この規格ページの目次
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C 3711 : 2007
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
絶縁トロリー線
導体を絶縁物によって覆い,コレクタが集電可能な連続した開口部をもつトロリー線。
3.2
張力形絶縁トロリー線
耐張引留装置を用い,張力を加えて施工する方式の絶縁トロリー線。
3.3
非張力形絶縁トロリー線
張力を加えずに施工する方式の絶縁トロリー線。
3.4
単線式絶縁トロリー線
1本の導体に独立した絶縁被覆をもった単極導体構造の絶縁トロリー線。単線式絶縁トロリー線を複数
本同一のハンガで固定して使用するものもある。
3.5
多線式絶縁トロリー線
複数本の導体を一つの絶縁被覆で連結した多極導体一括形の絶縁トロリー線。
3.6
屋内用絶縁トロリーシステム
屋内で使用することを意図した絶縁トロリーシステム。
3.7
屋外用絶縁トロリーシステム
屋外又は屋側で使用することを意図した絶縁トロリーシステム。
なお,湿気又は水気の多い屋内での使用も意図する。がいし付きハンガなどで絶縁性能を高めたものが
ある。
3.8
エキスパンション
熱伸縮による変化量を吸収する構造をもつ絶縁トロリー線。
3.9
フィードイン
絶縁トロリー線に給電するための部品。
3.10
ジョインタ
絶縁トロリー線相互を電気的及び機械的に接続する部品。
3.11
乗移り部
コレクタが絶縁トロリー線間を乗り移るために使用する部分。
3.12
エンド
絶縁トロリー線の端末部を絶縁する部品。
――――― [JIS C 3711 pdf 6] ―――――
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C 3711 : 2007
3.13
ハンガ
絶縁トロリー線を支持又は固定する部品。
3.14
耐張引留装置
絶縁トロリー線に張力を加えて引き留める装置。
3.15
コレクタ
集電用ブラシを絶縁トロリー線の導体面としゅう(摺)動させながら集電する機構をもつ部品。
4 構成部品及び定格
構成部品,定格電圧及び定格電流は,表1による。
表1−構成部品及び定格
構成部品 定格電圧a) 定格電流(参考値)c)
V A
絶縁トロリー線 600 (750) 30,60,90,100,150,200,300,400,
エキスパンション 300 (300) 500,600,800,1 000,1 500,2 000
フィードイン
ジョインタ
エンド −
ハンガ 屋内用 −
耐張引留装置 屋外用b) −
コレクタ 15,20,30,50,60,75,80,90,100,
120,200,250,300,400,500,600
注a) 括弧内の数値は,直流電圧を示す。
b) 屋外用は,単線式のものに限る。
c) 定格電流は参考値であり,この表にないものも適用することができる。
5 性能
5.1 構造
絶縁トロリー線及びその附属品は,8.1の試験を行ったとき,実用上支障があってはならない。
5.2 温度上昇
導体中央部及び接続部の温度上昇は,8.2の試験を行ったとき,表2の値以下でなければならない。
表2−温度上昇
単位 ℃
絶縁物の最高許容温度 温度上昇
85以上 55
75 45
60 30
5.3 絶縁抵抗
――――― [JIS C 3711 pdf 7] ―――――
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C 3711 : 2007
絶縁抵抗は,8.3の誠験を行ったとき,5 MΩ以上でなければならない。
5.4 耐電圧
耐電圧は,8.4の試験を行ったとき,これに1分間耐えなければならない。
5.5 防雨性(屋外用絶縁トロリーシステムだけに適用する。)
防雨性は,8.5の試験を行った後,次の部位間について,直流500 V絶縁抵抗計を用いて絶縁抵抗を測定
したとき5 MΩ以上であり,かつ,周波数50 Hz又は60 Hzの交流電圧3 000 Vを加えたとき,1分間これ
に耐えなければならない。
a) 8.5 a) 1)3)に示す取付状態で,ハンガ支持用金属部と金属はく(箔)との間。
b) 8.5 b)に示す取付状態で,充電部と引留めボルトとの間。
5.6 水平強度
水平強度は,直線状の絶縁トロリー線について8.6の試験を行ったとき,絶縁物に破損又はひび割れが
なく,かつ,5.2及び5.3を満足しなければならない。
5.7 垂直強度
垂直強度は,絶縁トロリー線を垂直に使用するものについて8.7の試験を行ったとき,各部に実用上有
害な永久ひずみ又は破損がなく,かつ,導体が移動してはならない。
5.8 耐衝撃
耐衝撃は,磁器のものを除き,8.8の試験を行ったとき,絶縁物に実用上有害な破損又はひび割れがなく,
かつ,5.2及び5.3を満足しなければならない。
