験装置。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 1102 指示電気計器
JIS G 3442 水道用亜鉛めっき鋼管
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼鋼管
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板
JIS G 4307 冷間圧延ステンレス鋼帯
JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条
JIS H 3250 銅及び銅合金棒
JIS H 3300 銅及び銅合金継目無管
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H 5101 黄銅鋳物
JIS K 6742 水道用硬質塩化ビニル管
JIS K 6762 水道用ポリエチレン管
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8722 物体色の測定方法
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B 7754-1991
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
(1) ブラックパネル温度 ラック又は回転盤に取り付けたブラックパネル温度計の指示する温度で試験片
の表面温度を代表する温度。
(2) キセノンアークランプ キセノンアーク放電によって発光するアークランプ。
(3) 発光部 キセノンアークランプ及びフィルターで構成される部分。
3. 種類 試験機の種類は,噴霧装置が装備されているもの及びされていないものによって区分し,次の
2種類とする。
(1) キセノンアークランプ式耐光性試験機(以下,XF形という。)
(2) キセノンアークランプ式耐候性試験機(以下,XW形という。)なお,この2種類の試験機の主な仕様
は,表1による。
表1 試験機の主な仕様
種類 ランプ
キセノンアー 試験片保持装置噴霧 送風機構 温度 湿度調節
クランプ の数 装置 調節
XF形 水冷又は空冷 1又は2
ラック方式又はなし 断続又は連あり 自動制御式又
以上 回転盤方式 続送風式 は非制御式
XW形 水冷又は空冷 1又は2
ラック方式又はあり 連続送風式 あり 自動制御式又
以上 回転盤方式 はなし
4. 性能
4.1 光照射 試験機の光照射は,次による。
(1) 発光部の分光特性 キセノンアークランプは,少なくとも2501 200nmの波長範囲にわたって連続
スペクトルをもち,フィルターとの組合せによって種々の立ち上がりをもった光を放射しなければな
らない。その例を参考図3に示す。
参考 フィルター(一例)の分光透過率(1)を次の参考表1に示す。
参考表1
フィルターの種類 分光透過率%
275nm 300nm 320nm 400nm 700nm 1 000nm
石英ガラス 90以上 90以上 90以上 90以上 90以上 85以上
紫外線遮断用ガラス 2以下 35以上 75以上 90以上 90以上 90以上
製フィルター(I)
紫外線遮断用ガラス 0 0 20以下 90以上 90以上 90以上
製フィルター(II)
赤外線遮断用ガラス 0以上 20以上 50以上 80以上 75以下 7以下
製フィルター
紫外線・赤外線遮断 0 0 20以下 80以上 70以下 5以下
用ガラス
注(1) 使用前の分光透過率(常温の場合)である。
(2) 試験片面(3)の放射照度(4)の表示 試験機の機種ごとに,少なくとも300800nmの波長範囲における
試験片面の分光放射照度を図示し,また,300400nmの波長範囲における放射照度を表示する。
なお,受渡当事者間の協定によって,ほかの波長範囲における放射照度又は特定波長での分
光放射照度も表示することが望ましい。
測定方法は,附属書による。
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注(3) 試験片ホルダの表面。
(4) 新品のキセノンアークランプ及びフィルターを組み合わせて約20時間エージングしたものを
用いたときの値(初期値)とする。
(3) 運転に伴う放射照度の変動許容範囲 自動制御の場合,設定した放射照度の±10%が維持でき,手動
調節の場合,設定した放射照度の±10%以内に入るよう調整できること。
(4) 各試験片面の放射照度許容範囲 試験片面の放射照度の位置による差は,最高値の10%を超えてはな
らない。
(5) 明暗サイクル(5) 少なくとも,3.8時間照射(明),1時間消灯(暗)のサイクルの設定ができること。
照射中の温度及び湿度は,4.2の規定によって,また,消灯中の湿度は少なくとも95±5%の条件が設
定できること。ただし.試験片表面噴霧装置は用いない。
注(5) 明暗サイクル装置を備えたものに適用する。
4.2 温度及び湿度 試験槽内部の温度及び湿度は,調節可能なブラックパネル温度及び相対湿度で示し,
次による。
(1) 調節可能なブラックパネル温度及びその調節精度 次に示す条件のうちの少なくとも一つでなけれ
ばならない。
(a) 63±3℃(A形ブラックパネル温度計による指示温度)
(b) 83±3℃(A形ブラックパネル温度計による指示温度)
