JIS E 4041:2019 鉄道車両―完成車両の試験通則 | ページ 5

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この試験は,完成車両に対して行う受渡試験である。しかし,車両完成以前であっても,車両の配線作
業を完了している場合には,既に電気絶縁特性試験を個別に終了している電気機器への配線が未結線の状
態のときに,車両の耐電圧試験を行ってもよい。ただし,この場合,完成車両の姿で各回路の絶縁抵抗試
験を再度行う。
受渡当事者間で協定した規格の電気絶縁特性試験に既に合格している機器(例えば,回転機)は,車両
の電気絶縁特性試験を行うときに,回路から切り放しておいてもよい。
無軌条電車システムで,車体に対して電気機器を二重絶縁することを契約に指定しているときは,この
二重絶縁が確実に構成されており,かつ,絶縁した各部分が,電気絶縁特性試験の要求に耐えることを検
証する。
8.7.2 配線検査(受渡試験)
車両内のぎ装配線は,配線接続図(つなぎ図という場合がある。)どおりであり,電線の種類及びサイズ
は,設計図どおりであり,また,電圧及び異なる回路別に束ねて確実に固定してあり,必要に応じて電磁
両立性(EMC)を考慮した材質の配管内に収納してあることを検査によって確認する。さらに,外部に露
出する電線類は,必要に応じて外部からの飛来物に対して十分な保護を施してあることを確認する。
8.7.3 絶縁抵抗試験
絶縁抵抗試験の方法は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
種別1
契約に絶縁抵抗の最低値の指定がない場合,試験電圧は500 V以上とし,測定した絶縁抵抗値が,次に
示す数値以上であることを確認する。
a) 直流300 V以上又は交流100 V以上の定格電圧の回路に対しては,5 MΩ
b) 直流300 V未満又は交流100 V未満の定格電圧の回路に対しては,1 MΩ
種別2
JIS E 4014の7.2(絶縁抵抗試験)による。
例えば,高湿度の周囲条件,外装ケーブルの採用などのような場合,これらの既知の条件を考慮して,
受渡当事者間で協定すれば,1 MΩ未満の絶縁抵抗値で合格としてもよい。
製造業者が,採用する絶縁抵抗値を提案し,発注者の承認を受ける方法も代案として認められる。この
ような条件及び周囲条件(温度及び相対湿度)は,試験報告書に記録する。
絶縁抵抗試験を耐電圧試験の前・後に実施する場合には,前・後の絶縁抵抗試験とも試験条件は同一と
し,耐電圧試験後に測定した絶縁抵抗値は,耐電圧試験前に行った絶縁抵抗測定値に対して10 %以上低く
てはならない。ただし,前・後に行う絶縁抵抗測定が,天候及び湿度が著しく異なる場合には,測定値を
受渡当事者間で協議して適切な範囲に見直すことができる。
8.7.4 耐電圧試験
ほとんどの機器は,絶縁レベルの異なる多数の回路で構成している。各回路は,接地に対して個別に試
験する。このとき,その他の全ての回路は,原則的には,接地した状態とする。
回路の全ての部分を接続するために,接触器及び遮断器は,必要に応じて閉路又は短絡する。静電容量
又はインダクタンスの影響によって,特定の部分に発生する異常電圧を防止するために,あらゆる防護措
置を行う。同様の影響を受けるとみられる装置(例えば,電子装置)も,試験の前に開放又は短絡する。
ただし,そのような処置のできる用品は,受渡当事者間で協定した個別規格の絶縁試験に合格済であるも
のに限る。
耐電圧試験の方法は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。

――――― [JIS E 4041 pdf 21] ―――――

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種別1
耐電圧試験は,各回路と接地間に試験電圧を1分間加える。その試験電圧値は,回路を構成する各用品
に適用する規格(JIS E 5004-1JIS E 5004-5,JIS E 5007,JIS E 5008,JIS E 6101,JIS E 6102,JIS E 6103,
JIS E 6401,IEC/TS 60349-3など)に規定している個別の装置の試験電圧の中の最低試験電圧値の85 %相
当値とする。
種別2
JIS E 4014の7.3(耐電圧試験)及び7.4(誘導による耐電圧試験)による。