5.9 走行性
走行性は,8.9の試験を行ったとき,電気的又は機械的な欠陥が生じず,コレクタのブラシ端子部の温度
上昇が55 ℃以下であり,かつ,5.2及び5.3を満足しなければならない。
5.10 短絡
多線式絶縁トロリー線の短絡は,8.10の試験を行ったとき,試験後の隣接導体相互間の最大永久変位量
が試験前の間隔の25 %以下であり,導体支持部に有害な損傷又はひび割れがなく,絶縁トロリーシステ
ムを構成する各部に実用上有害な変形又は切損を生じてはならない。ただし,エキスパンションには,最
大永久変位量25 %は適用しない。
また,短絡試験後,5.2及び5.3を満足しなければならない。
6 構造
6.1 絶縁トロリー線
絶縁トロリー線は,7.1の導体を7.2の絶縁物によって覆い,コレクタを滑らかに接触走行させることが
できる連続した開口部を設けたもので,次の各項に適合しなければならない。
a) 絶縁物は,使用状態で容易に外れない。
b) 導体の接続部は,機械的及び電気的に確実に接続でき,かつ,絶縁カバーを取り付ける。
c) 導体接続部に用いるピン,ボルト,ナット及び座金は,十分な機械的強度をもつ。
なお,さびるおそれがある鋼にあっては,めっきなどのさび止めを施す。
d) 充電露出部と非充電露出金属部との間及び異極充電部相互間の距離は,表3の値以上とする。
e) 絶縁物の開口部は,人が容易に充電部に触れにくい構造とする。
f) エキスパンションは,導体の伸縮を吸収するための間げき(隙)をもち,十分な電流容量の絶縁電線
によって導体相互間を接続したもので,コレクタの走行に支障がない。
――――― [JIS C 3711 pdf 8] ―――――
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C 3711 : 2007
g) 垂直に使用する絶縁トロリー線は,導体が自重によって絶縁物から滑り落ちない。
h) 多線式絶縁トロリー線において,線間の隔壁が破損しても橋絡が起こらない。
表3−絶縁距離
定格電流 部位 定格電圧a) 空間距離及び沿面距離b)
A V mm
100以下 充電露出部と非充電露出金属部との間 600 (750)以下 12
及び異極充電部相互間 300 (300)以下
100を超えるもの 充電露出部と非充電露出金属部との間 25
及び異極充電部相互間
注a) 括弧内の数値は,直流電圧を示す。
b) コレクタを装着したときの寸法を示す。
6.2 フィードイン
フィードインは,給電線と絶縁トロリー線とを電気的及び機械的に確実に接続でき,給電部が露出しな
いように外部を絶縁した構造でなければならない。
6.3 乗移り部
乗移り部は,コレクタの乗移りが円滑にできる構造で,導体は,絶縁物の端部から4 mm以上内部にな
ければならない。
6.4 エンド
エンドは,良好な絶縁物で製作されたもので,絶縁トロリー線の端末部を常に確実に絶縁し,かつ,絶
縁トロリー線を延長するとき取外しができる構造でなければならない。
6.5 ハンガ
ハンガは,次に適合しなければならない。
a) 屋内用ハンガは,良好な絶縁性能をもち,かつ,絶縁トロリー線を支持又は固定するために十分な機
械的強度をもつ。
b) 屋外用ハンガは,降雨時においても良好な絶縁性能をもち,かつ,絶縁トロリー線を支持又は固定す
るために十分な機械的強度をもつ。
6.6 耐張引留装置
耐張引留装置は,次に適合しなければならない。
a) 屋内用耐張引留装置は,良好な絶縁性能をもち,かつ,絶縁トロリー線の引留めに十分な機械的強度
をもつ。
b) 屋外用耐張引留装置は,降雨時においても良好な絶縁性能をもち,かつ,絶縁トロリー線を引き留め
るために十分な機械的強度をもつ。
6.7 コレクタ
コレクタは,7.3のブラシを,例として表4に示す絶縁物で支持するもので,次に適合しなければならな
い。
a) 絶縁トロリー線に良好な接触を保ちながら円滑に走行集電ができる。
b) 絶縁トロリー線に装着したとき,人が容易に充電部に触れない構造とする。
c) ブラシが容易に交換できる。
d) ブラシには,摩耗限度を示すマークを付ける。
――――― [JIS C 3711 pdf 9] ―――――
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C 3711 : 2007
表4−絶縁物の例
加熱試験
破壊 最高
加熱後の残率% 加熱条件
引張強さ 伸び 電圧の 許容
絶縁物の種類 加熱 加熱
MPa % 引張 伸び 強さ 温度
温度 × 時間
強さ kV/mm ℃
℃ h
60 60
硬質塩化ビニル 75 29.4以上 − − − − 14以上 75
95 95
60 100以上 85以上 80以上 (100±2)× 48 60
軟質塩化ビニル 75 9.8以上 120以上 90以上 75以上 (120±3)×120 30以上 75
