JIS C 8306:1996 配線器具の試験方法

JIS C 8306:1996 規格概要

この規格 C8306は、周波数50Hz又は60Hzの交流電圧600V以下の電路の配線に接続して使用する配線器具で,(1)開閉器(カットアウトスイッチ,カバー付きナイフスイッチ,低圧箱開閉器及びこれらに類する開閉器)(2)点滅器(屋内用小形スイッチ類,光電式自動点滅器及びこれらに類する点滅器)(3)接続器(ねじ込み式ソケット類,配線用差込接続器,シーリングローゼット,電気器具用差込接続器,屋内配線用ジョイントボックス及びこれらに類する接続器)(4)連用配線器具の取付枠及びフラッシプレート (5)住宅用分電箱 の一般的試験方法について規定。

JISC8306 規格全文情報

規格番号
JIS C8306 
規格名称
配線器具の試験方法
規格名称英語訳
Testing methods for wiring devices
制定年月日
1967年4月1日
最新改正日
2016年10月20日
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対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

29.120.01
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
電気設備 II-1 2021, 電気設備 II-2 2021, 電気設備 III 2021
改訂:履歴
1967-04-01 制定日, 1970-06-01 確認日, 1972-09-01 改正日, 1976-04-01 確認日, 1977-10-01 改正日, 1982-11-01 改正日, 1988-02-01 確認日, 1988-09-25 改正日, 1994-03-01 改正日, 1996-03-01 改正日, 2001-02-20 確認日, 2006-06-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS C 8306:1996 PDF [33]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
C 8306-1996

配線器具の試験方法

Testing methods for wiring devices

1. 適用範囲 この規格は,周波数50Hz又は60Hzの交流電圧600V以下の電路の配線に接続して使用す
る配線器具で,次に示す配線器具(以下,器具という。)の一般的試験方法について規定する。
(1) 開閉器(カットアウトスイッチ,カバー付きナイフスイッチ,低圧箱開閉器及びこれらに類する開閉
器)
(2) 点滅器(屋内用小形スイッチ類,光電式自動点滅器及びこれらに類する点滅器)
(3) 接続器(ねじ込みソケット類,配線用差込接続器,シーリングローゼット,電気器具用差込接続器,
屋内配線用ジョイントボックス及びこれらに類する接続器)
(4) 連用配線器具の取付枠及びフラッシプレート
(5) 住宅用分電盤
備考1. この規格は,過電流引外し機構をもつもの及び防爆形,油入形,機器専用形など特殊な用途
のものは考慮していない。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 1501 玉軸受用鋼球
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 7502 マイクロメータ
JIS B 7507 ノギス
JIS C 0920 電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級
JIS C 1102 指示電気計器
JIS C 1302 絶縁抵抗計
JIS C 1601 指示熱電温度計
JIS C 1602 熱電対
JIS C 2805 銅線用圧着端子
JIS C 3301 ゴムコード
JIS C 3306 ビニルコード
JIS C 3307 600Vビニル絶縁電線 (IV)
JIS C 3312 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
JIS C 3327 600Vゴムキャブタイヤケーブル
JIS C 7501 一般照明用電球
JIS C 7709 電球類の口金及び受金
JIS C 8313 配線用つめ付きヒューズ
JIS C 8316 フラッシプレート