8.8 防護ボンディング及び帰線回路の試験(形式試験)

  この試験は,車両の防護ボンディング及び帰線回路が契約の要求に適合していることの検証を目的とし
ている。
車両には,次に示す目的のための電気配線が正しく構成され,接続されていることを確認する。
a) 感電防止のために,各回路,車体などの機械的構造部分を等電位とする。
b) 迷走電流の影響から,軸受の損傷を防護する。
c) 特定の回路[例えば,主回路及び補助回路(列車暖房回路を含む。)の帰線回路]を検査する。
防護ボンディング及び帰線回路は,JIS E 5051の規定を満足していることを確認するために試験を行う。
配線は,接続点間の最大相対変位を許容できる長さで,自由度があることを検査によって確認する。
接地回路及び帰線回路の端子は,作業者の手が容易に届き,かつ,正しく接続されていることを目視で
確認する。

8.8A 最低動作電圧・最低動作空気圧の試験(形式試験)

  車両内の主要な電気機器及び空気用品(例えば,パンタグラフのかぎ外し,補助電源装置の起動,エン
ジンの始動,交流電気車の補助空気圧縮機の動作など。)は,契約で定めた最低動作電圧値又は最低動作空
気圧で確実に動作することを確認する。
これらの装置又は部品の単体試験によって確実に動作することが確認できる場合は,その試験記録でこ
れに代えてもよい。

8.9 空気システムの試験

8.9.1  一般
この試験は,全ての空気用品を車両にぎ装して圧力空気供給源に接続したときに,契約仕様どおりに動
作することの検証,及び空気用品は契約に規定してある気密性を満足していることの確認を目的としてい
る。
ブレーキシステムに圧力空気を使用していない場合は,ここに規定した試験のうち,適用できる試験だ
けを行う。試験の合否判定基準に修正があれば,契約時に協定して試験計画書に記載する。
8.9.2 元空気タンク及びその他の空気用品の気密試験(受渡試験)
8.9.2.1 一般
車両を正常に運転できる状態にして,元空気タンクを最高有効圧力まで加圧し,空気圧縮機からの給気
を遮断した後,次の部分の気密状態を確認する。
8.9.2.2 元空気タンク及び関連用品
種々の空気用品(ブレーキ回路,戸閉め装置,空気ばね式車体支持装置,電磁式空気用品など)を圧力
空気源から加圧した後に給気を遮断(例えば,締切コックを操作するなどの方法)し,契約にある指定時
間経過後に,元空気タンクの圧力低下が契約に指定された数値より大きくないことを検査によって確認す
る。