(c) 50±3℃(A形ブラックパネル温度計による指示温度)
(d) 70±3℃(B形ブラックパネル温度計による指示温度)
なお,受渡当事者間の協定によって,ほかの温度及びその調節精度としてもよい。
備考 温度は,キセノンアークランプの種類及びフィルターの組合せによって異なる。また,用いる
ブラックパネル温度計の種類によって指示温度は異なる。
(2) 調節可能な相対湿度及び調節精度(6) (1)で規定するそれぞれの指示温度に対し,相対湿度を50±
5%に調節できるものが望ましい。ただし,相対湿度の測定箇所は,試験槽内空気の出口付近とする。
なお,受渡当事者間の協定によって,ほかの相対湿度としてもよい。
注(6) 湿度調節装置が,自動制御方式のものに適用する。
4.3 試験片表面への噴霧 試験片表面への噴霧は,次による。
(1) 照射及び噴霧の方法 少なくとも次の3種類が設定できること。
(a) 120分サイクル : 102分間の照射,続いて18分間の照射及び噴霧。
(b) 60分サイクル : 48分間の照射,続いて12分間の照射及び噴霧。
(c) 噴霧なし : 照射だけ行う。
時間の精度は,±0.5分とする。
(2) 噴霧水量設定可能範囲及び許容範囲 噴霧圧力0.1MPaに対してノズル1個当たり0.53±0.10 l/min又
は0.08±0.01 l/minのいずれかとする。ただし,受渡当事者間の協定によってこれを変えてもよい。
5. 構造,寸法及び材料
5.1 構成 試験機は,試験槽,発光部,キセノンアーク始動及び安定装置,放射照度調節装置,温度調
節装置,湿度調節装置(7),試験片保持装置,試験片表面噴霧装置(8),冷却装置,計装機器などで構成する。
注(7) 湿度調節装置を備えた試験機に附属する。
(8) 耐候性試験機に附属する。
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B 7754-1991
5.2 試験槽 試験槽は,試験片に光の照射を行うため又はW形では更に水の噴霧を行うための室で,発
光部,回転枠,噴霧ノズルなどを組み込み,温度又は温湿度が調節できる構造でなければならない。
試験槽内壁の材料は,JIS G 4305に規定するSUS 304若しくはJIS H 4000に規定するA 1100Pに耐食処
理を施したもの,又はこれと品質が同等以上の材料でなければならない。
なお,発光部,試験片ホルダ,噴霧ノズルの相対位置を参考図1に示す。
5.3 発光部 発光部は,次による。
(1) キセノンアークランプ キセノンアークランプは,石英管の両端に電極を封入し,内部にキセノンガ
スを封入した交流点灯のロングアークランプで、強制水冷又は強制空冷して用いる。
(2) フィルター フィルターは,必要な分光特性を得ることとキセノンアークランプの冷却に使用する。
紫外部及び赤外部の遮断のためには,紫外線遮断用ガラス製フィルター,赤外線遮断用ガラス製フィ
ルター,流水などを用いる。
(3) その他 使用する部分によって,耐熱性,耐食性,耐湿性又は電気絶縁性が優れた材料を用いる。
なお,発光部の概要を参考図2に示す。
5.4 キセノンアーク始動及び安定装置 キセノンアーク始動装置は,キセノンアークランプを始動する
ために用いるもので,必要な高電圧パルスを発生させることができるものとする。キセノンアーク安定装
置は,安定したキセノンアークを長時間維持するためのもので,変圧器,入力電圧調整器,リアクタなど
からなる。
5.5 放射照度調節装置 放射照度調節装置は,キセノンアークランプ及びフィルターの使用に伴う放射
エネルギーの減衰を補正する装置で,次のいずれかの条件を備えていなければならない。
(1) 使用時間によって段階的にランプ電力を手動で調節できるもの。
(2) 放射照度又は放射露光量を測定し,放射照度が定になるようにランプ電力を手動で調節できるもの。
(3) 放射照度の変動を検出し,放射照度が一定になるようにランプ電力を自動制御できるもの。
5.6 明暗サイクル装置 明暗サイクル装置は,所定の時間の割合で点灯・消灯の点滅を繰り返し,所定
のブラックパネル温度及び相対湿度の条件が設定できなければならない。
5.7 温度調節装置 温度調節装置は,ブラックパネル温度計の指示を一定にするため,試験槽内の空気
温度を調節するもので,送風機構,ブラックパネル温度計及び温度調節器からなる。
また,空気の流れを調整するため,エアデフレクタを設けるか又はこれと同等の性能をもつ構造としな
ければならない。
送風機構,ブラックパネル温度計及び温度調節器は,次による。
(1) 送風機構 送風機構は,試験槽内に空気を送り込むもので,断続又は連続送風式がある。
なお,外気の取入口には必要に応じて防じん用のエアフィルターを設ける。
(2) ブラックパネル温度計
(2.1) 種類 ブラックパネル温度計は,次の2種類とする。
A形 バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を金属板の中心に一致させて
取り付け,感熱体保護管を密着して固定した構造のもの。
B形 白金抵抗体,サーミスタなどの感熱体を金属板の裏面(照射面の反対側)の中心に一致さ
せて取り付け,金属面にプラスチック製の断熱材を密着して固定した構造のもの。ただし,感熱体
と断熱材との間に約1mmの間げきを設ける。
(2.2) 金属板及び感熱体保護管は,JIS G 4305に規定するSUS 304を用い,焼付形耐候性黒色エナメルの