――――― [JIS C 8306 pdf 1] ―――――

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C 8306-1996
JIS C 8336 埋込配管用の附属品(電線管用)
JIS C 8352 配線用ヒューズ通則
JIS K 6301 加硫ゴム物理試験方法
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法
2. 一般事項
2.1 試験項目 試験項目は,次のとおりとする。
(1) 構造試験
(2) 温度上昇試験
(3) 接触抵抗試験
(4) 保持力試験
(5) 絶縁抵抗試験
(6) 耐電圧試験
(7) 防水試験
(8) 開閉(過負荷及び定格負荷)試験
(9) 短絡試験
(10) 耐過電流試験
(11) 機械的強度[端子部の強度(ねじ端子の強度,ねじなし端子の強度),コード引止部及びコード引出部
の強度,口金,受金取付部の強度,スイッチの操作部の強度(引きひも操作,その他の操作),外郭の
強度(鋼球落下強度,押圧強度,自重落下強度,衝撃強度)]試験
(12) 耐熱試験
(13) 耐湿試験
(14) ヒートサイクル試験
(15) 耐食性(塩水噴霧及び塩化アンモニウム)試験
(16) アンモニアガス耐久試験
2.2 試験項目の適用 試験項目の適用は,2.1に定める項目のうちからそれぞれの器具に適応した項目を
選び,それぞれの器具の規格(以下,個別規格という。)に規定するものとする。ただし,特に必要がある
場合は,個別規格において試験項目及び試験条件を追加又は変更してもよい。
2.3 試験場所 試験場所は,次のとおりとする。
(1) 試験は,特に規定する場合を除き,JIS Z 8703に規定する常温535℃及び常湿(相対湿度4585%)
で,かつ,通風,温度変化,その他試験の結果に甚だしい影響を及ぼすおそれがない場所で行うもの
とする。
(2) 試験場所の温度は,棒状温度計(JIS B 7411などに規定されているもの)又は熱電温度計(JIS C 1601
などに規定されているもの)を用い,試験品から12m隔たった箇所で,試験品の床上の高さにほぼ
等しい高さにし,通風などほかからの影響を受けないように温度計を置いて測定する。
(3) 試験場所の湿度は,(2)の温度測定箇所において,乾湿球湿度計法によって相対湿度を測定する。

――――― [JIS C 8306 pdf 2] ―――――

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C 8306-1996
3. 構造試験 構造試験は,完成品について個別規格に規定された構造,寸法,材料,仕上げなどの適否
を次によって調べる。
(1) 構造一般,材料,仕上げ,表示,部品の欠除などを肉眼又は手触りなどによって調べる。
なお,めっきなどを施した部品の材料は,適切な方法でめっきの一部分などをはぎ取って調べる。
(2) 寸法の測定は,JIS B 7502に規定するマイクロメータ,JIS B 7507に規定するノギス又はこれらと同
等以上の精度をもつ測定器などを用いて行う。ただし,ゲージ類が規定されているものは,そのゲー
ジ類を用いて行う。
(3) 絶縁距離の測定は,次の各項による。
(a) 空間距離は,個別規格に定められた部分について,その最短距離を測定する(付図2参照)。
空間距離は,器具の外面は30N,器具の内部は2Nの力を距離が最も小さくなるように加えて測
定したときの距離とする。ただし,部品の同極間で短絡した場合,危険を生じない部分には適用し
ない。
(b) 沿面距離は,個別規格に定められた部分について,絶縁物の面に沿って最短距離を測定する。この
場合,測定部分の絶縁物の面に幅1mm未満の溝があるときは,その溝の深さがないものとみなし
て沿面距離を測るものとする。
(c) (a)及び(b)において,測定部分の中間に,接地されない非充電金属体又は人の触れるおそれがない金
属体があるときは,その金属体と両側の金属体とのそれぞれの最短距離の和を求める。この場合,
金属体と被測体との距離が1mm未満の部分は,金属体がその被測体に密着しているものとみなす
[付図2の(4)及び(5)参照]。
(4) 器具の開口部などの充電金属部に対する人の接触予防措置の点検は,試験品を正常な使用状態にして,
通常人が触れるように付図1に示す試験指で器具の表面に触れたとき,表示灯が点灯しないことを確
かめる。表示灯の回路電圧は,40V未満とする。
充電金属部品の表面がワニス塗料などの薄い絶縁物で覆われているときは,その表面を金属はくで
覆い,充電金属部品と電気的に接続してから試験を行う。
4. 温度上昇試験 温度上昇試験は,完成品について正常の使用状態において定格電流又は個別規格に規
定する試験電流を通じたときの導電部の温度上昇を,次によって測定する。ただし,リード線付き又は電
線接続端子だけを外部に設けた一体成形のもの及び解体することによって特性が変化するものは,接続電
線,接続コードの導体又は端子金具の温度上昇を測定するものとする。
(1) 試験に使用する電源は,50Hz又は60Hzの単相交流で,試験電流をその規定値の±2%の範囲内に保持
できるものとする。
なお,制御回路をもつものはその回路に定格電圧を印加して行う。
(2) 電圧及び電流の測定には,JIS C 1102に規定する0.5級又はこれと同等以上の精度をもつ電圧計及び
電流計を用いるものとする。
(3) 試験品は,1個ごとに,次の方法で試験台へ取り付ける。
(a) 埋込形の器具は,JIS C 8336に規定するスイッチボックス又はアウトレットボックス内に正しく取
り付け,各端子及び接触子,刃受などが使用時と同様な電流通路を形成するように(4)に従って電線
を接続し,JIS C 8316に規定する合成樹脂製のもので覆った状態とする。ただし,通電用極が2極
以上のものでは,各極を直列に接続するものとする(付図3参照)。連用器具は,取付金具の中央に
1個の器具を取り付けて試験をする。