――――― [JIS E 4041 pdf 22] ―――――

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契約に数値を指定していない場合,元空気タンクの調圧器の最高値と最低値との間にある初期空気圧力
から,5分間経過後に,20 kPa以上の圧力低下がないことを確認する。
8.9.2.3 その他の空気用品に接続した元空気タンク及び関連機器
様々な圧力空気用品(意図的に空気漏れを起こさせる設計条件の用品を除く。)に加圧しても動作しない
状態にしたとき,元空気タンクの圧力は,契約にある指定時間経過後の圧力低下値より低くないことを確
認する。
契約にこれらの数値規定がない場合は,元空気タンクで調圧されている圧力設定値の最高値と最低値と
の間にある初期空気圧力から,20分間経過後に,全ての空気用品が正常に機能できる最低動作圧力まで低
下してはならない。
固定編成列車又は総括制御ユニットを構成する目的で,元空気タンクを装備していない付随車両が,動
力車又は機関車に連結している場合,当該固定編成列車又は総括制御ユニットの状態で,8.9.2.2及び8.9.2.3
の試験を繰り返さなければならない。この場合の時間制限及び圧力空気の許容漏れ限度は,当該固定編成
列車又は総括制御ユニットの構成に応じて,契約で協定する。
採用しているブレーキの方式によって,ブレーキ管の気密試験の手順は契約で協定し,試験計画書に記
載する。
8.9.3 ブレーキシリンダ及び補助空気タンクの気密試験(受渡試験)
ブレーキシリンダ及び補助空気タンクは,運転士が扱うブレーキハンドル又はその他の手段を用いて,
常用最大圧力を加えた後,給気を遮断する。
契約に規定値がない場合には,ブレーキシリンダ圧力は,3分間経過後,10 kPaより大きな圧力低下が
ないことを確認する。
8.9.4 空気用品の動作確認
例えば,次のような全ての空気用品が正しく動作していることを検査によって確認する。
a) 安全装置及び保護装置
b) 圧力調整装置
c) ブレーキ制御装置又はブレーキ作用装置
d) 保安ブレーキ装置
e) 滑走防止装置
f) 締切コック(締切弁)
g) ドレン弁
h) 圧力変換器,圧力スイッチ
i) 定置でデューティサイクルを模擬した場合の空気圧縮機(9.18参照)
j) 気笛吹鳴装置,警笛装置
k) 除湿装置
l) 圧力計(圧力表示装置)
固定編成列車又は総括制御ユニットとして契約している場合には,完備した固定編成列車又は総括制御
ユニットでの動作を確認する。

8.10 油圧システムの試験

  この試験は,油圧機器をぎ装して油圧供給源に接続したとき,その密封度(耐漏れ性)が契約で設定さ
れた限度内にあり,かつ,全ての油圧機器は契約書の指定どおりに動作することの確認を目的としている。
例えば,次のような全ての油圧装置の正常な動作を,形式試験として検査する。

――――― [JIS E 4041 pdf 23] ―――――

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a) 油圧ポンプ
b) 油圧モータ(例えば,冷却装置,放熱器ファンなど)
c) 安全装置及び保護装置
d) 圧力制限器
e) 逆止弁
f) 締切弁
g) ドレン弁
h) キャリパブレーキ装置
車両を通常の動作状態にした受渡試験では,油圧システムに最高動作圧力を加えた後に油圧ポンプから
切り離す。契約で指定の時間経過後,システム内の油圧が契約で規定した範囲にあり,かつ,油漏れが発
生していないことを確認する。

8.11 摩擦ブレーキシステムの試験

8.11.1  一般
この試験は,摩擦ブレーキシステムが設計どおりに支障なく動作し,本線上で走行試験及びブレーキ試
験を行うことができる状態にあり,かつ,全ての車両が同一規格に適合していることの検証を目的として
いる。
次に示すブレーキシステムの機能は,定置試験で検査によって確認する。
a) 非常ブレーキ
b) 常用ブレーキ 電気ブレーキ付きの常用ブレーキの場合,摩擦ブレーキ及び電気ブレーキとのインタ
フェース(走行試験の代わりに模擬で試験する場合には,9.4参照)。
c) 保安ブレーキ
d) 車輪空転制御,滑走制御,応荷重制御及び主電動機制御のような他の回路(装備している場合)との
インタフェース。
e) 基礎ブレーキ装置の動作の滑らかさ。
8.11.2 空気ブレーキシステム
8.11.2.1 形式試験
この試験は,走行時のブレーキ試験に関連して,ブレーキシステムの動作及び制輪子又はブレーキライ
ニングに加わる押付け力が,契約条件に合致していることの検証を目的としている。
この試験は,8.9に規定した空気システムの試験終了後に行う。また,基礎ブレーキ装置は,正しく調整
されていることを検査によって確認する。定置状態における常用ブレーキの試験として,完備した空気ブ
レーキシステムが契約に指定された特性,特に,定められた操作条件におけるブレーキの作用,緩めに要
する時間,ブレーキシリンダの最高圧力及び階段ブレーキ緩めのブレーキシリンダ圧力を検査によって確
認する。
ブレーキシリンダ圧力及び時間の測定は,ブレーキ設定器の非常ブレーキ位置,常用ブレーキ(空気式
及び電空併用式)の場合は,電気ブレーキ又は回生ブレーキの等価信号を与えて最高ステップ位置及び複
数の中間位置で繰り返す。保安ブレーキ,留置ブレーキ(8.12参照)などは,それぞれのスイッチを操作
して行う。
車輪空転及び滑走防止用の吐出し弁又は別に車輪固着防止装置がある場合,例えば,空気排出時間,作
用時間,緩め時間などの動作に関する項目を確認する。車輪滑走防止用の吐出し弁の動作は,車輪滑走信
号に同期していることを確認する。