95 120以上 70以上 75以上 (135±3)×120 95
ポリフェニレンオキサイド 63.7以上 30以上 − − − 30以上 120
不飽和ポリエステルFRP a) 29.4以上 − − − − 11以上 145
クロロプレン 5.9以上 250以上 60以上 60以上 (100±2)×48 20以上 75
ポリカーボネート 54.9以上 60以上 − − − 14以上 125
ポリカーボネートFRP a) 58.8以上 − − − − 14以上 130
ポリプロピレン 29.4以上 250以上 − − − 30以上 95
ポリプロピレンFRP a) 34.3以上 − − − − 30以上 110
ユリア 31.4以上 − − − − 10以上 90
フェノール 29.4以上 − − − − 10以上 140
ポリアミド 39.2以上 25以上 − − − 12以上 90
ポリアミドFRP a) 68.6以上 − − − − 15以上 130
アクリロニトリルスチレン
58.8以上 − − − − 12以上 85
FRP a)
エポキシ(鉱物質充てん) 17.7以上 − − − − 12以上 105
磁器 29.4以上 − − − − 35以上 90 b)
引張強さ及び伸びの試験方法は,JIS K 7113による。ただし,軟質塩化ビニル及びクロロプレンは,JIS C 3005に,
磁器は,JIS C 3801(規格群)による。
破壊電圧の強さの試験方法は,JIS C 2110による。
加熱試験の試験方法は,JIS C 3005による。
注a) RPは,Fiberglass Reinforced Plastic(強化プラスチック)の略である。
b) 磁器単体は,180 ℃を超えるものであるが,金具との保持用セメンティングなどの関係で 90 ℃とする。
7 材料
7.1 導体
導体は,次のいずれかを用い,その断面積は28 mm2以上でなければならない。ただし,定格電圧が300
V以下のものは,断面積を8 mm2以上とすることができる。
a) IS C 3104に規定するもの又はこれと同等以上の導電率をもつ銅。
b) IS H 3100に規定するC 2680又はこれと同等以下の体積抵抗率をもつ黄銅。
c) IS H 4000,JIS H 4040,JIS H 4080若しくはJIS H 4100に規定するもの又はこれと同等以上の導電
率をもつアルミニウム若しくはアルミニウム合金。
d) IS G 3132に規定するもの又はこれと同等以上の機械的強度をもつ鋼に亜鉛めっきなどを施したもの。
――――― [JIS C 3711 pdf 10] ―――――
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JIS C 3711:2007の国際規格 ICS 分類一覧
JIS C 3711:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC1302:2018
- 絶縁抵抗計
- JISC1602:2015
- 熱電対
- JISC2110:1950
- コイルエナメル試験方法
- JISC2110:1994
- 固体電気絶縁材料の絶縁耐力の試験方法
- JISC3005:2014
- ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法
- JISC3104:1994
- 平角銅線
- JISC3801:1993
- がいし試験方法
- JISC60068-2-75:2019
- 環境試験方法―電気・電子―第2-75部:ハンマ試験(試験記号:Eh)
- JISC8306:1996
- 配線器具の試験方法
- JISG3132:2018
- 鋼管用熱間圧延炭素鋼鋼帯
- JISG4305:2012
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2021
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISH3100:2018
- 銅及び銅合金の板及び条
- JISH4000:2014
- アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
- JISH4040:2015
- アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
- JISH4080:2015
- アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
- JISH4100:2015
- アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
- JISK7113:1995
- プラスチックの引張試験方法