――――― [JIS C 8306 pdf 3] ―――――

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C 8306-1996
(b) 露出形の器具(コードを接続するものを含む。)は,木板(厚さ10mm以上)の上に置き(固定し
て使用するものは,正しく取り付ける。),(a)と同様に電線(コードだけを接続する器具はコード)
を接続する。
(c) つめ付きヒューズ又は糸ヒューズを取り付ける端子(以下,ヒューズ端子という。)を備えた器具は,
ヒューズの代わりに,器具の定格電流に従い,表1に示す銅線又は銅板を取り付ける。この場合ヒ
ューズ締付けねじは,その太さに従い,表7に示す値の32の締付けトルクで締め付ける。
(d) 筒形ヒューズ又はプラグヒューズのホルダ(以下,ヒューズホルダという。)を備えた器具は,使用
されるヒューズの可溶体を(c)同様に銅線又は銅板に置き替えたものを取り付ける。
(e) 差込口,ねじ込み口,差込刃又はねじ込み口金を備えた器具は,それぞれに適合する差込みプラグ,
ねじ込みプラグ,差込受口又はねじ込み受口などを用いて通電する。
表1 ヒューズに代える銅線及び銅板の寸法
器具の定格電流 7を超え 15を超え 30を超え 60を超え 100を超え
A 7以下 15以下 30以下 60以下 100以下 200以下
銅線(径) mm 1.6 1.6 2.6 − − −
銅板(厚さ×幅)mm − 0.3×10 0.5×12 1.4×16 1.8×20 3.2×25
備考1. 器具の定格電流が200Aを超えるものの銅板の大きさは,電流密度が1.82.3A/mm2と
なるようなものを用いる。
2. 銅線及び銅板の値は,基準寸法である。
3. 筒形ヒューズ,プラグヒューズなどで,銅板の厚さ及び幅が表の寸法にできないもの
は,これとほぼ等しい断面積の銅板又は銅線を用いてよい。
(4) 試験品の接続に使用する電線及びコードは,次による。
(a) 電線及びコードの種類及び太さ(呼び)は,表2による。
表2 接続用電線の種類及び太さ(呼び)
器具の定格電流 7を超え10を超え 15を超え 20を超え 30を超え 40を超え 60を超え 75を超え
A 15以下
7以下 10以下 20以下 30以下 40以下 60以下 75以下 100以下
接続電線及びコー 公称径 mm 1.6 1.6 1.6 2 2.6 − − − −
ドの太さ(呼び)
公称断面積 mm2 0.75 1.25 2 3.5 5.5 8 14 22 38
接続電線及びコードの長さ m 1以上(1本当たり)
接続電線及びコードの種類 JIS C 3301,JIS C 3306,JIS C 3307,JIS C 3312,JIS C 3327
備考1. 器具の定格電流が100Aを超えるものは,その電流に相当する許容電流(金属製電線管内の配線3本の場合)
の電線を用いる。この場合これに該当する断面積の電線がないときは,定格電流に近い大きな方の電線を用
いる。
2. 器具に接続される電線又はコードが特に指定されている器具については,その電線又はコードを用いる。
3. 公称断面積が5.5mm2以上のコードには,JIS C 3312に規定するビニルキャブタイヤケーブル,又はJIS C
3327に規定するゴムキャブタイヤケーブルの,2種のものを用いる。
4. 線付器具は,そのリード線には,表2は適用しない。
(b) 接続用電線(より線)及びコードの心線の端末は,端子に接続するときほぐれないように端末処理
をする。ただし,接続するとき端末がほぐれるおそれがない端子は,特別に端末処理をしなくても
よい。この場合端末に端子を用いるものでは,その端子は試験品の端子ねじ及び接続用電線の太さ
に適応するJIS C 2805に規定するものとする。
(c) 線付器具のリード線と試験用接続電線との接続は,接続部を完全にはんだ付けするか,又は(b)に示
す裸圧着端子を用いてボルト・ナットで締め付ける。
(d) 電線及びコードを器具の端子金具に接続する場合の端子ねじの締付けトルクは,表7に示す値の32
とする。