――――― [JIS E 4041 pdf 24] ―――――

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車両に応荷重装置を装備している場合,最小質量,空車質量及び限界質量の負荷条件の車両に対して,
ブレーキシリンダ圧力を測定する。車両の各荷重条件に対する応荷重検知装置の動作が別の試験(装置の
単体試験を含む。)で確認を終えている場合には,この試験は,模擬荷重信号で行ってもよい。
8.11.2.2 受渡試験
受渡試験では,空車質量だけの条件で,ブレーキ作用及びブレーキシリンダの最高圧力を検査によって
確認する。この試験によって形式試験で実施したブレーキシステムと同等であることを確認する。
8.11.3 その他のシステム
ばねブレーキ,油圧ブレーキ,電気動作式ブレーキ(機械式ブレーキ機構の不緩解検知及び強制開放,
ブレーキ不足検知及びバックアップブレーキなど。),機械動作式ブレーキ,機械式レールブレーキ又は電
磁式レールブレーキ若しくはその他のブレーキシステムを装備して列車の減速用又は停止用に設計した車
両の場合,8.11.1に規定してある内容と同じ目的を達成するために,8.11.2と同様の形式試験及び受渡試験
を行う。
8.11.4 砂まきシステム
ブレーキ性能改善用及び力行時の空転防止用の砂まき装置を装備している場合,砂まき装置は,分岐器,
交差軌道,列車検知装置などの地上設備又は列車のブレーキシステム,電源装置若しくは空気供給装置の
ような列車内システムに障害を与えずに,要求性能を満足していることを試験で明らかにする。試験の合
否判定基準は,受渡当事者間で協定して試験計画書に記載する。契約で走行試験による確認が要求されて
いる場合,走行試験におけるブレーキ試験に合わせて試験することができる(9.4参照)。
形式試験の場合,次のような試験内容が契約にある場合には,適宜,確認する。
a) ブレーキ作用時に使用する場合(及び力行時に使用する場合にはそれも含めて),砂まき装置の適正な
動作(8.17参照)
b) 車輪空転及び滑走検知システムが動作したときの適正な動作
c) 砂まき機能の切離し方法及びその場合の表示
d) 手動制御(装備している場合)
e) 砂まき装置が動作したときの補助電源及び空気供給源への影響
f) 砂の容量,砂の吐出し量及び必要な場合にはモニタ装置への取込み状況
g) 砂の仕様
h) 砂の吐出し位置及び散布状態
受渡試験として,実際に砂の吐出し動作を行う簡略化した機能試験を行う。手動による砂まき装置の動
作確認の機能を設けている場合には,受渡試験は,それによる手動の確認だけでよい。

8.12 留置ブレーキの試験(形式試験)

  この試験は,留置ブレーキシステムを装備している場合,契約の仕様を満足していることの検証を目的
としている。
留置ブレーキシステムの有効性(操作条件及びブレーキ作用力の測定)を試験する場合の合否判定基準
を,試験計画書に記載する。
漏えい(洩)があって作用力が低減する可能性のある媒体(例えば,油圧又は空気圧)による列車の留
置ブレーキの場合,留置ブレーキには最初,最大の力を作用させた後,契約にある指定時間内は,そのブ
レーキの作用力が,契約に指定した範囲に保たれることを検証する。

8.13 補助電源装置の試験

8.13.1  目的

――――― [JIS E 4041 pdf 25] ―――――

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JIS E 4041:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61133:2016(MOD)

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