塗装仕上げを行わなければならない。
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(2.3) 温度表示部は,ダイヤル式,ディジタル式などがある。
(2.4) ブラックパネル温度計は,これを取付けできるように加工したホルダに取り付け,ラック又は回転
盤に試験片と並べて取り付ける。
(2.5) ブラックパネル温度計の構造及び寸法は,付図1による。
(2.6) ブラックパネル温度計の応答性能,分光反射率及び目盛は,次による。
(a) 応答性能(9) 昇温は,30±1℃に調整された水槽にブラックパネル温度計の目盛部分を残して水没さ
せ,指示が30±1℃で安定するのを確認し,手早く70±1℃に調整された水槽に入れ,指示が63℃
になるまでの時間を測り,その値が10秒以下であること。
また,降温は,70±1℃に調整された水槽にブラックパネル温度計の目盛部分を残して水没させ,
指示が70±1℃の範囲で安定するのを確認し,手早く30±1℃に調整された水槽に入れ,指示が37℃
になるまでの時間を測り,その値が10秒以下であること。
注(9) 形のダイヤル式にだけ適用する。
(b) 分光反射率 JIS Z 8722に規定する照明及び受光の幾何学的条件dによって測定したとき,波長範
囲380780nmでブラックパネルの分光反射率(正反射光も含む。)は5%以下であること。
(c) 目盛 所定の温度が指示できるもので,目量は1℃以内とする。
(3) 温度調節器 温度調節器は,送風機構と組み合わせて用いる。検出方式によって次のものがあり,い
ずれかを用いる。
(a) 空気温度調節器 液体膨張式,電気式などであって,感熱部は試験槽空気の出口付近に発光部から
の直射光を避けて取り付けるのが望ましい。
(b) ブラックパネル形温度調節器 ブラックパネル温度を検知して試験槽内空気温度を調節するもので,
感熱部には次の2種類がある。
AR形 金属板の中心に感熱体の中心を一致させて取り付け,感熱体保護管を密着して固定し
た構造のもの。
BR形 金属板の裏面の中心に感熱体の中心を一致させて取り付け,金属面にプラスチック製
の断熱材を密着して固定した構造のもの。ただし,感熱体と断熱材との間に約1mmの間げきを
設ける。
感熱部の構造は,付図2による。
5.8 湿度調節装置 湿度調節装置は,試験槽内の湿度を調節するもので,次による。
(1) 自動制御式では,湿度を試験槽空気の出口付近で光源からの直射光を避けて検知し,その設定値の信
号に従って加湿器を制御して,試験槽内の湿度を調節する。
(2) ウイック式では,枠に張り付けたウイック(給湿布)を試験槽底部の水槽に浸し,水分の蒸発を促進
させて試験槽内を加湿する。
5.9 試験片保持装置 試験片保持装置は,試験片ホルダなどを取り付けるラック又は回転盤,それらの
回転機構,試験片ホルダなどからなり,次による。
(1) ラック又は回転盤 ラック又は回転盤は,試験片が光の照射及び水の噴霧を均等に受けるように,発
光部の周囲を回転できるものでなければならない。
材料は,JIS G 4307,JIS G 3459に規定するSUS 304,JIS H 3250,JIS H 3300,JIS H 3100に規定
するBs若しくはJIS H 5101に規定するYBsCにめっきを施したもの,又はJIS H 4000に規定する
A1100Pに耐食処理を施したものなどの耐食性材料を用いる。
備考 回転速度は,機種によって1,3,5r/minなどがある。
――――― [JIS B 7754 pdf 5] ―――――
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JIS B 7754:1991の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 7754:1991の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1102:1981
- 指示電気計器
- JISG3442:2015
- 水配管用亜鉛めっき鋼管
- JISG3459:2016
- 配管用ステンレス鋼鋼管
- JISG3459:2021
- 配管用ステンレス鋼鋼管
- JISG4305:2012
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2021
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4307:1987
- 冷間圧延ステンレス鋼帯
- JISH3100:2018
- 銅及び銅合金の板及び条
- JISH3250:2015
- 銅及び銅合金の棒
- JISH3250:2021
- 銅及び銅合金の棒
- JISH3300:2018
- 銅及び銅合金の継目無管
- JISH4000:2014
- アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
- JISH5101:1988
- 黄銅鋳物
- JISK6742:2016
- 水道用硬質ポリ塩化ビニル管
- JISK6762:2019
- 水道用ポリエチレン二層管
- JISZ8703:1983
- 試験場所の標準状態
- JISZ8722:2009
- 色の測定方法―反射及び透過物体色