――――― [JIS C 8306 pdf 4] ―――――

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C 8306-1996
(5) 温度上昇値の測定は,熱電温度計法(JIS Z 8704のC級測定方式準用)で行う。
なお,次の条件を適用する。
(a) 熱電対は,JIS C 1602に規定するT (C.C) で0.75級のもの,熱電対の素線径は0.32mmのものを用
い,基準接点は氷点式基準接点又は校正した補償式とし,0.5級の計器を使用する。
(b) 測温接点は,試験条件に悪影響を与えないように測温部分に密着させる。
なお,被測温物体が金属の場合は,はんだ付けする。その他の場合は,測温接点と被測温物体を密
着させて接着剤などで固定する。
(c) 測温部分の温度及び周囲温度は,試験開始時から適当な等間隔(10分間以上とする。)で測定する。
なお,連続した3回の温度上昇値(測温部の温度−周囲温度)相互間に0.5℃以上の差がないときは
温度上昇が一定となったものとみなす。
(d) 周囲温度の測定は,2.3(2)による。
(e) 測温部分の最高温度上昇は,温度上昇が一定となったときの連続3回の測温部分の最高温度とその
3回の周囲温度の平均値との差で表すものとする。
(6) その他の試験条件は,次による。
(a) 個別規格に試験電流を指定するものにあってはその電流とし,特別に指定しないもので定格電流を
表示する器具は,その定格電流(二つ以上の定格電流を表示したものは大きい方)を個別規格に規
定された部分の温度上昇が一定となるまで連続通電する。
(b) 電動機定格を表示した器具は,その定格に従い表4に示す規約電流(二つ以上の定格を表示したも
のは大きい方)を,個別規格に規定された部分の温度上昇が一定となるまで連続通電する。
(c) 定格電流と電動機定格とを併記したものは,(a)又は(b)のいずれか大きい方の値の電流で試験する。
(d) 開閉機構又は差込口を備えた器具では,試験開始の直前に数回無通電で開閉操作をする。
また,差込口をもった器具の開閉試験後の温度上昇は,他の試験に使用しない刃を用いて行う。
(e) 分岐口を備えた器具又は複数の回路をもった器具では,各分岐口ごと又は各回路ごとに試験を行う。
ただし,同一極配置又は同一寸法の受金をもったものはその任意の1個だけについて行ってもよい。
(f) 送り端子をもつ器具では,表示された送り容量定格で行い,表示のないものは器具定格に等しい電
流(最小15A)で別個に試験する。
5. 接触抵抗試験 接触抵抗試験は,導電部の接触部における接触抵抗を完成品について,次の項目によ
って測定する。ただし,差込口をもった器具の開閉試験後の接触抵抗は,他の試験に使用しない刃で測定
する。
5.1 直流法による接触抵抗試験 直流法による接触抵抗試験は,次によって行う。
(1) 試験に使用する電源は,定格電圧以下の任意の電圧の直流で,試験電流を安定に保ち得るものとする。
(2) 電圧及び電流の測定は,JIS C 1102に規定する0.5級又はこれと同等以上の精度をもつ電圧計及び電
流計を用いる。
(3) 試験品を使用の際と同様に結線し,1Aの電流(個別規格に規定されたときは,その規定電流)を通じ,
個別規格に規定された部分の接触抵抗を電圧降下法によって連続3回測定し,3回の値を平均して接
触抵抗を求める。ただし,器具の定格電流が1A未満のものは,試験電流を定格電流としてよい。
(4) 接触抵抗の1回の測定の順序は,次による。
(a) 試験品を閉路状態とする。
(b) 電流を規定値にして電圧降下を測定する。

――――― [JIS C 8306 pdf 5] ―――――

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